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大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション

開催中〜2026/02/22

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋)

東京都・中央区

企画展  《北斎でひもとく!浮世絵版画大百科》

開催中〜2026/02/23

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

リサ・ラーソンの作り方 展

開催中〜2026/02/23

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

artisansと輪島塗

開催中〜2026/02/23

そごう美術館

神奈川県・横浜市

マチュピチュ展

開催中〜2026/03/01

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

移転開館5周年記念 令和6年能登半島地震復興祈念 工芸と天気展 −石川県ゆかりの作家を中心に−

開催中〜2026/03/01

国立工芸館

石川県・金沢市

小出楢重 新しき油絵

開催中〜2026/03/01

府中市美術館

東京都・府中市

開館30周年記念 ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン所蔵 ロックフェラー・コレクション花鳥版画展 北斎、広重を中心に

開催中〜2026/03/01

千葉市美術館

千葉県・千葉市

ガチャガチャ展in六本木

開催中〜2026/03/02

六本木ミュージアム

東京都・港区

デザインの先生

開催中〜2026/03/08

21_21 Design Sight

東京都・港区

名作展 源流へのまなざし モティーフで見る川端龍子

開催中〜2026/03/08

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

開館30周年記念「ドナルド・キーン展 Seeds in the Heart」

開催中〜2026/03/08

世田谷文学館

東京都・世田谷区

ねり美・ふる文コラボ企画       もっと 浮世絵で行こ! 幕末明治の暮らし、娯楽、事件…

開催中〜2026/03/08

練馬区立石神井公園ふるさと文化館 2階企画展示室

東京都・練馬区

企画展「知覚の大霊廟をめざして――三上晴子の インタラクティヴ・インスタレーション」

開催中〜2026/03/08

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

ガウディ没後100 年公式事業NAKED meets ガウディ展

開催中〜2026/03/15

寺田倉庫G1

東京都・品川区

Artists in FAS 2025

開催中〜2026/03/15

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

雛の世界

開催中〜2026/03/15

遠山記念館

埼玉県比企郡川島町

いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

横浜美術館コレクション展「子どもも、おとなも! つくるわたしが、つくられる」

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

出光美術館所蔵 茶道具名品展

開催中〜2026/03/22

大倉集古館

東京都・港区

たたかう仏像

開催中〜2026/03/22

静嘉堂文庫美術館(東京・丸の内)

東京都・千代田区

没後40年 荻須高徳リトグラフ展 ―稲沢市荻須記念美術館コレクション―

開催中〜2026/03/22

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

冬、そして春へー「華やぎ」と「侘(わ)び」の調(しらべ)  圏外の眼-伊奈英次の写真世界

開催中〜2026/03/22

荏原 畠山美術館 

東京都・港区

向井山朋子 Act of Fire

開催中〜2026/03/22

アーツ前橋 ギャラリー

群馬県・前橋市

大西茂 写真と絵画

開催中〜2026/03/29

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

劇場アニメ ルックバック展 —押山清高 線の感情

開催中〜2026/03/29

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠

開催中〜2026/03/29

森美術館

東京都・港区

アジアの仏たち―永青文庫の東洋彫刻コレクション―

開催中〜2026/03/29

永青文庫

東京都・文京区

Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展「湿地」

開催中〜2026/03/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

北斎を魅了した天舞う瑞獣―龍・鳳凰―

開催中〜2026/03/29

北斎館

長野県・小布施町

VOCA展2026 現代美術の展望―新しい平面の作家たち

2026/03/14〜2026/03/29

上野の森美術館

東京都・台東区

北條正庸 風の旅

開催中〜2026/03/29

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

FACE展2026/絵画のゆくえ2026

2026/03/07〜2026/03/29

SOMPO美術館

東京都・新宿区

高木由利子 写真展 Threads of Beauty 1995‐2025 ― 時をまとい、風をまとう。

2026/03/10〜2026/03/29

Bunkamuraザ・ミュージアム

東京都・渋谷区

放送30周年記念 TVアニメ「名探偵コナン展」

2026/02/20〜2026/03/29

東京ドームシティ プリズムホール

東京都・文京区

英姿颯爽  根津美術館の武器・武具

開催中〜2026/03/29

根津美術館

東京都・港区

森重昭と被爆米兵調査-戦争が終わるということ

開催中〜2026/03/31

中央大学 法と正義の資料館

東京都・八王子市

ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト/中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道

