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再開館記念 「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル

開催中〜2025/01/26

三菱一号館美術館

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小杉放菴展 小杉放菴記念日光美術館の所蔵作品を中心に

開催中〜2025/01/26

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-

開催中〜2025/02/02

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA

開催中〜2025/02/02

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

東急 暮らしと街の文化ーー100年の時を拓く

開催中〜2025/02/02

世田谷美術館

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中国陶磁展 うわぐすりの1500年

開催中〜2025/02/09

松岡美術館

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ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて

開催中〜2025/02/09

アーティゾン美術館

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OPEN SITE 9 Part 2

開催中〜2025/02/09

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

絵画のゆくえ2025

開催中〜2025/02/11

SOMPO美術館

東京都・新宿区

おしゃべり美術館 ひらビあーつま~れ10年記念展

開催中〜2025/02/16

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

企画展「ゴミうんち展」

開催中〜2025/02/16

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

開館2周年記念特別企画「藤田嗣治の愛しきものたち」

開催中〜2025/02/18

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

反復と偶然展

開催中〜2025/02/24

国立工芸館

石川県・金沢市

漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―

開催中〜2025/02/24

世田谷文学館

東京都・世田谷区

Hello Kitty展 –わたしが変わるとキティも変わる–

開催中〜2025/02/24

東京国立博物館

東京都・台東区

特別展「鳥 〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統〜」

開催中〜2025/02/24

国立科学博物館

東京都・台東区

【特別展】HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―

開催中〜2025/02/24

山種美術館

東京都・渋谷区

手塚治虫 ブラック・ジャック展

開催中〜2025/02/25

そごう美術館

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瑞祥のかたち

開催中〜2025/03/02

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

アニメ「鬼滅の刃」 柱展 ーそして無限城へー

開催中〜2025/03/02

CREATIVE MUSEUM TOKYO

東京都・中央区

読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー

開催中〜2025/03/02

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

川端龍子+高橋龍太郎コレクション  コラボレーション企画展「ファンタジーの力」

開催中〜2025/03/02

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

evala 現われる場 消滅する像

開催中〜2025/03/09

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~

開催中〜2025/03/09

ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」

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「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」展

2025/01/25〜2025/03/16

東京ステーションギャラリー

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花器のある風景

2025/01/25〜2025/03/16

泉屋博古館東京

東京都・港区

Artists in FAS 2024 「入選アーティストによる成果発表展」

開催中〜2025/03/16

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」

開催中〜2025/03/16

東京国立博物館

東京都・台東区

吉村靖孝展 マンガアーキテクチャー ――建築家の不在

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TOTOギャラリー・間

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「ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 7『複数形の身体』」

2025/02/22〜2025/03/23

「ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 7『複数形の身体』」

東京都・文京区

FACE展2025

2025/03/01〜2025/03/23

SOMPO美術館

東京都・新宿区

特別展「夢美セレクション展」

2025/02/08〜2025/03/23

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

「Alternative Living展」(オルタナティブ リビング展)

開催中〜2025/03/23

SusHi Tech Square 1F Space

東京都・千代田区

特別展 ドキュメント「アートキャンプ白州 -記録映像で甦る夏 1988~2010-」

2025/02/15〜2025/03/23

山梨県立美術館

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寺山修司展(コレクション展)

開催中〜2025/03/30

世田谷文学館

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平山郁夫《想一想》と昭和期の日本画家たち

開催中〜2025/03/30

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

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開催中〜2025/03/30

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VOCA展2025 現代美術の展望-新しい平面の作家たち

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上野の森美術館

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特別展 魂を込めた 円空仏 —飛騨・千光寺を中心にして—

2025/02/01〜2025/03/30

三井記念美術館

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体感型デジタルアートミュージアム「動き出す浮世絵展 TOKYO」

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寺田倉庫G1ビル

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森アーツセンターギャラリー

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インフルエンサー 北斎

2025/01/25〜2025/04/06

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長野県・小布施町

キース・ヘリング展 アートをストリートへ

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【特別展】桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!

