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松岡コレクション めぐりあうものたち Vol.3

開催中〜2023/02/05

松岡美術館

東京都・港区

戦後日本版画の展開-照沼コレクションを中心に

開催中〜2023/02/05

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

平子雄一 × 練馬区立美術館 コレクション inheritance, metamorphosis, rebirth[遺産、変形、再生]

開催中〜2023/02/12

練馬区立美術館

東京都・練馬区

江戸絵画の華 〈第1部〉若冲と江戸絵画

開催中〜2023/02/12

出光美術館

東京都・千代田区

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台

開催中〜2023/02/19

東京都現代美術館

東京都・江東区

日本の風景を描く ―歌川広重から田渕俊夫まで―

開催中〜2023/02/26

山種美術館

東京都・渋谷区

諏訪敦「窩裏の火事」

開催中〜2023/02/26

府中市美術館

東京都・府中市

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展IV 不変/普遍の造形 —住友コレクション中国青銅器名品選—

開催中〜2023/02/26

泉屋博古館東京

東京都・港区

北斎かける百人一首

開催中〜2023/02/26

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

『YUMING MUSEUM』(ユーミン・ミュージアム)

開催中〜2023/02/26

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

没後200年 亜欧堂田善展

開催中〜2023/02/26

千葉市美術館

千葉県・千葉市

フジヤマミュージアム 冬の収蔵作品展

開催中〜2023/02/26

フジヤマミュージアム

山梨県・富士吉田市

ルネ・ラリックのDay & Night 昼の“輝き”、夜の“ときめき”

開催中〜2023/02/28

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー

開催中〜2023/03/05

東京都庭園美術館

東京都・港区

多層世界とリアリティのよりどころ

開催中〜2023/03/05

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

FACE展2023

2023/02/18〜2023/03/12

SOMPO美術館

東京都・新宿区

日本の切り絵 7人のミューズ

2023/02/04〜2023/03/19

そごう美術館

神奈川県・横浜市

六本木クロッシング2022展:往来オーライ!

開催中〜2023/03/26

森美術館

東京都・港区

速水御舟展

2023/02/21〜2023/03/26

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

広重おじさん図譜

2023/02/03〜2023/03/26

太田記念美術館

東京都・渋谷区

江戸絵画の華 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派

2023/02/21〜2023/03/26

出光美術館

東京都・千代田区

VOCA展2023

2023/03/16〜2023/03/30

上野の森美術館

東京都・台東区

特別展「動画クリエイター展」

開催中〜2023/04/02

日本科学未来館

東京都・江東区

佐伯祐三 自画像としての風景

開催中〜2023/04/02

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

飯川雄大 デコレータークラブ 同時に起きる、もしくは遅れて気づく

開催中〜2023/04/02

彫刻の森美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

トンコハウス・堤大介の「ONI展」

開催中〜2023/04/02

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル

2023/02/25〜2023/04/09

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界

2023/02/11〜2023/04/09

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

アートのための場所づくり 1970年代から90年代の群馬におけるアートスペース

開催中〜2023/04/09

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才

開催中〜2023/04/09

東京都美術館

東京都・台東区

わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち

2023/02/18〜2023/04/09

世田谷美術館

東京都・世田谷区

ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END

2023/02/03〜2023/04/10

森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)

東京都・港区

本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション

2023/02/26〜2023/04/16

練馬区立美術館

東京都・練馬区

第59 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap

2023/02/25〜2023/05/14

アーティゾン美術館

東京都・中央区

企画展「北斎バードパーク」

2023/03/14〜2023/05/21

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ

開催中〜2023/05/28

東京都現代美術館

東京都・江東区

櫻田精一展 ~気韻生動 刻の流れをみつめて~

開催中〜2023/05/28

森の美術館

千葉県・流山市

NACT View 02 築地のはら ねずみっけ

開催中〜2023/05/29

国立新美術館

東京都・港区

美しい人びと 松園からローランサンまで

2023/02/21〜2023/06/04

松岡美術館

東京都・港区

へザウィック・スタジオ展:共感する建築

2023/03/17〜2023/06/04

森美術館

東京都・港区

憧憬の地 ブルターニュ  ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

2023/03/18〜2023/06/11

国立西洋美術館

東京都・台東区

ブルターニュの光と風 ー画家たちを魅了したフランス<辺境の地>

2023/03/25〜2023/06/11

SOMPO美術館

東京都・新宿区

ジョルジュ・ルオー ー かたち、色、ハーモニー ー(開館20周年記念展)

