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印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957-1979

開催中〜2024/03/03

国立工芸館

石川県・金沢市

MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ

開催中〜2024/03/03

東京都現代美術館

東京都・江東区

皇居三の丸尚蔵館 開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」第 2 期:「近代皇室を彩る技と美」

開催中〜2024/03/03

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

[公募展] Seed 山種美術館 日本画アワード 2024 ― 未来をになう日本画新世代 ―

開催中〜2024/03/03

山種美術館

東京都・渋谷区

坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア

開催中〜2024/03/10

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA

東京都・新宿区

豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表

開催中〜2024/03/10

東京都現代美術館

東京都・江東区

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「もじ イメージ Graphic 展」

開催中〜2024/03/10

21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2

東京都・港区

MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/特集展示 横尾忠則―水のように/生誕100年 サム・フランシス

開催中〜2024/03/10

東京都現代美術館

東京都・江東区

特別展「本阿弥光悦の大宇宙」

開催中〜2024/03/10

東京国立博物館

東京都・台東区

都市にひそむミエナイモノ展 Invisibles in the Neo City

開催中〜2024/03/10

SusHi Tech Square 1F Space

東京都・千代田区

水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~

開催中〜2024/03/10

そごう美術館

神奈川県・横浜市

FACE展2024

開催中〜2024/03/10

SOMPO美術館

東京都・新宿区

和田誠 映画の仕事

開催中〜2024/03/24

国立映画アーカイブ

東京都・中央区

ムットーニワールド からくりシアターⅤ

開催中〜2024/03/24

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎

開催中〜2024/03/24

サントリー美術館

東京都・港区

ニャラティブ! ‐物語から見る招き猫亭コレクションと現代作家展‐

開催中〜2024/03/24

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 6『メニスル』

開催中〜2024/03/24

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

企画展 「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画 「謎解き奥高麗茶碗」

開催中〜2024/03/26

根津美術館

東京都・港区

VOCA展2024 現代美術の展望-新しい平面の作家たち

2024/03/14〜2024/03/30

上野の森美術館

東京都・台東区

森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために

開催中〜2024/03/31

森美術館

東京都・港区

tupera tupera + 遠藤幹子 しつもんパーク in 彫刻の森美術館

開催中〜2024/03/31

彫刻の森美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「いざ、勝負!」

開催中〜2024/03/31

北斎館

長野県・小布施町

岩﨑家のお雛さま

開催中〜2024/03/31

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

岡田健太郎―重なる景体

開催中〜2024/04/07

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

三井家のおひなさま 特別展示 丸平文庫所蔵 京のひなかざり

開催中〜2024/04/07

三井記念美術館

東京都・中央区

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

開催中〜2024/04/07

東京都美術館

東京都・台東区

美術家たちの沿線物語 小田急線篇

開催中〜2024/04/07

世田谷美術館

東京都・世田谷区

魔女まじょ展

開催中〜2024/04/08

魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)2階ギャラリー

東京都・江戸川区

初公開の仏教美術 ―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―

開催中〜2024/04/14

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

櫻井翔 未来への言葉展 PLAYFUL!

開催中〜2024/04/14

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

令和5年度早春展 中国陶磁の色彩 ―2000年のいろどり―

開催中〜2024/04/14

永青文庫

東京都・文京区

英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり

開催中〜2024/04/14

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

建立900年 特別展 中尊寺金色堂

開催中〜2024/04/14

東京国立博物館

東京都・台東区

生誕150年 池上秀畝―高精細画人―

2024/03/16〜2024/04/21

練馬区立美術館

東京都・練馬区

須藤玲子:NUNOの布づくり

開催中〜2024/05/06

水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場

茨城県・水戸市

春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術

2024/03/09〜2024/05/06

府中市美術館

東京都・府中市

第5回「私の代表作」展

開催中〜2024/05/12

ホキ美術館

千葉県・千葉市

ライトアップ木島櫻谷 ― 四季連作大屏風と沁みる『生写し』

2024/03/16〜2024/05/12

泉屋博古館東京

東京都・港区

イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い

2024/03/10〜2024/05/12

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン

開催中〜2024/05/19

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

2024/03/16〜2024/05/19

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

マティス 自由なフォルム

開催中〜2024/05/27

国立新美術館

東京都・港区

金屏風の祭典 ——黄金の世界へようこそ

開催中〜2024/06/02

岡田美術館

神奈川県・箱根町

日本の山海

開催中〜2024/06/02

松岡美術館

東京都・港区

卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展

2024/03/19〜2024/06/02

国立工芸館

石川県・金沢市

遠距離現在 Universal / Remote

2024/03/06〜2024/06/03

国立新美術館

東京都・港区

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

2024/03/15〜2024/06/09

芸術祭(横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路)

