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企画展 よめないけど、いいね! ―根津美術館の書の名品―

開催中〜2022/08/21

根津美術館

東京都・港区

宮城県美術館所蔵 絵本原画の世界 2022 展

開催中〜2022/08/28

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

ムーミンコミックス展

開催中〜2022/08/28

東京富士美術館

東京都・八王子市

うるわしき薔薇—ルドゥーテ『バラ図譜』を中心に

開催中〜2022/08/28

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

目黒区美術館開館35周年記念展 美術館はおもちゃ箱・道具箱

開催中〜2022/08/28

目黒区美術館

東京都・目黒区

貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展 中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―

開催中〜2022/08/28

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展「北斎 百鬼見参」

開催中〜2022/08/28

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

伝えたい情景〜木版画家・山岸主計と現代作家たち〜

開催中〜2022/08/28

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―

開催中〜2022/08/28

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展 「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」

開催中〜2022/08/31

日本科学未来館

東京都・江東区

KAGAYA 星空の世界展

開催中〜2022/08/31

そごう美術館

神奈川県・横浜市

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション 第1期(春夏季)

開催中〜2022/09/04

原美術館ARC

群馬県・渋川市

こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界

開催中〜2022/09/04

世田谷美術館

東京都・世田谷区

没後25年記念特別企画 斎藤清版画展 飛翔するノスタルジア

開催中〜2022/09/04

高崎市タワー美術館

群馬県・高崎市

とある美術館の夏休み

開催中〜2022/09/04

千葉市美術館

千葉県・千葉市

沖縄復帰50年記念 特別展 琉球

開催中〜2022/09/04

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

所蔵作品展 こどもとおとなの自由研究 工芸の〇△□✕展

開催中〜2022/09/04

国立工芸館

石川県・金沢市

市制90周年記念 工藤麻紀子展

開催中〜2022/09/11

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

特別展 河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─

開催中〜2022/09/11

京都国立博物館

京都府・京都市

夏休みチャレンジ アートのたねをみつけよう!

開催中〜2022/09/11

府中市美術館

東京都・府中市

ライアン・ガンダー われらの時代のサイン

開催中〜2022/09/19

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

リニューアルオープン2 茶の湯の陶磁器 〜“景色”を愛でる〜

開催中〜2022/09/19

三井記念美術館

東京都・中央区

どっちがどっち? いわいとしお×岩井俊雄 ―『100かいだてのいえ』とメディアアートの世界― 

開催中〜2022/09/19

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

日中国交正常化 50 周年記念 特別デジタル展「故宮の世界」

開催中〜2022/09/19

東京国立博物館

東京都・台東区

キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォール

開催中〜2022/09/25

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

【特別展】水のかたち ―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―

開催中〜2022/09/25

山種美術館

東京都・渋谷区

こどもと楽しむ永青文庫

開催中〜2022/09/25

永青文庫

東京都・文京区

開館25周年記念展 Ⅱ 並河靖之の雅な技 世界を魅了した明治の京都七宝

開催中〜2022/09/25

茨城県天心記念五浦美術館

茨城県・北茨城市

ガブリエル・シャネル展― Manifeste de mode

開催中〜2022/09/25

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

東北へのまなざし 1930-1945

開催中〜2022/09/25

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

開催中〜2022/09/26

国立新美術館

東京都・港区

ボストン美術館展 芸術×力

開催中〜2022/10/02

東京都美術館

東京都・台東区

「クマのプーさん」展

開催中〜2022/10/02

PLAY! MUSEUM

東京・立川市 

ちひろ・花に映るもの

開催中〜2022/10/02

ちひろ美術館・東京

東京都・練馬区

ちひろ美術館コレクション 江戸からいまへ 日本の絵本展

開催中〜2022/10/02

ちひろ美術館・東京

東京都・練馬区

フィン・ユールとデンマークの椅子

開催中〜2022/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

特別展アリス —へんてこりん、へんてこりんな世界ー

開催中〜2022/10/10

森アーツセンターギャラリー( 六本木ヒルズ森タワー 52F)