2023/04/08〜2023/06/25

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで

開催中〜2023/07/02

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション 第1期(春夏季)

2023/03/24〜2023/09/03

原美術館ARC

群馬県・渋川市

Exhibitions

李禹煥 Lee Ufan

無限の広がりへ

 「もの派」(※1)を代表する美術家として国際的に注目を集める李禹煥(1936年生まれ)の大規模な回顧展が国立新美術館で開かれている。近年は、グッゲンハイム美術館(2011年)、ヴェルサイユ宮殿(2014年)、ポンピドゥー・センター・メッス(2019年)など海外の美術館での個展が多く、国内では2005年の横浜美術館以来の個展の開催となる。東京では初めての回顧展だ。「すべては相互関係のもとにある」という世界観のもと、自ら展示構成を手掛け、「もの派」に至る前の、視覚の問題を問う1960年代の作品から、新作まで61点を紹介している。
 李によると、海外では美術館側の提案を取り入れて展示をすることが多いが、今回は「100%に近いくらい僕から案を出させてもらった」「これまでやってきたことを一つの切り口を、あるいは脈絡をつけて見せたいという主旨の初めての展覧会」と位置付けている。

李禹煥

 展示は、基本的に彫刻と絵画の2つのセクションに分けられ、時系列で紹介されている。
 彫刻は、石と、鉄板やガラス板などの工業製品を組み合わせた「関係項」が中心となる。「関係項」は、用いる素材にはほとんど手を加えずに、ものともの、ものと空間などに着目し、1968年頃から取り組んでいるシリーズで、ガラスの上に石を落とした「現象と知覚B 改題 関係項」(1968/2022年)、鉄板で作られた直方体の12辺から綿がはみ出している「構造A 改題 関係項」(1969/2022年)などは、石の重さや硬さ、ガラスの弱さ、鉄板の強さ、綿の軽さや柔らかさといった素材の特性が対比的に用いられている。また、「長いゴム帯でメジャーを作り引っ張って目盛りを伸ばし、石で押さえて距離感覚の不確かさ見ることの危うさを表した」(李・本展図録より)「現象と知覚A 改題 関係項」(1969/2022年)なども展示され、最初期の代表作を再制作した展示からその創作の原点を知ることができる。

「現象と知覚B 改題 関係項」 1968/2022年 作家蔵
「現象と知覚B 改題 関係項」 1968/2022年 作家蔵
「構造A 改題 関係項」 1969/2022年 作家蔵(右)、「現象と知覚A 改題 関係項」 1969/2022年 作家蔵(左)
「構造A 改題 関係項」 1969/2022年 作家蔵(右)、「現象と知覚A 改題 関係項」 1969/2022年 作家蔵(左)

 こうした「関係項」の一連の作品は、横浜美術館の回顧展をはじめ、各地の美術館の常設展示や国内のグループ展などで見る機会があったが、いずれも主に視覚から読み解くように鑑賞していたため、難解だと感じることが多かった。今回、新鮮だったのは、2010年以降、主に海外での発表を機に制作された体感できる作品だ。作品の中を歩くようになっていたり、周囲の環境を取り込む仕掛けがなされていたりして五感が刺激されることで、新たな世界に導かれる経験ができる。
 例えば、野外展示場の「関係項—アーチ」(2014/2022年)は、巨大な自然石に挟まれるように設置されたステンレスの巨大なアーチがあり、その真下に置かれたステンレスの板の上を歩いて鑑賞する。2014年にフランスのヴェルサイユ宮殿で初公開された野外彫刻「関係項—ヴェルサイユのアーチ」が原型で、そのバリエーションとして2019年に香川県の李禹煥美術館に恒久展示された「無限門」としても親しまれている作品だ。
 「そこを通ると作品の対象性ではなく周りの空間があらたまって新鮮に見える」(本展図録より)ことがこの作品の醍醐味で、六本木のビルが見える見慣れた都会の風景が、アーチをくぐり、アーチが見えなくなった瞬間に特別な風景として心に刻まれるような感覚が味わえる。

「関係項—アーチ」 2014/2022年 作家蔵
「関係項—アーチ」 2014/2022年 作家蔵

 美術館の入り口の正面に展示された「関係項—エスカルゴ」(2018/2022年)も自らが動くことで新たな世界が見えてくる。高さ約2㍍のステンレスの渦巻き状の壁を伝って中に入り込んでいくと、内側は鏡面になっているため、自分の姿が映る。この作品はここがポイントで「映し出されるのは観者自身のイメージしかない――そこはひとつの終点、冥府との境界」を示すことが本来のコンセプトのようだが(本展図録「〈関係項〉について」米田尚輝)、実際には、鏡面の上部に空や周囲の景色が映り込み、自分の姿はぼやけ、内と外の境界が逆転するような感覚に見舞われた。

