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生誕120年 古賀忠雄展 塑造(像)の楽しみ

開催中〜2024/02/25

練馬区立美術館

東京都・練馬区

白井美穂 森の空き地

開催中〜2024/02/25

府中市美術館

東京都・府中市

特別展「北斎サムライ画伝」

開催中〜2024/02/25

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

正倉院宝物を受け継ぐ―明治天皇に始まる宝物模造の歴史―

開催中〜2024/02/25

明治神宮ミュージアム

東京都・渋谷区

うるしとともに― くらしのなかの漆芸美

開催中〜2024/02/25

泉屋博古館東京

東京都・港区

HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美

開催中〜2024/02/25

三鷹市美術ギャラリー

東京都・三鷹市

札幌国際芸術祭 SIAF2024

開催中〜2024/02/25

芸術祭(北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、モエレ沼公園ほか。*さっぽろ雪まつり大通2丁目会場は会期が短いのでご注意を)

北海道・札幌市

やんばるアートフェスティバル

開催中〜2024/02/25

芸術祭(沖縄県国頭郡の大宜味村立旧塩屋小学校ほか、沖縄県各所)

沖縄県

印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1957-1979

開催中〜2024/03/03

国立工芸館

石川県・金沢市

MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ

開催中〜2024/03/03

東京都現代美術館

東京都・江東区

皇居三の丸尚蔵館 開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」第 2 期:「近代皇室を彩る技と美」

開催中〜2024/03/03

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

[公募展] Seed 山種美術館 日本画アワード 2024 ― 未来をになう日本画新世代 ―

開催中〜2024/03/03

山種美術館

東京都・渋谷区

坂本龍一トリビュート展 音楽/アート/メディア

開催中〜2024/03/10

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA

東京都・新宿区

豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表

開催中〜2024/03/10

東京都現代美術館

東京都・江東区

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「もじ イメージ Graphic 展」

開催中〜2024/03/10

21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2

東京都・港区

MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/特集展示 横尾忠則―水のように/生誕100年 サム・フランシス

開催中〜2024/03/10

東京都現代美術館

東京都・江東区

特別展「本阿弥光悦の大宇宙」

開催中〜2024/03/10

東京国立博物館

東京都・台東区

都市にひそむミエナイモノ展 Invisibles in the Neo City

開催中〜2024/03/10

SusHi Tech Square 1F Space

東京都・千代田区

水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~

開催中〜2024/03/10

そごう美術館

神奈川県・横浜市

FACE展2024

開催中〜2024/03/10

SOMPO美術館

東京都・新宿区

和田誠 映画の仕事

開催中〜2024/03/24

国立映画アーカイブ

東京都・中央区

ムットーニワールド からくりシアターⅤ

開催中〜2024/03/24

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎

開催中〜2024/03/24

サントリー美術館

東京都・港区

ニャラティブ! ‐物語から見る招き猫亭コレクションと現代作家展‐

開催中〜2024/03/24

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol. 6『メニスル』

開催中〜2024/03/24

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

企画展 「魅惑の朝鮮陶磁」/特別企画 「謎解き奥高麗茶碗」

開催中〜2024/03/26

根津美術館

東京都・港区

VOCA展2024 現代美術の展望-新しい平面の作家たち

2024/03/14〜2024/03/30

上野の森美術館

東京都・台東区

森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために

開催中〜2024/03/31

森美術館

東京都・港区

tupera tupera + 遠藤幹子 しつもんパーク in 彫刻の森美術館

開催中〜2024/03/31

彫刻の森美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「いざ、勝負!」

開催中〜2024/03/31

北斎館

長野県・小布施町

岩﨑家のお雛さま

開催中〜2024/03/31

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

岡田健太郎―重なる景体

開催中〜2024/04/07

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

三井家のおひなさま 特別展示 丸平文庫所蔵 京のひなかざり

開催中〜2024/04/07

三井記念美術館

東京都・中央区

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

開催中〜2024/04/07

東京都美術館

東京都・台東区

美術家たちの沿線物語 小田急線篇

開催中〜2024/04/07

世田谷美術館

東京都・世田谷区

魔女まじょ展

開催中〜2024/04/08

魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)2階ギャラリー

東京都・江戸川区

初公開の仏教美術 ―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―

開催中〜2024/04/14

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

櫻井翔 未来への言葉展 PLAYFUL!

