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企画展 よめないけど、いいね! ―根津美術館の書の名品―

開催中〜2022/08/21

根津美術館

東京都・港区

宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界 2022 展

開催中〜2022/08/28

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

ムーミンコミックス展

開催中〜2022/08/28

東京富士美術館

東京都・八王子市

うるわしき薔薇—ルドゥーテ『バラ図譜』を中心に

開催中〜2022/08/28

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

目黒区美術館開館35周年記念展 美術館はおもちゃ箱・道具箱

開催中〜2022/08/28

目黒区美術館

東京都・目黒区

貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展 中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―

開催中〜2022/08/28

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展「北斎 百鬼見参」

開催中〜2022/08/28

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

伝えたい情景〜木版画家・山岸主計と現代作家たち〜

開催中〜2022/08/28

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―

開催中〜2022/08/28

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展 「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」

開催中〜2022/08/31

日本科学未来館

東京都・江東区

KAGAYA 星空の世界展

開催中〜2022/08/31

そごう美術館

神奈川県・横浜市

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション 第1期(春夏季)

開催中〜2022/09/04

原美術館ARC

群馬県・渋川市

こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界

開催中〜2022/09/04

世田谷美術館

東京都・世田谷区

没後25年記念特別企画 斎藤清版画展 飛翔するノスタルジア

開催中〜2022/09/04

高崎市タワー美術館

群馬県・高崎市

とある美術館の夏休み

開催中〜2022/09/04

千葉市美術館

千葉県・千葉市

沖縄復帰50年記念 特別展 琉球

開催中〜2022/09/04

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

所蔵作品展 こどもとおとなの自由研究 工芸の〇△□✕展

開催中〜2022/09/04

国立工芸館

石川県・金沢市

市制90周年記念 工藤麻紀子展

開催中〜2022/09/11

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

特別展 河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─

開催中〜2022/09/11

京都国立博物館

京都府・京都市

夏休みチャレンジ アートのたねをみつけよう!

開催中〜2022/09/11

府中市美術館

東京都・府中市

ライアン・ガンダー われらの時代のサイン

開催中〜2022/09/19

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

リニューアルオープン2 茶の湯の陶磁器 〜“景色”を愛でる〜

開催中〜2022/09/19

三井記念美術館

東京都・中央区

どっちがどっち? いわいとしお×岩井俊雄 ―『100かいだてのいえ』とメディアアートの世界― 

開催中〜2022/09/19

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

日中国交正常化 50 周年記念 特別デジタル展「故宮の世界」

開催中〜2022/09/19

東京国立博物館

東京都・台東区

キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォール

開催中〜2022/09/25

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

【特別展】水のかたち ―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―

開催中〜2022/09/25

山種美術館

東京都・渋谷区

こどもと楽しむ永青文庫

開催中〜2022/09/25

永青文庫

東京都・文京区

開館25周年記念展 Ⅱ 並河靖之の雅な技 世界を魅了した明治の京都七宝

開催中〜2022/09/25

茨城県天心記念五浦美術館

茨城県・北茨城市

ガブリエル・シャネル展― Manifeste de mode

開催中〜2022/09/25

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

東北へのまなざし 1930-1945

開催中〜2022/09/25

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

開催中〜2022/09/26

国立新美術館

東京都・港区

ボストン美術館展 芸術×力

開催中〜2022/10/02

東京都美術館

東京都・台東区

「クマのプーさん」展

開催中〜2022/10/02

PLAY! MUSEUM

東京・立川市 

ちひろ・花に映るもの

開催中〜2022/10/02

ちひろ美術館・東京

東京都・練馬区

ちひろ美術館コレクション 江戸からいまへ 日本の絵本展

開催中〜2022/10/02

ちひろ美術館・東京

東京都・練馬区

フィン・ユールとデンマークの椅子

開催中〜2022/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

特別展アリス —へんてこりん、へんてこりんな世界ー

開催中〜2022/10/10

森アーツセンターギャラリー( 六本木ヒルズ森タワー 52F)

