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NACT View 02 築地のはら ねずみっけ

開催中〜2023/05/29

国立新美術館

東京都・港区

美しい人びと 松園からローランサンまで

開催中〜2023/06/04

松岡美術館

東京都・港区

へザウィック・スタジオ展:共感する建築

開催中〜2023/06/04

東京シティビュー(屋内展望台)(六本木ヒルズ森タワー52F)

東京都・港区

深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ

開催中〜2023/06/04

東京都写真美術館

東京都・目黒区

アルフォンス・ ミュシャ展

開催中〜2023/06/04

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

特別展「明治美術狂想曲」

開催中〜2023/06/04

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

憧憬の地 ブルターニュ  ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

開催中〜2023/06/11

国立西洋美術館

東京都・台東区

ブルターニュの光と風 ー画家たちを魅了したフランス<辺境の地>

開催中〜2023/06/11

SOMPO美術館

東京都・新宿区

細川護熙 美の世界

開催中〜2023/06/11

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

山梨県立美術館コレクションREMIX

開催中〜2023/06/11

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

大阪の日本画

開催中〜2023/06/11

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

アール・ヌーヴォーのガラス – ガレとドームの自然賛歌 –

開催中〜2023/06/11

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―

開催中〜2023/06/11

国立工芸館

石川県・金沢市

ルーヴル美術館展 愛を描く

開催中〜2023/06/12

国立新美術館

東京都・港区

さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展

開催中〜2023/06/18

東京都現代美術館

東京都・江東区

麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン

開催中〜2023/06/18

世田谷美術館

東京都・世田谷区

MOTコレクション 被膜虚実/Breathing めぐる呼吸

開催中〜2023/06/18

東京都現代美術館

東京都・江東区

今井俊介 スカートと風景

開催中〜2023/06/18

東京オペラシティアートギャラリー

東京都・新宿区

奇想の絵師 歌川国芳

開催中〜2023/06/18

うらわ美術館

埼玉県・さいたま市

ベルギーと日本-光をえがき、命をかたどる

開催中〜2023/06/18

目黒区美術館

東京都・目黒区

川島理一郎展 ―― 描くことは即ち見ること

開催中〜2023/06/18

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家

開催中〜2023/06/18

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

ジョルジュ・ルオー ー かたち、色、ハーモニー ー(開館20周年記念展)

