詳細はミュージアムのオフィシャルサイトなどでご確認ください。

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企画展 よめないけど、いいね! ―根津美術館の書の名品―

開催中〜2022/08/21

根津美術館

東京都・港区

宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界 2022 展

開催中〜2022/08/28

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

ムーミンコミックス展

開催中〜2022/08/28

東京富士美術館

東京都・八王子市

うるわしき薔薇—ルドゥーテ『バラ図譜』を中心に

開催中〜2022/08/28

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

目黒区美術館開館35周年記念展 美術館はおもちゃ箱・道具箱

開催中〜2022/08/28

目黒区美術館

東京都・目黒区

貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展 中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―

開催中〜2022/08/28

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展「北斎 百鬼見参」

開催中〜2022/08/28

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

伝えたい情景〜木版画家・山岸主計と現代作家たち〜

開催中〜2022/08/28

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―

開催中〜2022/08/28

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展 「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」

開催中〜2022/08/31

日本科学未来館

東京都・江東区

KAGAYA 星空の世界展

開催中〜2022/08/31

そごう美術館

神奈川県・横浜市

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション 第1期(春夏季)

開催中〜2022/09/04

原美術館ARC

群馬県・渋川市

こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界

開催中〜2022/09/04

世田谷美術館

東京都・世田谷区

没後25年記念特別企画 斎藤清版画展 飛翔するノスタルジア

開催中〜2022/09/04

高崎市タワー美術館

群馬県・高崎市

とある美術館の夏休み

開催中〜2022/09/04

千葉市美術館

千葉県・千葉市

沖縄復帰50年記念 特別展 琉球

開催中〜2022/09/04

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

所蔵作品展 こどもとおとなの自由研究 工芸の〇△□✕展

開催中〜2022/09/04

国立工芸館

石川県・金沢市

市制90周年記念 工藤麻紀子展

開催中〜2022/09/11

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

特別展 河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─

開催中〜2022/09/11

京都国立博物館

京都府・京都市

夏休みチャレンジ アートのたねをみつけよう!

開催中〜2022/09/11

府中市美術館

東京都・府中市

ライアン・ガンダー われらの時代のサイン

開催中〜2022/09/19

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

リニューアルオープン2 茶の湯の陶磁器 〜“景色”を愛でる〜

開催中〜2022/09/19

三井記念美術館

東京都・中央区

どっちがどっち? いわいとしお×岩井俊雄 ―『100かいだてのいえ』とメディアアートの世界― 

開催中〜2022/09/19

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

日中国交正常化 50 周年記念 特別デジタル展「故宮の世界」

開催中〜2022/09/19

東京国立博物館

東京都・台東区

キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォール

開催中〜2022/09/25

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

【特別展】水のかたち ―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―

開催中〜2022/09/25

山種美術館

東京都・渋谷区

こどもと楽しむ永青文庫

開催中〜2022/09/25

永青文庫

東京都・文京区

開館25周年記念展 Ⅱ 並河靖之の雅な技 世界を魅了した明治の京都七宝

開催中〜2022/09/25

茨城県天心記念五浦美術館

茨城県・北茨城市

ガブリエル・シャネル展― Manifeste de mode

開催中〜2022/09/25

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

東北へのまなざし 1930-1945

開催中〜2022/09/25

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

開催中〜2022/09/26

国立新美術館

東京都・港区

ボストン美術館展 芸術×力

開催中〜2022/10/02

東京都美術館

東京都・台東区

「クマのプーさん」展

開催中〜2022/10/02

PLAY! MUSEUM

東京・立川市 

ちひろ・花に映るもの

開催中〜2022/10/02

ちひろ美術館・東京

東京都・練馬区

ちひろ美術館コレクション 江戸からいまへ 日本の絵本展

開催中〜2022/10/02

ちひろ美術館・東京

東京都・練馬区

フィン・ユールとデンマークの椅子

開催中〜2022/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

特別展アリス —へんてこりん、へんてこりんな世界ー

開催中〜2022/10/10

森アーツセンターギャラリー( 六本木ヒルズ森タワー 52F)

