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手塚雄二展 雲は龍に従う

開催中〜2024/11/17

そごう美術館

神奈川県・横浜市

佐藤時啓退任記念展 with 研究室生+卒修生 ー交差する時間ー Intersecting Time

開催中〜2024/11/17

東京藝術大学大学美術館

東京都・台東区

森の芸術祭 晴れの国・岡山

開催中〜2024/11/24

芸術祭(岡山県北部12市町村、津山市、新見市、真庭市、鏡野町、奈義町など))

岡山県・北部12市町村

大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展

開催中〜2024/11/24

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

小川晴暘と飛鳥園 一〇〇年の旅

開催中〜2024/11/24

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

悠久のペルシア‐技・美・伝統‐

開催中〜2024/11/24

古代オリエント博物館

東京都・豊島区

フィリップ・パレーノ:この場所、あの空

開催中〜2024/12/01

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

心象工芸展

開催中〜2024/12/01

国立工芸館

石川県・金沢市

アルフォンス・ミュシャ ふたつの世界

開催中〜2024/12/01

府中市美術館

東京都・府中市

月百姿×百段階段~五感で愉しむ月めぐり~

開催中〜2024/12/01

ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」

東京都・目黒区

信長の手紙 ―珠玉の60通大公開―

開催中〜2024/12/01

永青文庫

東京都・文京区

2024年秋季 “富士山と雲〜出会いの形〜”展

開催中〜2024/12/01

フジヤマミュージアム

山梨県・富士吉田市

清水泰博退任記念展 すべてが庭になる 〜 人の居場所をつくる

2024/11/16〜2024/12/01

東京藝術大学大学美術館

東京都・台東区

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展『はにわ』

開催中〜2024/12/08

東京国立博物館

東京都・台東区

没後50年記念 福田平八郎×琳派

開催中〜2024/12/08

山種美術館

東京都・渋谷区

広重ブルー

開催中〜2024/12/08

太田記念美術館

東京都・渋谷区

荏原 畠山美術館 開館記念展 Ⅰ―與衆愛玩一共に楽しむ

開催中〜2024/12/08

荏原 畠山美術館

東京都・品川区

ベル・エポック―美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

開催中〜2024/12/15

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

コスチュームジュエリー ―美の変革者たち― シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより

開催中〜2024/12/15

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

特別展 オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム―

開催中〜2024/12/15

泉屋博古館東京

東京都・港区

SENSE ISLAND/LAND|感覚の島と感覚の地 2024

開催中〜2024/12/15

猿島および横須賀市街地(芸術祭)

神奈川県・横須賀市

荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ

開催中〜2024/12/16

国立新美術館

東京都・港区

廣川 玉枝|皮膚のデザイン

開催中〜2024/12/22

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

OPEN SITE 9 Part 1

2024/11/23〜2024/12/22

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

水墨の魔術師 浦上玉堂

開催中〜2024/12/22

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

リキッドスケープ 東南アジアの今を見る

開催中〜2024/12/24

アーツ前橋

群馬県・前橋市

追悼 野見山暁治 野っ原との契約

開催中〜2024/12/25

練馬区立美術館

東京都・練馬区

エモーション・クロッシング展

開催中〜2024/12/25

SusHi Tech Square 1F Space

東京都・千代田区

カナレットとヴェネツィアの輝き

開催中〜2024/12/28

SOMPO美術館

東京都・新宿区

「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」展

開催中〜2025/01/05

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

さくらももこ展

開催中〜2025/01/05

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者

2024/11/23〜2025/01/05

そごう美術館

神奈川県・横浜市

上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」&「懐かしさの系譜─大正から現代まで 東京都コレクションより」

