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生誕150年 池上秀畝―高精細画人―

開催中〜2024/04/21

練馬区立美術館

東京都・練馬区

須藤玲子:NUNOの布づくり

開催中〜2024/05/06

水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場

茨城県・水戸市

春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術

開催中〜2024/05/06

府中市美術館

東京都・府中市

【特別展】花・flower・華 2024 ―奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら―

開催中〜2024/05/06

山種美術館

東京都・渋谷区

古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン

開催中〜2024/05/06

国立国際美術館

大阪府・大阪市

小金沢健人×佐野繁次郎ドローイング/シネマ

開催中〜2024/05/06

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

神奈川県・鎌倉市

第5回「私の代表作」展

開催中〜2024/05/12

ホキ美術館

千葉県・千葉市

ライトアップ木島櫻谷 ― 四季連作大屏風と沁みる『生写し』

開催中〜2024/05/12

泉屋博古館東京

東京都・港区

イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い

開催中〜2024/05/12

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

皇室のみやび―受け継ぐ美― 第3期「近世の御所を飾った品々」

開催中〜2024/05/12

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z

開催中〜2024/05/12

東京都庭園美術館

東京都・港区

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

開催中〜2024/05/12

国立西洋美術館

東京都・台東区

国宝・燕子花図屏風 デザインの日本美術

開催中〜2024/05/12

根津美術館

東京都・港区

春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ

開催中〜2024/05/12

長野県立美術館

長野県・長野市

モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン

開催中〜2024/05/19

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

開催中〜2024/05/19

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

HELLO! コレクション ZOZO×千葉県立美術館

開催中〜2024/05/19

千葉県立美術館

千葉県・千葉市

子の日図屏風と宮廷文化

開催中〜2024/05/19

遠山記念館

埼玉県・比企郡川島町

企画展《歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能》

開催中〜2024/05/26

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

百年後芸術祭 -内房総アートフェス-

開催中〜2024/05/26

芸術祭(市原市・木更津市・君津市・袖ケ浦市・富津市の内房総5市)

千葉県・市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市

特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―

開催中〜2024/05/26

京都国立博物館

京都府・京都市

月岡芳年 月百姿

開催中〜2024/05/26

太田記念美術館

東京都・渋谷区

金屏風の祭典 ——黄金の世界へようこそ

開催中〜2024/06/02

岡田美術館

神奈川県・箱根町

日本の山海

開催中〜2024/06/02

松岡美術館

東京都・港区

卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展

開催中〜2024/06/02

国立工芸館

石川県・金沢市

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

開催中〜2024/06/02

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

1950〜60年代の日本画―造形への挑戦

開催中〜2024/06/02

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

遠距離現在 Universal / Remote

開催中〜2024/06/03

国立新美術館

東京都・港区

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

開催中〜2024/06/09

芸術祭(横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路)