東京都・港区

名作展「涼風を語る 龍子の描いた風景画を中心に」

開催中〜2022/10/10

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

特別展「化石ハンター展 〜ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣〜」

開催中〜2022/10/10

国立科学博物館

東京都・台東区

アールヌーヴォーからアールデコに咲いたデザイン  オールドノリタケ×若林コレクション

2022/09/10〜2022/10/16

そごう美術館

神奈川県・横浜市

企画展  蔵出し蒔絵コレクション

2022/09/10〜2022/10/16

根津美術館

東京都・港区

MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ

開催中〜2022/10/16

東京都現代美術館

東京都・江東区

MOTコレクション コレクションを巻き戻す 2nd

開催中〜2022/10/16

東京都現代美術館

東京都・江東区

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅲ 古美術逍遙 ―東洋へのまなざし

2022/09/10〜2022/10/23

泉屋博古館東京

東京都・港区

新版画 進化系UKIYO-Eの美

2022/09/14〜2022/11/03

千葉市美術館

千葉県・千葉市

地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング

開催中〜2022/11/06

森美術館

東京都・港区

特集展示「初公開の収蔵品から」

開催中〜2022/11/06

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥

開催中〜2022/11/07

国立新美術館

東京都・港区

大蒔絵展 —漆と金の千年物語

2022/10/01〜2022/11/13

三井記念美術館

東京都・中央区

理想の書物 —英国19世紀挿絵本からプライヴェート・プレスの世界へ—

2022/09/17〜2022/11/13

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

美をつくし―大阪市立美術館コレクション

2022/09/14〜2022/11/13

サントリー美術館

東京都・港区

誕生50周年記念 ベルサイユのばら展ーベルばらは永遠にー

2022/09/17〜2022/11/20

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

江森天寿と石川梅子 夭折の画家と県内初の女流画家

2022/10/08〜2022/11/27

遠山記念館

埼玉県・川島町

開館25周年記念展 Ⅲ 再興院展の立役者 齋藤隆三

2022/10/08〜2022/11/27

茨城県天心記念五浦美術館

茨城県・北茨城市

企画展「市制90周年記念 私たちの絵 時代の自画像展」

2022/10/01〜2022/11/27

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる

2022/09/23〜2022/11/27

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展  将軍家の襖絵

2022/11/03〜2022/12/04

根津美術館

東京都・港区

特別展 京(みやこ)に生きる文化 茶の湯

2022/10/08〜2022/12/04

京都国立博物館

京都府・京都市

ポンペイ

2022/10/12〜2022/12/04

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳

2022/10/06〜2022/12/04

山種美術館

東京都・渋谷区

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

2022/09/23〜2022/12/04

府中市美術館

東京都・府中市

ジャンルレス工芸展

2022/09/16〜2022/12/04

国立工芸館

石川県・金沢市

辻 永 ふたつの顔を持つ画家 油彩と植物画

2022/10/25〜2022/12/11

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

永青文庫漆芸コレクション かがやきの名品

2022/10/08〜2022/12/11

永青文庫

東京都・文京区

加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―

2022/10/04〜2022/12/11

国立歴史民俗博物館

千葉県・佐倉市

花鳥風月 名画で見る日本の四季 琳派・浮世絵から御舟・一村まで

開催中〜2022/12/18

岡田美術館

神奈川・箱根町

生誕150年記念 板谷波山の陶芸

2022/11/03〜2022/12/18

泉屋博古館東京

東京都・港区

川内倫子展(タイトル未定)

2022/10/08〜2022/12/18

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

つながる琳派スピリット 神坂雪佳展

2022/10/29〜2022/12/18

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念 響きあう名宝 ―曜変・琳派のかがやき―

2022/10/01〜2022/12/18

静嘉堂文庫美術館

東京都・千代田区

かこさとしの世界 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!