2024/11/16〜2025/01/08

東京都美術館

東京都・台東区

心のまんなかでアートをあじわってみる

開催中〜2025/01/13

原美術館ARC

群馬県・渋川市

没後100年 中村 彝 展―アトリエから世界へ

開催中〜2025/01/13

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

アレック・ソス 部屋についての部屋

開催中〜2025/01/19

東京都写真美術館

東京都・目黒区

「ルイーズ・ブルジョワ展:  地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」

開催中〜2025/01/19

森美術館

東京都・港区

現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21

開催中〜2025/01/19

東京都写真美術館

東京都・目黒区

唐ごのみ —国宝 雪松図と中国の書画—

2024/11/23〜2025/01/19

三井記念美術館

東京都・中央区

怪力の魅力

2024/11/16〜2025/01/19

北斎館

長野県・小布施町

グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ

2024/12/03〜2025/01/19

ヒカリエホール

東京都・渋谷区

再開館記念 「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル

2024/11/23〜2025/01/26

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-

開催中〜2025/02/02

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA

2024/11/20〜2025/02/02

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

中国陶磁展 うわぐすりの1500年

開催中〜2025/02/09

松岡美術館

東京都・港区

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて

開催中〜2025/02/09

アーティゾン美術館

東京都・中央区

OPEN SITE 9 Part 2

2025/01/11〜2025/02/09

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

おしゃべり美術館 ひらビあーつま~れ10年記念展

開催中〜2025/02/16

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

企画展「ゴミうんち展」

開催中〜2025/02/16

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

そこに光が降りてくる 青木野枝・三嶋りつ惠

2024/11/30〜2025/02/16

東京都庭園美術館

東京都・港区

開館2周年記念特別企画「藤田嗣治の愛しきものたち」

開催中〜2025/02/18

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

反復と偶然展

2024/12/17〜2025/02/24

国立工芸館

石川県・金沢市

漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―

開催中〜2025/02/24

世田谷文学館

東京都・世田谷区

Hello Kitty展 –わたしが変わるとキティも変わる–

開催中〜2025/02/24

東京国立博物館

東京都・台東区

特別展「鳥 〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統〜」

開催中〜2025/02/24

国立科学博物館

東京都・台東区

漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―

開催中〜2025/02/24

世田谷文学館

東京都・世田谷区

【特別展】HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―

2024/12/14〜2025/02/24

山種美術館

東京都・渋谷区

瑞祥のかたち

2025/01/04〜2025/03/02

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

アニメ「鬼滅の刃」 柱展 ーそして無限城へー

開催中〜2025/03/02

CREATIVE MUSEUM TOKYO

東京都・中央区

「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」展

2025/01/25〜2025/03/16

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

寺山修司展(コレクション展)

開催中〜2025/03/30

世田谷文学館

東京都・世田谷区

体感型デジタルアートミュージアム「動き出す浮世絵展 TOKYO」

2024/12/21〜2025/03/31

寺田倉庫G1ビル

東京都・品川区

Exhibitions

北欧の神秘―
ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画

 北欧の3か国の国立美術館が協力し、19世紀から20世紀初頭にかけての近代絵画を紹介する展覧会が東京・新宿のSOMPO美術館で開催されている。北欧の美術で真っ先に思い出されるのは、美しく機能的なデザイン、そして画家としてはノルウェーのムンクだが、実はこの時期の北欧は多くの優れた画家を輩出し、「絵画の黄金期」を迎えていたのだとか。同展の序章では、その黄金期に相応しい様々なジャンルの大作が並び、北欧絵画のエッセンスを伝えてくれる。

トマス・ファーンライ《旅人のいる風景》1830年 ノルウェー国立美術館
トマス・ファーンライ《旅人のいる風景》1830年 ノルウェー国立美術館
マルクス・ラーション《滝のある岩場の景観》1859年 スウェーデン国立美術館
マルクス・ラーション《滝のある岩場の景観》1859年 スウェーデン国立美術館

