詳細はミュージアムのオフィシャルサイトなどでご確認ください。

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TOKAS-Emerging

開催中〜2025/05/04

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

百花ひらく-花々をめぐる美-

開催中〜2025/05/06

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は

開催中〜2025/05/06

水戸芸術館現代美術センター

茨城県・水戸市

hideって誰?FINAL PSYCHOVISION hide MUSEUM Since 2000

開催中〜2025/05/07

そごう美術館

神奈川県・横浜市

【特別展】桜 さくら SAKURA 2025 ―美術館でお花見!

開催中〜2025/05/11

山種美術館

東京都・渋谷区

松山智一展 FIRST LAST

開催中〜2025/05/11

麻布台ヒルズ ギャラリー(麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)

東京都・港区

「この、原美術館ARCという時間芸術」第1期

開催中〜2025/05/11

原美術館ARC

群馬県・渋川市

春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵

開催中〜2025/05/11

府中市美術館

東京都・府中市

特別展 はにわ

開催中〜2025/05/11

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

特別展「国宝・燕子花図屏風-デザインの日本美術-」

開催中〜2025/05/12

根津美術館

東京都・港区

特別展「学習院コレクション 華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」

開催中〜2025/05/17

霞会館記念学習院ミュージアム

東京都・豊島区

カラーズ — 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ

開催中〜2025/05/18

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「ライトアップ木島櫻谷II― おうこくの線をさがしに 併設四季連作屏風」

開催中〜2025/05/18

泉屋博古館東京

東京都・港区

略画 — はずむ筆、おどる線—

開催中〜2025/05/18

北斎館

長野県・小布施町

戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見

開催中〜2025/05/18

東京都庭園美術館

東京都・港区

三鷹天命反転中!!──荒川修作+マドリン・ギンズの死なないためのエクササイズ

開催中〜2025/05/18

三鷹市美術ギャラリー

東京都・三鷹市

開館30周年記念展 ブラチスラバからやってきた!世界の絵本パレード

開催中〜2025/05/18

千葉市美術館

千葉県・千葉市

生誕100年 中村正義展-その熱と渦-

開催中〜2025/05/18

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

手塚治虫「火の鳥」展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡(どうてきへいこう)=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴-

開催中〜2025/05/25

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

没後80年 小原古邨 ―鳥たちの楽園

開催中〜2025/05/25

太田記念美術館

東京都・渋谷区

アート・アーカイヴ資料展XXVII 「交信詩あるいは書簡と触発:瀧口修造と荒川修作/マドリン・ギンズ」

開催中〜2025/05/30

慶應義塾大学アート・センター(三田キャンパス 南別館 1階)

東京都・港区

開館50周年記念「1975 甦る 新橋 松岡美術館 ―大観・松園・東洋陶磁―」

開催中〜2025/06/01

松岡美術館

東京都・港区

ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ

開催中〜2025/06/01

アーティゾン美術館

東京都・中央区

すべてを描く萬(よろず)絵師 暁斎 ―河鍋暁斎記念美術館所蔵

2025/04/26〜2025/06/01

中之島 香雪美術館

大阪府・大阪市

イメージの魔術師 エロール・ル・カイン展

開催中〜2025/06/01

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

皇室の美と山梨~皇居三の丸尚蔵館の名品~

2025/04/26〜2025/06/01

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

特別展 ノー・バウンダリーズ

開催中〜2025/06/01

国立国際美術館

大阪府・大阪市

横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」

開催中〜2025/06/02

横浜美術館

神奈川県・横浜市

ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ

開催中〜2025/06/03

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋TODA BUILDING 6階)