2022/10/08〜2022/12/25

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

展覧会 岡本太郎 Okamoto Taro: A Retrospective

2022/10/18〜2022/12/28

東京都美術館

東京都・台東区

特別展 すべて未知の世界へ―GUTAI 分化と統合

2022/10/22〜2023/01/09

国立国際美術館

大阪府・大阪市

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション 第2期(秋冬季)

2022/09/10〜2023/01/09

原美術館ARC

群馬県・渋川市

鉄道と美術の150年

2022/10/08〜2023/01/09

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ポーラ開館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて

2022/09/17〜2023/01/15

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

おいしいボタニカル・アート ー食を彩る植物のものがたり

2022/11/05〜2023/01/15

SOMPO美術館

東京都・新宿区

ビーズ ―つなぐ かざる みせる  国立民族学博物館コレクション

2022/11/15〜2023/01/15

渋谷区立松濤美術館

東京都・渋谷区

マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち

2022/10/08〜2023/01/15

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

2022/10/08〜2023/01/22

国立西洋美術館

東京都・台東区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

2022/10/14〜2023/01/22

京都国立近代美術館

京都府・京都市

春日大社 若宮国宝展 ―祈りの王朝文化―

2022/12/10〜2023/01/22

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”

開催中〜2023/02/12

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー

2022/12/17〜2023/03/05

東京都庭園美術館

東京都・港区

六本木クロッシング2022展(仮題)

2022/12/01〜2023/03/26

森美術館

東京都・港区

特別展「動画クリエイター展」

2022/10/08〜2023/04/02

日本科学未来館

東京都・江東区

Exhibitions

寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽

江戸時代初期に開花した「寛永文化」。その雅(みやび)に触れる。
サントリー美術館にて4月8日まで。

 ■モダンな水玉穴の鉢
 展覧会の最初に展示されている真っ白な鉢に、意表を突かれた。モダンなのだ。口径20cm弱の鉢の口縁はゆるい八角形をなし、側面にはボコボコと水玉のような穴が空く。斬新で洗練された造形と色合い。器は厚みがあり堂々としている。これは野々村仁清(ののむらにんせい)(生没年不詳)の手になる《白釉円孔透鉢》(江戸時代 17世紀、MIHO MUSEUM)である。華麗な色絵陶器を大成した仁清に、このような作品があったのだ。本作の先の仄暗い会場空間には、茶道具や金地屛風などが見えている。

 本展覧会は、江戸時代初期の寛永年間(1624~44年)を中心に京都に花開いた「寛永文化」の世界を140点強の作品(※会期中に展示替えあり)で紹介するものだ。寛永文化については一般に馴染みが薄く、これまで展覧会で取り上げられてこなかった。「寛永文化」とは、①黄金と侘びや歪みを特徴とした「桃山文化」と、後に続く絢爛で活気に溢れた「元禄文化」の間に位置し、②江戸幕府の安泰を背景として公家・武家・町衆らに共有された新しい美意識のもとに生み出されたもの、である。

 ■展覧会構成/寛永文化に寄与した人々
 展覧会は、以下のように六つの章から構成されている。
 第一章 新時代への胎動―寛永のサロン/第二章 古典復興―後水尾院と宮廷文化/第三章 新たなる美意識Ⅰ 小堀遠州/第四章 新たなる美意識Ⅱ 金森宗和と仁清/第五章 新たなる美意識Ⅲ 狩野探幽

 本展では寛永文化に寄与した重要人物として、①その源泉となる宮廷文化を広めた後水尾院(ごみずのおいん)、そして、②茶人であり作庭家でもある小堀遠州(こぼりえんしゅう)、③陶工の野々村仁清、および彼を指導した茶人の金森宗和(かなもりそうわ)、④江戸幕府御用絵師の狩野探幽を取り上げ、寛永文化の動向を展観する。なお、寛永文化の時期は後水尾院崩御の1680年の頃までととらえる。