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山種美術館

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松山智一展 FIRST LAST

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麻布台ヒルズ ギャラリー(麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)

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カラーズ — 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ

開催中〜2025/05/18

ポーラ美術館

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開館50周年記念「1975 甦る 新橋 松岡美術館 ―大観・松園・東洋陶磁―」

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松岡美術館

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東京都・目黒区

マシン・ラブ:ビデオゲーム、AI と現代アート

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国立科学博物館

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国立工芸館

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2025/04/15〜2025/06/29

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藤田嗣治 猫のいる風景

2025/03/06〜2025/09/28

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

Exhibitions

岡村桂三郎展 ― 異境へ

人間はなぜ絵を描くのか。破格の重厚な作品群が問う。
神奈川県の平塚市美術館にて、6月24日まで開催中。

 ■迫りくる独特の存在感/秀逸な会場構成
 絵画なのか彫刻なのか。独特の造形行為による作品で注目され、活躍する岡村桂三郎(1958年生まれ)の大規模な個展が、神奈川県の平塚市美術館で開催中だ。岡村は20代に山種美術館優秀賞を受賞。その後も芸術選奨文部科学大臣新人賞を初め、数々の賞を受賞。現在、多摩美術大学美術学部日本画教授である。

 会場に入ると、薄い暗がりのなか、床に直に置かれた分厚い杉板の大きな屛風状の作品群が連なる。高さは最高3.5m。色彩は黒と木肌の色。作品同士がまさに屛風のように自由に、しかし大変な重量の壁となって、曲がりくねった狭隘な道や、開けた場所を形成する。歩みを進めると、描かれた生き物たちがふっと姿を現す。作品のとてつもない巨大さや重さ、またザラザラした質感が、描かれたものと一体になって迫ってくる。独特の強烈な存在感だ。自分の中のどこかに在るらしき遥か彼方の記憶が呼び覚まされるようでもある。本展には、岡村の初期作品4点を含めた31作品が出品されている。洞窟を巡るような会場構成も岡村によるものだ。

 ■杉板を彫り削り、線を刻む/漆黒と木肌の色彩
 岡村は、何をどのように描いているのだろう。描かれる題材は象や魚や鳥、龍や迦楼羅など、想像上のものを含めて生き物が多いようだ。中国の故事に想を得た内容もある。一方、人間の顔が沢山浮かぶ作品もある。

 《白象図 16-1》(岡村桂三郎、2016年、岩絵具、板、295.0×440.0×8.5cm、作家蔵)(※以下、作家名は省略)は、高さ3m近く、横4.4mの画面一杯に弧が描かれ、その外側は漆黒のわずかな背景だ。弧の内側に白象の身体と顔と大きな牙が表現される。白象の優しい眼差しが印象的だ。俵屋宗達の筆による京都・養源院の杉戸絵《白象図》を思い起こさせる。両者は板絵という点で共通する。しかし岡村作品では、線を、削ることによって描く。線を、刻むことによって創出するのだ。白象の全面には魚の鱗(うろこ)状の模様が刻まれている。

 新作の《百眼の魚 18-1》(2018年、岩絵具、板、350.0×1200.0×8.4cm、作家蔵)は、本展のために制作された。湘南にある平塚市美術館ということで、魚がモティーフとなったという。高さ3.5m、横12mもの、さらなる大画面だ。屛風状の蛇腹がゆるく開いて置かれ、一匹の巨大な魚が漆黒の深海をゆったりと泳ぐ姿が描写されている。胸びれや尾びれがゆらゆら動いて見える。全体に鱗状の模様が刻まれ、さらに本作では、タイトル通りに沢山の人間の眼のごとき造形が魚を覆っている。沢山の眼は、「このままでいいのか」と我々に何かを突きつけるようだ。なお本作は、2017年に北アルプス国際芸術祭(長野県大町市で開催された)に出品され、本展でも見られる《群山龍図17-1》(2017年、岩絵具、板、350.0×1200.0×8.3cm、作家蔵)と対作品となる。

 ●造形のプロセス これらの作品はどのように制作されたのだろう。本展初日のプレス内覧会で、岡村が解説してくれた。まず杉板を両面バーナーで焼き、灰を洗い落とす。そしてドウサ引きを行い、白い下地絵具(方解末)を塗る。そこに木炭で簡単な下書きとして輪郭線を描く。背景と描くモノ自体の形をはっきり分ける。それからスクレイパーでひたすら彫り、削る。白絵具を削り取ってゆくのだ。鱗状の模様を全面に彫り、そして描く対象を線刻していく。「あとに戻れない描き方なので清々しい。これは制作にとって重要なこと」という。なお、「全体にわたる鱗状の模様は日本の風土である湿潤性を象徴する。同時に、板の強度を保つ技術的な意図もある。また、《百眼の魚18-1》などに刻まれた人間の眼は、『認識』を意味する」とのことだ。