東京都・中央区

「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」展

開催中〜2025/06/08

東京都写真美術館

東京都・目黒区

マシン・ラブ:ビデオゲーム、AI と現代アート

開催中〜2025/06/08

森美術館

東京都・港区

西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館

開催中〜2025/06/08

国立西洋美術館

東京都・台東区

企画展示「20世紀イタリアの巨匠 マリノ・マリーニ 新収蔵の版画作品を中心に」

開催中〜2025/06/08

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

遥かなるイタリア 川村清雄と寺崎武男

開催中〜2025/06/08

目黒区美術館

東京都・目黒区

特別展「古代DNA―日本人のきた道―」

開催中〜2025/06/15

国立科学博物館

東京都・台東区

タピオ・ヴィルカラ 世界の果て

開催中〜2025/06/15

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」

開催中〜2025/06/15

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

特別展「日本、美のるつぼ―異文化交流の軌跡―」

開催中〜2025/06/15

京都国立博物館

京都府・京都市

国宝の名刀と甲冑・武者絵 特集展示 三井家の五月人形

開催中〜2025/06/15

三井記念美術館

東京都・中央区

ラーメンどんぶり展 「器」からはじめるラーメン×デザイン考

開催中〜2025/06/15

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」

2025/04/22〜2025/06/15

東京国立博物館

東京都・台東区

春の特別展「食の器と道具」

開催中〜2025/06/20

国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館(ICU湯浅八郎記念館)

東京都・三鷹市

花と暮らす展

開催中〜2025/06/22

国立工芸館

石川県・金沢市

横尾忠則 連画の河

2025/04/26〜2025/06/22

世田谷美術館

東京都・世田谷区

総合開館30周年記念 TOPコレクション 不易流行

開催中〜2025/06/22

東京都写真美術館

東京都・目黒区

初夏展「くまもとの絶景―知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』―」

2025/04/26〜2025/06/22

永青文庫

東京都・文京区

藤田嗣治 ―7つの情熱

開催中〜2025/06/22

SOMPO美術館

東京都・新宿区

名作展「川端龍子の描き出した世界 生誕140年を迎えて」

開催中〜2025/06/22

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

篠原一男 空間に永遠を刻む——生誕百年 100の問い

開催中〜2025/06/22

TOTOギャラリー・間

東京都・港区

黒の奇跡・曜変天目の秘密

開催中〜2025/06/22

静嘉堂文庫美術館@丸の内

東京都・千代田区

箱根-横須賀連携企画第3弾 アートでつなぐ山と海 箱根・芦ノ湖 成川美術館コレクション展 海辺のミュージアムで楽しむ日本画のきらめき

開催中〜2025/06/22

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

石田尚志 絵と窓の間

開催中〜2025/06/22

アーツ前橋 ギャラリー

群馬県・前橋市

特別企画展「めぐる いのち 熊谷守一美術館40周年展」

開催中〜2025/06/29

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展

2025/04/26〜2025/06/29

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

開催中〜2025/06/29

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

まど・みちおのうちゅう―うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる―

2025/04/27〜2025/06/29

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス

2025/04/26〜2025/06/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

MOT Plus ハン・ネフケンス財団との共同プロジェクト シャハナ・ラジャニ

2025/04/29〜2025/06/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

日本画コレクション再発見と 片岡球子「蔦屋重三郎の浮世絵師たち」

開催中〜2025/06/29

神奈川県立近代美術館 葉山

神奈川県・葉山町

民藝 MINGEI–美は暮らしのなかにある

2025/04/22〜2025/06/29

千葉県立美術館

千葉県・千葉市

鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展 —20世紀初頭の風刺画からアール・デコ挿絵本、1930年代グラフィック雑誌まで

2025/04/26〜2025/06/29

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s

開催中〜2025/06/30

国立新美術館

東京都・港区

「この、原美術館ARCという時間芸術」第2期

2025/05/16〜2025/07/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

どうぶつ展 わたしたちはだれ? どこへむかうの?

