詳細はミュージアムのオフィシャルサイトなどでご確認ください。

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スープはいのち スープは包む、いのちを満たす、はじまりの衣食住

開催中〜2026/08/09

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

大ゴッホ展 夜のカフェテラス

開催中〜2026/08/12

上野の森美術館

東京都・台東区

TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇 ‐禍進譚-』特別展示

開催中〜2026/08/16

アニメ東京ステーション

東京都・豊島区

江戸東京博物館リニューアル開館記念特別展「洋館 明治の夢と挑戦」

開催中〜2026/08/23

江戸東京博物館

東京都・墨田区

世紀末パリの煌めき ―OGATAコレクションにみるミュシャ、シェレ、ロートレック

開催中〜2026/08/23

茅ヶ崎市美術館

神奈川県・茅ヶ崎市

名作展「彩る、生きものたち。川端龍子の観察と想像」

開催中〜2026/08/23

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

生誕130年 前田寛治 ポエジイとレアリスム 一九三〇年協会設立100年

開催中〜2026/08/30

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

開館50周年記念「山口華楊展」

開催中〜2026/08/30

SOMPO美術館

東京都・新宿区

プレイバック!ミレニアム1991→2001:版画が/版画で越えた境界

開催中〜2026/08/30

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

大正イマジュリィの世界

開催中〜2026/08/30

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

開館10周年記念「北斎 広重 ふたりの富士、それぞれの富士」

開催中〜2026/08/30

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

安藤正子:普通の日々

開催中〜2026/09/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

可愛いだけじゃない!?ピングー展

開催中〜2026/09/06

YURAKUCHO MUSEUM(有楽町ミュージアム)

東京都・千代田区

弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」

開催中〜2026/09/06

東京国立博物館

東京都・台東区

夏季展「えいえいやっとな!蔵出し!細川家の狂言面・装束」

開催中〜2026/09/06

永青文庫

東京都・文京区

「おたから」探してミュージアム!

開催中〜2026/09/06

府中市美術館

東京都・府中市

出光真子 おんなのさくひん――ある映像作家の自伝

開催中〜2026/09/21

東京都写真美術館

東京都・目黒区

ピカソmeets ポール・スミス 遊び心の冒険へ

開催中〜2026/09/21

国立新美術館

東京都・港区

町田市立国際版画美術館所蔵 長谷川潔展 ―パリに生きた銅版画家の軌跡

開催中〜2026/09/23

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

“カフェ”に集う芸術家―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで

開催中〜2026/09/23

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

特集展示「ガンダーラの仏像と仏伝―釈尊のすがた―」

開催中〜2026/09/27

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~

開催中〜2026/09/27

TOKYO NODE(東京ノード)

東京都・港区

80 GRAPHIC TRIALS クリエイター80組とTOPPANによる挑戦の20年

開催中〜2026/09/27

印刷博物館 P&Pギャラリー

東京都・文京区

祈りと救いの美-国宝 普賢菩薩騎象像との出会い

開催中〜2026/09/27

大倉集古館

東京都・港区

東京都美術館開館100周年記念 この場所の風景―上野・大牟田・ブエノスアイレス

開催中〜2026/10/07

東京都美術館

東京都・台東区

「風そよぐ情景 ヴィクトリア朝絵画・フランス印象派」展

開催中〜2026/10/12

松岡美術館

東京都・港区

竹村京 うごくせかい

開催中〜2026/10/12

水戸芸術館現代美術ギャラリー

茨城県・水戸市

練馬区立美術館コレクション 若林奮ーRun and Restー 寺田真由美-不在の存在-

開催中〜2026/10/18

練馬区立美術館

東京都・練馬区

四季を写す絵画たち

開催中〜2026/11/08

ホキ美術館

千葉県・千葉市

マリー・アントワネット・スタイル

開催中〜2026/11/23

横浜美術館

神奈川県・横浜市

ルネ・ラリックにみる 日本とフランスの“かわいい”文化交流

開催中〜2026/12/06

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

生誕140周年記念企画「ニューヨークの藤田嗣治」展

開催中〜2027/01/11

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

世田谷文学館コレクション展「没後30年 宇野千代展」

開催中〜2027/03/28

世田谷文学館

東京都・世田谷区

モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 — モネと21世紀のアート

開催中〜2027/04/07

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

軽井沢安東美術館の外観

Exhibitions

企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」

  • 軽井沢安東美術館 (長野県・北佐久郡軽井沢町)