東京都・港区

名作展「涼風を語る 龍子の描いた風景画を中心に」

開催中〜2022/10/10

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

特別展「化石ハンター展 〜ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣〜」

開催中〜2022/10/10

国立科学博物館

東京都・台東区

アールヌーヴォーからアールデコに咲いたデザイン  オールドノリタケ×若林コレクション

2022/09/10〜2022/10/16

そごう美術館

神奈川県・横浜市

企画展  蔵出し蒔絵コレクション

2022/09/10〜2022/10/16

根津美術館

東京都・港区

MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ

開催中〜2022/10/16

東京都現代美術館

東京都・江東区

MOTコレクション コレクションを巻き戻す 2nd

開催中〜2022/10/16

東京都現代美術館

東京都・江東区

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅲ 古美術逍遙 ―東洋へのまなざし

2022/09/10〜2022/10/23

泉屋博古館東京

東京都・港区

新版画 進化系UKIYO-Eの美

2022/09/14〜2022/11/03

千葉市美術館

千葉県・千葉市

地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング

開催中〜2022/11/06

森美術館

東京都・港区

特集展示「初公開の収蔵品から」

開催中〜2022/11/06

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥

開催中〜2022/11/07

国立新美術館

東京都・港区

大蒔絵展 —漆と金の千年物語

2022/10/01〜2022/11/13

三井記念美術館

東京都・中央区

理想の書物 —英国19世紀挿絵本からプライヴェート・プレスの世界へ—

2022/09/17〜2022/11/13

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

美をつくし―大阪市立美術館コレクション

2022/09/14〜2022/11/13

サントリー美術館

東京都・港区

誕生50周年記念 ベルサイユのばら展ーベルばらは永遠にー

2022/09/17〜2022/11/20

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

江森天寿と石川梅子 夭折の画家と県内初の女流画家

2022/10/08〜2022/11/27

遠山記念館

埼玉県・川島町

開館25周年記念展 Ⅲ 再興院展の立役者 齋藤隆三

2022/10/08〜2022/11/27

茨城県天心記念五浦美術館

茨城県・北茨城市

企画展「市制90周年記念 私たちの絵 時代の自画像展」

2022/10/01〜2022/11/27

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる

2022/09/23〜2022/11/27

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展  将軍家の襖絵

2022/11/03〜2022/12/04

根津美術館

東京都・港区

特別展 京(みやこ)に生きる文化 茶の湯

2022/10/08〜2022/12/04

京都国立博物館

京都府・京都市

ポンペイ

2022/10/12〜2022/12/04

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳

2022/10/06〜2022/12/04

山種美術館

東京都・渋谷区

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

2022/09/23〜2022/12/04

府中市美術館

東京都・府中市

ジャンルレス工芸展

2022/09/16〜2022/12/04

国立工芸館

石川県・金沢市

辻 永 ふたつの顔を持つ画家 油彩と植物画

2022/10/25〜2022/12/11

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

永青文庫漆芸コレクション かがやきの名品

2022/10/08〜2022/12/11

永青文庫

東京都・文京区

加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―

2022/10/04〜2022/12/11

国立歴史民俗博物館

千葉県・佐倉市

花鳥風月 名画で見る日本の四季 琳派・浮世絵から御舟・一村まで

開催中〜2022/12/18

岡田美術館

神奈川・箱根町

生誕150年記念 板谷波山の陶芸

2022/11/03〜2022/12/18

泉屋博古館東京

東京都・港区

川内倫子展(タイトル未定)

2022/10/08〜2022/12/18

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

つながる琳派スピリット 神坂雪佳展

2022/10/29〜2022/12/18

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念 響きあう名宝 ―曜変・琳派のかがやき―

2022/10/01〜2022/12/18

静嘉堂文庫美術館

東京都・千代田区

かこさとしの世界 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!