「関係項—エスカルゴ」 2018/2022年 作家蔵
「関係項—エスカルゴ」 2018/2022年 作家蔵

 館内の展示では、フランスの古代ローマの墓地アリスカンで2021年に発表され、再制作された「関係項—鏡の道」(2021/2022年)がある。長さ10㍍の鏡面仕上げのステンレス板の中央両側に自然石を置き、周囲には白い石を敷き詰めた作品で、ステンレス板の上を歩きながら下を見ると、天井や自分の姿が鏡面に映し出されて、無限の空間を進むようだ。

「関係項—鏡の道」 2021/2022年 作家蔵
「関係項—鏡の道」 2021/2022年 作家蔵

 五感の中でも特に聴覚に訴えかけるのが「関係項—棲処(B)」(2017/2022年)。最初は2017年にル・コルビュジエ作のフランスのラ・トゥーレット修道院で発表された。展示室の床に石の板が敷き詰められていて、足の裏に石の割れ目を感じながら上を歩くとガタガタと音がする。安定感がなく体が揺れることもあり、自分と作品がダイレクトにつながることを体感できる。

「関係項—棲処(B)」 2017/2022年 作家蔵
「関係項—棲処(B)」 2017/2022年 作家蔵

 絵画は、幼年期に学んでいた書の記憶を思い起こし、描き始めの色が次第に薄くなる過程を表して時間の経過を示した70年代の「点より」「線より」や、わずかな筆跡と広い余白が響き合う空間に着目した90年代の「照応」、2000年代の「対話」のシリーズなどが紹介されている。中でも、新鮮でライブ感があるのが展示室の壁面に直接筆を入れた「対話—ウォールペインティング」(2022年)だ。壁全体が余白となり、筆の唯一のストロークが浮遊しているかのようにも見える。空間全体が振動し、別の世界へと誘(いざな)われるような感覚がある。

「対話—ウォールペインティング」 2022年 作家蔵
「対話—ウォールペインティング」 2022年 作家蔵

 「自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。表現は無限の次元の開示である」(本展図録より)という。近年は特に「身体こそが内と外を切り結ぶ非常に重要な点」であるとの考えを強めていることからも、考えること以前に、空間の中に身を投じ、経験することで無限の世界や宇宙との関わりを感じ取る作品が増えてきたようだ。また、いつもとは違う「非日常的な空間に入ったということが感じられればいいと思う」とも語る。
 これまで哲学的で難解だと思っていた李の作品が、体験型ともいえる近作によって身近になり、未知の世界へと誘(いざな)う扉のように感じた。

 李禹煥は1936年、韓国慶尚南道生まれ。ソウル大学校美術大学入学後の1956年に来日し、日本大学文学部で哲学を学ぶ。戦後日本美術における重要な動向の一つである「もの派」を牽引した作家として広く知られている。1971年刊行の『出会いを求めて』は「もの派」の理論を支える重要文献となったほか、2000年刊行の『余白の芸術』は英語、フランス語、韓国語等に翻訳されるなど、彫刻、絵画だけではなく、著述においてもその世界観を展開し、現在まで芸術的思想を深化させている。01年に第13回高松宮殿下記念世界文化賞絵画部門、06年に第47回毎日芸術賞など受賞歴多数。
   
(文中敬称略、作家の言葉は記者会見、同館の作家インタビュー映像より)
執筆・写真撮影:西澤美子
  
※1「もの派」
1960年代末から70年代初めにかけて、石や木や鉄などの素材をできるだけそのままの状態で扱ったインスタレーション制作を試みた作家たちを指す。ものと人や空間との関係性を重視し、作ることを制限しながら新たな表現の次元を開いた。主な作家は関根伸夫、李禹煥、菅木志雄、吉田克朗、成田克彦、小清水漸、榎倉康二、高山登、原口典之ら。
  
参考資料:「李禹煥」展 図録(国立新美術館・兵庫県立美術館 編、平凡社 2022年)、『現代芸術辞典』(美術出版社 1993年)ほか
  
 ※「もの派」関連記事(2019年記事より「DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術」

DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術

【会期・会場】
2022年8月10日(水)~11月7日(月)  国立新美術館(東京都・港区)
美術館サイト:https://www.nact.jp
  
※2022年12月13日(火)~2023年2月12日(日)  兵庫県立美術館に巡回