世界初の藤田嗣治だけの美術館

 軽井沢安東美術館は、藤田嗣治(レオナール・フジタ)(1886~1968)の作品だけを展示する世界初の個人美術館である。2022年10月に開館。創立者の安東泰志氏(同館代表理事)が夫人と共に20年にわたり蒐集した約200作品を収蔵。JR軽井沢駅北口から徒歩8分ほどの、大賀ホールのはす向かいに建つ赤煉瓦積みの壁とカーテンウォールの対比が美しい建物だ。現在、開催中の企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」では約120点を出品。筆者はここを訪れ、アットホームな雰囲気を感じながら藤田と親しく話をしたような印象をもった。

軽井沢安東美術館の外観
軽井沢安東美術館の外観

一枚の版画との出会いから

 安東氏が藤田作品の蒐集を始めたきっかけは、軽井沢での散歩中に一枚の版画に出会ったことだった。《ヴァンドーム広場》(『魅せられたる河』より、1951年、軽井沢安東美術館蔵)(所蔵先は全て軽井沢安東美術館。以下、略)である。開かれた窓からパリのヴァンドーム広場のナポレオンが建造した塔や、瀟洒な建築群がのぞく。窓辺にはマネキン人形、そして革製椅子に気持ちよさそうに眠る猫の姿がある。安東氏はこの猫に心を奪われた。この版画は、フランスの古文学者ルネ・エロン・ド・ヴィルフォス(1903~85)がパリのフォーブール・サン=トノレの通りの情景を河に見立てて執筆したテキストと、藤田のカラーエッチングなどによる挿絵から成る豪華大型本『魅せられたる河』の一葉。藤田65歳の誕生日に刊行された。

会場風景(以下同様)。右から、藤田嗣治『魅せられたる河』より《ヴァンドーム広場》 1951年 紙・エッチング。《アタラとヘシオン》『猫の本』より、《ソミリス》『猫の本』より、共に1930年 紙・コロタイプ。全て軽井沢安東美術館蔵
会場風景(以下同様)。右から、藤田嗣治『魅せられたる河』より《ヴァンドーム広場》 1951年 紙・エッチング。《アタラとヘシオン》『猫の本』より、《ソミリス》『猫の本』より、共に1930年 紙・コロタイプ。全て軽井沢安東美術館蔵

 その後、安東氏は藤田の絶妙な筆による猫や少女、聖母子などの作品の蒐集を開始し、自宅に飾り、夫妻で絵に向き合う生活を送ることになった。なかでも《人形と少女》(制昨年不詳)は、安東夫妻が訪れた藤田晩年のアトリエ内に類似の絵を見つけたこともあり、思い入れが強いそうだ。安東氏は辛いことも多く経験した人生の中で、藤田の絵に安らぎを得、絵と共に苦難を乗り越えてきたという。また藤田の生涯での挫折や苦悩を知り、共感を深めた。そして蒐集は、藤田が第二次大戦後にパリに永住して主に制作した猫と少女の絵などに加え、1920年代の「乳白色の肌」の裸婦像をも含めた、全画業にわたるものに拡大してゆき、美術館建設に至った。

右から、藤田嗣治《果実と少女》1956年 油彩・キャンバス、《人形と少女》制作年不詳 油彩・キャンバス、《猫を抱く若い娘》1957年 油彩・キャンバス。全て軽井沢安東美術館蔵
右から、藤田嗣治《果実と少女》1956年 油彩・キャンバス、《人形と少女》制作年不詳 油彩・キャンバス、《猫を抱く若い娘》1957年 油彩・キャンバス。全て軽井沢安東美術館蔵

