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名作展「みなさんが選ぶ!龍子記念館コレクション」(前期)

開催中〜2022/01/30

大田区立龍子記念館

東京・大田区

収蔵作品による 小林清親展【増補】-サプリメント-

開催中〜2022/01/30

練馬区立美術館

東京・練馬区

矢萩喜從郎 新しく世界に関与する方法 

開催中〜2022/01/30

神奈川県立近代美術館 葉山館

神奈川・葉山町

開館40周年記念 白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開

開催中〜2022/01/30

渋谷区立松濤美術館

東京・渋谷区

江戸の恋

開催中〜2022/01/30

太田記念美術館

東京・渋谷区

深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」

開催中〜2022/01/31

上野の森美術館

東京・台東区

建築家・坂倉準三と高島屋の戦後復興ー「輝く都市」をめざしてー

開催中〜2022/02/13

高島屋史料館TOKYO

東京都・中央区

武蔵野3万年のレシピ

開催中〜2022/02/13

角川武蔵野ミュージアム

埼玉県・所沢市

[館蔵]茶道具取合せ展

開催中〜2022/02/13

五島美術館

東京・世田谷区

古代中国・オリエントの美術 リターンズ  ―国宝“細川ミラー”期間限定公開―

開催中〜2022/02/13

永青文庫

東京・文京区

文様のちから 技法に託す

開催中〜2022/02/13

根津美術館

東京・港区

絵画のゆくえ 2022

開催中〜2022/02/13

SOMPO美術館

東京・新宿区

マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」

開催中〜2022/02/20

東京国立博物館 東洋館12室・13室

東京都・台東区

クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]