神奈川県・横浜市

記憶:リメンブランス-現代写真・映像の表現から

開催中〜2024/06/09

東京都写真美術館

東京都・目黒区

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

開催中〜2024/06/09

BankART Station

神奈川県・横浜市

企画展「北斎と感情」

開催中〜2024/06/09

北斎館

長野県・小布施町

名作展「大画面の奔流―川端龍子の『会場芸術』再考」

開催中〜2024/06/09

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

特別展「法然と極楽浄土」

開催中〜2024/06/09

東京国立博物館

東京都・台東区

静嘉堂文庫竣工100年 特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」

開催中〜2024/06/09

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

平野杏子展 – 生きるために描きつづけて

開催中〜2024/06/09

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界

開催中〜2024/06/09

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

青山悟 刺繍少年フォーエバー

2024/04/20〜2024/06/09

目黒区美術館

東京都・目黒区

没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家

開催中〜2024/06/09

渋谷区立松濤美術館

東京都・渋谷区

特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

開催中〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

開催中〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

ベル・エポックー美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

2024/04/20〜2024/06/16

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品

開催中〜2024/06/16

サントリー美術館

東京都・港区

昭和モダン×百段階段 ~東京モダンガールライフ~

開催中〜2024/06/16

ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」

東京都・目黒区

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO

開催中〜2024/06/16

東京オペラシティアートギャラリー

東京都・新宿区

板倉鼎・須美子展

開催中〜2024/06/16

千葉市美術館

千葉県・千葉市

高橋由一から黒田清輝へ ―明治洋画壇の世代交代劇―

2024/04/20〜2024/06/16

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

ここに いても いい リトゥンアフターワーズ 山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口

2024/04/27〜2024/06/16

アーツ前橋

群馬県・前橋市

“オモシロイフク”大図鑑

開催中〜2024/06/22

文化学園服飾博物館

東京都・渋谷区

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

2024/04/27〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

2024/04/27〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴

2024/04/20〜2024/06/23

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

驚異の細密表現展 ―江戸・明治の工芸から現代アートまで―

2024/04/20〜2024/06/23

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

没後70年 戦争を越えて―写真家ロバート・キャパ、愛と共感の眼差し―

開催中〜2024/06/23

東京富士美術館

東京都・八王子市

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

開催中〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

開催中〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

民藝 MINGEI—美は暮らしのなかにある

2024/04/24〜2024/06/30

世田谷美術館

東京都・世田谷区

創刊50周年記念 花とゆめ展

2024/05/24〜2024/06/30

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52 階)

東京都・港区

KAGAYA 星空の世界 天空の贈り物

2024/05/01〜2024/07/01

そごう美術館

神奈川県・横浜市

三島喜美代―未来への記憶

2024/05/19〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

石岡瑛子 I デザイン

2024/04/27〜2024/07/07

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

Beautiful Japan 吉田初三郎の世界

2024/05/18〜2024/07/07

府中市美術館

東京都・府中市

ふたり 矢部太郎展

2024/04/24〜2024/07/07

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/Eye to Eye-見ること

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

ホー・ツーニェン エージェントのA 

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―

2024/05/12〜2024/07/07

山種美術館

東京都・渋谷区

TOPコレクション 時間旅行 ― 千二百箇月の過去とかんずる方角から

開催中〜2024/07/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

企画展 歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界

2024/06/01〜2024/07/21

泉屋博古館東京

東京都・港区

藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928年

開催中〜2024/07/23

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

「石川九楊大全」

2024/06/08〜2024/07/28

上野の森美術館

東京都・台東区

国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘

2024/06/01〜2024/07/28

太田記念美術館

東京都・渋谷区

企画展「未来のかけら 科学とデザインの実験室」

開催中〜2024/08/12

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

東京都・港区

生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界

2024/06/01〜2024/08/25

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展「北斎 グレートウェーブ・インパクト —神奈川沖浪 裏の誕生と軌跡—」

2024/06/18〜2024/08/25

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション

2024/05/21〜2024/08/25

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙

2024/06/11〜2024/08/25

国立西洋美術館

東京都・台東区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

2024/04/24〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

開催中〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

伊藤潤二展 誘惑

2024/04/27〜2024/09/01

世田谷文学館

東京都・世田谷区

音を観る ―変化観音と観音変化身―

2024/04/24〜2024/09/01

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

アートキャンプ白州 2024 Camp and Art in Each Heart!