東京都・港区

名作展「涼風を語る 龍子の描いた風景画を中心に」

開催中〜2022/10/10

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

特別展「化石ハンター展 〜ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣〜」

開催中〜2022/10/10

国立科学博物館

東京都・台東区

アールヌーヴォーからアールデコに咲いたデザイン  オールドノリタケ×若林コレクション

2022/09/10〜2022/10/16

そごう美術館

神奈川県・横浜市

企画展  蔵出し蒔絵コレクション

2022/09/10〜2022/10/16

根津美術館

東京都・港区

MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ

開催中〜2022/10/16

東京都現代美術館

東京都・江東区

MOTコレクション コレクションを巻き戻す 2nd

開催中〜2022/10/16

東京都現代美術館

東京都・江東区

泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅲ 古美術逍遙 ―東洋へのまなざし

2022/09/10〜2022/10/23

泉屋博古館東京

東京都・港区

新版画 進化系UKIYO-Eの美

2022/09/14〜2022/11/03

千葉市美術館

千葉県・千葉市

地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング

開催中〜2022/11/06

森美術館

東京都・港区

特集展示「初公開の収蔵品から」

開催中〜2022/11/06

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥

開催中〜2022/11/07

国立新美術館

東京都・港区

大蒔絵展 —漆と金の千年物語

2022/10/01〜2022/11/13

三井記念美術館

東京都・中央区

理想の書物 —英国19世紀挿絵本からプライヴェート・プレスの世界へ—

2022/09/17〜2022/11/13

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

美をつくし―大阪市立美術館コレクション

2022/09/14〜2022/11/13

サントリー美術館

東京都・港区

誕生50周年記念 ベルサイユのばら展ーベルばらは永遠にー

2022/09/17〜2022/11/20

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

江森天寿と石川梅子 夭折の画家と県内初の女流画家

2022/10/08〜2022/11/27

遠山記念館

埼玉県・川島町

開館25周年記念展 Ⅲ 再興院展の立役者 齋藤隆三

2022/10/08〜2022/11/27

茨城県天心記念五浦美術館

茨城県・北茨城市

企画展「市制90周年記念 私たちの絵 時代の自画像展」

2022/10/01〜2022/11/27

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる

2022/09/23〜2022/11/27

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展  将軍家の襖絵

2022/11/03〜2022/12/04

根津美術館

東京都・港区

特別展 京(みやこ)に生きる文化 茶の湯

2022/10/08〜2022/12/04

京都国立博物館

京都府・京都市

ポンペイ

2022/10/12〜2022/12/04

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳

2022/10/06〜2022/12/04

山種美術館

東京都・渋谷区

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

2022/09/23〜2022/12/04

府中市美術館

東京都・府中市

ジャンルレス工芸展

2022/09/16〜2022/12/04

国立工芸館

石川県・金沢市

辻 永 ふたつの顔を持つ画家 油彩と植物画

2022/10/25〜2022/12/11

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

永青文庫漆芸コレクション かがやきの名品

2022/10/08〜2022/12/11

永青文庫

東京都・文京区

加耶―古代東アジアを生きた、ある王国の歴史―

2022/10/04〜2022/12/11

国立歴史民俗博物館

千葉県・佐倉市

花鳥風月 名画で見る日本の四季 琳派・浮世絵から御舟・一村まで

開催中〜2022/12/18

岡田美術館

神奈川・箱根町

生誕150年記念 板谷波山の陶芸

2022/11/03〜2022/12/18

泉屋博古館東京

東京都・港区

川内倫子展(タイトル未定)

2022/10/08〜2022/12/18

東京オペラシティ アートギャラリー

東京都・新宿区

つながる琳派スピリット 神坂雪佳展

2022/10/29〜2022/12/18

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念 響きあう名宝 ―曜変・琳派のかがやき―

2022/10/01〜2022/12/18

静嘉堂文庫美術館

東京都・千代田区

かこさとしの世界 だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合!

2022/10/08〜2022/12/25

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

展覧会 岡本太郎 Okamoto Taro: A Retrospective

2022/10/18〜2022/12/28

東京都美術館

東京都・台東区

特別展 すべて未知の世界へ―GUTAI 分化と統合

2022/10/22〜2023/01/09

国立国際美術館

大阪府・大阪市

雲をつかむ:原美術館/原六郎コレクション 第2期(秋冬季)

2022/09/10〜2023/01/09

原美術館ARC

群馬県・渋川市

鉄道と美術の150年

2022/10/08〜2023/01/09

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ポーラ開館20周年記念展 ピカソ 青の時代を超えて

2022/09/17〜2023/01/15

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

おいしいボタニカル・アート ー食を彩る植物のものがたり

2022/11/05〜2023/01/15

SOMPO美術館

東京都・新宿区

ビーズ ―つなぐ かざる みせる  国立民族学博物館コレクション

2022/11/15〜2023/01/15

渋谷区立松濤美術館

東京都・渋谷区

マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち

2022/10/08〜2023/01/15

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

2022/10/08〜2023/01/22

国立西洋美術館

東京都・台東区

ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション

2022/10/14〜2023/01/22

京都国立近代美術館

京都府・京都市

春日大社 若宮国宝展 ―祈りの王朝文化―

2022/12/10〜2023/01/22

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

クリストとジャンヌ=クロード “包まれた凱旋門”