開催中〜2022/02/23

東京都現代美術館

東京・江東区

ユージーン・スタジオ 新しい海  EUGENE STUDIO After the rainbow

開催中〜2022/02/23

東京都現代美術館

東京・江東区

The SAMURAI -サムライと美の世界-

開催中〜2022/02/27

岡田美術館

神奈川県・箱根町

オープン・スペース 2021 ニュー・フラットランド

開催中〜2022/02/27

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生

開催中〜2022/02/27

世田谷美術館

東京・世田谷区

特別展「平松礼二の世界—日本美の在り処を訪ねて—」

開催中〜2022/02/27

郷さくら美術館

東京・目黒区

北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―

開催中〜2022/02/27

すみだ北斎美術館

東京・墨田区

土田圭介 鉛筆画展 心の灯り

開催中〜2022/02/27

武蔵野市立吉祥寺美術館

東京・武蔵野市

信じるココロ ―信仰・迷信・噂話

2022/02/04〜2022/02/27

太田記念美術館

東京・渋谷区

描くひと 谷口ジロー展

開催中〜2022/02/27

世田谷文学館

東京都・世田谷区

ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵

開催中〜2022/03/06

千葉市美術館

千葉・千葉市

開館20周年記念 山本貞展 ~やすらぎの憧憬の中で~ 

開催中〜2022/03/13

サトエ記念21世紀美術館

埼玉県・加須市

特別展「川﨑家の系譜-東山魁夷と川﨑家の画家たち-」

開催中〜2022/03/13

市川市 東山魁夷記念館

千葉県・市川市

今がすべてだ!ー続・柿沼康二の挑戦状ー 

開催中〜2022/03/13

岡本太郎記念館

東京都・港区

ユネスコ無形文化遺産 特別展「体感! 日本の伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界―」

開催中〜2022/03/13

東京国立博物館 表慶館

東京・台東区

近代が誇る女流画家とそれに連なる美の系譜 上村松園・松篁・淳之 三代展

2022/02/11〜2022/03/13

東京富士美術館

東京・八王子市

FACE展2022

2022/02/19〜2022/03/13

SOMPO美術館

東京・新宿区

雛の世界

2022/02/11〜2022/03/13

遠山記念館

埼玉県・川島町

第9回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉

開催中〜2022/03/21

菊池寛実記念 智美術館 

東京・港区

未来へつなぐ陶芸 ―伝統工芸のチカラ展

開催中〜2022/03/21

パナソニック汐留美術館

東京・港区

出光佐三とそのコレクション ―美へのまなざし

開催中〜2022/03/21

出光美術館

東京・千代田区

山本大貴-Dignity of Realism-

開催中〜2022/03/21

千葉県立美術館

千葉・千葉市

デザイン・ダイアローグ メゾン・エ・オブジェ・パリ展

2022/03/03〜2022/03/21

日本橋髙島屋 S.C. 本館8階ホール

東京都・中央区

生誕100年 松澤宥

2022/02/02〜2022/03/21

長野県立美術館

長野県・長野市

ミケル・バルセロ展

開催中〜2022/03/25

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

ボストン美術館所蔵「THE HEROES 刀剣×浮世絵-武者たちの物語」

開催中〜2022/03/25

森アーツセンターギャラリー

東京・港区

楳図かずお大美術展

開催中〜2022/03/25

東京シティビュー スカイデッキ

東京・港区

ハリー・ポッターと魔法の歴史

開催中〜2022/03/27

東京ステーションギャラリー

東京・千代田区

企画展 季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~

開催中〜2022/03/27

大倉集古館

東京・港区

御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―

開催中〜2022/03/27

サントリー美術館

東京・港区

生誕110年 香月泰男展

2022/02/06〜2022/03/27

練馬区立美術館

東京・練馬区

木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり

2022/02/19〜2022/03/27

目黒区美術館

東京・目黒区

赤 ―色が語る浮世絵の歴史

2022/03/04〜2022/03/27

太田記念美術館

東京・渋谷区

フランソワ・ポンポン展

2022/02/03〜2022/03/29

佐倉市立美術館 

千葉・佐倉市

ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?

開催中〜2022/03/30

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

特別展「ポンペイ」

開催中〜2022/04/03

東京国立博物館 平成館

東京・台東区

奥谷博―無窮へ

2022/02/12〜2022/04/03

神奈川県立近代美術館 葉山館

神奈川・葉山町

「ぐりとぐら しあわせの本」展(年間展示)

開催中〜2022/04/10

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

浮世絵劇場 from Paris

開催中〜2022/04/10

角川武蔵野ミュージアム

埼玉県・所沢市

奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム

開催中〜2022/04/10

東京都庭園美術館

東京・港区

はじまりから、いま。1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡—古代美術、印象派、そして現代へ

開催中〜2022/04/10

アーティゾン美術館

東京・中央区

名作展「みなさんが選ぶ!龍子記念館コレクション」(後期)

2022/02/05〜2022/04/10

大田区立龍子記念館

東京・大田区

どうぶつかいぎ展

2022/02/05〜2022/04/10

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

【開館55周年記念特別展】上村松園・松篁―美人画と花鳥画の世界―

2022/02/05〜2022/04/17

山種美術館

東京・渋谷区

ミロ展―日本を夢みて

2022/02/11〜2022/04/17

Bunkamuraザ・ミュージアム

東京・渋谷区

建部凌岱展 その生涯、酔たるか醒たるか

2022/03/12〜2022/04/17

板橋区立美術館

東京・板橋区

再開記念展 松岡コレクションの真髄

開催中〜2022/04/17

松岡美術館

東京都・港区

Keith Haring: 360°

開催中〜2022/05/08

中村キース・ヘリング美術館

山梨・北杜市

特別展「空也上人と六波羅蜜寺」

2022/03/01〜2022/05/08

東京国立博物館 本館 特別5室

東京・台東区

春の江戸絵画まつり ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります――京の絵画と敦賀コレクション