2024/07/06〜2024/09/01

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

エドワード・ゴーリーを巡る旅

2024/07/06〜2024/09/01

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

カルダー:そよぐ、感じる、日本

2024/05/30〜2024/09/06

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

日本のまんなかでアートをさけんでみる

開催中〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」

2024/07/17〜2024/09/08

東京国立博物館

東京都・台東区

開館20周年記念 山梨放送開局70周年 平山郁夫 -仏教伝来と旅の軌跡

開催中〜2024/09/09

平山郁夫シルクロード美術館

山梨県・北杜市

フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線

2024/06/22〜2024/09/23

SOMPO美術館

東京都・新宿区

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

2024/07/13〜2024/09/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

吉田克朗展 ものに、風景に、世界に触れる

2024/07/13〜2024/09/23

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

2024/07/06〜2024/09/29

東京富士美術館

東京都・八王子市

梅津庸一 クリスタルパレス

2024/06/04〜2024/10/06

国立国際美術館

大阪府・大阪市

大地に耳をすます 気配と手ざわり

2024/07/20〜2024/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

レガシー ―美を受け継ぐ モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ

2024/06/18〜2024/10/13

松岡美術館

東京都・港区

企画展「作家の視線― 過去と現在、そして…」

2024/05/23〜2024/11/11

ホキ美術館

千葉県・千葉市

Exhibitions

逆境の絵師  久隅守景  親しきものへのまなざし

江戸初期に活躍した異色の絵師。久隅守景の描く温かな日常の風景。
  東京のサントリー美術館で、久隅守景(くすみもりかげ)の大規模な展覧会が開催されている。守景は江戸時代初期、17世紀に活躍した狩野派出身の絵師で、四季耕作図を中心に際立った才能を発揮した。しかし現在、守景を知る人はまだ多くない。本展は、その奥深い魅力を発見する絶好の機会である。(※会期中、展示替えがあります。)
  ■到達点としての作品、《国宝 納涼図屏風》
  夏の終わりだろうか。農家の家族の夕涼みのようだ。二曲一隻のほぼ正方形の画面の右下三分の二弱のスペースに質素な家屋と、瓢箪が実る棚の下に敷いた蓆で頬杖をつく男、その前に座る長い髪の女、そして幼い子供が描かれる。余白部分の左上には丸い大きな月がぽっかり浮かぶ。涼やかな空気も感じられる。ありふれた一家団欒の様子にほのぼのとした味わいがあり、懐かしさを誘う。これは、久隅守景の最高傑作といわれる《国宝 納涼図屏風》(二曲一隻、江戸時代 17世紀、東京国立博物館所蔵)(※11月3日まで展示)である。晩年期の作とされる。男は強く太い線、女は繊細な線、瓢箪は柔らかく太い線というように幾種類もの描線を使いこなし、淡彩の彩色も微妙で的確。卓抜の筆力である。
  筆者は、このような寛ぐ家族の絵はあまり見たことがないように思い、気になって本展を担当なさったサントリー美術館学芸員の池田芙美さんにうかがってみた。「家族を主題としたものは近代では描かれていますが、江戸期ではとても稀なことです。四季耕作図を求めるような層からの注文があったのではないでしょうか」とのことだった。当時有名だった木下長嘯子(1569~1649)作の和歌を元にしたともいわれているようだ。守景はどのようにして、このような絵画世界に到達したのだろう。