 ■後水尾院/古典復興、宮廷文化の広がり
 ●気楽坊という指人形 なんとも温かでおかしみのある表情の指人形が出品されていた。後水尾院の遺愛という。赤茶色のたっぷりとした衣服をまとい、にっこり笑う坊主頭。高さ25cm弱の《指人形 気楽坊 附 写人形》(江戸時代 17世紀、陽明文庫)(※3/19までの展示)だ。これは後水尾院が近臣に文書を渡す際に女官に操らせたものという。「気楽坊」との名は院が詠んだ和歌から取られている。その詠歌は朝廷と幕府間の緊張関係に苦慮しつつも、気楽に生きよ、との達観を示しているものといわれる。

 ●宮廷文化を象徴する和歌 後水尾院(1596~1680年)は、江戸幕府が樹立した1615(元和1)年を挟む、1611~29年に後水尾天皇として在位し、退位後50年超にわたり院政を執った。二代将軍徳川秀忠の娘である東福門院和子(1607~78年)を中宮としたが、これは江戸幕府による朝廷との融和政策だ。院は宮中で『源氏物語』『伊勢物語』などを研究し、長く絶えていた宮廷の儀を復するため『後水尾院当時年中行事』を著わすなど、積極的に古典文学や宮廷文化の復興に貢献した。また、とりわけ和歌や書に長じ、会場でも院の見事な直筆による和歌や書を見ることができる。後水尾院は茶道や華道にも通じ、茶会やいけばな会を開催した。これらのサロンで公武や町衆の交流が行われるようになる。幕府は、1615年に禁中并公家中諸法度を公布し、和歌が宮廷を象徴する芸能として位置づけたのだが、院はそのことを率先して行動に移したといえるだろう。

 ●天皇と公家の詞による《源氏物語絵巻》 源氏物語の54場面が詞と絵と交互に展開する《源氏物語絵巻》(霊元天皇ほか詞、住吉具慶画、5巻のうち第2巻・第3巻、江戸時代 17世紀、MIHO MUSEUM)(※第2巻は3/12までの展示。第3巻は3/14~4/8展示)は、後水尾院の院政時代に描かれている。住吉派の住吉具慶(1631~1705年)による源氏絵の中での最高傑作とされる。詞書は、在位中の霊元天皇(在位1663~87年)・皇族・公家54人による驚くべきもの。淡彩で余白を活かして描写された典雅な物語世界は、風が吹き抜けるような清らかさと、親しみやすさをもつ。住吉具慶の父の如慶(1599~1670年)は住吉派の創始者で、後水尾院の意を受けた後西院による命を受けて、住吉大社絵所預となった。

 ●修学院離宮と修学院焼 公家の冠を逆さにしたような形の《冠形大耳付水指》(修学院焼、江戸時代 17世紀、滴翠美術館)は、質素ながら優美な趣がある。修学院焼とは、修学院離宮に築かれた窯で焼かれた焼き物。修学院離宮は、後水尾院が晩年に洛外の比叡山の麓に造営した破格の広さの別荘であり、寛永文化の到達点といわれる。会場の壁面には参考図版として、岡田美術館所蔵「修学院図屛風」(江戸時代 17世紀)の複写が紹介されていて、森や池や農耕地や、点在する建物など当時の情景を目にすることができる。

 ■小堀遠州/遠州好み、きれい寂び
 茶人であった小堀遠州(1579~1647年)が生涯で最も愛し、1637(寛永14)年以降の晩年に70回近く集中して使用した名品の茶入が出品されている。《瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川》(江戸時代 17世紀、湯木美術館)である。肩、胴、腰へ連なるなだらかな曲線と、褐色と黒色の色彩が、落ち着きと明快な印象をもたらす。遠州は若い時この茶入を知ったのだが、新しいので好まなかった。しかし晩年になって伏見で見直し、その素晴らしさに驚き入り、所有した。銘は「古今和歌集」の和歌からとられている。

