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ガウディ没後100 年公式事業NAKED meets ガウディ展

開催中〜2026/03/15

寺田倉庫G1

東京都・品川区

Artists in FAS 2025

開催中〜2026/03/15

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

雛の世界

開催中〜2026/03/15

遠山記念館

埼玉県比企郡川島町

いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

横浜美術館コレクション展「子どもも、おとなも! つくるわたしが、つくられる」

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

出光美術館所蔵 茶道具名品展

開催中〜2026/03/22

大倉集古館

東京都・港区

たたかう仏像

開催中〜2026/03/22

静嘉堂文庫美術館(東京・丸の内)

東京都・千代田区

没後40年 荻須高徳リトグラフ展 ―稲沢市荻須記念美術館コレクション―

開催中〜2026/03/22

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

冬、そして春へー「華やぎ」と「侘(わ)び」の調(しらべ)  圏外の眼-伊奈英次の写真世界

開催中〜2026/03/22

荏原 畠山美術館 

東京都・港区

向井山朋子 Act of Fire

開催中〜2026/03/22

アーツ前橋 ギャラリー

群馬県・前橋市

大西茂 写真と絵画

開催中〜2026/03/29

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

劇場アニメ ルックバック展 —押山清高 線の感情

開催中〜2026/03/29

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠

開催中〜2026/03/29

森美術館

東京都・港区

アジアの仏たち―永青文庫の東洋彫刻コレクション―

開催中〜2026/03/29

永青文庫

東京都・文京区

Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展「湿地」

開催中〜2026/03/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

北斎を魅了した天舞う瑞獣―龍・鳳凰―

開催中〜2026/03/29

北斎館

長野県・小布施町

VOCA展2026 現代美術の展望―新しい平面の作家たち

2026/03/14〜2026/03/29

上野の森美術館

東京都・台東区

北條正庸 風の旅

開催中〜2026/03/29

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

FACE展2026/絵画のゆくえ2026

開催中〜2026/03/29

SOMPO美術館

東京都・新宿区

高木由利子 写真展 Threads of Beauty 1995‐2025 ― 時をまとい、風をまとう。

開催中〜2026/03/29

Bunkamuraザ・ミュージアム

東京都・渋谷区

放送30周年記念 TVアニメ「名探偵コナン展」

開催中〜2026/03/29

東京ドームシティ プリズムホール

東京都・文京区

英姿颯爽  根津美術館の武器・武具

開催中〜2026/03/29

根津美術館

東京都・港区

森重昭と被爆米兵調査-戦争が終わるということ

開催中〜2026/03/31

中央大学 法と正義の資料館

東京都・八王子市

ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト/中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道

開催中〜2026/04/05

泉屋博古館東京

東京都・港区

開館20周年特別展 生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語

開催中〜2026/04/05

三井記念美術館

東京都・中央区

藤田嗣治 絵画と写真

開催中〜2026/04/12

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

開催中〜2026/04/12

東京都美術館

東京都・台東区

ミュージアム コレクション特別篇 開館40周年記念 世田美のあしあと―暮らしと美術のあいだで

開催中〜2026/04/12

世田谷美術館

東京都・世田谷区

ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術

開催中〜2026/05/06

東京都現代美術館

東京都・江東区

飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき

開催中〜2026/05/06

水戸芸術館 現代美術ギャラリー

茨城県・水戸市

特集展示「富士山 花と雲と湖と」

開催中〜2026/05/10

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪

2026/03/14〜2026/05/10

府中市美術館

東京都・府中市

生誕100周年記念 安野光雅展

開催中〜2026/05/10

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

【特別展】 花・flower・華 2026 -横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅-

開催中〜2026/05/10

山種美術館

東京都・渋谷区

コレクションの舞台裏 ―光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み

開催中〜2026/05/10

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート

開催中〜2026/05/11

国立新美術館

東京都・港区

画布(キャンバス)に描くまなざし -ホキ美術館風景画展-

開催中〜2026/05/13

ホキ美術館

千葉県・千葉市

生誕100年記念「Re:辻邦生-いま、ふたたび作家に出会う」

2026/03/14〜2026/05/16

霞会館記念学習院ミュージアム

東京都・豊島区

トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで

開催中〜2026/05/24

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

モネ没後100年 クロード・モネ— 風景への問いかけ

開催中〜2026/05/24

アーティゾン美術館

東京都・中央区

SPRING わきあがる鼓動

開催中〜2026/05/31

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」

開催中〜2026/05/31

松岡美術館

東京都・港区

W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代

2026/03/17〜2026/06/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫 —その魂の召喚—