2022/03/12〜2022/05/08

府中市美術館

東京・府中市

戦国最強の家老 ―細川家を支えた重臣松井家とその至宝―

2022/03/12〜2022/05/08

永青文庫

東京・文京区

没後50年 鏑木清方展

2022/03/18〜2022/05/08

東京国立近代美術館

東京・千代田区

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅰ 日本画トライアングル

2022/03/19〜2022/05/08

泉屋博古館東京

東京都・港区

写真発祥地の原風景 幕末明治のはこだて

2022/03/02〜2022/05/08

東京都写真美術館

東京都・目黒区

上野リチ: ウィーンからきたデザイン・ファンタジー

2022/02/18〜2022/05/15

三菱一号館美術館

東京・千代田区

丸山コレクション 西アジア遊牧民の染織 塩袋と伝統のギャッベ展

2022/02/26〜2022/05/15

たばこと塩の博物館

東京・墨田区

野田弘志新作展 神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ― 

開催中〜2022/05/22

ホキ美術館

千葉県・千葉市

「永遠の瞬間」静物画展

開催中〜2022/05/22

ホキ美術館

千葉県・千葉市

北斎花らんまん

2022/03/15〜2022/05/22

すみだ北斎美術館

東京・墨田区

ダミアン・ハースト 桜

2022/03/02〜2022/05/23

国立新美術館

東京都・港区

デビュー50周年記念 くらもちふさこ展  ―デビュー作から「いつもポケットにショパン」「天然コケッコー」「花に染む」まで―

開催中〜2022/05/29

弥生美術館

東京・文京区

夢二がいざなう大正ロマン ―100年前の文化と女性を中心に―

開催中〜2022/05/29

竹久夢二美術館

東京・文京区

Chim↑Pom展:ハッピースプリング

2022/02/18〜2022/05/29

森美術館

東京都・港区

メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年

2022/02/09〜2022/05/30

国立新美術館

東京・港区

大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―

2022/04/16〜2022/06/12

サントリー美術館

東京都・港区

時代を映す絵画たち -コレクションにみる戦後美術の歩み-

2022/04/10〜2022/06/12

練馬区立美術館

東京都・練馬区

生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展

2022/03/19〜2022/06/19

東京都現代美術館

東京都・江東区

吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる

2022/03/19〜2022/06/19

東京都現代美術館

東京都・江東区

Tokyo Contemporary Art Award 2020-2022 受賞記念展

2022/03/19〜2022/06/19

東京都現代美術館

東京・江東区

出版120周年 ピーターラビット™展

2022/03/26〜2022/06/19

世田谷美術館

東京・世田谷区

篠田桃紅展(タイトル未定)