開催中〜2024/04/14

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

令和5年度早春展 中国陶磁の色彩 ―2000年のいろどり―

開催中〜2024/04/14

永青文庫

東京都・文京区

英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり

開催中〜2024/04/14

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

建立900年 特別展 中尊寺金色堂

開催中〜2024/04/14

東京国立博物館

東京都・台東区

生誕150年 池上秀畝―高精細画人―

2024/03/16〜2024/04/21

練馬区立美術館

東京都・練馬区

須藤玲子:NUNOの布づくり

開催中〜2024/05/06

水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場

茨城県・水戸市

春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術

2024/03/09〜2024/05/06

府中市美術館

東京都・府中市

第5回「私の代表作」展

開催中〜2024/05/12

ホキ美術館

千葉県・千葉市

ライトアップ木島櫻谷 ― 四季連作大屏風と沁みる『生写し』

2024/03/16〜2024/05/12

泉屋博古館東京

東京都・港区

イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い

2024/03/10〜2024/05/12

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン

開催中〜2024/05/19

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

2024/03/16〜2024/05/19

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

マティス 自由なフォルム

開催中〜2024/05/27

国立新美術館

東京都・港区

金屏風の祭典 ——黄金の世界へようこそ

開催中〜2024/06/02

岡田美術館

神奈川県・箱根町

日本の山海

2024/02/27〜2024/06/02

松岡美術館

東京都・港区

卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展

2024/03/19〜2024/06/02

国立工芸館

石川県・金沢市

遠距離現在 Universal / Remote

2024/03/06〜2024/06/03

国立新美術館

東京都・港区

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

2024/03/15〜2024/06/09

芸術祭(横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路)

神奈川県・横浜市

北欧の神秘ーノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画

2024/03/23〜2024/06/09

SOMPO美術館

東京都・新宿区

記憶:リメンブランス-現代写真・映像の表現から

2024/03/01〜2024/06/09

東京都写真美術館

東京都・目黒区

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

2024/03/15〜2024/06/09

BankART Station

神奈川県・横浜市

企画展「北斎と感情」

2024/04/06〜2024/06/09

北斎館

長野県・小布施町

特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

2024/03/16〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

2024/04/18〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

2024/04/27〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

2024/04/27〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

2024/03/09〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

2024/04/16〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

民藝 MINGEI—美は暮らしのなかにある

2024/04/24〜2024/06/30

世田谷美術館

東京都・世田谷区

三島喜美代―未来への記憶

2024/05/19〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

2024/04/24〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

2024/04/13〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

日本のまんなかでアートをさけんでみる

2024/03/16〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

Exhibitions

岡上淑子 沈黙の奇蹟

彗星のごときフォトコラージュのきらめき。
岡上淑子の東京の公立美術館では初の個展が東京都庭園美術館で4月7日まで開催中。

 岡上淑子(おかのうえとしこ:1928年~)。
1950年から56年までのごく限られた期間に、写真媒体を活用したフォトコラージュで、驚くべき才能を開花させた彼女の名は、知る人ぞ知る存在だ。2000年に代表作を一堂に集め、第一生命ギャラリーで開催された個展は、今となっては幻の展覧会とされている。その後それらの作品は国内外の美術館にコレクションされ、その創作は近年再注目されつつあり、国際的な評価を得て、現代のフォトコラージュ作家に多大な影響を与えているという。

 この岡上淑子の本格的な個展『岡上淑子 沈黙の奇蹟』が東京都庭園美術館で開催されている。東京の公立美術館では初めての本展は、国内所蔵の作品に加え、海外で最も多くのコレクションを有するヒューストン美術館の12点のコラージュも収蔵後初めて里帰りする、ファンにはもちろん、よく知らない人にもその魅力を十分に堪能できる充実の内容だ。
 
 ■展覧会構成
 展覧会は、本館と新館で大きく二部に分けられ、第1部を六章、第2部を三幕とした計九章から構成される。
第1部:マチネ Ⅰ 岡上淑子とモードの世界/Ⅱ 初期のコラージュ作品/Ⅲ 瀧口修造とマックス・エルンスト/Ⅳ 型紙からフォトコラージュへ/Ⅴ コラージュ以降 Ⅵ その他関連資料
第2部:ソワレ 第1幕 懺悔室の展望/第2幕 放浪するミューズたち/第3幕 私達は自由よ

 岡上のコラージュ作品の展示だけではなく、その制作の背景となる時代や環境、そしてフォトコラージュ作家として花開く大きなきっかけとなった瀧口修造との関わりやシュルレアリスム作品との出会いなどがうかがえる関連資料を「マチネ」で見せ、コラージュ作品が一堂する「ソワレ」において、より多角的、立体的にアプローチできる造りだ。
 シュルレアリスムとの関係で語られることの多い彼女のコラージュだが、いかに岡上の創造が、それとは別に紡ぎ出され、そして彼らの作品に触れることで、さらにその輝きを増していったのかを感じることができる。