2022/10/08〜2022/12/25

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

展覧会 岡本太郎 Okamoto Taro: A Retrospective

2022/10/18〜2022/12/28

東京都美術館

東京都・台東区

特別展 すべて未知の世界へ―GUTAI 分化と統合

2022/10/22〜2023/01/09

国立国際美術館

大阪府・大阪市

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション 第2期(秋冬季)

2022/09/10〜2023/01/09

原美術館ARC

群馬県・渋川市

鉄道と美術の150年

2022/10/08〜2023/01/09

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ポーラ開館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて

2022/09/17〜2023/01/15

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

おいしいボタニカル・アート ー食を彩る植物のものがたり

2022/11/05〜2023/01/15

SOMPO美術館

東京都・新宿区

ビーズ ―つなぐ かざる みせる  国立民族学博物館コレクション

2022/11/15〜2023/01/15

渋谷区立松濤美術館

東京都・渋谷区

マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち

2022/10/08〜2023/01/15

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

2022/10/08〜2023/01/22

国立西洋美術館

東京都・台東区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

2022/10/14〜2023/01/22

京都国立近代美術館

京都府・京都市

春日大社 若宮国宝展 ―祈りの王朝文化―

2022/12/10〜2023/01/22

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”

開催中〜2023/02/12

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー

2022/12/17〜2023/03/05

東京都庭園美術館

東京都・港区

六本木クロッシング2022展(仮題)

2022/12/01〜2023/03/26

森美術館

東京都・港区

特別展「動画クリエイター展」

2022/10/08〜2023/04/02

日本科学未来館

東京都・江東区

Exhibitions

京都・醍醐寺 ―真言密教の宇宙―

仏像、仏画など密教美術の宝庫。秀吉による醍醐の花見。
醍醐寺(だいごじ)が千年を超えて伝えてきた濃密な世界。
サントリー美術館で11月11日まで。九州国立博物館で明年1月29日から開催。

 美味しいことを意味する「醍醐味」は、仏教の最高真理をたとえた言葉だ。京都市街東南の山科盆地にある醍醐寺(だいごじ)は、笠取山の山麓一帯に国宝の五重塔、金堂、薬師堂などの伽藍が展開する。寺名の由来は、理源大師 聖宝(りげんだいし・しょうぼう)(832~909年)が笠取山を歩いてここに精舎を建てようと思案していると、出会った老翁(実は地主神)が泉水を飲んで「醍醐味」との言葉を発したこと、と伝わる(『醍醐寺縁起』より)。醍醐寺は874年(貞観16)、空海(弘法大師)(774~835年)の直系の弟子である聖宝により開創された真言宗の名刹だ。歴史の表舞台で重要な役割を担ってきた寺であり、平安初期以来の仏像や仏画など密教美術を中心とする名宝を数多所蔵することで知られる。

 2016年、中国の上海博物館(上海)および陝西歴史博物館(西安)で醍醐寺の至宝を紹介する展覧会が開催され、80万人を超える人々が来場した。本展は好評を博したこの中国展を記念するものだ。東京のサントリー美術館(11月11日まで)と福岡の九州国立博物館(2019年1月29日~3月24日)を巡回(※出品作品の一部は東京展と福岡展で異なる)。国宝と重要文化財が大半を占める約120件(※東京・福岡の両会場での出品件数)が出品。サントリー美術館での展覧会を廻ってみた。

 ●展覧会構成 本展の構成は、以下の四つの章からなる。
 第一章 聖宝、醍醐寺を開く/第二章 真言密教を学び、修する/第三章 法脈を伝える―権力との結びつき―/第四章 義演、醍醐寺を再びおこす