 黄金期の到来にはいくつもの理由があるのだろうが、ひとつには国外で学び、様々な影響を受けた画家たちが自国に戻り、自身の画風を展開し始めたことがあるという。彼らは、それぞれの国のナショナリズムの気運を背景として、自国の自然や歴史、神話や民間伝承などを主題に選び、自国の独自性を自らの手法で表そうとしたのだった。たとえば、ドイツ・ロマン主義に学んだファーンライは神秘的な静けさをたたえた壮大な風景を、またラーションは滝と川が岩山や森をえぐるように流れていくダイナミックな景観を緻密にとらえ、ともに自国の崇高な自然を描き出した。

アウグスト・マルムストゥルム《踊る妖精たち》1866年 スウェーデン国立美術館
アウグスト・マルムストゥルム《踊る妖精たち》1866年 スウェーデン国立美術館
ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン《イルマタル》1860年 フィンランド国立アテネウム美術館
ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン《イルマタル》1860年 フィンランド国立アテネウム美術館

 月明かりに照らされた森と湖を描いたマルムストゥルムの作品は、遠くから見ると白い煙のようなものがたなびく不思議な風景画だが、近づいて見ると、花輪をつけた大勢の妖精たちが手に手をとって踊る姿が描かれていることに気づく。一方、フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』を題材としたエークマンの絵は、最初の人間の母となる大気の精霊イルマタルによる天地創造の場面。「魔法の森」や、神話や民話の物語を描いた絵は、自国の文化を見つめ直すと同時に、近代化が進む物質主義的な世界からの解放や精神性の再生も意味していたようだ。

カール・ステファン・ベンネット《ストックホルム宮殿の眺め、冬》スウェーデン国立美術館
カール・ステファン・ベンネット《ストックホルム宮殿の眺め、冬》スウェーデン国立美術館

 近代都市の景観や北欧らしい雪の情景もまた、同展では多く登場する。たとえばイタリアで学んだベンネットのロマン主義的な都市景観画は、青みを帯びた色調と月や雪がもたらす光の効果によって、夢の中のような静謐な雰囲気を醸し出している。
 
 同展は、当時の北欧絵画を特徴づける「自然」「物語」「都市」という3つのテーマを、「自然の力」「魔力の宿る森」「都市-現実世界を描く」の3章仕立てで紹介していく。フランスのレアリスムや象徴主義、綜合主義、英国発祥のアーツ・アンド・クラフツ運動、自国の素朴な民衆芸術、あるいは日本の木版画など様々な影響を受けつつ、北欧絵画を展開していった40数人の画家による総数70点の展観は見応えがある。

ニコライ・アストルプ《ユルステルの春の夜》1926年 ノルウェー国立美術館
ニコライ・アストルプ《ユルステルの春の夜》1926年 ノルウェー国立美術館
ヴァイノ・ブロムステット《冬の日》1896年 フィンランド国立アテネウム美術館
ヴァイノ・ブロムステット《冬の日》1896年 フィンランド国立アテネウム美術館

 展示における新たな試みは、「サウンド」が取り込まれていることだろうか。密猟者のいる森の絵の前に立つと、鳥のさえずりや風の音などがひそやかに聞こえてくる仕組みで、作品や階段などの3か所にサウンドが用意されている。

1章の展示風景 中央のブルーノ・リリエフォッシュ《密猟者》(1894年 スウェーデン国立美術館)は、サウンドつきの一点
1章の展示風景 中央のブルーノ・リリエフォッシュ《密猟者》(1894年 スウェーデン国立美術館)は、サウンドつきの一点

 2章に多く登場するのは、自然に潜む「トロル」と呼ばれる怪物や妖精に関わる物語だ。魔力をもち、危険をはらむ森を象徴する存在の怪物は描かれ方も多様だが、本来「目に見えない存在」のトロルに生き生きとしたイメージを与えたと評されているのが、ノルウェーの想像力豊かな画家キッテルセンだ。