開催中〜2025/07/06

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

橋口五葉のデザイン世界

2025/05/25〜2025/07/13

府中市美術館

東京都・府中市

岡崎乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here

2025/04/29〜2025/07/21

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025

2025/04/29〜2025/07/21

東京都現代美術館

東京都・江東区

企画展「死と再生の物語(ナラティヴ)―中国古代の神話とデザイン―」

2025/06/07〜2025/07/27

泉屋博古館東京

東京都・港区

【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち

2025/05/17〜2025/07/27

山種美術館

東京都・渋谷区

士郎正宗の世界展~『攻殻機動隊』と創造の軌跡~

開催中〜2025/08/17

世田谷文学館

東京都・世田谷区

ほとけに随侍するもの

2025/04/23〜2025/08/31

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金

開催中〜2025/09/07

ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo

東京都・江東区

オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ—モダンを拓いた2人の巨匠

2025/05/29〜2025/09/07

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。

2025/06/27〜2025/09/15

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

小湊鉄道開業 100 周年記念展「古往今来・発車オーライ!」

2025/04/26〜2025/09/15

市原湖畔美術館

千葉県市原市

藤田嗣治 猫のいる風景

開催中〜2025/09/28

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展

2025/05/24〜2025/10/05

北斎館

長野県・小布施町

開館50周年記念 おいでよ!松岡動物園

2025/06/17〜2025/10/13

松岡美術館

東京都・港区

企画展「ゴッホ・インパクト—生成する情熱」

2025/05/31〜2025/11/30

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

Exhibitions

マルモッタン・モネ美術館所蔵 
モネ展   「印象、日の出」から「睡蓮」まで

モネが一生涯続けた絵画への果敢な挑戦
  移ろう光を追い求めた印象派の巨匠クロード・モネ(1840~1926)。日本で展覧会はたびたび開かれてきたが、本展はマルモッタン・モネ美術館所蔵の作品によりモネの創作の世界を探るという初めての企画で、新たな発見をもたらしてくれる。「モネの家を訪ねるような展覧会」といってもいいだろう。東京都美術館を皮切りに福岡市美術館、京都市美術館および新潟県立近代美術館の4会場を巡回。(※展示期間が限定の作品があります。展覧会場により展示作品が一部異なります)
  ■二つの柱:モネが手元に置いていた作品群とド・ベリオ・コレクション
  東京都美術館の会場を入ると、モネ夫妻を描いた対画が我々を迎えてくれる。葉巻をくゆらしながら新聞を読むモネと、はにかむような表情の妻カミーユ。1873年にこれを描いたのは、モネとは60年来の親しい友人である画家ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841~1919)。気心の知れた同士で見せる姿であろう。そしてモネの手になる妻や息子たちの家族肖像画が続く。モネはこれらの作品を最期まで手元に置いていたという。
  本展の約90点の出展作品には二つの柱がある。中心は、モネが生涯手放さなかった傑作群だ。彼は86歳の人生の半分となる1883年、パリから西へ約80km にあるジヴェルニーに居を構え、庭を造り、後半生の画業を行った。モネの死後この家に残されたのが、モネが描いた十代の頃のカリカチュア(風刺画)から風景画、そして睡蓮や日本の橋を描いた最晩年までの作品と、モネが収集した敬愛する画家たちの作品の合計約150点。これらは次男ミシェルが受け継ぎ、1966年にマルモッタン美術館に遺贈された。同館はのちにマルモッタン・モネ美術館と改称した。
  もう一つの柱が、《印象、日の出》(1872年)(※東京展・福岡展・京都展のみ出展) (※展示期間:東京展 2015年9月19日~10月18日。福岡展 2016年2月4日~2月21日。京都展 2016年3月1日~3月21日) (※すべてマルモッタン・モネ美術館所蔵)などの、ド・ベリオ・コレクションから出展される4点である。同館の至宝だ。現在最も有名なのは「印象派」という名称の由来となった《印象、日の出》だが、《ヨーロッパ橋、サン=ラザール駅》(1877年)(※東京展・福岡展のみ出展)と《テュイルリー公園》 (1876年)(※京都展・新潟展のみ出展)は、1960年代までは《印象、日の出》よりはるかに高い評価を得ていた。これらはルーマニア出身の貴族で、印象派の画家たちの最初の見識あるコレクターであり、彼らの主治医でもあったジョルジュ・ド・ベリオ(1828~94)の収集品。彼の死後に一人娘が継承し、1940年に同館に寄贈。館外を出ることはめったにないものだ。なお、《印象、日の出》の存在が、ミシェルによるマルモッタン美術館への遺贈の動機になったのだろうといわれている。
  ■展覧会の構成
  展覧会は、以下の7つで構成されている。
  ① 家族の肖像/②若き日のモネ/③収集家としてのモネ/④モティーフの狩人/
  ⑤ジョルジュ・ド・ベリオ・コレクションの傑作―マルモッタン美術館の印象派コレクションの誕生/⑥睡蓮と花―ジヴェルニーの庭/⑦最晩年の作品