 遠州はそれまで好まれた唐物や古い茶道具だけでなく、和物も新しいものも積極的に評価し選定した。また茶道具に歌銘を付けたり、床に和歌に関連するものを掛けるなど、茶の世界に典雅な宮廷文化を導入した。それは千利休(1522~91年)の侘びとも、師である古田織部(1543~1615年)の歪みとも異なる茶であった。遠州が目指したのは武士たちの教養としての大名茶である。会場には、歌銘を付けた茶入、唐物の茶碗や水差、朝鮮やオランダの茶碗など、数々の「遠州好み」の茶道具が出展されている。

 遠州は江戸幕府に仕える武将であり、数多くの普請奉行、伏見奉行などに就き、建築や作庭も行った。代表的なものに仙洞御所の造営や、大徳寺塔頭孤篷庵や南禅寺金地院などがある。茶室では書院化をはかり、また多窓や砂ずり天井によって明るさを取り入れたことも特徴だ。遠州が新しい美意識によって創出した世界は、のちに「きれい寂び」と呼ばれた。これは、明るく優美で洗練されている、ということを意味するのだろうか。

 ■野々村仁清と金森宗和/宗和好み
 冒頭に紹介した白い水玉穴の鉢を制作した野々村仁清は、小堀遠州が亡くなった1647年頃、京都の御室仁和寺門前に御室焼を始めた。開窯初期の作品には、仁清を指導した茶人の金森宗和(1584~1656年)の好みが色濃いといわれている。宗和は、公家衆の茶の師匠であり、御室焼を茶会で広めた。また宗和は遠州と同時期に活躍し、交流をもった。

 仁清が手掛けた《銹絵富士山文茶碗》(江戸時代 17世紀、出光美術館)は、外隈(物の外側をぼかすことで物を描く方法)で富士山を描いた白釉茶碗。シンプルで味わい深い。富士山の描法や充分な余白などに当時人気のあった狩野探幽の影響も考えられている。また、仁清の《褐釉四方茶入》(江戸時代 17世紀、サントリー美術館)は、角丸の方形や褐色の色合い、釉薬と地の部分が創り出す模様も面白く、小さいながら強い存在感だ。一方、艶やかな白色の丸い仁清作《白釉耳付水差》(江戸時代 17世紀、出光美術館)(※3/12までの展示)は優美で瀟洒だ。少ない色数と斬新な造形が宗和好みとされる。仁清は宗和の没後、色彩豊かな色絵陶器へ作風を大きく変化させる。会場ではその多様性を目にできる。

 ■狩野探幽/淡泊で瀟洒な画風 
 昨年秋に「天下を治めた絵師 狩野元信」展がサントリー美術館で開催され、狩野派の基礎を築いた元信(1477?~1559年)の卓抜なアイデアと画技に圧倒された。この元信の孫が豪壮な作風の狩野永徳(1543~90年)であり、さらにその孫が狩野探幽(1602~74年)だ。両者は幼い時から天賦の才を発揮した。狩野探幽は孝信(1571~1618年)の長男として京都に生れた。徳川家康と秀忠に絵の実力を認められ、江戸へ出て幕府御用絵師となった。

 六曲一双の《桐鳳凰図屛風》(江戸時代 17世紀、サントリー美術館)は、探幽の数少ない金地濃彩屛風だ。右隻は、桐の大樹を右隅に配し、大きく曲線を描いて流れる川の前に雌雄の鳳凰が見つめ合い、その間に幼鳥がいる。左隻では、左隅に桐の樹木が一部見え、空を舞う鳳凰と岩上にとまる鳳凰が川を挟んで見つめ合う。その眼差しは妖艶でもある。この吉兆尽くしの屛風は、金色、緑、白の色の対比が鮮やかだ。上述した狩野元信展には、元信筆「四季花鳥図屛風」(六曲一双、室町時代 1550年、白鶴美術館)(※出展なし)の複製が、参考として展示されていた。それと比べると、同じ金地濃彩屛風だが、探幽の本作では画面に描かれるモティーフがはるかに少なく整理されていて、余白が大きい。また、桃山時代の屛風のように樹木を画面の中心に置くことを、探幽はここでは避けている。