2026/03/31〜2026/06/07

茅ヶ崎市美術館

神奈川県・茅ヶ崎市

超危険生物展 科学で挑む生き物の本気

2026/03/14〜2026/06/14

国立科学博物館

東京都・台東区

うたう仲條 おどる仲條-文字と画と、資生堂と

開催中〜2026/06/28

資生堂ギャラリー

東京都・中央区

軽井沢安東美術館 生誕140周年 藤田嗣治展

開催中〜2026/07/05

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

クヴェレ美術館 開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁

開催中〜2026/07/05

クヴェレ美術館

茨城県・水戸市

ルネ・ラリックにみる 日本とフランスの“かわいい”文化交流

2026/03/20〜2026/12/06

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

Exhibitions

没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ

 フランス北東部ロレーヌ地方のナンシーに生まれ、ガラス工芸を芸術の域に高めたエミール・ガレ(1846~1904年)が国際的な地位を築いたパリとの関係に着目し、その展開をパリ万国博覧会出品作や資料、計110件を通してたどる展覧会が開かれている。
 ガレは父親が営む高級ガラスや陶磁器の製造卸販売業を引き継ぎ、芸術性の高いガラス製品や陶器、家具を制作した。「58年の生涯を通じてナンシーを拠点に過ごし、晩年にはナンシー派を結成して故郷の文化振興に貢献した人物という印象が強いが、その成功を考えるうえではパリでの作品発表や販売促進のための地道な努力が重要」だと本展担当の林佳美学芸員。

エミール・ガレ「脚付杯『四季』」 1878年 パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts
エミール・ガレ「脚付杯『四季』」 1878年 パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts

 展覧会の柱となっているのは1878年、1889年、1900年の3回のパリ万博。1877年に家業を引き継いだガレが経営面、制作面で初めて指揮をとり、国際デビューを果たした1878年のパリ万博ではガラス部門で銅賞を受賞し、世界の大舞台で順調なスタートを切った。
 この万博に出品された「脚付杯『四季』」は、無色のガラスの表面に白や黒、赤のエナメル装飾と金彩を施し、「この時期のガレの典型的な表現方法が用いられている」(林)。その後、この作品も出品された1884年の第8回装飾美術中央連合展で、ガレは審査委員会向けに作品の解説書を作成し、「無色のクリスタルガラスの冷ややかな装飾にあたたかみを与えるためにこのような手段をとりました」など、新しい表現や独創性を強調。本展にはこの解説書も展示され、ガレが作品をどのようにアピールしたのかがわかる。
 この「脚付杯『四季』」はこの時期のガレの重要な作品ではあるが、父親の手法を踏襲したものでもある。しかし、この万博でガレは、当時のジャポニスムブームを反映して、ガラスと陶器で数々のジャポニスム様式の作品を出品している。『北斎漫画』からモチーフを転用した「花器『鯉』」は、万博出品作と同一モデル。この万博を目指して開発した淡い水色のガラス素地「月光色ガラス」は人気を博し、欧州各地で模倣された。流行を取り入れたり、新手法を披露したりするなど、パリで自社製品を認めてもらおうとする意欲や野心が伝わる。