  以下、心に残った作品など、展覧会のごく一部を紹介したい。
  ■家族の肖像:モネの家族
  モネは肖像画を描くことはまれであり、家族肖像画を生前発表することはなかった。子供たちをすばやい筆触で描いた作品は、自然な表情が印象的だ。画家の愛情が溢れるようだ。《トゥルーヴィルの海辺にて》 (1870年)は、普仏戦争による徴兵を避けロンドンへ行く前に入籍した若い妻カミーユが、白と青の縞のドレスを身につけ花を飾った黒い帽子をかぶり、海を背に椅子に腰かける姿を生き生きと表す。小さいサイズながら訴えるものが強い。モネが少し前より始めた、光の表現に専念したすばやい筆致を効果的に使っている。
  モネの妻カミーユは二人の息子をもうけたが、1879年に32歳で死去。モネは6人の子供のいるエルネスト・オシュデ一家との奇妙な同居生活を続け、1892年にオシュデ夫人だったアリスと再婚し、子供たちを継子とした。アリスの娘たちはモネの絵のモデルも務め、画家でもあった次女ブランシュ・オシュデ(1865~1947)はモネの長男ジャンと結婚し、夫の他界後モネが亡くなるまで献身的にモネの世話をした。ブランシュの作品も展示。
  ■収集家としてのモネ:影響を受けた画家や交友関係
  モネは敬愛する画家たちから真摯に学び、彼らの作品を収集し大切にした。これらの作品から、彼が影響を受けた画家や人間関係を知ることができ、興味深い。例えばウジェーヌ・ブーダン(1824~98)が描いた海景の水彩画がある。モネはブーダンを師と仰いでいた。1845年の幼少期からフランス北西部ノルマンディーの港町ル・アーヴルで家族と共に暮らしたモネは、本展にも10点ほど出品されているカリカチュアを得意とし、15歳にして風刺画家として有名になった。これを見てモネの才能を見出したのがブーダンだった。「見ること、そして色彩で描くことを学びなさい。デッサンをしなさい。風景画を描きなさい」と指導し、のちに戸外制作を薦めた。
  色彩鮮やかな表現でロマン派を代表し、印象派に大きな影響を与えたウジェーヌ・ドラクロワ(1798~1863)や、モネがル・アーヴルで知り合った風景画に優れたオランダ人ヨハン・バルトルト・ヨンキント(1819~91)の水彩画もモネは所蔵していた。1889年にパリで二人展を行った彫刻家オーギュスト・ロダン(1840~1917)の《洞窟の中の若い母》(1885年)なども出展。また、モネがアトリエに飾っていたルノワール作の石膏《ココの肖像》(1907年)は、ルノワールの三男クロードの横顔。同じものをルノワールも所有していた。
  ■《印象、日の出》:「印象派」の名称の由来
  ド・ベリオ・コレクションの《印象、日の出》(1872年) (※東京展・福岡展・京都展のみ出展) (※展示期間:東京展 2015年9月19日~10月18日。福岡展 2016年2月4日~2月21日。京都展 2016年3月1日~3月21日)は、朝靄に霞むル・アーヴル港に日が昇り、空も海も橙色に染まっていく瞬間の大気の表情を美しくとらえている。しかし発表当時は、伝統的な絵画を見慣れた目には未完成に見えた。本作は後に第一回印象派展と呼ばれる、1874年開催の「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社」の展覧会に出品されたが、美術記者ルイ・ルロワが風刺紙『シャリヴァリ』上で、作品名からつけた「印象派の展覧会」と題する記事にて「描きかけの壁紙でさえ、この海景画から比べたら仕上がり過ぎ」と酷評。その後、「印象派」が変化する自然の表現を目指すモネらの画家を指すことになった。
  なおマルモッタン・モネ美術館では、2014年の同館開館80周年に際し、長く議論をよんでいた本作の描かれた日時や場所について、天文学者も交えての調査を行い、特定することができた。その成果を本展で紹介している。
  ■モティーフの狩人:風景画の変遷
  空も海も海岸線も遠い岩山も沈む太陽の光の変化を表す《プールヴィルの海岸、日没》(1882年)や、中央に浮かぶヨットの黒い影と、白、黄色、桃色と層状に美しく変色する背景の対比が際立つ《ヨット、夕暮れの効果》(1885年)を見ていると、画面が動いているようだ。《印象、日の出》(1872年)や、モネが所蔵するドラクロワの水彩画の延長線上にあるようにも感じる。
  モネは、後半生ジヴェルニーに落ち着くまでよく旅に出かけ、その風景をすばやくとらえたため、「狩人」とも称された。最初の大旅行は1870年に普仏戦争を逃れてのロンドンへの旅だった。近代的なロンドン風景を知るだけでなく、英国風景画の巨匠ジョセフ・マラード・ウィリアム・ターナー(1775~1851)らが表現した移りゆく光の効果からの影響を色濃く受け、そのことが印象派絵画の形成に決定的な意味をもった。翌年オランダ経由でフランスに帰国後、アルジャントゥイユ、ヴェトゥイユを経て、1883年にジヴェルニーに移住。1880~85年には上述の2作品を描いたノルマンディーの沿岸をよく訪れた。その後もたまにヴェネチアなどにも出かけ、風景画のモティーフを求め続けた。オランダのチューリップ畑やジヴェルニーのアイリス畑の作品を含む多様な風景画から、その変遷を辿ることができる。
 
