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吉村靖孝展 マンガアーキテクチャー ――建築家の不在

開催中〜2025/03/23

TOTOギャラリー・間

東京都・港区

FACE展2025

開催中〜2025/03/23

SOMPO美術館

東京都・新宿区

特別展「夢美セレクション展」

開催中〜2025/03/23

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

「Alternative Living展」(オルタナティブ リビング展)

開催中〜2025/03/23

SusHi Tech Square 1F Space

東京都・千代田区

特別展 ドキュメント「アートキャンプ白州 -記録映像で甦る夏 1988~2010-」

開催中〜2025/03/23

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

「ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 7 『複数形の身体』」

開催中〜2025/03/23

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

日比谷図書文化館 特別展 「実録 桜田門外の変」

開催中〜2025/03/24

千代田区立日比谷図書文化館

東京都・千代田区

寺山修司展(コレクション展)

開催中〜2025/03/30

世田谷文学館

東京都・世田谷区

平山郁夫《想一想》と昭和期の日本画家たち

開催中〜2025/03/30

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

MOTコレクション 竹林之七妍/小さな光/開館30周年記念プレ企画 イケムラレイコ マーク・マンダース  Rising Light/Frozen Moment

開催中〜2025/03/30

東京都現代美術館

東京都・江東区

VOCA展2025 現代美術の展望-新しい平面の作家たち

開催中〜2025/03/30

上野の森美術館

東京都・台東区

特別展 魂を込めた 円空仏 —飛騨・千光寺を中心にして—

開催中〜2025/03/30

三井記念美術館

東京都・中央区

片桐石州 -江戸の武家の茶-

開催中〜2025/03/30

根津美術館

東京都・港区

体感型デジタルアートミュージアム「動き出す浮世絵展 TOKYO」

開催中〜2025/03/31

寺田倉庫G1ビル

東京都・品川区

DIC川村記念美術館 1990–2025 作品、建築、自然

開催中〜2025/03/31

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト

開催中〜2025/04/06

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

インフルエンサー 北斎

開催中〜2025/04/06

北斎館

長野県・小布施町

キース・ヘリング展 アートをストリートへ

開催中〜2025/04/06

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

緑の惑星 セタビの森の植物たち

開催中〜2025/04/13

世田谷美術館

東京都・世田谷区

没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ

開催中〜2025/04/13

サントリー美術館

東京都・港区

【特別展】桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!

開催中〜2025/05/11

山種美術館

東京都・渋谷区

松山智一展 FIRST LAST

開催中〜2025/05/11

麻布台ヒルズ ギャラリー(麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)

東京都・港区

「この、原美術館ARCという時間芸術」第1期

開催中〜2025/05/11

原美術館ARC

群馬県・渋川市

春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵

開催中〜2025/05/11

府中市美術館

東京都・府中市

特別展「学習院コレクション 華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」

開催中〜2025/05/17

霞会館記念学習院ミュージアム

東京都・豊島区

カラーズ — 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ

開催中〜2025/05/18

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「ライトアップ木島櫻谷II― おうこくの線をさがしに 併設四季連作屏風」

2025/04/05〜2025/05/18

泉屋博古館東京

東京都・港区

略画 — はずむ筆、おどる線—

2025/04/12〜2025/05/18

北斎館

長野県・小布施町

戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見

開催中〜2025/05/18

東京都写真美術館

東京都・目黒区

手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-

開催中〜2025/05/25

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで

2025/03/18〜2025/05/25

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

アート・アーカイヴ資料展XXVII 「交信詩あるいは書簡と触発:瀧口修造と荒川修作/マドリン・ギンズ」

開催中〜2025/05/30

慶應義塾大学アート・センター(三田キャンパス 南別館 1階)

東京都・港区

開館50周年記念「1975 甦る 新橋 松岡美術館 ―大観・松園・東洋陶磁―」

開催中〜2025/06/01

松岡美術館

東京都・港区

ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ

開催中〜2025/06/01

アーティゾン美術館

東京都・中央区

すべてを描く萬(よろず)絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵

2025/04/26〜2025/06/01

中之島 香雪美術館

大阪府・大阪市

横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」

開催中〜2025/06/02

横浜美術館

神奈川県・横浜市

ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ

2025/03/20〜2025/06/03

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋TODA BUILDING 6階)