神奈川県・横浜市

北欧の神秘ーノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画

2024/03/23〜2024/06/09

SOMPO美術館

東京都・新宿区

記憶:リメンブランス-現代写真・映像の表現から

開催中〜2024/06/09

東京都写真美術館

東京都・目黒区

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

2024/03/15〜2024/06/09

BankART Station

神奈川県・横浜市

企画展「北斎と感情」

2024/04/06〜2024/06/09

北斎館

長野県・小布施町

特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

2024/03/16〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

2024/04/18〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

2024/04/27〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

2024/04/27〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

2024/03/09〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

2024/04/16〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

民藝 MINGEI—美は暮らしのなかにある

2024/04/24〜2024/06/30

世田谷美術館

東京都・世田谷区

三島喜美代―未来への記憶

2024/05/19〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

2024/04/24〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

2024/04/13〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

日本のまんなかでアートをさけんでみる

2024/03/16〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

パナソニック汐留美術館の会場風景(以下同様)。 フランク・ロイド・ライト《クーンリー・プレイハウス幼稚園の窓ガラス》1912年頃 豊田市美術館蔵。イリノイ州リバーサイドの近代的な教育理念に基づく幼稚園。

Exhibitions

帝国ホテル二代目本館100周年
フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築

有機的建築を提唱したライト。その全貌に迫る

 アメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(1867~1959)の先駆的な点を取り上げるなかで全貌を紹介する大規模な展覧会が開催中だ。彼は、ル・コルビュジエ(1887~1956)、ミース・ファン・デル・ローエ(1886~1960)とともに近代建築の三巨匠といわれる。ライトは91年の長い生涯で、水平性を強調した一連のプレイリー・ハウスから、ユニティ・テンプル、自邸兼教育の場タリアセン及びタリアセン・ウェスト、カウフマン邸(落水荘)、グッゲンハイム美術館など多様な建築を設計した。日本との関係は深く、東京の帝国ホテル二代目本館は前期から中期にかけての代表作だ。ライトは一貫して、自然との共生を、環境とのつながりを重視する「有機的建築」を唱えた。
 
 本展監修は、ケン・タダシ・オオシマ ワシントン大学教授及びジェニファー・グレイ氏(フランク・ロイド・ライト財団副代表、タリアセン・インスティチュート ディレクター)。昨年より3館を巡回する。本記事は東京のパナソニック汐留美術館で取材した。

会場をまず足速に廻ってみる

 内容の濃い展覧会だ。まずはさっと会場全体を廻ってみた。ライトによる精緻で美しいドローイングが多数展示され、建築模型、家具、書籍なども見える。正円のデザインをいくつか発見。洗練されていて楽しげだ。水平のイメージが強いライト建築だが、驚くべき超高層も! 
 以下、帝国ホテルを中心に紹介したい。

パナソニック汐留美術館の会場風景(以下同様)。 フランク・ロイド・ライト《クーンリー・プレイハウス幼稚園の窓ガラス》1912年頃 豊田市美術館蔵。イリノイ州リバーサイドの近代的な教育理念に基づく幼稚園。
パナソニック汐留美術館の会場風景(以下同様)。 フランク・ロイド・ライト《クーンリー・プレイハウス幼稚園の窓ガラス》1912年頃 豊田市美術館蔵。イリノイ州リバーサイドの近代的な教育理念に基づく幼稚園。
左から、フランク・ロイド・ライト《マイル・ハイ・イリノイ計画案》1956年 透視図 コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵 The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)。シカゴの528階建て高層建築案。周辺に他の高層ビル建てる必要を減らす目的をもつ。右は、デザイン:フランク・ロイド・ライト《花入れ》製作:ジェームズ・A.ミラー&ブラザー工房 1900年頃 豊田市美術館蔵
左から、フランク・ロイド・ライト《マイル・ハイ・イリノイ計画案》1956年 透視図 コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵 The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)。シカゴの528階建て高層建築案。周辺に他の高層ビル建てる必要を減らす目的をもつ。右は、デザイン:フランク・ロイド・ライト《花入れ》製作:ジェームズ・A.ミラー&ブラザー工房 1900年頃 豊田市美術館蔵

熱心な浮世絵コレクター/建築ドローイングへの影響

 米国ウィスコンシン州で生まれ育ったライトは、長じてシカゴのアドラー&サリヴァン事務所で修業し、その後独立。1893年に開催されたシカゴ万博の日本館「鳳凰殿」は平等院鳳凰堂を模したもの。ライトはその建築現場を時々訪れたとされる。彼にとって初めての海外は1905年の日本旅行だった。浮世絵を多数入手し、帰国後浮世絵展を開催し、解説を出版。ライトは熱心な浮世絵のコレクター、ディーラーであり、日本美術や建築に親しんだ。本展会場でライトの建築ドローイングが歌川広重の浮世絵と並び、影響が読み取れる。手前に大きく植栽を描き、建築と自然との調和を主張。それは彼のドローイングの特徴となる。