エミール・ガレ「花器『鯉』」1878年 大一美術館蔵
エミール・ガレ「花器『鯉』」1878年 大一美術館蔵

 1889年のパリ万博では、ガラス作品約300点、陶器約200点、家具17点を出品。ガラス部門でグランプリ、陶器部門で金賞、家具部門で銀賞を獲得し、さらなる成功を収めた。この実績で翌年、国立(国民)美術協会の会員に認められ、パリで毎年開催される国立美術協会展に出品するチャンスを手にする。今回も審査委員会向けに素材、技法、道具に関して詳しく記した解説書を作成、これも展示されている。
 89年のパリ万博でガレが発表した新シリーズの一つが黒色ガラスだ。従来、あまり使われてこなかった黒味を帯びたガラスを使ったシリーズで、黒いガラスと表面を彫るテクニックを組み合わせることで、悲しみや生と死、闇などを表現し独特な世界を展開することに成功している。
 パリ万博出品作の「花器『ジャンヌ・ダルク』」はその代表作。ガレの故郷ロレーヌとアルザス地方の一部は1870年に勃発した普仏戦争でドイツに割譲された。ガレは志願兵として従軍していることからも、同じロレーヌ地方出身のジャンヌ・ダルクは強い愛国心を象徴するモチーフとしてたびたび作品に登場している。悲劇のヒロインを黒が持つ翳りを巧みに使って抒情的に表現。展示室では照明にもこだわり、繊細な表現と作品の深みを味わえる工夫がこらされている。

エミール・ガレ「花器『ジャンヌ・ダルク』」1889年 大一美術館蔵
エミール・ガレ「花器『ジャンヌ・ダルク』」1889年 大一美術館蔵

 黒色ガラス作品はほかにも、万博出品モデルでギリシャ神話に登場するアモールとプシュケの試練の物語を題材にした「蓋付杯『アモールは黒い蝶を追う』」、底部にシェイクスピアの詩の一説が添えられた「脚付杯『昆虫』」などを展示している。
 ほかにも万博出品作で、新たに開発した着色法によるピンクの色調が微妙なニュアンスを醸し出す「花器『マグノリア』」、無色透明ガラスにアメジスト色のガラスと黒色ガラスを被せて神話的場面を彫り出した「杯『私の遺産はキマイラ』」、青緑色ガラスを用いた「花器『好かれる心配』」などの意欲作が並ぶ。

エミール・ガレ「花器『マグノリア』」1889年 パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts décoratifs
エミール・ガレ「花器『マグノリア』」1889年 パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts décoratifs

 本万博での成功を機に、ガレは社交界との繋がりを深めていく。特に、パリ社交界の中心人物であるロベール・ド・モンテスキウ=フザンサック伯爵の人脈で女優サラ・ベルナールや小説家エミール・ゾラ、彫刻家オーギュスト・ロダンなど芸術文化や社会に影響のある面々たちと知り合い、ネットワークが広がったばかりか、顧客としても繋がっていったことは大きい。
 本展では、パリの社交界との関係を示す作品としてモンテスキウの詩集『蝙蝠』刊行を記念して制作された「栓付瓶『蝙蝠・芥子』」、批評家ロジェ・マルクスがガレから献呈されたとされる「花器『秋』」などが出品されている。

エミール・ガレ「栓付瓶『蝙蝠・芥子』」1892年 サントリー美術館蔵
エミール・ガレ「栓付瓶『蝙蝠・芥子』」1892年 サントリー美術館蔵

 こうしてガレが、フランスを代表する装飾芸術家であり文化人として世間から注目されるようになった1894年に、フランス世論を揺るがした「ドレフュス事件」が起きる。ユダヤ人大尉ドレフュスがドイツ側のスパイ容疑で逮捕された冤罪事件で、ガレはドレフュスを救おうと人権擁護連盟ナンシー支部の役員にもなり、無罪の正義を貫く主張を展開した。しかし、この行動はパリでは支持されたものの、ナショナリズムや右翼勢力が隆盛しつつあったナンシーの人々からは反感を買ってしまう。
 また、次の1900年のパリ万博に関しても、ナンシーを中心に「都市ばかりが発展し、地方には何の利益ももたらさない」との反対意見が多くあがり、ガレは故郷ナンシーと国際都市パリとの間で精神的重圧に苦しんだ。

