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特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道

開催中〜2026/04/05

泉屋博古館東京

東京都・港区

開館20周年特別展 生誕1200年 歌仙 在原業平と伊勢物語

開催中〜2026/04/05

三井記念美術館

東京都・中央区

藤田嗣治 絵画と写真

開催中〜2026/04/12

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

開催中〜2026/04/12

東京都美術館

東京都・台東区

ミュージアム コレクション特別篇 開館40周年記念 世田美のあしあと―暮らしと美術のあいだで

開催中〜2026/04/12

世田谷美術館

東京都・世田谷区

ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術

開催中〜2026/05/06

東京都現代美術館

東京都・江東区

飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき

開催中〜2026/05/06

水戸芸術館 現代美術ギャラリー

茨城県・水戸市

特集展示「富士山 花と雲と湖と」

開催中〜2026/05/10

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪

開催中〜2026/05/10

府中市美術館

東京都・府中市

生誕100周年記念 安野光雅展

開催中〜2026/05/10

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

【特別展】 花・flower・華 2026 -横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅-

開催中〜2026/05/10

山種美術館

東京都・渋谷区

コレクションの舞台裏 ―光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み

開催中〜2026/05/10

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート

開催中〜2026/05/11

国立新美術館

東京都・港区

画布(キャンバス)に描くまなざし -ホキ美術館風景画展-

開催中〜2026/05/13

ホキ美術館

千葉県・千葉市

生誕100年記念「Re:辻邦生-いま、ふたたび作家に出会う」

開催中〜2026/05/16

霞会館記念学習院ミュージアム

東京都・豊島区

トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで

開催中〜2026/05/24

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

モネ没後100年 クロード・モネ— 風景への問いかけ

開催中〜2026/05/24

アーティゾン美術館

東京都・中央区

開館10周年記念「ひらけ、絵手本!『北斎漫画』エトセトラ

開催中〜2026/05/24

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

SPRING わきあがる鼓動

開催中〜2026/05/31

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」

開催中〜2026/05/31

松岡美術館

東京都・港区

SORAYAMA 光・透明・反射 ーTOKYOー

開催中〜2026/05/31

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋)