  ■独自の四季耕作図 
  守景は、農作業を描く四季耕作図を得意とした。この画題は中国で支配者の鑑戒画(かんかいが)、つまり戒めとすべき手本としての絵である。自分の領地の農民の様子を描くことで、為政を省みるものだ。日本には15世紀末頃に伝来し、狩野派を初めとして数多く描かれた。日本の場合も四季耕作図は農民や庶民のためではなく、あくまで武家のための絵だった。通常は、中国風俗で描かれ、向かって右にある右隻から春夏秋冬という流れで季節が展開。しかしながら守景は、変化を加えて彼独自の四季耕作図を創り出した。
  《四季耕作図屏風(耕織図)》(六曲一双、江戸時代 17世紀、東京国立博物館所蔵)(※11月3日まで展示)は中国風俗で描かれるが、季節の並びは通常の四季耕作図と逆に、左隻から春が始まる。これは守景がよく使った手法だという。その理由はわかっていないが、自分を中心として屏風を周りに置く、「四方四季」の考え方によるのではないかともされる。これは洛中洛外図にもみられる方法だ。本作では険しい山々に囲まれて広がる田んぼや藁葺の家々で、四季の農作業風景が描かれるが、他の要素も多い。例えば、左隻の左端(第六扇)では庭で糸紡ぎをする二人の女性を、家の中から母親が見ているのだが、その後ろに甘えるよう立つ幼い子供。ふと目を上げると、山の斜面に草を食む動物たち。また家の二階で談笑する父と小さい息子など、微笑ましい光景が見える。田起こし、田植えから収穫へと、農作業も和気藹々と協力しながら進んでいるようだ。岩の形態や大樹の描き方は雪舟風で力強く、人々は繊細に実に生き生き表されている。
  《重要美術品 四季耕作図屏風 旧浅野家本》(六曲一双、江戸時代 17世紀、個人蔵)(※11月5日から展示)も中国風俗であり、左から季節が始まる。田植えの季節、突然の驟雨に入りきれないほどの人が一つの家に雨宿りするコミカルな様子や、雀と遊ぶ子供たちなど、本作でも見る者を和ませる場面が多くある。加賀の前田家より嫁した広島県浅野家に伝来した屏風であり、守景と加賀藩の関係が推測される作品である。
  一方、《四季耕作図屏風》(六曲一双、江戸時代 17世紀、個人蔵)(※11月9日まで展示)は和風の風俗で描かれ、季節の並びは通常の四季耕作図と同様に右から推移する。全体に緑や赤色の彩色が施され、日本の風景を描いた表現方法に柔らかい印象を受ける。山々や樹木の描き方などに師である狩野探幽の様式を使ったという。詳細を眺めると見入ってしまう。家の前で闘鶏が始まり、それをのんびりと楽しむ人たち。その先には田植えが行われている田んぼが広がる。川を行く船に乗り込んだ人々を、川向うから呼ぶ人たち。会話が聞こえてきそうだ。愛嬌ある動物もあちこちに描かれている。
  先日、本展の企画協力をなさった松嶋雅人さん(東京国立博物館 学芸研究部列品管理課 平常展調整室長)の記念講演が行われた。その中で松嶋さんは、「中国の四季耕作図は、12世紀にできた『耕織図詩』に南宋中期の画家である梁楷らが付けた挿絵が元となっていて、その系統の絵が日本に伝来しました。しかし守景の四季耕作図では漢詩そのものの内容を新しく絵画化した、との研究があります」と紹介してくださった。為政者にとっての最高の理想的風景を、守景は描こうとしたのだろうか。守景は和歌についても絵画化を試みたという。守景が生み出した傑作の背景も興味が尽きない。
  ■久隅守景とは
  久隅守景には謎がつきまとう。彼は江戸狩野派を築いた狩野探幽(1602~74)を師とし、その門下の四天王の筆頭として活躍した。探幽の名前「守信」から一字を拝領。京都の知恩院小方丈や大津の聖衆来迎寺客殿の障壁画の制作に異例の抜擢をされ、探幽の姪と結婚し、前途洋々だった。しかし狩野派随一の女性絵師となった娘・清原雪信(きよはらゆきのぶ)と、探幽門下の絵師となった息子・彦三郎の、二人の子供たちの不祥事により、守景は探幽の元を離れたといわれ、その後のことはわかっていない。家族と離れ離れになり、一時、加賀藩に滞在し、晩年には京都に移り住んだようだ。生没年も出身地も不明。年記の入った作品が少ないため、画歴の変遷もわからないという。
  確かなことは、守景が狩野派という後ろ盾を失い、家族が離散するという二重の逆境においても精力的に制作を続けたことだ。そして師が打ち立てた江戸狩野の筆法を基礎としながらも、雪舟流の水墨表現とやまと絵の表現を取り入れ、温かいまなざしを感じさせる独自の画風を確立した。なお守景は江戸狩野派出身の異色絵師として、風俗画に新境地をもたらした英一蝶(はなぶさいっちょう)(1652~1724)と並んで語られることも多い。