 ■光り輝く如意輪観音坐像
 展覧会場で最初に、暗闇のなか金色に輝く仏像に出合った。平安時代に制作された重要文化財《如意輪観音坐像(にょいりんかんのんざぞう)》(木造 漆箔、平安時代 10世紀、醍醐寺蔵)(※作品は全て醍醐寺蔵。以下、略)である。像高50cm弱で大きなものではないが、右に頭を傾け、6本の手の一つを頬に当て、右膝を立てて坐す姿の、形容しがたい魅力に強く心を摑まれた。如意輪観音とは、如意宝珠と輪宝をもつ変化観音のこと。一般衆生の願望を満たし、苦を救う。本像で見ると、三本の右手のうち胸に掲げた手が支えるのが、望むもの全てを生み出すという如意宝珠であり、また三本の左手の奥側にある手の人差し指にのる丸い輪が、どこにでも現れるといわれる法輪だ。如意輪観音は、初めは二臂の像だったが、平安時代以降は六臂が一般的となる。本像は優美な表情とともに、六本の腕や坐法が生み出すリズミカルで絶妙なバランスが見事である。

 聖宝は笠取山に草庵を結んだ際、准胝(じゅんてい)と如意輪の両観音像を最初に安置し、笠取山守護神の清瀧権現の本地仏とした。清瀧権現は空海が中国から日本に戻る際、ともに日本に渡り笠取山に来たとされる。よって如意輪観音は醍醐寺で特別に信仰されてきた。本像は最初の像ではないが、その後に清瀧権現の本地仏とされていたと伝わる。本像は大阪・観心寺の国宝の像とともに日本を代表する如意輪観音坐像である。

 ■平安彫刻の白眉、薬師如来坐像を仰ぎみる
 サントリー美術館の吹き抜けホールでは、国宝《薬師如来および両脇侍像》(ともに、木造 漆箔、平安時代 10世紀)にまみえることができる。平安彫刻の白眉とされる像だ。薬壺を手にした中尊の薬師如来坐像は、台座を入れると3m超の高さ。その威容をすぐ近くで仰ぎみる。切れ長の目、大きな鼻、厚い唇の顔、そしてふくよかな身体から、威厳と同時にやわらぎが感じられた。光背には六躯の小さな薬師仏を付す。日光菩薩立像と月光菩薩立像の両脇侍像は、中尊に比べて小さいが均整がとれている。三尊とも量感や衣文表現などに奈良彫刻から平安の和様に移る過渡期の特徴をもっている。

 醍醐寺は、主として、笠取山山頂に広がる上醍醐(かみだいご)と裾野に広がる下醍醐(しもだいご)から成り、それぞれに多数の堂宇が立つが、本像は上醍醐薬師堂の本尊であった。薬師堂は、醍醐寺に帰依した醍醐天皇(在位:897~930年)の御願により、907年に聖宝が造営を開始し、聖宝没後は弟子の観賢(かんげん)(854~925年)が完成させた。なお醍醐寺は醍醐・朱雀・村上天皇ら歴代天皇の帰依を受け、伽藍を次々に造営していった。 

■多彩な不動明王像
 不動明王(ふどうみょうおう)は多くの人にとって親しみ深いものだ。醍醐寺は多彩で優れた不動明王像の彫刻と絵画を所蔵する。不動明王とは動かざる尊者の意で、密教の教主である大日如来の変化身だ。大日如来が、教化が難しく叱らなければわからない衆生を救うため、忿怒の姿をとって仮に現れたもの(教令輪身(きょうりょうりんしん))とされ、五大明王、八大明王の中心。通常は一面二臂で、右手に降魔の剣を、左手に羂索をもつ。

 平安時代の像としては、重要文化財《五大明王像》(木造 彩色、平安時代 10世紀)が出展。不動明王を中央にして、降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、大威徳明王(だいいとくみょうおう)、金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)の五大明王が、朱色の火炎光背を背にまとって居並ぶさまは壮観だ。五大明王とも異様に大きな目、つり上がった眉、鼻を開いての忿怒の形相だ。豊かな体つきの不動明王はでんと静止する。一方、沢山の顔と腕をもつ多面多臂の四明王は、細長い手足で複雑な動勢表現を行う。大威徳明王が乗る水牛が愛らしい。水牛の立ち姿は珍しいという。