左から、歌川広重《江戸名所百景 真間の紅葉手古那の社継はし》1857年 神奈川県立歴史博物館 [展示期間:1月11日~2月13日]。フランク・ロイド・ライト、レンダリング:マリオン・マホニー《デローズ邸》インディアナ州サウスベンド 1906年 透視図 コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵 The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)
左から、歌川広重《江戸名所百景 真間の紅葉手古那の社継はし》1857年 神奈川県立歴史博物館 [展示期間:1月11日~2月13日]。フランク・ロイド・ライト、レンダリング:マリオン・マホニー《デローズ邸》インディアナ州サウスベンド 1906年 透視図 コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵 The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)

帝国ホテル二代目本館:大谷石/すだれ煉瓦/浮き筏基礎/総合芸術

 1913年、ライトは帝国ホテル支配人 林愛作と会い、2回目の訪日を果した。その後ライトは1922年まで延べ3年間日本に滞在し、帝国ホテルを設計。生涯で最も大規模な建築となる。ライトは「自分では成功したと思っている。あの時点でできたことは、すべてあの作品に込められている」と記した(※文献2『自然の家』266頁)。
 
 全体構成は日本の寺院建築から影響が指摘されるが、本展では帝国ホテルに、メソアメリカやアジアを含む広い世界の交差を見る。ライトは第一案を練ったあと、素材を変換した。鉄筋コンクリートの上に張る中空のタイル「すだれ煉瓦」を開発し、これを日本でありふれた、しかし変幻自在の大谷石によって補強する第2案を考案し、実施した。

《模型(3Dスキャン&3Dプリンタによる)帝国ホテル二代目本館》建築:フランク・ロイド・ライト 制作:京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 製作:2023年
《模型(3Dスキャン&3Dプリンタによる)帝国ホテル二代目本館》建築:フランク・ロイド・ライト 制作:京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 製作:2023年

 筆者は以前、愛知県犬山市の博物館明治村で、一部だけ移築された帝国ホテルを見学した。大谷石でおおわれた重厚な外観にもまた内部にも圧倒され、そして心踊った。正面玄関を入ると、吹き抜けロビーの空間が広がり、幾何学文様の装飾に満たされていた。
 館内には日本初のホテル内アーケードが設置され、最上階は宴会場「孔雀の間」を設け、全体にわたって相当複雑な空間だったようだ。ライトは椅子やテーブル、食器もデザインし、総合芸術としての建築を実現させた。電気設備の充実も特筆される。

左から、デザイン:フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館 椅子「ピーコック・チェア」》デザイン:1913年頃 製作:1930年頃 豊田市美術館蔵。 右手前は、デザイン フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館 椅子》修復:渡邊謙一郎 デザイン: 1920年頃 修復:2023年
左から、デザイン:フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館 椅子「ピーコック・チェア」》デザイン:1913年頃 製作:1930年頃 豊田市美術館蔵。 右手前は、デザイン フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館 椅子》修復:渡邊謙一郎 デザイン: 1920年頃 修復:2023年
デザイン:フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館 キャバレー・レストランで用いられたディナーウェア》再製作:ノリタケ・カンパニー。デザイン:1916~22年頃。再製作:1962~68年 豊田市美術館蔵
デザイン:フランク・ロイド・ライト《帝国ホテル二代目本館 キャバレー・レストランで用いられたディナーウェア》再製作:ノリタケ・カンパニー。デザイン:1916~22年頃。再製作:1962~68年 豊田市美術館蔵
2作品とも、アントニン・レーモンド《帝国ホテルの建設現場で働く日本の職人たちの空想的スケッチ》 北澤興一コレクション。建築家レーモンドはライトから誘われて帝国ホテルの仕事に一年余り関わった。
2作品とも、アントニン・レーモンド《帝国ホテルの建設現場で働く日本の職人たちの空想的スケッチ》 北澤興一コレクション。建築家レーモンドはライトから誘われて帝国ホテルの仕事に一年余り関わった。

 1923年9月1日の竣工披露式典当日、関東大震災が起こった。ホテルは奇跡的に倒壊を免れた。ライトは設計に当たって、ホテルを、もと入江だった日比谷の軟弱地盤の「海に浮かぶ船」と考え、基礎の杭を短くし、建物20mごとに伸縮継ぎ手をつくる「浮き筏基礎」という耐震構造を考案していたのだ。シカゴの湿地での建築設計で学んだ成果だった。
 