「自宅にいらしたような雰囲気に」

 美術館の建設にあたって安東氏が心を砕いたのは、「自宅にいらしたような雰囲気で作品をご覧いただき、何かを感じてほしい」ということだった。建築家の武富恭美氏(ディーディーティー一級建築事務所 代表)は、安東氏の意図を汲み、藤田への敬意および軽井沢の特性も重ねた美術館の設計を行った。武富氏は安東夫妻の希望通り、自宅と同様に中庭を設け、英国から手造りの煉瓦を取り寄せた。煉瓦は外壁から中庭の壁へと廻り込ませている。
 
 2階は、中庭を取り囲んで展示室が並ぶが、内壁の色、照明、天井を変化させている。コレクションの中核をなす「展示室5(赤の部屋)」の「少女と猫の世界」では安東夫妻の居間の再現を図った。「展示室4(青の部屋)」の奥は、教会のような厳かな空間。軽井沢彫のベンチに腰掛けて優美な聖母子像と向き合っていると、藤田が設計し、晩年に習得したフレスコ画を描いたランスの「平和の聖母礼拝堂」(通称フジタ礼拝堂)のこと、それを創った藤田の気持ちに、筆者は自然に思いを馳せていた。藤田夫妻が眠る礼拝堂である。また藤田の手仕事を紹介する「屋根裏の部屋」は、晩年のエソンヌ県の「メゾン=アトリエ・フジタ」を彷彿とさせる。なお展望ラウンジからは、浅間山と離山が一望できる。

中庭を見る
中庭を見る
展示室4 撮影:Takahiro Maruo
展示室4 撮影:Takahiro Maruo

展示室を中心に館内をめぐる

 上に少し触れたが、館内を概観してみよう。1階の「展示室1」は、藤田の自画像など。
 2階に上がり最初の「展示室2(緑の部屋)」は、「渡仏―スタイルの模索から乳白色の下地へ」。1913年の渡仏後の風景画等の初期作品から、模索の末に到達し絶賛された1920年代の「乳白色の下地」と繊細な黒い線による裸婦像(《二人の女友達》(1926年)等)までが並ぶ。驚くべき画風の変遷がある。
 
 「展示室3(黄色の部屋)」は、「旅する画家―中南米、日本、ニューヨーク」。1931年、藤田は恋人マドレーヌと共にパリを離れ、異文化との出会いを求めての旅へ。色彩が鮮やかに変化する。日本に帰国し壁画や戦争画を制作。戦争画を描いた画家たちの責任を藤田だけに負わせようとする動きが戦後に起こり、幻滅した藤田は1949年、二度と帰国しない決心で離日。パリに向かう前にニューヨークに滞在。この部屋では、《メキシコの男》(1933年)等、この間の多彩な作品を紹介。
 
 「展示室4(青の部屋)」は、「ふたたびパリへ―信仰への道」。藤田は1950年にパリに帰還。1955年にフランス国籍を取得し、1959年には君代夫人と共にカトリックの洗礼を受けた。以後絵のサインはレオナール・フジタ(L.Foujita)となる。この部屋では少女像、聖女像、聖母子像を展示。
 
 「展示室5(赤の部屋)」は、「少女と猫の世界」。安東夫妻の居間を再現する空間。そして自動ドアのある「特別展示室」、手仕事を紹介する「屋根裏展示室」が続く。
 
 なお、1階の市松模様の床が特徴の「サロン ル ダミエ」では音楽会も開催。「HARIO CAFE」 も併設する。

サロン ル ダミエ 撮影:Takahiro Maruo
サロン ル ダミエ 撮影:Takahiro Maruo
HARIO CAFÉ  撮影:Takahiro Maruo
HARIO CAFÉ 撮影:Takahiro Maruo

初公開作品:《腕を上げた裸婦》《猫の教室》など

 本展は開館後第2弾の企画展であり、初公開の重要作品も数点出品。たおやかな《腕を上げた裸婦》(1924年)は、藤田を時代の寵児とした「乳白色の下地」による作品。東京国立近代美術館所蔵の《五人の裸婦》(1923年)の、左から2人目の女性と同じポーズをとる。
 