 ■夢と憧れと:モードにたどる源泉
 1928年に高知県に生まれた岡上は、3歳のころに家族とともに東京に転居する。41年にミッション・スクールである東洋永和女学校(現・東洋英和女学院)に入学するが、時代は戦時下、彼女はもっとも多感な青春時代をモンペ姿で学徒動員という戦争の翳りの中で過ごす。戦後、やはりミッション系であった恵泉女学園高等部に入学し、民主化が進む時代にあって、それまで見ることのなかった外国の映画や雑誌を目にし、在学中に長沢節のデザイン画に触れて、ファッション画やファッション・デザインへの憧れていったという。
 22歳の時に、「自由で独創的な学校」を教育理念に、当時の文化人を多く教師陣に採用して、その先進性で注目を集めていた文化学院に入学、喪われた10代を取り返すかのように青春を謳歌した。時代のモードに鋭敏で、洋裁を学んでいた彼女がフォトコラージュを制作し始めたのはこの頃である。授業で出された「ちぎり絵」の課題がきっかけだった。
 代表的なコラージュ作品と初期作品に、同時代に制作されたドレスも展示された空間で、こうした時代背景を感じる。

 岡上のコラージュに多用される、布をふんだんに使用した優雅なドレスや華やかな装飾品の切り抜きからは、パリのオートクチュールにはじまる50年代の華やかなモードやそれらをまとった銀幕のスターたちへの憧憬が強く感じられる。
 みごとなのは、その憧れが、少女の甘い感傷になっていないことだ。
 かぎりなく華やかな女性たちは首や腕を切断され、あり得ない場やモノと組み合わされることで、却ってその妖艶さを増しつつも、たおやかに、上品に、観る者をふんわりと突き放す強さをまとう。ときに皮肉に、ときにコミカルに、ときに不穏に、それらはジェンダーや戦争、社会を批判し、同時に造形の楽しみを失っていない。
 展示作品:岡上淑子《幻想》1954頃、《沈黙の奇蹟》1952、《戯れ》1952、《轍》1951など

 ■とらわれない制作:瀧口修造とマックス・エルンストとの出会い
 恵泉女学園の学友を通じて知り合った武満徹(1930-1996)をきっかけに、日本のシュルレアリスムの主導的立場にあった瀧口修造(1903-1979)と出会った岡上は、彼の「続けてごらんなさい」という言葉に励まされて、制作したコラージュ作品を携えて彼のもとを訪ねるようになる。そこでマックス・エルンストのコラージュ作品を観る機会を得た岡上は衝撃を受け、大きく飛躍を遂げる。それまでの単色の羅紗紙に貼り合わせていたシンプルなものから、背景にも写真を用いた複雑でイメージにあふれた映像的な世界が広がっていく。
 しかし、当時瀧口が関わっていた実験工房や他のアーティストたちの活動に、岡上は参加していない。彼女自身、自らをアーティストとは思っておらず、あらゆる芸術団体からも距離を置き、芸術家としての野心や自尊心もなく、淡々と自身のイマジネーションを形にすることを楽しんでいたようだ。瀧口によって企画されたタケミヤ画廊での最初の個展で、「岡上さんは画家ではありません。若いお嬢さんです。(…)」と案内状に記しているように、彼も岡上を「芸術家」とは別の存在として見ていたらしい。
 瀧口から岡上に送られた書簡や彼女の作品が飾られた彼の書斎風景の写真、岡上の作品を洗練させるきっかけとなったエルンストの代表作『百頭女』などの資料から、作品を昇華していった岡上の特異な位置づけを見ていく。

 ある意味で無欲の、天真爛漫ともいえる岡上の自由な感覚が生み出すコラージュ作品は、その無垢なスタンスが驚嘆のインパクトを持っていると同時に、その無垢ゆえに輝いているのを感じられる。のびのびとした何ものにもとらわれないその自由さこそがその作品を限りなく魅惑的にしている。“アーティスト”としてエルンストに学んでいたら、生まれなかったかもしれないとさえ。
 展示作品:マックス・エルンスト『百頭女』(原書)1929、『慈善週間または七大元素』(原書)1934、羽永光利《書斎の瀧口修造》1970など

 ■コラージュに込めたもの:ソワレ3幕
 とはいいながら、岡上がその創作に込めたものは、彼女が過ごした時代に密接に関わっている。
 思春期を戦時下に過ごし、戦後焼け野原の「荒野」から出発した学生時代、山の手の大空襲や、友人を案じて訪ね廻った焦土の視覚体験は、ひとつの原風景となって彼女の作品に繰り返し現れる。
 戦後復興期には、高度経済成長の中で機械のように生産に奔走する男たちの姿を冷静に見つめながら、彼らをコケティッシュに誘い、軽やかにふるまう女たちの華やかさが対比的に表れている。
 そして「もはや戦後ではない」と謳われた1956年、岡上のコラージュ制作の最後の年となる頃には、摩天楼となった都市をおおらかに、多様な変容をしながら羽ばたく、エネルギッシュな女たちの無限の可能性が謳われる。
 岡上のコラージュ作品の精華を、そこに現れる女たちのイメージから「ミューズ」をキーワードに、時代背景とともに3幕の舞台に見立てて堪能する空間。