開催中〜2023/06/25

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「The Original」

開催中〜2023/06/25

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

東京都・港区

猪熊弦一郎展『いのくまさん』

開催中〜2023/06/25

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

末盛千枝子と舟越家の人々—絵本が生まれるとき—

開催中〜2023/06/25

市原湖畔美術館

千葉県・市原市

夢と自然の探求者たち―19世紀幻想版画、シュルレアリスム、現代日本の作家まで

開催中〜2023/06/25

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

豊島区立 熊谷守一美術館 特別企画展 熊谷守一美術館38周年展

開催中〜2023/07/02

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

名作展「1963→2023 龍子記念館開館60年の歩み」

開催中〜2023/07/02

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

企画展  救いのみほとけ  お地蔵さまの美術

開催中〜2023/07/02

根津美術館

東京都・港区

開館60周年記念 Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係

開催中〜2023/07/02

京都国立近代美術館

京都府・京都市

特集展示「修験と密教の美術 祖師とみほとけ」

開催中〜2023/07/09

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展

2023/06/03〜2023/07/09

そごう美術館

神奈川県・横浜市

発掘・植竹邦良 ニッポンの戦後を映す夢想空間

開催中〜2023/07/09

府中市美術館

東京都・府中市

【特別展】小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―

開催中〜2023/07/17

山種美術館

東京都・渋谷区

初夏展「細川家の茶道具 ―千利休と細川三斎―」

開催中〜2023/07/17

永青文庫

東京都・文京区

恐竜図鑑 ― 失われた世界の想像/創造

2023/05/31〜2023/07/22

上野の森美術館

東京都・台東区

特別展 木島櫻谷 ―山水夢中

2023/06/03〜2023/07/23

泉屋博古館東京

東京都・港区

蔡國強 宇宙遊 ―<原初火球>から始まる

2023/06/29〜2023/08/21

国立新美術館

東京都・港区

練馬区立美術館コレクション+ 植物と歩く

2023/07/02〜2023/08/25

練馬区立美術館

東京都・練馬区

企画展「北斎 大いなる山岳」

2023/06/20〜2023/08/27

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

オーストラリアの大地と空とそこに生きる私たち ディーン・ボーエン展

2023/07/08〜2023/08/27

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

マルク・シャガール 版にしるした光の詩(うた) 神奈川県立近代美術館コレクションから

2023/07/01〜2023/08/27

世田谷美術館

東京都・世田谷区

ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス

開催中〜2023/08/31

森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)

東京都・港区

ピーター・シスの闇と夢

2023/06/30〜2023/08/31

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

特別展「三井高利と越後屋―三井家創業期の事業と文化―」

2023/06/28〜2023/08/31

三井記念美術館

東京都・中央区

石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ

開催中〜2023/09/03

世田谷文学館

東京都・世田谷区

特別展「NEO 月でくらす展 〜宇宙開発は、月面移住の新時代へ!〜」

開催中〜2023/09/03

日本科学未来館

東京都・江東区

さとびとみやび

2023/06/24〜2023/09/03

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

特別展「古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン」

2023/06/16〜2023/09/03

東京国立博物館

東京都・台東区

浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展 聖地 南山城 ―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―

2023/07/08〜2023/09/03

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

憧れの東洋陶磁 ― 大阪市立東洋陶磁美術館の至宝

2023/07/11〜2023/09/03

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた

2023/07/04〜2023/09/03

国立西洋美術館

東京都・台東区

今日の彫刻 ― 富井大裕展

2023/07/08〜2023/09/03

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

土とともに 美術にみる〈農〉の世界 ―ミレー、ゴッホ、浅井忠から現代のアーティストまで―

2023/07/08〜2023/09/03

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

生誕100年 山下清展ー百年目の大回想

2023/06/24〜2023/09/10

SOMPO美術館

東京都・新宿区

三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions

2023/06/10〜2023/09/10

千葉市美術館

千葉県・千葉市

ホーム・スイート・ホーム

2023/06/24〜2023/09/10

国立国際美術館

大阪府・大阪市

企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」

開催中〜2023/09/12

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会

開催中〜2023/09/24

森美術館

東京都・港区

開館60周年記念 走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代

2023/07/19〜2023/09/24

京都国立近代美術館

京都府・京都市

水のいろ、水のかたち展

2023/07/07〜2023/09/24

国立工芸館

石川県・金沢市

芸術家たちの南仏

2023/07/02〜2023/09/24

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

夏季展「細川護立の愛した画家たち ―ポール・セザンヌ 梅原龍三郎 安井曾太郎―」

2023/07/29〜2023/09/24

永青文庫

東京都・文京区

テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ

2023/07/12〜2023/10/02

国立新美術館

東京都・港区

モネ、ルノワール 印象派の光

2023/06/20〜2023/10/09

松岡美術館

東京都・港区

瞳の奥にあるもの -表情でみる人物画展-

開催中〜2023/11/05

ホキ美術館

千葉県・千葉市

美しき時代(ベル・エポック)と異彩のジュエリー

開催中〜2023/11/26

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、 杉山寧から現代の作家まで

2023/07/15〜2023/12/03

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

Exhibitions

東京国立近代美術館70周年記念展
重要文化財の秘密

明治以降の日本近代美術がどう評価されてきたのか?