 ■作品の底流にあるもの
 ●初期の作品 岡村は作品が大きく変遷した作家でもある。本展に初期作品が4点出品されているが、《肉を喰うライオンA》(1985年、岩絵具・金箔、紙、227.3×181.1cm、練馬区立美術館)は、世に出た最初の作品。本作は、紙に描かれている。岩絵具で描いたあとに画面を水で洗うという作業を行った。本作は、生きるために肉に喰らいつく動物の本能を鮮やかに描写し、創画会賞を受賞した。これは岡村が東京藝術大学で日本画を学び、同大学大学院を卒業した年だ。その後、岡村は日本画の支持体に杉戸絵のように木があったことを意識して、次第に板に描くようになる。作品の枠も自作する。そしてオブジェ風作品も制作。身体的動作を伴う描法に強く実感が沸くようになった。

 ●契機となったアメリカでの体験 その後、現在まで継続する形態の作品へと変貌するのだが、きっかけはアメリカ滞在時の体験だった。1994年、36歳のとき、岡村は五島記念文化財団研修員として1年間渡米。中西部の砂漠地帯を旅した際、何も無いように見えたが、「ここにネイティブ・アメリカンが暮らしていた」とガイドに教えられ、突然、景色が変わって見えたという。もともと生と死、宗教的なものに関心をもっていた岡村だったが、そのとき、どこにも自然の恵みがあり生物がいて循環があること、人間が自然との深い関わりのなかで生きていることに気づく。そして、自然と人間の橋渡しとしての美術や宗教の存在を考察するようになった。

 ■「人間が絵を描き続けていることを、自分も引き継ぐ」
 岡村の作品に、先史時代のラスコーの洞窟壁画などを連想する人も多いのではないだろうか。岡村は、本展来館者へのメッセージを記者たちから求められ、次のように語った。「なんでこんな絵を描くのだろう、と思われるかもしれない。しかし何万年も人間が絵を描き続けていることを、自分も引き継いでいる。テンションを込め、力を込めて描いている。この蓄積を見てほしい。人間はなぜ絵を描くのか、その意味を考えてほしい。手を動かしていくことで、何かが生まれる。線を引くことで、何かが立ち現れる。人間はそういうことをしたいのではないだろうか」。そして、「この展覧会では一つ一つの作品を見ることも大事ですが、会場全体のイメージをまず楽しんでほしい」と。

 平塚市美術館は、JR平塚駅の東改札口(北口)よりバスですぐ。徒歩だと約20分。野外彫刻が点在する前庭から、ヴォ―ルト屋根をもつ建物内に入ると、白壁と光あふれる明るい吹き抜け空間が実に美しい。本展は、「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展―アンディ・ウォ―ホルから奈良美智まで」と同時開催。

 根源的な問いを放つ岡村の作品を体感していただきたい。
 平塚市美術館に是非、足をお運びください。


【参考文献】
1)家田奈穂(平塚市美術館学芸員) 編集:『岡村桂三郎展―異境へ』、平塚市美術館 発行、2018年。

執筆:細川いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2018年5月)


※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。


写真1 会場風景。
左手前は、岡村桂三郎《白象図16-1》、2016年、
岩絵具、板、295.0×440.0×8.5cm、作家蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)



写真2 会場風景。
自作の前に立つ岡村桂三郎。
作品は、岡村桂三郎《百眼の魚18-1》、2018年、
岩絵具、板、350.0×1200.0×8.4cm、作家蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)



写真3 会場風景。
詳細部分。
岡村桂三郎《百眼の魚18-1》、2018年、
岩絵具、板、350.0×1200.0×8.4cm、作家蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)



写真4 会場風景。
岡村桂三郎《肉を喰うライオンA》、1985年、
岩絵具・金箔、紙、227.3×181.1cm、練馬区立美術館。
(撮影:I.HOSOKAWA)



写真5 平塚市美術館の外観。
(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会表記】
岡村桂三郎展 ― 異境へ

Okamura Keizaburo Exhibition: A Door to Another World
【会期・会場】
2018年4 月21日~6月24日 平塚市美術館
<電話> 0463-35-2111 
【展覧会詳細】
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/

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