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特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

開催中〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

開催中〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

ベル・エポックー美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

開催中〜2024/06/16

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

昭和モダン×百段階段 ~東京モダンガールライフ~

開催中〜2024/06/16

ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」

東京都・目黒区

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO

開催中〜2024/06/16

東京オペラシティアートギャラリー

東京都・新宿区

板倉鼎・須美子展

開催中〜2024/06/16

千葉市美術館

千葉県・千葉市

高橋由一から黒田清輝へ ―明治洋画壇の世代交代劇―

開催中〜2024/06/16

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

ここに いても いい リトゥンアフターワーズ 山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口

開催中〜2024/06/16

アーツ前橋

群馬県・前橋市

“オモシロイフク”大図鑑

開催中〜2024/06/22

文化学園服飾博物館

東京都・渋谷区

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

開催中〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

開催中〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴

開催中〜2024/06/23

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

驚異の細密表現展 ―江戸・明治の工芸から現代アートまで―

開催中〜2024/06/23

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

没後70年 戦争を越えて―写真家ロバート・キャパ、愛と共感の眼差し―

開催中〜2024/06/23

東京富士美術館

東京都・八王子市

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

開催中〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

開催中〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

創刊50周年記念 花とゆめ展

開催中〜2024/06/30

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52 階)

東京都・港区

KAGAYA 星空の世界 天空の贈り物

開催中〜2024/07/01

そごう美術館

神奈川県・横浜市

三島喜美代―未来への記憶

開催中〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

石岡瑛子 I デザイン

開催中〜2024/07/07

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

Beautiful Japan 吉田初三郎の世界

開催中〜2024/07/07

府中市美術館

東京都・府中市

ふたり 矢部太郎展

開催中〜2024/07/07

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/Eye to Eye-見ること

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

ホー・ツーニェン エージェントのA 

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―

開催中〜2024/07/07

山種美術館

東京都・渋谷区

TOPコレクション 時間旅行 ― 千二百箇月の過去とかんずる方角から

開催中〜2024/07/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

企画展 歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界

開催中〜2024/07/21

泉屋博古館東京

東京都・港区

藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928年

開催中〜2024/07/23

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

「石川九楊大全」

開催中〜2024/07/28

上野の森美術館

東京都・台東区

国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘

開催中〜2024/07/28

太田記念美術館

東京都・渋谷区

企画展「未来のかけら 科学とデザインの実験室」

開催中〜2024/08/12

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

東京都・港区

生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界

開催中〜2024/08/25

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展「北斎 グレートウェーブ・インパクト —神奈川沖浪 裏の誕生と軌跡—」

2024/06/18〜2024/08/25

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション

開催中〜2024/08/25

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙

開催中〜2024/08/25

国立西洋美術館

東京都・台東区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

開催中〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

開催中〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

伊藤潤二展 誘惑

開催中〜2024/09/01

世田谷文学館

東京都・世田谷区

音を観る ―変化観音と観音変化身―

開催中〜2024/09/01

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

アートキャンプ白州 2024 Camp and Art in Each Heart!