開催中〜2023/02/12

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

交歓するモダン 機能と装飾のポリフォニー

2022/12/17〜2023/03/05

東京都庭園美術館

東京都・港区

六本木クロッシング2022展(仮題)

2022/12/01〜2023/03/26

森美術館

東京都・港区

特別展「動画クリエイター展」

2022/10/08〜2023/04/02

日本科学未来館

東京都・江東区

Exhibitions

ルドン―秘密の花園

ルドンが描いた花と樹と夢想の世界。三菱一号館美術館にて、5月20日まで。

 ■不思議な《グラン・ブーケ(大きな花束)》
 東京・丸の内にある三菱一号館美術館が所蔵するオディロン・ルドン(1840~1916年)作《グラン・ブーケ(大きな花束)》(1901年、パステル/カンヴァス、三菱一号館美術館)は、画家60歳頃の作品。ルドン後半生の代表作だ。不思議な絵である。縦が約2.5m、横1.6m超という巨大サイズの画面いっぱいに、大きな青色の花瓶に入った多数の花が色鮮やかに描かれる。花は自ら発光しているようだ。花のなかに目や微生物のような不可解な造形が混在。浮遊感があり、現実と夢想が一体になったような印象を受ける。右下に蟻のような小さな文字で画家の署名が入る。つかみたいのにつかめない。だが、底知れぬ大きな世界の存在を感じさせる。

 《グラン・ブーケ》の運命も数奇である。なぜ東京にあるのか。本作は、ルドンの作品を気に入ったロベルト・ド・ドムシー男爵(1862~1946年)の注文により、フランスのブルゴーニュ地方にある男爵の城館の食堂を装飾する壁画として、他の15点とともに1900年から1901年に制作された。1988年、他の15点は相続税の代物弁済としてフランスが取得しオルセー美術館所蔵となるが、本作だけは100年以上もの間ひっそりと同城館食堂に飾られていた。しかし2008年、三菱一号館美術館の高橋明也館長が、その写真や資料を見る機会を得る。驚いた高橋館長はドムシー男爵の城館に出向く。そして、本作は2010年に三菱一号館美術館の所蔵となった。

 ■本展の趣旨:ドムシー男爵城館の食堂壁画を中心に。植物と装飾画をテーマに。
 その後、高橋館長と安井裕雄氏(同館 学芸グループ副グループ長)は、いつか三菱一号館美術館でドムシー男爵の城館食堂壁画すべてを展示したいと思い続けた。本展「ルドン―秘密の花園」は、その10年越しの熱い思いが実現したものだ。本展では、「植物」が多く描かれた「装飾画」である《グラン・ブーケ》および15点の壁画を中心に据えて、植物と装飾画をテーマとしてルドンの画業を90点余の作品により紹介する。プレス内覧会などでの安井氏のお話によると、①植物は、ルドンの画業の初期から晩年までにわたり途切れることのないモティーフであり、②ルドンの装飾画は、ナビ派の画家たちの装飾画と、クロード・モネ(1840〜1926年)によるオランジュリー美術館所蔵の睡蓮の大装飾画(1920~26年)との間に、位置付けられるもの、とのことだ。

 ●展覧会構成 本展の構成は、以下の八つの部分からなる。1コローの教え、ブレスダンの指導/2人間と樹木/3植物学者アルマン・クラヴォ―/4ドムシー男爵の食堂装飾/5「黒」に棲まう動植物/6蝶の夢、草花の無意識、水の眠り/7再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな/8装飾プロジェクト

 ■ドムシー男爵の城館の食堂壁画
 ドムシー男爵の城館食堂の天井高は4mとも4.5mともいわれる。展覧会会場では高さは足りないものの、食堂壁画全16点が長方形の食堂の4面にどう配置されていたのか、観る者がつかめるように展示されている。

 現在オルセー美術館が所蔵する15点(1900~1901年、木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス)は、《グラン・ブーケ》に比べて、マットで落ち着いた色調だ。デトランプという画材を使っているためである。画面サイズは、《グラン・ブーケ》よりやや大きいものから細長いものまで様々であり、描かれた内容は自然のなかに息づく花や樹々が主だが、実に多様。強い黄色の背景に大樹と多くの花が咲き乱れる情景、雪景色のような白い背景に黄葉する樹と不思議な形態の花が浮遊する有様、樹木とその横に立つ人間を描いたもの、また、大きなひな菊がいくつも浮かんでいたり、ナナカマドの実が文様のように並んでいたりもする。ひな菊やナナカマドの実は、別の場所にも描写され、呼応する。煙がかかったような背景描写やあいまいな物の輪郭が、観る者の創造力を喚起する。描写法は平坦である。