東京都・中央区

KAGAYA 天空の歌

2026/04/11〜2026/05/31

そごう美術館

神奈川県・横浜市

W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代

開催中〜2026/06/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫 —その魂の召喚—

開催中〜2026/06/07

茅ヶ崎市美術館

神奈川県・茅ヶ崎市

北斎館50周年記念特別展 「北斎VS 福田美蘭 小布施へのメッセージ」

2026/04/11〜2026/06/07

北斎館

長野県・小布施町

熊本城―守り継がれた名城400年の軌跡―

2026/04/11〜2026/06/07

永青文庫

東京都・文京区

名作展「絢爛と健剛ー川端龍子の作品における装飾性ー」併催:町立湯河原美術館収蔵 平松礼二作品展

開催中〜2026/06/07

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

超危険生物展 科学で挑む生き物の本気

開催中〜2026/06/14

国立科学博物館

東京都・台東区

ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-

開催中〜2026/06/14

国立工芸館

石川県・金沢市

チュルリョーニス展 内なる星図

開催中〜2026/06/14

国立西洋美術館

東京都・台東区

北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより

開催中〜2026/06/14

新見美術館コレクション 近現代日本画の精華

2026/04/10〜2026/06/14

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

「王朝のみやびー古筆、琳派、茶の湯の情景」 「守屋多々志の華麗な歴史画ーよみがえる王朝と文明開化の夢」

2026/04/11〜2026/06/14

荏原 畠山美術館

東京都・港区

開館50周年記念「ウジェーヌ・ブーダン展─瞬間の美学 、光の探求」

2026/04/11〜2026/06/21

SOMPO美術館

東京都・新宿区

ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち

2026/04/19〜2026/06/21

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

富山県水墨美術館コレクション 水墨画を楽しむ7つのとびら -富岡鉄斎、竹内栖鳳、横山大観から加山又造へ

2026/04/25〜2026/06/21

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

うたう仲條 おどる仲條-文字と画と、資生堂と

開催中〜2026/06/28

資生堂ギャラリー

東京都・中央区

田中信太郎――意味から遠く離れて

2026/04/25〜2026/06/28

世田谷美術館

東京都・世田谷区

動き出す妖怪展 TOKYO

開催中〜2026/06/28

寺田倉庫 G1ビル

東京都・品川区

没後110年 日本画の革命児 今村紫紅

2026/04/25〜2026/06/28

横浜美術館

神奈川県・横浜市

アーティストとひらく「鎌田友介展:ある想像力、ふたつの土地」

2026/04/25〜2026/06/28

横浜美術館

神奈川県・横浜市

熊谷守一美術館41周年展 守一と故郷。

2026/04/14〜2026/06/28

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

軽井沢安東美術館 生誕140周年 藤田嗣治展

開催中〜2026/07/05

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

クヴェレ美術館 開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁

開催中〜2026/07/05

クヴェレ美術館

茨城県・水戸市

東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展

2026/04/28〜2026/07/05

東京都美術館

東京都・台東区

生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ

2026/04/15〜2026/07/06

国立新美術館

東京都・港区

松本陽子 宵の明星を見た日

2026/05/23〜2026/07/12

府中市美術館

東京都・府中市

山田紗子 parallel tunes

2026/04/16〜2026/07/12

TOTOギャラリー・間

東京都・港区

川合玉堂 —なつかしい日本の情景—

2026/05/16〜2026/07/26

山種美術館

東京都・渋谷区

スープはいのち スープは包む、いのちを満たす、はじまりの衣食住

開催中〜2026/08/09

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

大ゴッホ展 夜のカフェテラス

2026/05/29〜2026/08/12

上野の森美術館

東京都・台東区

安藤正子:普通の日々

開催中〜2026/09/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

ルネ・ラリックにみる 日本とフランスの“かわいい”文化交流

開催中〜2026/12/06

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

世田谷文学館コレクション展「没後30年 宇野千代展」

2026/04/18〜2027/03/28

世田谷文学館

東京都・世田谷区

Exhibitions

魂が宿る「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

 卓越した画才を持ちながら、生涯に一度も個展などを開くことなく無名のまま生涯を終えた画家、田中一村(1908-1977)。没後7年後の1984年に、NHKの教育テレビ「日曜美術館」で奄美大島で一人、絵の制作に打ち込んだ姿とその作品が紹介されると大反響となった。本展は、神童と称された幼年期から奄美での最晩年の作品まで、また近年発見され初公開となる多数の資料・作品を含む大回顧展となる。

生まれながらの天才画家

 田中一村、私に絵画の魅力を教えてくれた画家である。2001年に開館した奄美大島の「田中一村記念美術館」で出合った作品には魂がみなぎり、心を揺さぶる絵の力を知った。
 
 幼少の頃から絵の才能を発揮し、神童と呼ばれていた一村(本名、孝。彫刻家の父から米邨の号を受ける)。8歳の頃に描いた絵は、繊細な筆遣いが風情を生み出し、その年で描いたとは思えない風格を放つ。父が筆を入れたことが気に入らずその部分を破り取ったというエピソードは、生涯を貫く一村の誇り高さと強くまっすぐな気質を象徴している。
 
 山水画や墨画など10代で描いた掛け軸も多数展示されていて、画の迫力に圧倒される。鶏頭を朱墨のみで描いた《鶏頭図》も印象的だ。10代で熟練の技が光るような大作を描いていた一村は、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科にストレートで合格、そして2ヶ月で退学する(同大の資料に「退学(家事)」と記録)。一方で、同年に展覧会に出品したり、絵の頒布会である「田中米邨画伯賛奨会」も企画されるなど、この時期、精力的に絵の制作を行っていたという。本展では、曾祖父の小泉又次郎が一時期、後援会会長を務めていたという縁のある俳優、小泉孝太郎が音声ガイドを担当する。

会場風景
会場風景
《不喰芋と蘇鐵》の前で、作品をモチーフにした大島紬に身を包んだ小泉孝太郎(プレス向け内覧会にて)。「一世紀近い時を経て縁のある田中一村さんの仕事に携われたことに驚くと共に光栄」と話した。
《不喰芋と蘇鐵》の前で、作品をモチーフにした大島紬に身を包んだ小泉孝太郎(プレス向け内覧会にて)。「一世紀近い時を経て縁のある田中一村さんの仕事に携われたことに驚くと共に光栄」と話した。

 第一章の最後に展示される《秋色》は、赤や黄の葉、細い木々や実などの濃淡が織りなす、まさに「秋色」。若き日の作品を紹介する第一章の作品の過半数が近年新出したものだという。一村の名が広く知られてから40年、まだまだ研究の途上にあるのだと改めて知らされる。

左から《秋色》(1930年代半ば)《秋色》(昭和10年代)以下、記載のないもの全て絹本着色 田中一村記念美術館蔵
左から《秋色》(1930年代半ば)《秋色》(昭和10年代)以下、記載のないもの全て絹本着色 田中一村記念美術館蔵

 昭和前期、20代の半ば頃から写真に強い関心を持ち、美術資料として役立てていた。所蔵していた岡本東洋撮著「花鳥写真図鑑」にほぼ等しい写真を見出すという色紙絵《立葵に蜘蛛》は、蜘蛛の糸が濃赤色の立葵と葉、全てを覆いつくすように張り巡らされている。白みを帯びた背景ではその全てを確認することはできないが、目を凝らして見えるような蜘蛛の糸が粘り気をはらんだような風合いで感動する。次第に自分でも撮影するようになり、素材の選択や角度、焦点や光線など、絵の制作に生かした。