開催中〜2026/04/05

泉屋博古館東京

東京都・港区

開館20周年特別展 生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語

2026/02/21〜2026/04/05

三井記念美術館

東京都・中央区

藤田嗣治 絵画と写真

開催中〜2026/04/12

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

開催中〜2026/04/12

東京都美術館

東京都・台東区

ミュージアム コレクション特別篇 開館40周年記念 世田美のあしあと―暮らしと美術のあいだで

2026/02/21〜2026/04/12

世田谷美術館

東京都・世田谷区

ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術

開催中〜2026/05/06

東京都現代美術館

東京都・江東区

飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき

2026/02/28〜2026/05/06

水戸芸術館 現代美術ギャラリー

茨城県・水戸市

特集展示「富士山 花と雲と湖と」

開催中〜2026/05/10

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪

2026/03/14〜2026/05/10

府中市美術館

東京都・府中市

生誕100周年記念 安野光雅展

2026/03/04〜2026/05/10

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

【特別展】 花・flower・華 2026 -横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅-

2026/02/28〜2026/05/10

山種美術館

東京都・渋谷区

コレクションの舞台裏 ―光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み

開催中〜2026/05/10

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート

開催中〜2026/05/11

国立新美術館

東京都・港区

画布(キャンバス)に描くまなざし -ホキ美術館風景画展-

開催中〜2026/05/13

ホキ美術館

千葉県・千葉市

生誕100年記念「Re:辻邦生-いま、ふたたび作家に出会う」

2026/03/14〜2026/05/16

霞会館記念学習院ミュージアム

東京都・豊島区

トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで

2026/02/19〜2026/05/24

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

モネ没後100年 クロード・モネ— 風景への問いかけ

開催中〜2026/05/24

アーティゾン美術館

東京都・中央区

SPRING わきあがる鼓動

開催中〜2026/05/31

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」

2026/02/25〜2026/05/31

松岡美術館

東京都・港区

W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代

2026/03/17〜2026/06/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫 —その魂の召喚—

2026/03/31〜2026/06/07

茅ヶ崎市美術館

神奈川県・茅ヶ崎市

超危険生物展 科学で挑む生き物の本気

2026/03/14〜2026/06/14

国立科学博物館

東京都・台東区

軽井沢安東美術館 生誕140周年 藤田嗣治展

開催中〜2026/07/05

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

クヴェレ美術館 開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁

開催中〜2026/07/05

クヴェレ美術館

茨城県・水戸市

ルネ・ラリックにみる 日本とフランスの“かわいい”文化交流

2026/03/20〜2026/12/06

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

建築:立原道造 模型:文化学園大学種田ゼミ《模型 ヒアシンスハウス》2025年 ミクストメディア 縮尺1:20 文化学園大学種田ゼミ。

Exhibitions

美しいユートピア
理想の地を夢みた近代日本の群像

20世紀日本の人々が夢みたユートピア

 ユニークな視座による興味深い内容の展覧会が、パナソニック汐留美術館で開催中だ。「ユートピア」とは、16世紀英国の思想家トマス・モアの小説の題名。モアは想像上の理想的な社会を描いた。19世紀後半に活躍した英国の工芸家で社会思想家のウィリアム・モリスは、22世紀の英国を舞台とした著書『ユートピア便り』で、暮らしと芸術の総合を唱え、理想郷を夢想した。このモリスの思想は20世紀の近代日本に紹介された。本展では、20世紀の日本各地で美術、工芸、建築などの分野をつなぐ理想の共同体づくりを模索した人々の多様な活動を紹介する。画家、建築家、詩人ら幅広いジャンルの30余人が登場。彼らの「ユートピア」とは? 企画に携った3館を巡回。