 国宝や重要文化財は、1950(昭和25)年制定の文化財保護法に基づいて指定される。明治以降の絵画・彫刻・工芸には、国宝は無い。重要文化財(重文)が68件だ。本展では内51件の重文が全国から揃った(展示替あり)。全部が重文の展覧会は史上初。それだけでも心が踊るが、本展では名作を眺めながら一作一作がなぜ重文指定となったのかを探り、日本近代美術がどう評価されてきたのか検証する。開館70周年の東京国立近代美術館が、鋭い投球を世に放つ。

東京国立近代美術館の会場風景(以下同様)。会場の入り口
東京国立近代美術館の会場風景(以下同様)。会場の入り口

日本画

 明治以降の近代美術で最初の重文指定は1955(昭和30)年。狩野芳崖(1828~88)および橋本雅邦(1835~1908)が明治時代に描いた2作ずつ4作品。二人は江戸幕府御用絵師の狩野派に学ぶが、明治維新を経て狩野派はその地位を失った。彼らはアーネスト・フェノロサや岡倉天心の助言のもと、伝統と西洋絵画の影響も取り入れた独創的な明治の日本画を追求。多くの後進を輩出した。
  
 雅邦らに学んだ横山大観(1868~1958)が、大正末期に描いた水墨画巻《生々流転》(重要文化財、1923〈大正12〉年、東京国立博物館)(※出品作品は全て重要文化財。以下、略)は圧巻だ。40m70cmもの長さ、縦55.3cmの大画面。巻いた状態だと7㎏超。会場では全体を広げて展示。山中の雲煙に始まり、一滴の水が集まり樹葉に宿り大地に浸み、せせらぎに渓流に大河に。やがて大海に注ぐ。その怒涛の海から躍り出た龍が暗黒の空に昇る。そして再び画巻の最初に戻るのだ。大観はこのような自然の循環を、季節の移ろい、時間の流れも重ねて構想し、墨だけで描写している。日本画で大気や光を表現できないかと、新しい日本画を模索し輪郭線を描かずに試み、かつて朦朧体と揶揄された大観だったが、本作では自家薬籠中のものとした。岩々の肩ぼかしや単純化の描法も奏功。今回仔細に眺めることができ、働く人々や馬や鶏、また山に遊ぶ鹿や猿などが愛情深く描かれていることに気づき、そのほのぼのとした味わいにも魅了された。また全体を辿ると、変化を遂げながら生き生きと連続し、最後はたっぷりさせて終曲する交響曲を眺めている気持ちにもなった。
  
 本作は大観の代表作。発表時も総じて高い評価を得、44年後の1967(昭和42)年に重文指定。発表から重文指定までの年月が最も短い作品だ。

横山大観《生々流転》 重要文化財 1923(大正12)年 東京国立博物館 ※通期展示。本作は1923年9月1日上野の竹の台陳列館で開幕した再興第十回院展にて発表。初日に関東大震災が起こり、直ちに閉会撤去となる。作品は奇跡的に無事だった。同展は10月から大阪に、年末から翌年初めに東京麹町の法政大学に巡回
横山大観《生々流転》 重要文化財 1923(大正12)年 東京国立博物館 ※通期展示。本作は1923年9月1日上野の竹の台陳列館で開幕した再興第十回院展にて発表。初日に関東大震災が起こり、直ちに閉会撤去となる。作品は奇跡的に無事だった。同展は10月から大阪に、年末から翌年初めに東京麹町の法政大学に巡回
横山大観《生々流転》部分 重要文化財 1923(大正12)年 東京国立博物館 ※通期展示
横山大観《生々流転》部分 重要文化財 1923(大正12)年 東京国立博物館 ※通期展示
横山大観《生々流転》部分 重要文化財 1923(大正12)年 東京国立博物館 ※通期展示
横山大観《生々流転》部分 重要文化財 1923(大正12)年 東京国立博物館 ※通期展示

 一方で発表時に酷評されたが、後に評価が高まる経緯をもつ重文も多い。今村紫紅(1880~1916)の2巻の画巻《熱国之巻》(1914〈大正3〉年、東京国立博物館)は、インドへの旅が主題。金砂子を撒き煌びやかで独特の境地。光る海に架かる虹の美しさに息をのむ。しかし発表時は主題、構図、大胆な色彩とも批判された。1968〈昭和43〉年の重文指定時には、逆にそれらが日本画の因習的制約を打ち破り新しい可能性を開いた要因とされ、高い評価を得た。