2024/07/06〜2024/09/01

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

エドワード・ゴーリーを巡る旅

2024/07/06〜2024/09/01

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

カルダー:そよぐ、感じる、日本

開催中〜2024/09/06

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

日本のまんなかでアートをさけんでみる

開催中〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」

2024/07/17〜2024/09/08

東京国立博物館

東京都・台東区

開館20周年記念 山梨放送開局70周年 平山郁夫 -仏教伝来と旅の軌跡

開催中〜2024/09/09

平山郁夫シルクロード美術館

山梨県・北杜市

フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線

2024/06/22〜2024/09/23

SOMPO美術館

東京都・新宿区

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

2024/07/13〜2024/09/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

吉田克朗展 ものに、風景に、世界に触れる

2024/07/13〜2024/09/23

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

2024/07/06〜2024/09/29

東京富士美術館

東京都・八王子市

梅津庸一 クリスタルパレス

開催中〜2024/10/06

国立国際美術館

大阪府・大阪市

大地に耳をすます 気配と手ざわり

2024/07/20〜2024/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

レガシー ―美を受け継ぐ モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ

2024/06/18〜2024/10/13

松岡美術館

東京都・港区

企画展「作家の視線― 過去と現在、そして…」

開催中〜2024/11/11

ホキ美術館

千葉県・千葉市

Exhibitions

新・北斎展 HOKUSAI UPDATED

北斎の真の姿とは?
東京・六本木の森アーツセンターギャラリーにて、3月24日まで開催。

 ■《雨中の虎図》と《雲龍図》
 左に唸り声を上げる虎。右に漆黒の雲の中に身体をくねらせた龍。互いににらみ合い、どちらも譲らない。その迫力にしばし動きがとれず、見入った。葛飾北斎が最晩年に描いた肉筆作品《雨中の虎図》(紙本一幅 嘉永2年(1849)、太田記念美術館)と≪雲龍図≫(紙本一幅 嘉永2年(1849)、ギメ美術館)(★ともに3月4日までの展示)(※作品の画家は全て葛飾北斎。以下略)の対幅作品(一対の作品)だ。《雨中の虎図》が着彩、《雲龍図》が墨色を基調とするという組合せも面白い。《雨中の虎図》では虎に陰影を施した西洋画法風をとりいれ、雨は刷毛を使った豪快な筆さばきで絵の凄みを増幅する。この二作品は東京とパリにそれぞれ独立した作品として所蔵されていたが、2005年にパリで調査中の永田生慈氏が対幅作品であることを発見し、研究者たちに衝撃を与えた。

 ■永田生慈コレクションを軸に、北斎の全貌を通覧
 葛飾北斎(1760~1849年)は、数え90歳(以後、年齢は全て数え年)までの生涯を通して、あくなき画業を追究した。北斎の画業全体を通覧する大規模な展覧会が開催中だ。監修は、北斎研究の第一人者で、地道な研究を積み重ね、上記のような重要な発見を多く成した永田生慈氏(1951~2018年)(元 太田記念美術館副館長、元 葛飾北斎美術館館長)による。

 本展は、①北斎の作品として世界的によく知られる「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』だけではない、北斎の約70年に及ぶ画業の全貌を見てほしい、②北斎研究の進展状況を知ってほしい、との趣旨で企画された。約10年をかけて準備し、このたび実現が叶ったが、永田氏は2018年2月に66歳で逝去された。永田氏は生前、個人所蔵する2000件を超える北斎コレクションを自身の故郷にある島根県立美術館に寄贈。本展は、永田コレクションを軸に、国内外から精選した傑作や優品を加え、会期全期で約480件の作品により構成する。

 展覧会タイトルのうちの「UPDATED」は、生涯に約30回も画号を変えた北斎が、その度に脱皮するように新しい画風に挑戦したことを意味する。会場では北斎の代表的な画号を六つ選び、六章でその生涯の作品の変遷を辿り、北斎の真の姿を浮かび上がらせる。

 ■1 春朗(しゅんろう)期―デビュー期の多彩な作品[20~35歳頃/1779~94年]
(※六つの見出しに付した年齢と年代区分は、おおよそのもの)
 北斎の作品には、大きくいうと、版画、版本挿絵および肉筆画がある。版画は、明和2年(1765)に錦絵という多色摺木版画が鈴木春信(1725~70年)らにより誕生した。宝暦10年(1760)、江戸に生まれた北斎はこの頃は6歳。好んで物の形を写すようになる、とされる。その後、木版彫の技術を学んだともいわれ、19歳のとき役者絵で人気を博した勝川春章に入門し、20歳で勝川春朗の号で作品を発表しはじめた。

 よって、本展は北斎が歌舞伎の役者を描いた錦絵で始まる。見栄をきる花形役者の錦絵が並ぶ。「新版七へんげ 三階伊達の姿見 沢村宗十郎」(細判、寛政3年(1791)頃、日本浮世絵博物館)は、六つの衣裳を切り抜いて役者の絵に着せて、七変化とする楽しい趣向。寺の外観や歌舞伎小屋内部を西洋画の透視図法を取り入れて描いた浮絵版画も出品。

 ■2 宗理(そうり)期―宗理様式の展開[36~46歳頃/1795~1805年]
 北斎は浮世絵の勝川派を去った後、不思議なことに全く異なる琳派の俵屋宗理の号を襲名。画風がガラッと変化。格段に上達した画技による宗理様式を確立し、評判をとった。

 肉筆画の作品が増える。《玉巵弾琴図(ぎょくしだんきんず)》(紙本双幅、寛政8年(1796)頃、個人蔵)は、やや下方を見る上品な中国美人と、彼女が弾く琴をかかえた龍を描いた双幅で、強い存在感。北斎がこの時期に多く描いた、細身で楚々とした瓜実顔の女性像は宗理美人と称された。また通常の版画とは異なって、私的な配り物のために最高の木版技術により制作する摺物も数多く手掛けた。本展では、《津和野藩伝来摺物》(寛政元年~12年(1789~1800)、島根県立美術館(永田コレクション))を初めて全118点公開。大小暦、俳諧摺物、狂歌摺物を含むもので、その洗練された表現に息をのむ。