パナソニック汐留美術館へ向かう通路にて。
パナソニック汐留美術館へ向かう通路にて。

展覧会構成/会場構成

 まず本展の会場構成に新鮮な衝撃を受けた。通常は順々に展示を辿ることが多いが、今回は入口からそれぞれのスペースに、つまりいくつかの「ユートピアの世界」に入る、という仕掛けだ。GROUPによる会場構成である。いつもより広く感じる会場を回遊してみた。
 
 本展は以下の5章構成。テーマごとに貴重な作品や資料が展示され、濃密な内容である。
第1章 ユートピアへの憧れ 1849-1929
第2章 たずね求める 周縁、国外でのフィールドワーク 1917-1943
第3章 夢みる 都市と郊外のコミュニティ 1926-1949
第4章 試みる それぞれの郷土で 1919-1936
第5章 ふりかえる/よみがえる ユートピアのゆくえ 1958-1993

全体はどのような展示なのか

 各章のスペースで紹介される作品や活動は、「第1章 ユートピアへの憧れ」では、ジョン・ラスキンやウィリアム・モリスの著書、西洋美術の動向を日本に紹介した文芸誌『白樺』、その同人であった柳宗悦の我孫子の芸術家コロニーでの交流、彼が率いた民藝運動など。
 
 「第2章 たずね求める 周縁、国外でのフィールドワーク」では、建築家の今(こん)和次郎・純三兄弟の民家調査、多くの人脈をつないだ経済人・渋沢敬三による日本民族学博物館構想(実現せず)、また芸術家・社会運動家の山本鼎による台湾の工芸品調査など。
 
 そして「第3章 夢みる 都市と郊外のコミュニティ」では、1920年代後半に建築家の蔵田周忠がつくった新興の郊外での住宅コミュニティ、建築家で詩人の立原道造が信濃追分で描いた構想など。また、戦争へ向かう情勢のなかで画家たちが集った池袋モンパルナス、その交友に始まる新人画会の理想を、松本竣介らの作品と共に紹介する。

パナソニック汐留美術館の会場風景(以下同様)。左から、寺田政明《谷中真島町(モデル坂付近)》1932年 油彩・キャンバス 板橋区立美術館。松本竣介《運河風景》1943年 油彩・キャンバス 石橋財団アーティゾン美術館。松本竣介《ニコライ堂の横の道》1941年頃 油彩・板 公益財団法人大川美術館。松本竣介《立てる像下絵》1942年 鉛筆・紙 神奈川県立近代美術館。
パナソニック汐留美術館の会場風景(以下同様)。左から、寺田政明《谷中真島町(モデル坂付近)》1932年 油彩・キャンバス 板橋区立美術館。松本竣介《運河風景》1943年 油彩・キャンバス 石橋財団アーティゾン美術館。松本竣介《ニコライ堂の横の道》1941年頃 油彩・板 公益財団法人大川美術館。松本竣介《立てる像下絵》1942年 鉛筆・紙 神奈川県立近代美術館。

 「第4章 試みる それぞれの郷土で」では、山本鼎の長野県神川村での農民美術運動、宮沢賢治の岩手県花巻市での私塾「羅須地人協会」などでの活動、竹久夢二による群馬県榛名山湖畔の美術研究所建設構想、また建築家ブルーノ・タウトが群馬県高崎市でデザイン指導した地場産業と融合した工芸品などを紹介。ここで宮沢賢治が描いた絵画も見られる。軽快でユーモラス。電信柱が歩く絵も! 