今村紫紅《熱国之巻》2巻の内「朝之巻」部分 重要文化財 1914(大正3)東京国立博物館) ※3/17~4/16展示
今村紫紅《熱国之巻》2巻の内「朝之巻」部分 重要文化財 1914(大正3)東京国立博物館) ※3/17~4/16展示

洋画

 萬鉄五郎(1885~1927)の油彩大作《裸体美人》(重要文化財、1912〈明治45〉年、東京国立近代美術館)は現在見ても衝撃的だ。緑と赤の色彩の対比。世の中を睥睨するような態度のモデル。デフォルメされた造形。縦長に寝そべる構図も面白い。本作が明治の最後の年に描かれた東京美術学校卒業制作と知ると驚く。同時に萬に喝采したくなる。日本に紹介され始めたゴッホやマティスの感化がある、と画家が回想している。美校での指導教官は、日本洋画界を牽引する黒田清輝(1866~1924)だった。
 
 本作発表時の席次は、西洋画科本科の卒業生19人中16位。悪評だった。その後、評価が大きく変化し、2000(平成12)年に重文指定。その理由は、「黒田清輝を中心とする外交派が主流の時代にあって[中略]、斬新で前衛的であり、個性的な芸術家を創出した大正時代の劈頭を飾る作品」とのことだ。

萬鉄五郎《裸体美人》 重要文化財 1912(明治45)年、東京国立近代美術館 ※通期展示
萬鉄五郎《裸体美人》 重要文化財 1912(明治45)年、東京国立近代美術館 ※通期展示

彫刻

 高村光雲(1852~1934)による木彫《老猿》(1893〈明治26〉年、東京国立博物館)の存在感に圧倒された。ぐるりと廻ってみた。手に鷲の羽を握り上空を睨む。シカゴ・コロンブス博に出品のため依頼を受けて制作。光雲は江戸仏師としての伝統と写実性を重ねた。1999(平成11)年に重文指定。一方、オーギュスト・ロダンの影響を受けた荻原守衛(1879~1910)の彫刻は、30年前に指定された。

高村光雲《老猿》 重要文化財 1893(明治26)年 東京国立博物館 ※通期展示
高村光雲《老猿》 重要文化財 1893(明治26)年 東京国立博物館 ※通期展示

重要文化財指定の年表もじっくり見る

 展覧会を最後まで辿った後、最初のほうに掲示されている「重要文化財指定年表(近代の絵画・彫刻・工芸)」に戻って、再度よく眺めてみた。重要文化財に指定された順に68件の作品写真を配置してある。重文指定が皆無の長い期間が2か所、存在する。複数作品が重文指定である作家が意外に多いことにも気づいた。
  
 本展を企画した大谷省吾 東京国立近代美術館副館長は、記者会見で「近代美術そのものが従来の価値観を揺さぶろうとしてつくられているので、評価基準は更新されるべき」「研究の進展により評価軸が動く」「平成以降は評価軸が多様化していると思われる」と語った。
 
 「重要文化財の秘密」展は、今後に向けても大きな構えの、見応え充分の展覧会だ。
 
 
【参考文献】
1)大谷省吾・花井久穂 構成、大谷省吾・花井久穂・中村麗子・増田美和子・三宅さくら 編集:『東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密』(展覧会図録)、毎日新聞社・日本経済新聞社・東京国立近代美術館 発行、2023年
2)齋藤隆三:『日本美術院史』、中央公論美術出版、1974年
 
執筆・写真:細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi)
(2023年4月)
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密
Secrets of National Important Cultural Properties
An Exhibition Celebrating the 70 th Anniversary of The National Museum of Modern Art, Tokyo
 
【会期・会場】
2023年3月17日(金)~5月14日(日) 東京国立近代美術館(東京都・千代田区)
※詳細は公式サイトでご確認ください。
展覧会サイト https://jubun2023.jp