《立葵に蜘蛛》紙本銀地着色 1940年代半ば 個人蔵
《立葵に蜘蛛》紙本銀地着色 1940年代半ば 個人蔵

 29歳の時、一村の絵の才能を認め支えた親戚の川村幾三を頼って千葉市に移り住む。数えで40歳の年、田中米邨は「柳一村」と画号を改めて、川端龍子主宰の青龍展に《白い花》を出品し、初入選する。これが一村にとって唯一の中央画壇での入選となった。翌年の青龍展に「田中一村」として出品した自信作《秋晴》は落選。参考出品した作品のみが入選したことに怒り、入選を辞退する。金屏風に描かれながも、老樹の小枝や朽ちかけた葉など秋の夕暮れのもの悲しさを見事に描き上げた《秋晴》は圧巻。一村の絵を見ていると、秀逸な筆致とその才能に、幾度となくため息が漏れる。

《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻)Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻)Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
会場風景
会場風景

一村にしか描けない絵

 47歳の時に九州・四国・紀州を巡り、支援者に風景画の色紙を贈った。大胆な構図で旅先の風景や植物を瑞々しく描いた色紙絵は南国の風を感じる魅力的な作品。中でも私は《足摺狂濤》に田中一村記念美術館で魅了された。陰影をはらんだ複雑な海の色と激しく飛び散る波しぶきの厚みを持った白。岬に身を置いているかのような臨場感に、釘づけになった。本展では写真と共に展示されていて、一村の筆によって魅力が増すことに改めて気づく。

上から《足摺狂濤》(1955年)、写真(足摺岬)一村撮影(1955年 千葉市美術館蔵)
上から《足摺狂濤》(1955年)、写真(足摺岬)一村撮影(1955年 千葉市美術館蔵)

 1958(昭和33)年、50歳で奄美大島に移り住む。紬工場で染色工として働きながら稼いだお金で絵の具を買う。一村は69歳で亡くなるまでの19年間を奄美で過ごし、絵の制作に没頭した。ただ一人、絵と向き合い、亜熱帯の動植物や風景を描き上げていった作品群は一村の代表作となっていく。色鮮やかな魚や鳥、植物が会場壁面の青に映える。

《初夏の海に赤翡翠》昭和37(1962)頃 絹本墨画着色
《初夏の海に赤翡翠》昭和37(1962)頃 絹本墨画着色

 立派な島の海老を細部まで入念に描き込んだ迫力のある画に圧倒され、多数の細い葉が扇状に連なるヤシ科のビロウにハッとする。生命感あふれる奄美の生物が、一村の筆によってエネルギーを増していく。

《海老と熱帯魚》昭和51年(1976)以前 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《海老と熱帯魚》昭和51年(1976)以前 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

 手紙の下書きにのこされていた「私の絵の最終決定版の絵がヒューマニティであろうが、悪魔的であろうが、畫の正道であるとも邪道であるとも何と批評されても私は満足なのです。それは見せるために描いたのではなく私の良心を納得させる為にやったのですから」の言葉。生まれながらの天才画家がたどり着いたのは、何者にもとらわれない絵の神髄だった。
 
 「閻魔大王えの土産物」と記した大作2点をのこす。《アダンの海辺》は静謐な空気が漂いながらも力が満ち満ちていて、「自身の最高傑作を描き上げた」という一村の自信がみなぎっている。《不喰芋と蘇鐵》は亜熱帯の植物がそのエネルギーを存分に発揮し、奄美に魅せられた一村の想いが凝縮されている。2つの作品の、これでもかというほど丹念に描き込まれた描写に、唸る。一村にしか描けない絵。「命を削って描いた」と記した作品を通して、一村がたどり着いた境地を肌で感じるのである。

《アダンの海辺》昭和44(1969)個人蔵 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《アダンの海辺》昭和44(1969)個人蔵 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

 田中一村は、類まれな才能が生きた傑作、魂が宿る稀有な作品とその生きざまで我々の心を揺さぶり続ける。

田中一村 肖像Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
田中一村 肖像Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

(文中敬称略)
執筆・写真撮影(提供写真除く):堀内まりえ
*画像写真の無断転載を禁じます。
*写真は主催者の許可を得て撮影しています。
 
 
<参考文献>
公式図録「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

田中一村展 奄美の光 魂の絵画
Tanaka Isson:Light and Soul
 
【会期・会場】
2024年9月19日(木)~2024年12月1日(日) 東京都美術館(東京・台東区)
展覧会HP:https://isson2024.exhn.jp/