4点とも宮沢賢治の作品。左上は、《日輪と山》制作年不詳 水彩・紙 林風舎(※本作の実物展示:1/15~2/2)。右上は、《無題(ケミカルガーデン)》制作年不詳 水彩・紙 林風舎(※実物展示:2/2~2/17)。左下は、《無題(赤玉)》制作年不詳 水彩・紙 林風舎(※実物展示:2/19~3/3)。右下は、《無題(月夜のでんしんばしら)》制作年不詳 宮沢清六による写真彩色 林風舎(※実物展示:3/5~3/17)(★実物展示期間以外は複製展示)。
4点とも宮沢賢治の作品。左上は、《日輪と山》制作年不詳 水彩・紙 林風舎(※本作の実物展示:1/15~2/2)。右上は、《無題(ケミカルガーデン)》制作年不詳 水彩・紙 林風舎(※実物展示:2/2~2/17)。左下は、《無題(赤玉)》制作年不詳 水彩・紙 林風舎(※実物展示:2/19~3/3)。右下は、《無題(月夜のでんしんばしら)》制作年不詳 宮沢清六による写真彩色 林風舎(※実物展示:3/5~3/17)(★実物展示期間以外は複製展示)。

 最後の「第5章 ふりかえる/よみがえる ユートピアのゆくえ」では、実業家・井上房一郎による群馬県高崎市での芸術振興のための幅広い活動などが紹介される。井上は建築家のブルーノ・タウト、アントニン・レーモンド、磯崎新らと深い交流をもった。

立原道造のユートピア

 筆者が本展で特に惹かれたのが、詩人であり建築家であった立原道造(1914~1939)のコーナーだ。東京帝国大学建築学科で優秀な成績を収めた立原は、大学入学時の1934年から4年間、毎夏秋を信濃追分で過ごした。卒業制作は「浅間山麓に位する芸術家コロニイの建築群」だった。本論考も出品されている。信濃追分は、彼の詩作の源泉であり、文学の師である堀辰雄や室生犀星と共に過ごした地であり、卒業制作で芸術家コロニーを考案する場所ともなった。立原の「夢みたものは…」と題する詩は、「それらはすべてここに ある と」で終わる。愛情がにじむ水彩画《浅間山麓の小学校》、樹木と共に在る清々しい建築群の計画案のペン画《Lodge and Cottages》など、立原の手になる作品に見入った。
 
 また、立原が浦和の別所沼の畔に自身のために設計した5坪の小さくも詩情あふれる《ヒアシンスハウス》の新作模型にも目を奪われた。これは計画だけで終わったのだが、2004年に有志により建設された。模型をぐるりと回り、見事な設計に驚嘆した。十字のマークも愛らしい。立原がデザインした机と椅子の貴重な実作も出品。友人の結婚祝いに送ったものだ。立原は結核のため24歳で早世した。

左から、立原道造《御岳の山並み》1931年頃 パステル・紙 軽井沢高原文庫。立原道造《Lodge and Cottages》1937年 黒インク・紙 軽井沢高原文庫。
左から、立原道造《御岳の山並み》1931年頃 パステル・紙 軽井沢高原文庫。立原道造《Lodge and Cottages》1937年 黒インク・紙 軽井沢高原文庫。
建築:立原道造 模型:文化学園大学種田ゼミ《模型 ヒアシンスハウス》2025年 ミクストメディア 縮尺1:20 文化学園大学種田ゼミ。
建築:立原道造 模型:文化学園大学種田ゼミ《模型 ヒアシンスハウス》2025年 ミクストメディア 縮尺1:20 文化学園大学種田ゼミ。
立原道造《猪野謙二に贈った机と椅子》1938年頃 木 個人蔵。
立原道造《猪野謙二に贈った机と椅子》1938年頃 木 個人蔵。