 《グラン・ブーケ》は食堂の装飾壁画全体から見ると、特別な印象を受ける。他の15点は黄色か白色を基本色としているのに対して本作では青色や鮮やかな色彩を多用しており、デトランプではなくパステル画であり、また、花瓶に入った花を描いている点などである。食堂で《グラン・ブーケ》は、左右両側の窓の間の壁に設置されていた。教会の祭壇を連想させる。窓を開くと、絵はどのように見えたのだろう。他の15点についても気になる。

 ドムシー男爵は熱心な注文主だった。ルドンの制作の役に立つように、彼をイタリア旅行や南仏旅行に同行させている。ルドンはミラノでレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519年)の《最後の晩餐》に感動し、南仏ではピエール=オーギュスト・ルノワール(1841~1919年)を訪問したという。旅の途中でルドンは、エドゥアール・ヴュイヤ―ル(1868~1940年)の名をメモに記した。彼はナビ派の画家でデトランプでの装飾画連作を描いている。ルドンは南仏でミモザに感銘を受けたと伝わる。旅行は制作に影響しているようである。

 ■ルドンの生涯と画業をたどる
 ●故郷ペイルルバード オディロン・ルドンの本名は、ベルトラン=ジャン・ルドン。1840年にフランスの南西部のボルドーに生れた。モネと同年生まれだ。病弱だったルドンは生後すぐに近郊のペイルルバード荘園に乳母とともに移り、11歳まで過ごした。ここは葡萄畑があるだけの荒地だが、ルドンは深く愛し、後年パリに在住してからも度々滞在した。《ペイルルバードの小道》(制作年不詳、油彩/紙(厚紙に貼付)、オルセー美術館)は、ルドンがこの地を描き、発表せずに大切に保管していた油彩画の小品群の一つである。空の青さと樹々の黄葉が心に浸みる。彼は樹木や植物に囲まれて育ったのだった。

 ●長い修業時代:師や仲間たちとの深い交流 ルドンの画家としてのデビューは遅く、39歳のときだった。孤高の画家のイメージがあるが、ルドンは長い修業時代から何人かの師を持って深く交流し、また芸術仲間とも親しく付き合い、多くを学んだ画家であった。

 15歳のルドンは、ボルドーの画家スタニスラス・ゴラン(1824~74年)のもとでデッサンを学んだ。彼に連れられてボルドーの展覧会で目にしたロマン主義の代表的画家ウジェーヌ・ドラクロワ(1798~1863年)に傾倒した。17歳の頃、博識だった在野の植物学者アルマン・クラヴォ―(1828~90年)と出会い、顕微鏡の世界、インドの詩やフランス現代文学、哲学などを教えられた。彼はルドンを目に見えない世界へと導いた。父母の勧めでパリの国立美術学校建築科を受験するが、失敗してボルドーに戻ったルドンは、放浪の版画家ロドルフ・ブレスダン(1822~85年)にエッチングの手ほどきを受ける。また、自然と人物を描いた巨匠ジャン=バティスト=カミーユ・コロー(1796~1875年)との知己を得て、「不確かなものの傍には、確かなものをおいてごらん」「毎年同じ場所へ行って、木を描くといい」との指導を受けたことが知られている。

 その後ルドンは32歳でパリに転居。ベルト・ド・レイサック夫人のサロンに通い、知り合ったアンリ・ファンタン=ラトゥール(1836~1904年)より、木炭画からリトグラフ(石版画)への転写法を教わり、描きためていた木炭画をもとにリトグラフの制作をすることを思いついた。兄が作曲家だったルドンは自らもヴァイオリンに秀で、レイサック夫人のサロンで作曲家エルネスト・ショーソン(1855~99年)との演奏を楽しんだ。ルドンは1902年、ショーソン夫人のために装飾壁画を制作している。

 ●「黒」の時代 ルドンの画業は、主に木炭画の「黒」の時代と、「色彩」の時代の、二つに分かれる。39歳の年に刊行した石版画集『夢のなかで』(1879年、リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)、三菱一号館美術館)がルドンの画家としてのデビューであり、ここから「黒」の時代が始まった。この版画集では扉などに、樹木と人間が描かれている。木炭画の《植物人間》(1880年頃、木炭/紙、シカゴ美術館)は、大樹に光輝く人間の顔が浮かぶ奇妙な絵だ。