 「懺悔室の展望」では、荒野のイメージには、《高波》や《浸水》といった水をテーマにしたカタストロフの作品も含まれ、そのまなざしが戦争から天災まで広くとらえているのがわかる。そこに表される生と死、恐怖や非難は、どこかコミカルな軽やかさを持っているのがみごとだ。
 「翻弄するミューズたち」では、女たちの肢体は、切断され、多様なものと組み合わされて、街頭や海上、空中で、その魅力を誇示する。一方、男性は彼女らに圧倒されるように、ある者はかしずき、ある者は届かないところからそのまなざしを向ける。自らの意思で自由に羽ばたこうとする
女と、操られるかのようにうつろにたたずむ男の対比が鮮やかに浮かび上がる。
 「私達は自由よ」では、女たちは風景の中で巨大化し、ますます自由に、大胆に、多様なメタモルフォースをとげながら、その存在を謳歌する。奥行きを獲得した画面の中で、遠近感を無化しつつもその空間におさまっている構成は圧倒的だ。
 展示作品:岡上淑子《懺悔室の展望》1952、《廃墟の旋律》1951頃、《会議》1955、《イヴ》1955、《口づけ》1955頃、《変心》1953頃など

 ■燦然と輝くフォトコラージュ:コラージュ制作から離れて
 1950年代半ばには、コラージュ制作に限界を感じ始めていた岡上は、瀧口の勧めもあり、カメラで実際の対象を撮るストレート・フォトを手がけたりもしていたが、57年、結婚を機に、コラージュの制作から遠ざかっていく。やがて故郷である高知に転居、東京から離れたこともあり、もともと自身もアーティストとしてふるまっていなかった岡上の存在はアート界から急速に消えていく。  
瀧口からの提案で、岡上も待ち望んでいた、彼の詩に彼女のコラージュを挿絵とする詩画集の計画も、実現に至らなかった。
 しかし、故郷で子育ての合間に日本画やスケッチなどを手がけていたらしく、制作行為は途絶えることはなかったようだ。
 コラージュの延長としてとらえられる静物写真や、身近な人間を写したストレート・フォト、植物の精緻なスケッチや日本画で、コラージュを離れた岡上のその後を観ていく。

 彼女の写真は、真摯な眼とコラージュ作品に観られる独自の感性が見え、続けていたら・・・と思わせる。日本画やスケッチは、丁寧な筆遣いと温かいまなざしが、その人となりを伝える。
 とはいえ、わずか7年ほどに制作されたフォトコラージュの鋭さときらめきが群を抜いているのは否めない。
 展示作品:岡上淑子《りんごと釘》1955、《祖母像》1955、《バラ》1971‐75頃など

 まさに彗星のように現れて消えた岡上のフォトコラージュ。
 その作品の美しさとインパクトは、時代性を反映しながら、静かに、そして独特の強さをもって、この現代により多様で複雑な読みを誘いながら私たちを魅了する。

 残るところあと1週間ほど。
 最後の週末は20時までの夜間開館も実施されている。桜散る庭園とともに華やかなフォトコラージュの魅惑に溺れてみては?


本館〈第1部 マチネ〉展示風景から


《夜間訪問》©Okanoue Toshiko, 東京国立近代美術館蔵
Visit in Night ©Okanoue Toshiko, Collection of the National Musuem of Modern Art, Tokyo


《沈黙の奇蹟》©Okanoue Toshiko, 東京都写真美術館蔵
The Miracle of Silence ©Okanoue Toshiko, Collection of Tokyo Photographic Art Museum


新館〈第2部 ソワレ〉展示風景から


《会議》©Okanoue Toshiko, ヒューストン美術館蔵
Meeting ©Okanoue Toshiko, Collection of the Musuem of Fine Arts, Houston


【参考文献】

神保 京子 監修・執筆:『岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟』(展覧会図録)、青幻舎発行、2019年。

執筆:坂本 裕子 
(2019年3月)

※会場風景撮影:Sakamoto 撮影は主催者側の許可を得ています。

【展覧会名】
岡上淑子 沈黙の奇蹟

【会期・会場】
2019年1月26日 ~4月7日  東京都庭園美術館
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
美術館HP www.teien-art-museum.jp

※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。