 ライトによる帝国ホテル二代目本館は、「東洋の宝石」と称され、親しまれたが、1970年大阪万博を見据え、玄関ロビー部分のみ博物館明治村に移築し、他は解体された。なお初代帝国ホテルは1890年開業。現在建つ帝国ホテルは三代目で、高橋貞太郎(1892~1970)の設計。
 そして四代目の帝国ホテル新本館が、2036年完成を目指して進行中である。設計者に活躍中の田根剛(1979~)が選ばれ、2022年にイメージパースが発表された。

水平性と垂直性/農業を重視する未来構想

 ライトの初期のプレイリー・ハウスは、水平に広がる近代的な住宅群。低層で広々として、各部屋が貫入しあい、テラスは庭に溶け込み、屋根が張り出す。一方、ライトは垂直方向へ向かう優れた高層建築も設計した。《ジョンソン・ワックス・ビル》では樹状柱を考案。《ジョンソン・ワックス研究タワー》は、エレベーター・階段・水回りの構造コアを地中に伸ばした主根構造で支えて、内部仕切りをなくし、カーテンウォールによって日照を確保した。

上の写真は、建築:フランク・ロイド・ライト 《ジョンソン・ワックス・ビル》ウィスコンシン州ラシーン 1936~39年〈本部棟 中央執務室 南を見る〉撮影:2015年 写真提供:SC ジョンソン社。下中央は、デザイン:フランク・ロイド・ライト《ジョンソン・ワックス・ビル本部棟 中央執務室の椅子》製作:スチールケース・コーポレーション 製作:1936年頃 豊田市美術館蔵
上の写真は、建築:フランク・ロイド・ライト 《ジョンソン・ワックス・ビル》ウィスコンシン州ラシーン 1936~39年〈本部棟 中央執務室 南を見る〉撮影:2015年 写真提供:SC ジョンソン社。下中央は、デザイン:フランク・ロイド・ライト《ジョンソン・ワックス・ビル本部棟 中央執務室の椅子》製作:スチールケース・コーポレーション 製作:1936年頃 豊田市美術館蔵

 ライトは未来構想も描いた。セピア色インクで描かれた《リヴィング・シティ構想》は細部まで面白い。蜂のような形の乗り物が空中を飛びかう先に高層ビルが見える。ライトに特徴的なのは高層ビルが田園地帯に在ること。あくまで農業と共存する。手前にやはり植栽が描かれる。《ブロードエーカー・シティ》については、ディヴィド・ロメロ氏による新映像が見られる。

フランク・ロイド・ライト《リヴィング・シティ構想》1958年 鳥瞰透視図 コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵  The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)
フランク・ロイド・ライト《リヴィング・シティ構想》1958年 鳥瞰透視図 コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館フランク・ロイド・ライト財団アーカイヴズ蔵  The Frank Lloyd Wright Foundation Archives (The Museum of Modern Art | Avery Architectural & Fine Arts Library, Columbia University, New York)

 本展にはライトからのメッセージが詰まっている。

ユーソニアン住宅の原寸モデル展示。製作:有限責任事業組合森の製材リソラ 磯矢建築事務所 2023年。ライトは小さなものから大規模なものまで展開できるユニット・システムによる建築も考案。本展会場では、その実践例のユーソニアン住宅が体験できる。
ユーソニアン住宅の原寸モデル展示。製作:有限責任事業組合森の製材リソラ 磯矢建築事務所 2023年。ライトは小さなものから大規模なものまで展開できるユニット・システムによる建築も考案。本展会場では、その実践例のユーソニアン住宅が体験できる。

【参考文献】
1)ケン・タダシ・オオシマ、ジェニファー・グレイ 監修・著、豊田市美術館、パナソニック汐留美術館、青森県立美術館 編集:『帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築』、マシュー・スコンスバーグ、田中厚子、田根剛、水上優 執筆、鹿島出版会、2023年
2)フランク・ロイド・ライト著、富岡義人 訳:『自然の家』、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2010年
 
執筆・撮影:細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2024年1月)
※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

帝国ホテル二代目本館100周年
フランク・ロイド・ライト―世界を結ぶ建築
The Wright Imperial Hotel at 100: Frank Lloyd Wright and the World
 
【会期・会場】
2023年10月21日(土)~12月24日(日)  豊田市美術館(愛知県・豊田市)
2024年1月11日(木)~3月10日(日) パナソニック汐留美術館(東京・港区)
 
★2月17日(土)以降の土曜日・日曜日・祝日、及び3月1日(金)以降は、
日時指定予約が必要になります。ご注意ください。当館ウェブサイトからご予約ください。
(なお、当日空きがあれば指定予約なしで入場可)
★3月4日(月)~3月9日(土)は開館時間を10:00~20:00に延長。(3月6日は開館)
(最終入館は閉館時間の30分前)
 
※詳細は公式サイトでご確認ください。
パナソニック汐留美術館公式サイト https://panasonic.co.jp/ew/museum/
 
2024年3月20日(水・祝)~5月12日(日) 青森県立美術館(青森県・青森市)