 重要文化財《不動明王坐像》(快慶作、木造 彩色・截金、鎌倉時代 1203年(建仁3))は、鎌倉時代の代表的な仏師である快慶(?~1227年以前)により制作された。両目を見開き、口は上の歯列で下唇を噛み、不動明王の激しい怒りが切々と伝わる。火炎光背も迫る。みなぎる活力と凛とした気品が漂う不動明王だ。醍醐寺には他にも快慶作の像があり、記録にも残る。このことは醍醐寺の鎌倉初期の活発な活動の証左である。

 本像の隣に、紙に巧みな墨の線で描かれた白描図(はくびょうず)が展示されている。重要文化財《不動明王図像》(長賀筆、紙本墨画、鎌倉時代 13世紀)である。快慶作の不動明王坐像の彫刻の姿が酷似している。この白描図像は、京都の神護寺に伝わる国宝の高雄曼荼羅(平安時代 9世紀)に描かれた不動明王を原本とする。さらに高雄曼荼羅は、空海が唐から日本に請来した両界曼荼羅の現存最古の転写本だ。ここに先の快慶作の像に至る道のりや醍醐寺における研究の積み重ねを知ることができる。醍醐寺は仏画や仏像の基準、つまり設計図である豊富な白描図のコレクションをもち、本展で多数紹介される。

 一方、鎌倉時代初期に描かれた国宝《五大尊像》(絹本著色、鎌倉時代 12~13世紀)(※サントリー美術館では10/15までの展示)は、五幅対の彩色画である。五大尊は五大明王のことだ。縦約1.8m、横約1.3mの大画面一杯に、それぞれ不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王が、火炎光背とともに絶妙な筆遣いで描かれる。華やかな彩色と躍動感あふれる画面、また緻密な細部にも目を奪われる。

★真言密教とは/密教美術とは
 醍醐寺は真言宗醍醐寺派の総本山である。まず真言宗とはどういうものか。真言宗の宗祖である空海は、平安時代初期の804年に最澄(767~822年)とともに唐へ渡り、インドと中国で組織的に発展した当時の最新の仏教である密教を請来した。最澄は法華、戒律、禅、密教の四宗兼学をもって天台宗を開宗。一方、空海は中国で恵果から学んだ密教を日本的に再構成し、真言宗を開いた。天台宗は台密、真言宗は東密(東寺の密教の意)といわれ、日本の密教とは両宗派のことだ。なお、空海は816年に高野山金剛峰寺を建立し、823年には京都の東寺を賜った。

 それでは密教とは何か。それは、言葉や文字で説き示され広く民衆に開かれた通常の仏教(顕教)に対して、秘密の教義と儀礼により伝える秘密仏教を意味する。顕教では世界の本質を「空」ととらえるのに対し、密教では精神や存在の在り様を肯定するとされ、現世的である。密教の特徴は、一切の根本仏を大日如来とし、願いを込めて祈ることで直接願いを叶えるという現世利益の思想であり、実践としての加持祈禱や、修法(すほう)という儀式を重んじることだ。修法では加持祈禱の対象として諸尊の像や図を不可欠とし、法具も必要としたため、密教は造形美術と深く結びついた。また忿怒の形相で多面多臂の明王や、女性尊などの新しい仏を独自に考案したこともそれまでの仏教と異なる点である。

 醍醐寺は上述のように、874年に空海の孫弟子に当たる聖宝により開創された。空海の活動によって真言密教が根付いてきた頃である。醍醐寺は特に実践を重んじ、その効験により多くの天皇や貴族の心をとらえ、帰依を受けて発展した。そして真言密教の主要な流派の一つの小野流の拠点となる。展覧会場では、仏像や仏画、両界曼荼羅図、山水屛風(せんずいびょうぶ)や法具などの修法に使うための有機的なつながりをもつ名品の数々、および像画研究のための白描図などがめくるめく展開。密教美術の世界観を感受できる。