 一方、探幽が寛永年間に描いた六曲一双の《竹林七賢・香山九老図屛風》(江戸時代 17世紀、静岡県立美術館)(※3/14~4/8展示)は、水墨淡彩屏風だ。本作はよく絵画化される理想の隠者を主題とするが、人物を中心に描くのではなく、人物を取巻く情景描写を行い、画面の半分を占める余白が絶妙な空気感を出している。近づいて見ると、流れる川に小さな魚が泳ぎ、童子たちが喜ぶ姿なども見られ、実に微笑ましい。

 探幽は、1634(寛永11)年に名古屋城上洛殿障壁画(重要文化財《名古屋城上洛殿上段之間襖絵 帝鑑図「高士渡橋」》(名古屋城総合事務所)は、3/12までの展示)を描いた頃から、それまでの描法を一変させた。筆致数を減らし余白を大きくとった淡彩で瀟洒な画風である。この探幽の新様式は狩野派に長く継承され、幕府御用絵師としての狩野派の地位を不動のものとした。探幽の画力は後水尾院にも賞賛された。また探幽は遠州の茶会に出席し、1641(寛永18)年の遠州による禁裏造営時に障壁画を描くなど仕事を共にしていて、親交があった。

 ■「きれい」という世界に浸る
 筆者は本展で、気持ちよいパンチをくらったような気分になった。それは、「寛永文化」という視点である。今まで遠州を考える場合は利休や織部との違いを意識しながら、仁清は陶芸の世界のなかで、また探幽については狩野派の流れのなかで、というように別々に見ていた人々が、寛永文化のもつ共通の美意識でつながっていたということだ。本展は縦の流れや限定領域で見ていたものを、横断的な観点で見せてくれた。寛永文化とは、宮廷文化をベースとする「きれい」という言葉に代表される美意識であると、本展は提示する。作品全体が発するものに耳をすませるように、この雅なる世界に浸ってみたい。

 「寛永文化」という概念は、林屋辰三郎先生によって1953年に提言され、その後、熊倉功夫先生による研究が行われた。本展はそれ以後の研究動向も踏まえたものだ。展覧会図録には、熊倉功夫先生(MIHO MUSEUM館長)、および柴崎大典氏(サントリー美術館学芸員)による貴重な論考が掲載されている。展覧会と併せて、こちらもお読みいただきたく思う。


【参考文献】
1) サントリー美術館 編集:『寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽』(展覧会図録)、サントリー美術館、2018年。
2) 小堀宗実・熊倉功夫・磯崎新・龍居竹ノ介ほか:『小堀遠州 綺麗さびの極み』、新潮社、2006年。
3) 門脇むつみ:『巨匠 狩野探幽の誕生』、朝日新聞出版、2014年。

執筆:細川 いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2018年3月)


※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。



写真1 会場入り口。
手前は、野々村仁清、《白釉円孔透鉢》、江戸時代 17世紀、MIHO MUSEUM。
奥に一部見えるのは、狩野探幽、《桐鳳凰図屛風》、六曲一双、江戸時代 17世紀、サントリー美術館。
(※両作品とも全期間展示)
(撮影:I.HOSOKAWA)



写真2 会場風景。
手前は、霊元天皇ほか詞、住吉具慶画、《源氏物語絵巻》、
5巻のうちの第2巻・第3巻、江戸時代 17世紀、MIHO MUSEUM。
(※本作品は全期間展示。ただし、この第2巻は3/12までの展示、第3巻は3/14~4/8展示)。
(撮影:I.HOSOKAWA)



写真3 会場風景。
右から、野々村仁清、《鉄釉四方茶入》、江戸時代 17世紀、一般財団法人 高津古文化会館。
野々村仁清、《褐釉四方茶入》、江戸時代 17世紀、サントリー美術館。
(※両作品とも全期間展示)
(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会名】
寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
【会期・会場】
2018年2月14日~4月8日 サントリー美術館
電話:03-3479-8600 
[展覧会詳細] http://suntory.jp/SMA/

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