東京都・中央区

「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」展

開催中〜2025/06/08

東京都写真美術館

東京都・目黒区

マシン・ラブ:ビデオゲーム、AI と現代アート

開催中〜2025/06/08

森美術館

東京都・港区

西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館

開催中〜2025/06/08

国立西洋美術館

東京都・台東区

特別展「古代DNA―日本人のきた道―」

開催中〜2025/06/15

国立科学博物館

東京都・台東区

タピオ・ヴィルカラ 世界の果て

2025/04/05〜2025/06/15

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」

2025/04/19〜2025/06/15

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」

2025/04/19〜2025/06/15

京都国立博物館

京都府・京都市

国宝の名刀と甲冑・武者絵 特集展示 三井家の五月人形

2025/04/12〜2025/06/15

三井記念美術館

東京都・中央区

ラーメンどんぶり展 「器」からはじめるラーメン×デザイン考

開催中〜2025/06/15

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

花と暮らす展

開催中〜2025/06/22

国立工芸館

石川県・金沢市

横尾忠則 連画の河

2025/04/26〜2025/06/22

世田谷美術館

東京都・世田谷区

総合開館30周年記念 TOPコレクション 不易流行

2025/04/05〜2025/06/22

東京都写真美術館

東京都・目黒区

初夏展「くまもとの絶景―知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』―」

2025/04/26〜2025/06/22

永青文庫

東京都・文京区

藤田嗣治 ―7つの情熱

2025/04/12〜2025/06/22

SOMPO美術館

東京都・新宿区

特別企画展「めぐる いのち 熊谷守一美術館40周年展」

2025/04/15〜2025/06/29

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展

2025/04/26〜2025/06/29

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

2025/04/19〜2025/06/29

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

まど・みちおのうちゅう―うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる―

2025/04/27〜2025/06/29

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s

2025/03/19〜2025/06/30

国立新美術館

東京都・港区

「この、原美術館ARCという時間芸術」第2期

2025/05/16〜2025/07/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

どうぶつ展 わたしたちはだれ? どこへむかうの?

2025/04/16〜2025/07/06

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

岡崎乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here

2025/04/29〜2025/07/21

東京都現代美術館

東京都・江東区

士郎正宗の世界展~『攻殻機動隊』と創造の軌跡~

2025/04/12〜2025/08/17

世田谷文学館

東京都・世田谷区

ほとけに随侍するもの

2025/04/23〜2025/08/31

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金

開催中〜2025/09/07

ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo

東京都・江東区

藤田嗣治 猫のいる風景

開催中〜2025/09/28

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

Exhibitions

魂が宿る「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

 卓越した画才を持ちながら、生涯に一度も個展などを開くことなく無名のまま生涯を終えた画家、田中一村(1908-1977)。没後7年後の1984年に、NHKの教育テレビ「日曜美術館」で奄美大島で一人、絵の制作に打ち込んだ姿とその作品が紹介されると大反響となった。本展は、神童と称された幼年期から奄美での最晩年の作品まで、また近年発見され初公開となる多数の資料・作品を含む大回顧展となる。

生まれながらの天才画家

 田中一村、私に絵画の魅力を教えてくれた画家である。2001年に開館した奄美大島の「田中一村記念美術館」で出合った作品には魂がみなぎり、心を揺さぶる絵の力を知った。
 
 幼少の頃から絵の才能を発揮し、神童と呼ばれていた一村(本名、孝。彫刻家の父から米邨の号を受ける)。8歳の頃に描いた絵は、繊細な筆遣いが風情を生み出し、その年で描いたとは思えない風格を放つ。父が筆を入れたことが気に入らずその部分を破り取ったというエピソードは、生涯を貫く一村の誇り高さと強くまっすぐな気質を象徴している。
 
 山水画や墨画など10代で描いた掛け軸も多数展示されていて、画の迫力に圧倒される。鶏頭を朱墨のみで描いた《鶏頭図》も印象的だ。10代で熟練の技が光るような大作を描いていた一村は、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科にストレートで合格、そして2ヶ月で退学する(同大の資料に「退学(家事)」と記録)。一方で、同年に展覧会に出品したり、絵の頒布会である「田中米邨画伯賛奨会」も企画されるなど、この時期、精力的に絵の制作を行っていたという。本展では、曾祖父の小泉又次郎が一時期、後援会会長を務めていたという縁のある俳優、小泉孝太郎が音声ガイドを担当する。

会場風景
会場風景
《不喰芋と蘇鐵》の前で、作品をモチーフにした大島紬に身を包んだ小泉孝太郎(プレス向け内覧会にて)。「一世紀近い時を経て縁のある田中一村さんの仕事に携われたことに驚くと共に光栄」と話した。
《不喰芋と蘇鐵》の前で、作品をモチーフにした大島紬に身を包んだ小泉孝太郎(プレス向け内覧会にて)。「一世紀近い時を経て縁のある田中一村さんの仕事に携われたことに驚くと共に光栄」と話した。

 第一章の最後に展示される《秋色》は、赤や黄の葉、細い木々や実などの濃淡が織りなす、まさに「秋色」。若き日の作品を紹介する第一章の作品の過半数が近年新出したものだという。一村の名が広く知られてから40年、まだまだ研究の途上にあるのだと改めて知らされる。

左から《秋色》(1930年代半ば)《秋色》(昭和10年代)以下、記載のないもの全て絹本着色 田中一村記念美術館蔵
左から《秋色》(1930年代半ば)《秋色》(昭和10年代)以下、記載のないもの全て絹本着色 田中一村記念美術館蔵