 《猫の教室》(1949年)は、第二次大戦後、離日しパリに向かう前に10ヵ月滞在したニューヨークで描かれた。猫たちが擬人化され、喧嘩したり早弁したり。表情が実に豊か。よく見ると、黒板の数式は猫の姿であり、時計の振り子にも小さな猫がいる。思わず笑ってしまった。筆者の頭にふと、幕末明治に活躍した河鍋暁斎筆の版画《暁斎楽画 第3号 化々学校》(1874年)が浮かんだ。鍾馗の先生が黒板を前に鬼の子供たちを教えている文明開化の戯画だが、開放感に満ちているのだ。水野昌美 館長は、《猫の学校》が高評を博したニューヨークのマシアス・コモール画廊での藤田の個展(全て新作40作品)の出品作であり、一般での公開が33年ぶりであることを、また「本作は日本を離れて、のびのびと描くことの喜びといった心情が感じられるようにも思う」とも話された。

藤田嗣治[中央]《猫の教室》1949年 油彩・キャンバス、[左]《パリの屋根の前の少女と猫》1955年 油彩・キャンバス、[右]《正面を向く猫》1930年 油彩・キャンバス。全て軽井沢安東美術館蔵  画像提供:軽井沢安東美術館
藤田嗣治[中央]《猫の教室》1949年 油彩・キャンバス、[左]《パリの屋根の前の少女と猫》1955年 油彩・キャンバス、[右]《正面を向く猫》1930年 油彩・キャンバス。全て軽井沢安東美術館蔵  画像提供:軽井沢安東美術館

 筆者は、63歳の藤田が二度と帰国しないと決心し、「絵描きは絵だけ描いてください。仲間げんかをしないでください。日本画壇は早く世界的水準になってください」との言葉を残して離日したその胸中を思うと、悲痛な気持ちになる。藤田は「…僕は日本人だから、西洋へ行っても日本の筆と、日本の墨を油絵に使ったのである」「私の体は日本で成長し、私の絵はフランスで成長した。…私には二ヶ国ながら懐かしいふるさとだ…」(藤田嗣治『随筆集 地を泳ぐ』1942年、より)などの言葉をかつて残している。
 
 軽井沢安東美術館で藤田の多様な名作に接し、その世界を堪能し、藤田を身近に感じた。彼の自然で快活な面も発見した。《ピアノを弾く自画像》(1932年)では、歌いながらピアノを弾く楽しげな藤田。《さようなら船長さん》(1932)では、ブラジルの旅で乗船した大阪汽船の船長宛の礼状の、長身のマドレーヌに手を引っ張られる藤田、など。
 そして強く伝わってくるのが、安東夫妻の藤田作品と藤田その人への気持ちである。

【参考文献】
1)軽井沢安東美術館 編:『藤田嗣治 安東コレクションの輝き 猫と少女と軽井沢』世界文化社、2022年
2)藤田嗣治:『随筆集 地を泳ぐ』平凡社、2014年
3)藤田嗣治 著、近藤史人 編:『腕一本・巴里の横顔 藤田嗣治エッセイ選』講談社、2005年
4)林 洋子:『藤田嗣治 作品をひらく 旅・手仕事・日本』名古屋大学出版会、2008年
5)林 洋子 監修・著、内呂博之 著:『もっと知りたい 藤田嗣治 生涯と作品』東京美術、2013年
 
執筆・撮影(明示以外):細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2023年6月)
※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」
 
【会期・会場】
2023年3月3日(金)~9月12日(火)  軽井沢安東美術館(長野県・北佐久郡軽井沢町)
 
(なお、特別展示「藤田嗣治と日本文化 パリにおける『本のしごと』」は、
 2023年3月3日(金)~8月1日(火)開催)
※詳細は公式サイトでご確認ください。
公式サイト  https://www.musee-ando.com/event/detail/