 この頃、版本の傑作も刊行。『絵本隅田川両岸一覧』(大本3冊、刊年不詳、島根県立美術館(永田コレクション))である。隅田川を遡る情景を鮮やかに描いた3冊本だが、全ての絵が絵巻のようにつながり、かつ見開頁ごとに美しい場面。季節も移り変わる。どうしてこのようなものを北斎は創案し、実現できたのか。北斎の機知に驚愕させられる。

 ■3 葛飾北斎期―読本挿絵への傾注[46~50歳頃/1805~1809年]
 北斎という名は、彼が日蓮宗の、特に妙見菩薩を尊崇していて、妙見菩薩が北斗七星の化身であることによるといわれる。この時期、北斎が手腕を発揮したのが、版本の中で長編の複雑な内容をもつ読本挿絵だった。『新編水滸画伝』初編初帙(半紙本6冊、文化2年(1805)、島根県立美術館(永田コレクション))や『鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月』前編(半紙本6冊、文化4年(1807)、島根県立美術館(永田コレクション))は、曲亭馬琴(1767~1848年)作の物語に、北斎が墨色だけで創意をめぐらして挿絵を描き、両者の代表作となった。豪快で力強い漢画的な画面が展開する。

 肉筆画の《酔余美人図》(絹本一幅、文化4年(1807)頃、公益財団法人 氏家浮世絵コレクション)(★展示終了)や《五美人図》(絹本一幅、文化中期(1808~13)頃、細見美術館)は、宗理美人とは異なる艶やかさをもつ。《円窓の美人図》(絹本額面、文化2年(1805)頃、シンシナティ美術館)では上半身をクローズアップした構図で、裏彩色を行い絶妙な肌色を表現。一方で奇抜な興趣の作品も登場する。《鯉亀図》(紙本一幅、文化10年(1813)、埼玉県立歴史と民俗の博物館)は墨色を基軸に水の流れと泳ぐ鯉と亀を描くが、幾何学的な造形と不思議な時間感覚が混じり、印象深い。

 ■4 戴斗(たいと)期―『北斎漫画』の誕生[51~60歳頃/1810~19年]
 この時期、北斎は絵手本という版本を多く手掛けた。絵手本とは、絵を学ぶための手本で、約200名の門人や、私淑者のためにつくったといわれる。

 名古屋で出版したのが、『北斎漫画』だ。当初、一冊の予定だったが、人気が出て最後の十五編は、北斎没後の刊行となった。会場では全編を見ることができる(『北斎漫画』初編再刻本/二~十五編(各:半紙本1冊、文化11年(1814)~明治11年(1878)、島根県立美術館(永田コレクション))。動植物、人々の生活やしぐさ。ありとあらゆるものがある。にゅうっと現れた幽霊に驚く坊主もいる。全てが見事な線描で生き生きと描かれ、見飽きることがない。19世紀末、日本美術がフランスを中心とする西洋の芸術に大きな影響を与え、その西洋美術の動向をジャポニスムと呼んだ。印象派の画家らが最も注目し吸収したのが、『北斎漫画』と、後述する「冨嶽三十六景」だった。当時、江戸や外国で『北斎漫画』を見た人の高揚感と、現在の我々の気持ちは変わらないだろう。

 手本通りの順序で描くと絵ができる『略画早指南』(中本2冊、文化9年(1812)頃、島根県立美術館(永田コレクション))も楽しい。同じ対象の三つの姿を真行草として描いた『三体画譜』(半紙本1冊、文化13年(1816)、島根県立美術館(永田コレクション))は、北斎の卓抜な表現への鍛錬の一つを教えてくれる。

 ■5 為一(いいつ)期―北斎を象徴する時代[61~75歳頃/1820~34年]
 北斎といえば、誰もが思い浮かぶのが、傑作の錦絵連作「冨嶽三十六景」だが、これは北斎70代初期の作品。実際は46枚を制作。従来の名所絵とは異なり、北斎は富士山というモチーフの変化の表現に挑んだ。会場には、保存状態のよい鮮やかな作品が展示されている。画面一杯に豪快に盛り上がる青色の大波。手のような白い波頭。翻弄される小舟。そして彼方に白い富士。少ない色数で描かれたこの「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(横大判、天保初期(1830~34)頃、島根県立美術館(新庄コレクション))は、あまりにも有名だが、あらためて熟視すると北斎の芸術性の高さに感じ入る。「冨嶽三十六景 東都浅草本願寺」(横大判、天保初期(1830~34)頃、島根県立美術館)は、浅草にある本願寺の屋根の形と富士山の相似形に、凧が風を受け揺らいでいるという構図が秀逸。藍色で刷られ、正月の清々しさが伝わる。