  また、守景の師であった狩野探幽であるが、彼は狩野孝信(1571~1618)の長男として、狩野永徳(1543~90)の孫として京都に生れた。探幽は室町中期から明治初期まで続いた日本の代表的な絵画の流派である狩野派の中興の祖。徳川幕府の用命を受け、幕藩体制の中での狩野派の不動の地位を築いた。それまでの豪壮な安土桃山様式を変化させ、余白の美を活かし肥痩のある線を用いた瀟洒淡泊な江戸狩野の画風を確立。代表作に二条城障壁画や名古屋城上洛殿障壁画などがある。古画を模写した『探幽縮図』も高く評価される。
  ■晩年期の《鷹狩図屏風》および《重要文化財 賀茂競馬・宇治茶摘図屏風》
  守景の晩年期の作品《鷹狩図屏風》(八曲一双、江戸時代 17世紀)(※11月5日より展示)は濃彩の屏風で、《国宝 納涼図屏風》と同様に代表作であり、ともに加賀藩前田家に招かれた際に制作したとされる。大画面に低い緑の丘が連なり、川が大きく緩やかに流れ、田畑が広がる。左から季節が移り、左隻が秋の小鷹狩、右隻が冬の大鷹狩だ。優雅な姿であるべき丹頂鶴や白鳥が俊敏で獰猛な鷹に追われ、逃げまどう。逃げる鶴や白鳥。追いかける鷹。それをさらに全速力で走って追う鷹匠や人々。犬も吠えながら追いかける。様々な方向の動きが交差し躍動的な画面をつくりだしている。この種の鳥を捕獲する鷹狩は、将軍家に許可された武家だけが可能だったという。
  また、《重要文化財 賀茂競馬・宇治茶摘図屏風》(六曲一双、江戸時代 17世紀、東京・大倉集古館所蔵)(※11月5日より展示)も濃彩の名作だ。右隻に春の茶摘み時期の宇治の様子を、左隻に賀茂別雷(わけいかづち)神社(現在の上賀茂神社)の神事である競馬を描く。守景が京都へ移住した最晩年の作とされる。勢いのある競馬とのんびりした宇治の情景が対照的だ。人々は打ち解けた様子で、どこからも楽しげな気分が伝わってくる。
  ■展覧会構成
  本展覧会は以下の五つの章から成り、守景の幅広い画業を紹介する。最後の章には彼の娘と息子の作品も展示し、守景家族の展覧会ともなっている。
第一章 狩野派からの出発 /第二章 四季耕作図の世界 /第三章 晩年期の作品-加賀から京都へ /第四章 守景の機知-人物・動物・植物 /第五章 守景の子供たち-雪信・彦十郎。
  《国宝 納涼図屏風》は、離散した自分の家族を重ねて描いたとも考えられるだろう。
  守景が今から300年以上前、苦しみの中で描き出した傑作の数々。是非ご覧下さい。

【参考文献】
1)池田芙美・内田 洸・柴橋大典(サントリー美術館)編集:『逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし』  (展覧会図録)、サントリー美術館 発行、2015年。(収載論文:池田芙美「久隅守景の魅力―身近なものへの寄り添うまなざし」/松嶋雅人「「納涼図」のひみつ―守景のまなざしの真実―」)

執筆:細川いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2015年10月)

※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。
20151029001
写真1 《鷹狩図屏風》、久隅守景筆、八曲一双のうち右隻(部分)、江戸時代 17世紀。
20151029002
写真2 《国宝 納涼図屏風》、久隅守景筆、二曲一隻、江戸時代 17世紀、東京国立博物館所蔵。
Image: TNM Image Archives
20151029003
写真3 会場風景。《四季耕作図屏風(耕織図)》、久隅守景筆、六曲一双、
江戸時代 17世紀、東京国立博物館所蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会英語表記】
KUSUMI MORIKAGE. From Adversity. a Gentle Gaze at Familiar Things
【会期・会場】

2015年10 月10日~11月29日  サントリー美術館
<電話> 03-3479-8600  
<詳細> http://suntory.jp/SMA/

※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

2015年10月30日