 また、石版画集『起源』(1883年、リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)、岐阜県美術館)の第2葉《おそらく花の中に最初の視覚が試みられた》は、人間の目玉が上目使いをしているような花で、ぎょっとさせられる。クラヴォ―が研究していた「植物と動物の中間の生命」はこのようなものなのだろうか。本作を、ルドンの作品を好み彼とも交流があったポール・ゴーギャン(1848~1903年)は、自作のひまわりの作品に描き込んでいる。同版画集の第3葉《不格好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた》は、ギリシャ神話の一つ目巨人キュプクロスを表しているのだろうが、一度目にしたら忘れられない衝撃的な造形だ。

 ●「色彩」の時代 「色彩」の時代への移行は、1890年代にルドンの50代から60代に徐々に行われた。ドムシー男爵の城館の食堂壁画は、「色彩」の時代の最初期の代表作に当たる。《目を閉じて》(1900年以降、油彩/カンヴァス、岐阜県美術館)は、目を閉じた女性が美しい青色を背景に、たくさんの鮮やかな花に取り巻かれている情景。彼女の瞑想や夢のなかに誘い込まれるような気分になる。仏教の観音菩薩像や花散華も連想させる。《若き日のブッダ》(1905年、油彩/カンヴァス、京都国立近代美術館)は、京都画壇の土田麦僊(1887~1936年)がフランスで購入し所蔵していた作品。若いブッダの思索に思いを馳せたくなる。《蝶と花》(1910~14年、水彩/紙、プティ・パレ美術館)は、軽やかに空を舞う蝶や蛾が白い花と向き合う。蝶と花の形態の類似を暗示しているのだろか。

 一方、《ステンドグラス》(1907年、油彩/カンヴァス、ニューヨーク近代美術館(MoMA))は、上記の作品とは別の趣がある。本作に関してルドンの解説が残る。要約すると、ゴシックの大窓を描いたもので、巨大な植物からやってきた花や果物が雪崩のように白い雲と混ざり、両側には奇妙な人間がいる、(人物については)意味はなくただ暗示的、とのことだ。「色彩」の時代の作品は華やかであるが、さらに謎めいているのではないだろうか。それにしても、ルドンはなぜ「黒」を完全に止めたのだろう。

 なお、ルドンは装飾画を1900年以降の短い時期に集中して制作。展覧会場の最後に、草花を軽快に描いた《オリヴィエ・サンセールの屏風》(1903年、テンペラ、油彩等/カンヴァス、岐阜県美術館)なども展示されている。

 ■目に見えないものを表現 
 ルドンはフランス象徴主義の画家とされる。象徴主義とは、19世紀後半に文学や美術の分野で起こった概念で、人間の観念世界を表現する。象徴主義は当時、台頭した理性や理論を重視する実証主義や、写実主義に反発するものだった。印象派は目に見える現実を描く写実主義の系譜にあるが、ルドンは目に見えないものや人間の内面を描こうとする。

 ルドンは自伝的著作『私自身に』を著わしたが、そのなかの「芸術家の打ち明け話」に次のような記述がある。「暗示の芸術は、ものが夢に向かって光を放ち、思想がそこに向かうようなものです。(中略)このような芸術は、音楽という感情高揚を伴った芸術において、より自由に、輝くばかりに完全に見られます。私の絵もまた、種々の要素を組み合わせ、かたちを移し変えたりして、偶然の結果ではなく、論理によって暗示の芸術となっています。」★(★は、参考文献2)の29頁より)

 「ルドン―秘密の花園」展にて、尽きないルドンの魅力をご堪能ください。


【参考文献】
1) 安井裕雄 編集、高橋明也・安井裕雄 執筆:『ルドン―秘密の花園』(展覧会カタログ)、三菱一号館美術館、2018年。
2) オディロン・ルドン著、池辺一郎 訳:『ルドン 私自身に』、みすず書房、1983年。(原著 1961年)
3) 高橋明也 監修、山本敦子 著:『もっと知りたい ルドン 生涯と作品』、東京美術、2011年。
4) 高階秀爾:『世紀末美術』、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2008年。

執筆:細川 いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2018年5月)

※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。



写真1 三菱一号館美術館の入り口風景。(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会名】
ルドン―秘密の花園
FLORE D’ODILON REDON
【会期・会場】
2018年2月8日 ~ 5月20日 三菱一号館美術館
電話:03‐5777‐8600(ハローダイヤル)
[展覧会詳細] http://mimt.jp/parigura/

※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。