 北斎はこの頃の数年間に集中的に「冨嶽三十六景」のほか、「諸国名橋奇覧」「諸国瀧廻り」など、錦絵連作の代表作を生み出した。なお、天保4年(1833)頃から北斎より37歳年下の歌川広重(1797~1848年)による「東海道五十三次」の刊行が始まっている。

 ■6 画狂老人卍期―さらなる画技への希求[75~90歳頃/1834~49年]
 北斎は最晩年に肉筆画を数多く制作し、一作ごとに自分の年齢を書き入れる。力のこもった作品群が会場の最後の部屋に並んでいる。

 細長い画面に一本のヒマワリだけを描いた《向日葵図》(紙本一幅、弘化4年(1847)、シンシナティ美術館)は国内初公開。北斎88歳の作品だ。ヒマワリを支える竹が画面を突っきる。陰影法の西洋画法も使用し、独特の雰囲気を醸す。

 《弘法大師修法図》(紙本一幅、弘化年間(1844~47)、西新井大師總持寺)は、北斎の肉筆では最大の縦約1.5m、横約2.4mの大画面。元は額絵。大変な迫力だ。本作は永田生慈氏が研究のなかで西新井大師總持寺にあるはずだと考え、1983年の調査で発見した。漆黒の闇を背景に、左に摑みかからんばかりの鬼、右に念仏を唱える弘法大師を配す。弘法大師の傍らには鬼におびえた犬が木に絡まるようにして吠える。夜空に細い三日月。鬼は流行していた疫病を表し、本作はこの地を訪問した弘法大師が疫病を鎮めた逸話を描く。鬼と犬の動と、弘法大師の静が対比する息詰まる場面を、力強い線描で描写。一方、暗い背景をよく見ると、金箔や草花も浮かび、装飾的でもある。

 冒頭に記した《雨中の虎図》と《雲龍図》も北斎没年の作品だ。そして絶筆に近いとされる《富士越龍図》(絹本一幅、嘉永2年(1849)、一般財団法人 北斎館)では、富士の上の暗黒の雲のなか、真っ直ぐ空に顔を向けて龍が昇っていく。

 明治26年(1893)に飯島虚心(1841~1901年)が『葛飾北斎伝』にて、北斎が90歳で亡くなる直前、娘の阿栄に語った言葉を記述している。「あと10年、いや5年だけでも命があれば真の絵師になれたのに」との意味の言葉を言い残し、彼岸へ旅立った、と。

 ■「本展で、新しい北斎を見つけてほしい」 
 本展開幕前のプレス内覧会で、本展キュレーターの浮世絵研究家 根岸美佳氏が、永田氏の熱い思いを伝えてくださった。「永田生慈さんは、北斎は全く違う顔を沢山もっている。本展で北斎の真の姿を知ってほしい、新しい北斎を見つけてほしい、と語っておられました」と。


【参考文献】
1) 永田生慈 監修:『新・北斎展 HOKUSAI UPDATED』(展覧会図録)、岩切友里子・根岸美佳・日本経済新聞社文化事業部・NHK・NHKプロモーション 編集、日本経済新聞社・NHK・NHKプロモーション 発行、2019年。
2) 永田生慈:『葛飾北斎の本懐』、KADOKAWA、2017年。
3) 永田生慈 監修:『もっと知りたい 葛飾北斎 生涯と作品』、東京美術、2005年。
4) 飯島虚心著、鈴木重三校注『葛飾北斎伝』、岩波書店(岩波文庫)、1999年。

執筆:細川 いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2019年2月)


※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。


写真1 会場風景。
葛飾北斎《円窓の美人図》、絹本額面、文化2年(1805)頃、シンシナティ美術館、通期展示。
(撮影:I.HOSOKAWA)


写真2 会場風景。
右手前が、葛飾北斎『北斎漫画』十編、半紙本1冊、文政2年(1819)、
島根県立美術館(永田コレクション)、通期展示(※頁替えあり)。
(撮影:I.HOSOKAWA)


写真3 会場風景。
右から、葛飾北斎《向日葵図》、紙本一幅、弘化4年(1847)、シンシナティ美術館、通期展示。
葛飾北斎《月みる虎図》、紙本一幅、天保15年(1844)、島根県立美術館(永田コレクション)
(★《月みる虎図》は展示終了)。
(撮影:I.HOSOKAWA)


写真4 会場風景。左手前が、葛飾北斎《弘法大師修法図》、紙本一幅、弘化年間(1844~47)、
西新井大師總持寺、通期展示。
(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会名】
新・北斎展
HOKUSAI UPDATED
【会期・会場】
2019年1月17日 ~3月24日  森アーツセンターギャラリー
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式HP https://hokusai2019.jp/

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