 ■「醍醐の花見」/醍醐寺の再興
 醍醐寺は常に時の権力者と深い関係を築いた。醍醐寺座主は、南北朝時代は後醍醐天皇(在位:1318~39)(南朝)に、そして政権を握った足利尊氏(1305~58年)(北朝)から重用され、以後、足利幕府の強い絆により栄えた。しかし応仁の乱が起こり、五重塔のほかの伽藍は灰燼に帰し、荒廃してしまう。そこで精力的に伽藍の復興を行い、醍醐寺を再興させたのが、16世紀末に第80代座主となった義演(ぎえん)(1558~1626年)だった。豊臣秀吉(1537~98年)も義演を厚く保護した。秀吉というと、「醍醐の花見」が広く知られる。醍醐寺は平安時代から桜の名所だったが、秀吉は最晩年の1598年(慶長3)春、700本もの桜を参道に移植し、盛大な花見を催した。1300人の女房衆が参加したという。これは醍醐寺の当時の隆盛を示す宴でもあった。

 会場では、再興された醍醐寺の当時の華やぎを象徴する作品も多数みられる。重要文化財《醍醐花見短冊》(紙本(彩牋)墨書、安土桃山時代 1598年(慶長3))(※場面替あり)は、醍醐の花見の宴に参加した人々が詠んだ和歌を短冊に書き写し寄進したもの。煌びやかな131葉の短冊だ。秀吉の和歌を書写した二葉を含む。俵屋宗達(生没年不詳)による重要文化財《扇面散図屛風》(俵屋宗達筆、二曲一双、紙本金地著色、江戸時代 17世紀)(※サントリー美術館では10/15までの展示)は、金地屛風に11の扇が舞う。宗達は扇面に「保元物語絵」などの古画から巧みな変容を行ったおおらかな境地の絵を描き、名作屛風を誕生させた。また、重要文化財《三宝院障壁画 柳草花図(表書院上段之間)》(北側四面、紙本著色 襖貼付、安土桃山~江戸時代 16~17世紀)(※サントリー美術館のみ展示)は、画面全体に風にそよぐ柳を配し、光のきらめきまでを描写した逸品である。

 会場を巡り、醍醐寺という名刹のもつ濃密な世界を実感した。
 

【参考文献】
1)サントリー美術館・九州国立博物館・日本経済新聞社 編集:『京都・醍醐寺―真言密教の宇宙―』(展覧会図録)、日本経済新聞社 発行、2018年。

執筆:細川 いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2018年10月)


※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。

写真1 サントリー美術館の会場風景(以下同様)。
重要文化財《如意輪観音坐像》木造 漆箔、平安時代 10世紀、醍醐寺蔵。
(※本作品は全期間展示)
(撮影:I.HOSOKAWA)


写真2 会場風景。
国宝《薬師如来および両脇侍像》木造 漆箔、平安時代 10世紀、醍醐寺蔵。
(※本作品は全期間展示)
(撮影:I.HOSOKAWA)


写真3 会場風景。
重要文化財《五大明王像》木造 彩色、平安時代 10世紀、醍醐寺蔵。
(※本作品は全期間展示)
(撮影:I.HOSOKAWA)


写真4 会場風景。
左は、重要文化財《不動明王坐像》快慶作、木造 彩色・截金、鎌倉時代 1203(建仁3)年、醍醐寺蔵。
右は、重要文化財《不動明王図像》長賀筆、紙本墨画、鎌倉時代 13世紀、醍醐寺蔵。
(※ともに全期間展示)
(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会名】
京都・醍醐寺 ―真言密教の宇宙―
Daigoji Temple: 
A Shingon Esoteric Buddhist Universe in Kyoto
【会期・会場】
開催中 ~ 11月11日 サントリー美術館
電話:03-3479-8600
http://suntory.jp/SMA/
2019年1月29日 ~ 3月24日 九州国立博物館
電話:050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
http://www.kyuhaku.jp/
【展覧会公式HP】
http://daigoji.exhn.jp


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