 昭和前期、20代の半ば頃から写真に強い関心を持ち、美術資料として役立てていた。所蔵していた岡本東洋撮著「花鳥写真図鑑」にほぼ等しい写真を見出すという色紙絵《立葵に蜘蛛》は、蜘蛛の糸が濃赤色の立葵と葉、全てを覆いつくすように張り巡らされている。白みを帯びた背景ではその全てを確認することはできないが、目を凝らして見えるような蜘蛛の糸が粘り気をはらんだような風合いで感動する。次第に自分でも撮影するようになり、素材の選択や角度、焦点や光線など、絵の制作に生かした。

《立葵に蜘蛛》紙本銀地着色 1940年代半ば 個人蔵
《立葵に蜘蛛》紙本銀地着色 1940年代半ば 個人蔵

 29歳の時、一村の絵の才能を認め支えた親戚の川村幾三を頼って千葉市に移り住む。数えで40歳の年、田中米邨は「柳一村」と画号を改めて、川端龍子主宰の青龍展に《白い花》を出品し、初入選する。これが一村にとって唯一の中央画壇での入選となった。翌年の青龍展に「田中一村」として出品した自信作《秋晴》は落選。参考出品した作品のみが入選したことに怒り、入選を辞退する。金屏風に描かれながも、老樹の小枝や朽ちかけた葉など秋の夕暮れのもの悲しさを見事に描き上げた《秋晴》は圧巻。一村の絵を見ていると、秀逸な筆致とその才能に、幾度となくため息が漏れる。

《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻)Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻)Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
会場風景
会場風景

一村にしか描けない絵

 47歳の時に九州・四国・紀州を巡り、支援者に風景画の色紙を贈った。大胆な構図で旅先の風景や植物を瑞々しく描いた色紙絵は南国の風を感じる魅力的な作品。中でも私は《足摺狂濤》に田中一村記念美術館で魅了された。陰影をはらんだ複雑な海の色と激しく飛び散る波しぶきの厚みを持った白。岬に身を置いているかのような臨場感に、釘づけになった。本展では写真と共に展示されていて、一村の筆によって魅力が増すことに改めて気づく。

上から《足摺狂濤》(1955年)、写真(足摺岬)一村撮影(1955年 千葉市美術館蔵)
上から《足摺狂濤》(1955年)、写真(足摺岬)一村撮影(1955年 千葉市美術館蔵)

 1958(昭和33)年、50歳で奄美大島に移り住む。紬工場で染色工として働きながら稼いだお金で絵の具を買う。一村は69歳で亡くなるまでの19年間を奄美で過ごし、絵の制作に没頭した。ただ一人、絵と向き合い、亜熱帯の動植物や風景を描き上げていった作品群は一村の代表作となっていく。色鮮やかな魚や鳥、植物が会場壁面の青に映える。

《初夏の海に赤翡翠》昭和37(1962)頃 絹本墨画着色
《初夏の海に赤翡翠》昭和37(1962)頃 絹本墨画着色

 立派な島の海老を細部まで入念に描き込んだ迫力のある画に圧倒され、多数の細い葉が扇状に連なるヤシ科のビロウにハッとする。生命感あふれる奄美の生物が、一村の筆によってエネルギーを増していく。

《海老と熱帯魚》昭和51年(1976)以前 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《海老と熱帯魚》昭和51年(1976)以前 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

 手紙の下書きにのこされていた「私の絵の最終決定版の絵がヒューマニティであろうが、悪魔的であろうが、畫の正道であるとも邪道であるとも何と批評されても私は満足なのです。それは見せるために描いたのではなく私の良心を納得させる為にやったのですから」の言葉。生まれながらの天才画家がたどり着いたのは、何者にもとらわれない絵の神髄だった。
 
 「閻魔大王えの土産物」と記した大作2点をのこす。《アダンの海辺》は静謐な空気が漂いながらも力が満ち満ちていて、「自身の最高傑作を描き上げた」という一村の自信がみなぎっている。《不喰芋と蘇鐵》は亜熱帯の植物がそのエネルギーを存分に発揮し、奄美に魅せられた一村の想いが凝縮されている。2つの作品の、これでもかというほど丹念に描き込まれた描写に、唸る。一村にしか描けない絵。「命を削って描いた」と記した作品を通して、一村がたどり着いた境地を肌で感じるのである。

《アダンの海辺》昭和44(1969)個人蔵 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《アダンの海辺》昭和44(1969)個人蔵 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

 田中一村は、類まれな才能が生きた傑作、魂が宿る稀有な作品とその生きざまで我々の心を揺さぶり続ける。

田中一村 肖像Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
田中一村 肖像Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

(文中敬称略)
執筆・写真撮影(提供写真除く):堀内まりえ
*画像写真の無断転載を禁じます。
*写真は主催者の許可を得て撮影しています。
 
 
<参考文献>
公式図録「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

田中一村展 奄美の光 魂の絵画
Tanaka Isson:Light and Soul
 
【会期・会場】
2024年9月19日(木)~2024年12月1日(日) 東京都美術館(東京・台東区)
展覧会HP:https://isson2024.exhn.jp/