この企画展には快哉を叫びたい〜〜！！！
川崎市岡本太郎美術館にて開催中の「小野佐世男；もが・オン・パレード」展、モボ・モガが銀座を闊歩した時代から戦後にかけて活躍した画家・漫画家でした。（漫画・社会評論家小野耕世氏の父上です）
本人自ら、「ホラ男爵、嘘つき佐世男、ほらさせ、空談子、テング・マラリア・オノサセオとは僕のことを云う、僕が嘘つきと言われるのは、そのコチョウが少し大きいからである」と誇張して、嘯いて言ってのけるところが人間の大きさを感じさせる。
小野佐世男（1905〜1954）は、１９３０年、東京美術学校（現東京藝術大学）西洋画科の卒業で、在学中に諷刺アート誌『東京パック』に風俗諷刺の一枚マンガが載り、以後同誌の表紙や裏表紙、見開きカラーマンガなど『東京パック』の休刊まで百余点の作品を発表、マンガ界に麒麟児現るとまで騒がれた。とりわけ活発な・妖艶な女性を描いては並ぶ者はいないと一世を風靡した。
岡本一平が開いていた画塾に出入りしていた近藤日出造、杉浦幸雄、ファッション誌『スタイル』創刊した宇野千代とも親しくなり、北原武夫、東郷青児、横山隆一等とも親交をしていた。
東京美術学校時代に小野佐世男は、日本漫画家連盟の機関紙『ユウモア』に「美しくの街」を発表し同連盟に参加した。
このとき、村山知義、柳瀬正夢とも交流が始まり、親しかった須山計一らとプロレタリア美術運動の漫画を担っていくことになるが、佐世男自身共感していたかは不明である。何らかの感化は受けていたかもしれないが・・・。
若いときに決まって通過する”左翼思想・共産主義思想”の現象だったのかもしれない。自身、一切このことに関して書き残していないからである。

特筆すべきは、『子供マンガ新聞』『月刊子供マンガ』『こどもマンガタイムス』等々、空想を惜しげもなく拡大した宇宙感覚豊かな奇想天外コミックス。
また岩崎栄の実録小説『孤島の女王　アナタハン物語』の挿絵は非常に面白い。
急逝したエピソードも見逃せない「マリリン・モンローに会えなかった男」の表題で描かれている、マリリンの初来日；1954.2.1の日に彼女にインタビューした後その姿を描くことになっていたが、それを果たす前に心臓発作により４８歳の生涯を閉じた。
小野佐世男らしい結末かもしれない？！
秋山庄太郎撮影の「小野佐世男ポートレート『桜んぼ六景』」のポートレートが一番いい存命中の写真のような気がする。

日本にもこんな漫画家がいたとはナンともカンともありがたい！！！

ﾍﾄﾞﾃﾞﾙ･ｷﾄﾞﾘﾝｽｷｰ

場所：川崎市岡本太郎美術館
ＴＥＬ　０４４−９００−９８９８
期間：２０１０年１０月２０日〜２０１３年１月１４日（月曜日は休館）