2章の展示風景 中世の英雄物語『名誉を得し者オースムン』を主題に、ガーラル・ムンテが描いた装飾画の連作 1902-1904年 ノルウェー国立美術館
2章の展示風景 中世の英雄物語『名誉を得し者オースムン』を主題に、ガーラル・ムンテが描いた装飾画の連作 1902-1904年 ノルウェー国立美術館
2章の展示風景 テオドール・キッテルセンが民話を題材に創作した物語『ソリア・モリア城』の連作より、《アスケラッドと黄金の鳥》と《トロルのシラミ取りをする姫》1900年 ノルウェー国立美術館
2章の展示風景 テオドール・キッテルセンが民話を題材に創作した物語『ソリア・モリア城』の連作より、《アスケラッドと黄金の鳥》と《トロルのシラミ取りをする姫》1900年 ノルウェー国立美術館

 だが、紙に描かれた繊細な作品が多く、日本での展示が難しいことから、今回はデジタル技術を駆使して数点の作品を8分ほどのアニメーションにした映像が特別につくられたのだという。トロルをはじめとする絵がまさに生き生きと、ときに不気味さや幽玄さをたたえながら動く映像は、それぞれの作品の世界観を見事に表すもの。「北欧の神秘」を体感させてくれる展示として見逃せない。

キッテルセンの作品を映像化したデジタル・コンテンツ
キッテルセンの作品を映像化したデジタル・コンテンツ

 出品作家のなかに、少し変わった経歴の持ち主がいるのも興味深いところだ。たとえばスウェーデン王家のエウシェン王子や、『令嬢ジュリー』などで知られる劇作家のストリンドバリなど。3章では、産業革命後に変わりゆく都市や人々の生活の負の面を描いた絵もあるが、同時代の建物や街をほのかな光のなかにとらえた詩的で神秘的な都市風景も味わい深い。

エウシェン王子《工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトシュークヴァーン製粉工場の眺め》スウェーデン国立美術館館
エウシェン王子《工場、ヴァルデマッシュウッデからサルトシュークヴァーン製粉工場の眺め》スウェーデン国立美術館館
アウグスト・ストリンドバリ《街》1903年 スウェーデン国立美術館
アウグスト・ストリンドバリ《街》1903年 スウェーデン国立美術館
3章の展示風景 アルフレッド・バリストゥルム《ストックホルムの水辺の冬景色》1899年 スウェーデン国立美術館/ブルーノ・リリエフォッシュ《そり遊び》1882年 スウェーデン国立美術館
3章の展示風景 アルフレッド・バリストゥルム《ストックホルムの水辺の冬景色》1899年 スウェーデン国立美術館/ブルーノ・リリエフォッシュ《そり遊び》1882年 スウェーデン国立美術館

 展覧会の最後を飾るのは、ムンクの作品だ。こちらに背を向け、かなたの景色を眺める二人の女性が、黄金時代を迎えた北欧絵画のさらなる展開を見やっているようにも感じられる—今後に期待を抱かせる、そんなエピローグとなっている。

エドヴァルド・ムンク《ベランダにて》1902年 ノルウェー国立美術館
エドヴァルド・ムンク《ベランダにて》1902年 ノルウェー国立美術館

執筆・写真撮影 中山ゆかり
 
*会場内の写真は、主催者の許可を得て撮影したものです。
 ただし本展では、一部の階の展示作品と常設のファン・ゴッホの《ひまわり》については、非営利かつ私的使用に限り、撮影が可能です。
*冒頭の写真: 左から、ロベルト・ヴィルヘルム・エークマン《イルマタル》1860年 フィンランド国立アテネウム美術館/アウグスト・マルムストゥルム《踊る妖精たち》1866年 スウェーデン国立美術館
 
*参考文献:「北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画」展覧会図録

北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
The Magic North: Art from Norway, Sweden and Finland
 
【会期・会場】
2024年3月23日(土)- 6月9日(日) SOMPO美術館(東京都・新宿区)
 
※来場にあたっての注意事項等については、公式ウェブサイトをご確認ください。
https://www.sompo-museum.org