2022/04/16〜2022/06/22

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」

2022/05/03〜2022/06/26

東京国立博物館 平成館

東京・台東区

スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち

2022/04/22〜2022/07/03

東京都美術館

東京・台東区

牧歌礼讃 / 楽園憧憬 アンドレ・ボーシャン × 藤田龍児

2022/04/16〜2022/07/10

東京ステーションギャラリー

東京・千代田区

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策

2022/04/29〜2022/07/10

アーティゾン美術館

東京・中央区

Transformation 越境から生まれるアート

2022/04/29〜2022/07/10

アーティゾン美術館

東京・中央区

コジコジ万博

2022/04/23〜2022/07/10

PLAY! MUSEUM

東京・立川市

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅱ 光陰礼讃 ―モネからはじまる住友洋画コレクション

2022/05/21〜2022/07/31

泉屋博古館東京

東京都・港区

宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界 2022 展

2022/07/16〜2022/08/28

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

カラーフィールド 色の海を泳ぐ

2022/03/19〜2022/09/04

DIC川村記念美術館

千葉・佐倉市

開館20周年記念展「モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に」

2022/04/09〜2022/09/06

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで

2022/06/04〜2022/09/11

国立西洋美術館

東京都・台東区

ライアン・ガンダー われらの時代のサイン

2022/07/16〜2022/09/19

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

2022/06/29〜2022/09/26

国立新美術館

東京・港区

ボストン美術館展 芸術×力

2022/07/23〜2022/10/02

東京都美術館

東京・台東区

「クマのプーさん」展

2022/07/16〜2022/10/02

PLAY! MUSEUM

東京・立川市 

スイス プチ・パレ美術館展

2022/07/13〜2022/10/10

SOMPO美術館

東京・新宿区

生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎

2022/07/30〜2022/10/16

アーティゾン美術館

東京・中央区

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅲ 古美術逍遙 ―東洋へのまなざし

2022/09/10〜2022/10/23

泉屋博古館東京

東京都・港区

地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング

2022/06/29〜2022/11/06

森美術館

東京都・港区

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥

2022/08/10〜2022/11/07

国立新美術館

東京都・港区

花鳥風月 名画で見る日本の四季 琳派・浮世絵から御舟・一村まで

2022/03/06〜2022/12/18

岡田美術館

神奈川・箱根町

生誕150年記念 板谷波山の陶芸

2022/11/03〜2022/12/18

泉屋博古館東京

東京都・港区

川内倫子展(タイトル未定)

2022/10/08〜2022/12/18

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

ベルクグリューン・コレクション展(仮称)

2022/10/08〜2023/01/22

国立西洋美術館

東京都・台東区

パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂

2022/11/05〜2023/02/05

アーティゾン美術館

東京・中央区

六本木クロッシング2022展(仮題)

2022/12/01〜2023/03/26

Exhibitions

DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術

「もの派」の脱構築が提示したもの。―埼玉県立近代美術館での展覧会の記録
埼玉県、埼玉県立近代美術館

 
 2019年9月14日から11月4日まで埼玉県立近代美術館で開催された『DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術』。

 1960年代末から70年代にかけての日本の美術状況を、当時の主要な活動であった「もの派」を基軸としながら、記録写真や資料、映像との関係から検証した同展は、近年世界的に評価の高まっている「もの派」をその枠組みから解放し、改めてより広い視野から相対的にとらえなおす試みだった。
 同時に、“作品”として残されることのない美術家たちの活動の記録写真や映像、関連資料を、どのように保管し、現代の美術館でみせていくことができるのか、アーカイヴと展示手法の可能性を考える契機ともなる、今後の美術と美術館の在り方、我々の向き合い方をも問いかける空間でもあった。

 そこには、もの派の代表的作家で、今年5月に亡くなった関根伸夫(1942-2019)が大きな契機となっている。彼は埼玉県出身のアーティストであり、同館では、2005年に「アーティスト・プロジェクト:関根伸夫《位相―大地》が生まれるまで」を開催、その際に作家との共同作業で、記録写真をベースにしたスライドショー形式の《映像版 位相―大地》を制作している。また、2017年からは彼の資料の調査を進めており、その中間報告の意味合いも含められていた。

 展覧会はすでに終了したが、これからの美術史におけるひとつの視座として記録したい。

 
■展覧会構成

 「臨場感あふれる映像展示」、「「もの派」へのアプローチの方法」、「関根伸夫の資料の公開」という、空間、検証、資料の3つの柱を中心に、それらから派生する共鳴と差異を、現代までを視野に入れて、「幅広い世代、多様なジャンル」、「ポスト工業化社会の美術」という5つのポイントが示されていた。

■作品と作品記録を展示するということ:「もの派」へのアプローチの検証

 「もの派」の作品は、大地を円筒形に掘り、その土を同様の円筒形に固めて穴と並べて置き、展覧会終了後には元の通りに埋め戻した関根の《位相―大地》に見られるように、多くの作品が現存しておらず、現在では記録写真か後年の再制作でしか確認できない。それを逆手に取り、この展示では、まず記録された資料を主軸に展覧会を組み立てた。
 写真資料からスライドを制作、作家たちが手がけた映像作品と併せて会場の壁に大きく上映することで、その場に立ち会えなかった世代にも臨場感をもって体感できることを意図している。もちろん残されたオリジナル作品や再制作作品も処々で観ることができ、当時の空気をできる限り再現しようと工夫されている。
 それは、映像作品や体感型空間(インスタレーション)の作品が多くなっている現代アートにも通じ、「もの派」をひとつの過去のアート動向としてみるのではなく、現在までつながっている流れの中にとらえる眼差しを提示する。