エミール・ガレ「昼顔形花器『蛾』」1900年 サントリー美術館蔵
エミール・ガレ「昼顔形花器『蛾』」1900年 サントリー美術館蔵

 このような状況にありながらも、1900年のパリ万博でガレは、造形的にも観念的にも観る者の心を震わす独自の世界観を展開。出品者8万3千人、7か月以上にわたる会期に訪れた人の数は5千万人以上にのぼったというこの万博で、ガレはガラス部門と家具部門でグランプリを受賞した。
 この万博を目指して研究を重ねたガラスを象嵌するように加工する「マルケトリ」と、故意にガラスの表面を失透させる「パチネ」などの新技法は、ガレのガラス表現の可能性をさらに拡張させ、多様化させるのに大いに作用した。この二つの技法は以降の作品にも多用される。
 本展に出品されている1900年万博モデルの「昼顔形花器『蛾』」は、2匹の蛾をあらかじめモチーフの形に整えたガラス片を溶着する「マルケトリ」で表現している。ほかにも同形モデルが同万博に出品されヴィクトル・ユゴーの詩が刻まれた「聖杯『無花果』」、色彩のグラデーションが溶け合う「花器『おだまき』」、森林をテーマにした「花器『風景』」、神秘的な海の世界が表された「大杯『くらげ』」など「マルケトリ」や「パチネ」を用いた作品も多数出品。円熟期のガレの世界が広がる。
 また、この万博の出品作について、誰がどの作品を注文し、いくらで買ったのかが記録された受注控えが、パリで正式にガレ製品を販売していた受託代理人デグペルス家に伝わり、2023年にサントリー美術館が収蔵、本展で初公開している。300件以上記された発注者の中には日本人の名前もあるという。この受注控えからは、ガレがナンシーに拠点を置きながらもパリでの販売促進に力を入れる事業の様子がわかる。

「1900年パリ万博受注控え」1900年 サントリー美術館蔵
「1900年パリ万博受注控え」1900年 サントリー美術館蔵

 3回の万博を経て成功したガレだが、ハードなスケジュールや心労がたたったこともあるだろう、1901年頃から療養を繰り返し、1904年白血病により死去。58歳だった。
 展覧会の最後では、この4年間に制作されたガレの集大成ともいえる作品を展観している。
 「花器『海馬』」は、ドレフュス事件の際、ガレと同じドレフュス擁護派の政治家でジャーナリスト、弁護士だったジョセフ・レナックが『ドレフュス事件史』を出版したのを記念してガレが献呈したといわれる作品。2匹の海馬=タツノオトシゴが向き合って漂う姿が描かれている。
 海馬のモチーフは1900年のパリ万博を見据えてガレが考案したと推測されている。

エミール・ガレ「花器『海馬』」1901年 パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts décoratifs
エミール・ガレ「花器『海馬』」1901年 パリ装飾美術館蔵 Paris, musée des Arts décoratifs

 「脚付杯『蜻蛉』」は、ガレが編み出してきたさまざまな表現技法が駆使された作品。白血病を患って死期を予感したガレが数点制作し、友人や親せきに贈ったものの一つとされている。

エミール・ガレ「脚付杯『蜻蛉』」1903〜04年 サントリー美術館蔵
エミール・ガレ「脚付杯『蜻蛉』」1903〜04年 サントリー美術館蔵

 国際都市パリで、万博への参加や委託販売店による販売促進戦略を通して、フランスを代表する装飾芸術家の地位を築いたガレが、最後に望んだのは、故郷ナンシーにおける地域芸術産業の発展だったという。1901年にガレを初代会長にさまざまなジャンルの36名の芸術家による産業芸術地方同盟「ナンシー派」が発足した。喜びと苦悩の中で、熱い思いを貫いたガレの一生が凝縮された展覧会だ。
 
執筆・写真撮影:西澤美子(文中敬称略)
 
※写真は主催者の許可を得て撮影しています。
冒頭の写真は「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」展示風景
 
参考文献:「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」展 図録 (富山市ガラス美術館・サントリー美術館 2024年)

【会期・会場】
2025年2月15日(土)~4月13日(日) サントリー美術館(東京都・港区)
 
※一部展示替えあり
美術館HP:https://www.suntory.co.jp/sma/