井上房一郎のユートピア:タウト、レーモンド、磯崎新

 加えて筆者は本展で、群馬県高崎市の実業家・井上房一郎(1898~1993)が行った芸術振興のための精力的な活動に圧倒された。井上は、1934年に高崎を訪れたドイツの建築家ブルーノ・タウト(1880~1938)の世話をし、タウトの協力を得て地場産業としての新しい工芸品製作を推進し、銀座のミラテスで販売した。戦後は、現在の群馬交響楽団となるオーケストラを結成。そのためのホールの設計を、交流があったチェコスロバキアの建築家アントニン・レーモンド(1888~1976)に依頼し、1961年に群馬音楽センターが竣工。この独創的な折板構造の音楽ホールは、レーモンドの代表作となった。レーモンドはホワイエのフレスコと緞帳のデザインも手がけた。また井上は、気鋭の建築家・磯崎新(1931~2022)を群馬県立近代美術館の設計者として推薦した。1974年に竣工したこの建築は、フレームとしての立方体を並べた構成で、磯崎の美術館建築の出世作となった。磯崎は高崎哲学堂も構想(1986年)したが、井上の逝去により計画のみに終わった。
 
 なお、筆者は会場で磯崎による高崎哲学堂計画案の図面と模型の映像を見て、磯崎設計の水戸芸術館(1886~竣工1990)の有名な水戸タワーの原型がここに在ったことを知った。正四面体が重なる形状、スケッチにある二重螺旋の思想も共通する。そのことを示す磯崎の証言を文献からも知った(文献3。291頁)。(※宜しければ既出拙稿もご覧ください。2025年12月30日付「磯崎新:群島としての建築」展

手前は、原画:アントニン・レーモンド 制作:石澤久夫 群馬音楽センター緞帳下絵《ポエム》1960年頃 鉛筆・水彩・紙・パネル 高崎財団。
手前は、原画:アントニン・レーモンド 制作:石澤久夫 群馬音楽センター緞帳下絵《ポエム》1960年頃 鉛筆・水彩・紙・パネル 高崎財団。
右は、磯崎新 還元シリーズMUSEUM-Ⅰ(群馬県立近代美術館)1983年 シルクスクリーン・紙 磯崎新アトリエ
右は、磯崎新 還元シリーズMUSEUM-Ⅰ(群馬県立近代美術館)1983年 シルクスクリーン・紙 磯崎新アトリエ
磯崎新設計《高崎哲学堂計画案》 1986年(編集2025年) 映像 磯崎新アトリエ
磯崎新設計《高崎哲学堂計画案》 1986年(編集2025年) 映像 磯崎新アトリエ

ユートピアの豊かさ

 ユートピアUtopiaとは、モアによるギリシャ語からの造語で、「どこにもない場所」の意。日本語では無何有郷(むかうのさと)とも表記した。モリス著『ユートピア便り』(1892)の原題は、“News from Nowhere”。しかし本展で紹介された人々の現実の活動のなんと豊かなことか。本展は、激動の歴史背景のもとで、暮らしと芸術の総合を目指す過去の事例を紹介するのみならず、複雑な時代である今を生きる我々に、どういう未来を創りたいのか、を問うてもいる。
 
【参考文献】
1)住田常生、大村理恵子、山際佳子 編著:『美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像』パナソニック汐留美術館、上田市立美術館、高崎市美術館 発行、2026年
2)ウィリアム・モリス 作、川端康雄 訳:『ユートピアだより』岩波書店(岩波文庫)、2013年
3)磯崎新、日埜直彦:『磯崎新インタヴューズ』LIXIL出版、2014年
 
執筆・撮影:細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2026年2月)
 
※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

【展覧会名】
美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像
Beautiful Utopia:Visions of an Ideal World in Modern Japan
 
【会期・会場】
2026年1月15日(木)~3月22日(日) パナソニック汐留美術館(東京都港区)
※詳細は以下でご確認ください。https://panasonic.co.jp/ew/museum/
2026年4月11日(土)~6月7日(日) 上田市立美術館(長野県上田市)
2026年7月18日(土)~9月23日(水・祝) 高崎市美術館(群馬県高崎市)※予定