 はじまりは、写真家で近年は映像作品も精力的に手掛けている金村修《Must Volunteer Kill》(2019年)から。
何が映されていたのか、いつ撮られたのかも定かでなくなったように、古び傷んだ大量の大型印画紙が壁に貼られたり、裏返されたり、床に置かれたりした作品は、時間により劣化する写真というメディウムの圧倒的なモノ感で迫ってくる。同時にハイスピードで断片化された現代の街の姿を映し出す映像《Topless Beaver Drive》(2019年)などは、時折聞こえる音響とともに、「記録」が見せる都市の孤独感や荒廃、非人間的な要素をあぶりだしている。
 何が「作品」で、何が「記録」なのか、「モノ」としての美術がわたしたちに問いかける力とはなにかを端的に示す、みごとなプロローグとなっている。
 
 そこから同館が関根伸夫と共同で制作した《映像版 位相―大地》(1968/2005年)の大型スクリーンへ。
掘り起こしていく様子から、展示風景、そして終了してもとの風景に戻る過程を追うことができる。特筆すべきは、実際に作品が展示された「神戸須磨離宮公園」の全景を引きで写した写真だ。この作品は穴とその横に積み上げられた土塊の写真があまりにも知られているために、その設置された場所はなかなか顧みられない。広大な公園のどこにあったのか、それを当時と同じアングルで現代の風景までを収めているのは、1968年の「神戸須磨離宮公園現代彫刻展」における関根の作品の位置づけを再検証するための「気づき」を与えてくれるだろう。

※出品作品:吉田克朗《650 ワットと60ワット》(1970年)、柏原えつとむ《Silencer - four panels》(1967年)、成田克彦《SUMI》(1968年)、李禹煥《項》(1968/1985年)、菅木志雄《界測》(1990年)、小清水漸《作業台-硯-》(1980年)など
※展示資料:大辻清司「神戸須磨離宮公園現代彫刻展」図録等(複号)、村井修の記録写真を使用した《映像版 位相―大地》、中嶋興による「もの派」作家たちの記録写真など
※スライドショー:安齊重男、榎倉康二、中嶋興の撮影のものなど

■作品、および制作の記録をみせるということ:アーカイヴの可能性

 もの派の主格として活動した関根には、《位相―大地》のほかにも多くのテンポラリーな作品制作の記録や、そのための構想メモやデッサン、参考資料などが残されており、これら「関根伸夫資料」は、作家の生前2015年度から彼が客員教授を務めていた出身校の多摩美術大学と同館が共同で進めてきた「もの派アーカイヴ」に位置づけられてきたそうだ。

 今回、膨大な資料の整理・分類をプロのアーキビストに依頼し、「手稿類」、「作家活動に関する資料」、「環境美術研究所に関する資料」、「刊行物」、「個人的な資料」に分類されて紹介されている。学芸員の視点とは異なるものさしで提示される「資料」から読み取れるものが、《位相―大地》における彼の文脈を改めて回復させ、ひいては関根の活動の軌跡に新たにもたらすものの可能性を示す。
 今後も継続される「関根伸夫資料」の調査は、「もの派」という定義にも広がりをもたらし、捉えなおしのひとつの契機となるだろう。

 パフォーマンスや映像上映、インスタレーションなど、その場限りの芸術作品が増えてきている現代に、この試みは大きな示唆となるはずであり、諸外国に比べて、「アーカイヴ」の概念が薄く、遅れがちである日本の現状において、ひとつのはじまりをも提示したといえる。

※展示資料:「関根伸夫資料」クロッキー集、マケット、スケッチ、アルバムや写真、図面、個展リーフレット、著作、手帳や手紙など

■「もの派」を“解読”するということ:新たな見取り図の中で

 「もの派」がもっとも注目されるのは、1968年から1970年代前半とされ、この短い期間の影響関係や同時代性がこれまで研究、検証されてきた。それは歴史の中で「もの派」の活動を浮かび上がらせ、定義するひとつの形ではあったが、ともするとその枠組みを限定し、硬化させる可能性もはらんでいる。
 同展では、「もの派」のもつ歴史的な側面を「出来事としての作品」と「その視覚的記録としての写真・映像」のふたつの要素としてとらえ、「もの派」の前後も含めた現代にいたる50年を視野として、より幅広い世代やジャンルから読み直す。
 先に挙げた金村のほか、建築家で映像にも造家の深い鈴木了二や、映像作家でありながら多彩なジャンルで活躍する萩原朔美、写真家で作品をインスタレーションでみせる小松浩子など、「美術(狭い定義での)」を「建築」と「写真/映像」という異なる分野の表現者たちの作品で挟撃することで、「もの派」の原理を炙り出すことを意図している。

 この際に同館が提示した見取り図が「ポスト工業化社会の美術」だ。
 戦後、その記憶や貧困から脱するべく推進されてきた高度経済成長も、1964年の東京オリンピックの実現などに見られるように、ひとつの区切りを迎えたこの時代の日本を、「ポスト工業化社会」とし、その幕開けにもっとも鋭敏に反応し、その感性を「モノ」として表明した「もの派」のアーティストたちと、バブル経済とその破綻を経て、「ポスト工業化社会」の黄昏ともいうべき現代の社会状況をやはり敏感にとらえて写真や映像によって表出しているととらえられる60年代生まれのアーティストたちをその見取り図の中で並置させる。

 彼らを「ポスト工業化社会」という同一の地平で見つめたとき、そこには、世界との関わり、その中で日本が選択し、歩んできた道、そこに噴出するさまざまな社会状況や様相という時間的、空間的な視座の中で、「もの派」が持っていた独自性と、同時に現代にもつらなる共通性とが浮かび上がり、ひとつの動向として“閉じて”いた彼らの活動とその意味が、大きな流れの中に再定義されていくのを感じられるだろう。

※出品作品:小松浩子《内方浸透現象》(2019年)、萩原朔美《KIRI》(1972年)、鈴木了二《断層建築I》記録映像・撮影:山崎博(1985年)、関根伸夫《空相-石を切る》(1970年/2011年)、野村仁《Tardiology》(1968-69/2019年)、榎倉康二《不確定物質》(1969年)、飯田昭二《Paper》(1969/2014年)、柏原えつとむ《これは本である》(1970年)、高松次郎《万物の砕き》(1972年)など

 社会もアートも、あらゆる側面でボーダレス化していく現代、多分にいまの美術研究の在り方への批判と自戒も込められた「DECODE(=読解)」は、「もの派」として世界的に評価、見直しが高まっているこのアート動向を脱構築して、「過去の活動」から活き活きとした「現代につらなる感性」として読み解く新しい可能性を示した。
 のみならず、アーカイヴへの取り組みを含めた21世紀の美術館の在り方をも拓く「DECODE」ともなって、今後のひとつの指標として歴史的に位置づけられるだろう。

 奇しくも2020年のオリンピック・パラリンピックの開催をひかえたこの時期、ここからさらに新たな「DECODE」のまなざしが生まれることを期待したい。

写真1:《映像版 位相―大地》展示風景から

写真2:「関根伸夫資料」展示風景から

写真3:「もの派」の映像(上)と作品(下)展示風景

写真4:小松浩子《内方浸透現象》2019年 展示風景から

写真5:金村修《Must Volunteer Kill》2019年(上)と関根伸夫《空相-石を切る》1970/2011年(下)展示風景から

写真6:「ポスト工業化社会の美術」展示風景から
 


【参考文献】
DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術 プレスリリース、埼玉県立近代美術館、2019年

執筆:坂本 裕子 
(2019年12月)


※会場風景撮影:Sakamoto 撮影は主催者側の許可を得ています。

【展覧会名】
DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術

【会期・会場】
2019年9月14日 ~11月4日  埼玉県立近代美術館
電話:048-824-0110
展覧会アーカイヴサイト http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=414

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