  ■睡蓮と花:連作の展開。20世紀の画家としてのモネ
  モネは園芸愛好家でもあった。1883年にジヴェルニーに移ったのち、1890年に屋敷と土地を購入し、1893年に隣接地も手に入れて池を造成。睡蓮の池や周囲の小道や樹木も整備していった。この水の庭を舞台にした作品は多数生み出され、特に「睡蓮」は約200点以上描かれた。睡蓮や花の作品のいずれも、筆致の力強さと自由度を格段に増加させ、生命の躍動を謳歌するようだ。
  《小舟》(1887年)は右上に斜めに小舟を配し、小枝が覆う。他はすべて水中の黒々とした水草がゆらゆらと揺れる様子を描く。《睡蓮とアガパンサス》(1914~17年)は水辺から勢いよく伸びた数本のアガパンサスが斜めに画面を横切り、水面に浮かぶ黄色の睡蓮たちが話を交わしているようだ。また、《睡蓮、柳の反映》(1916~19年)は濃紺と深い緑色の水面に、空と黄緑の柳が映り、中央と下方にある二つの睡蓮の強烈な赤が神秘的。《睡蓮》(1916~19年)は爽やかな水色の空と周りの緑の樹々が映りこみ、水面がどこにあるのかは浮かぶ睡蓮によってやっと推測できる。睡蓮と池、花と葉、光の吸収と反射などのコントラストを追求しているという。
  そして縦100×横300cmの大画面に余白を残しながらも、赤、橙、緑、黒、黄土色などの線が勢いよく自在に動いて、円を描き、横にも伸びる《睡蓮》(1917~19年)に至っては、茫然となる。同時に喝采を浴びせたい気持ちになった。モネが20世紀の抽象絵画へと向かっていったことが見てとれる。本年8月まで東京・品川の原美術館で展覧会があったサイ・トゥオンブリー(1928~2011)の作品にも通じるようだ。モネが再発見されたのは、アメリカで抽象表現主義が起こった時代だった。
  モネは、1880年代終わりから90年代、同じモティーフで時間を変えて描く連作を「積み藁」「ルーアンの大聖堂」などで開始。90年代末より「睡蓮」の連作を少し手掛け、1903年より本格的に「睡蓮」を数多く描き出す。そして1914年から、モネの死後オランジュリー美術館に設置された「睡蓮」の大装飾壁画にとりかかった。本展の出品作は大装飾画のための習作ともいわれる。最終目標に向かって突き進む研究心と執念が伝わる。
  ■最晩年の作品:形態が消え、生命力みなぎる世界
  モネは白内障による視力の衰えに苦しみながらも、最晩年まで制作を続けた。1923年に手術を受けるが青色が強く見える病気になり、特殊な眼鏡をかけた。表現はさらに変化を遂げ、水の庭を描いた画面から段々に花が消えていく。東京会場の最後の部屋には、没する2年前まで描かれた、柳、日本の橋、バラの小道から見た家などの作品が展示されている。《しだれ柳》(1918~19年)の3作は中央に太いがっちりとした幹と緑の葉や枝を同じ視点から描き、色調を変えた連作。同じく1918年から制作を始めた「日本の橋」連作では形態は判別できなくなり、原色に近い色彩が躍動。モネが最晩年に達した世界は、生命力みなぎる新境地だった。
  本展ではモネのあくなき挑戦に圧倒された。
  見逃せない「モネ展」です。是非お楽しみください。

【参考文献】
1)東京都美術館・日本テレビ放送網・マルモッタン・モネ美術館 編集『マルモッタン・モネ美術館所蔵  モネ展 「印象、日の出」から「睡蓮」まで』(展覧会カタログ)、(執筆=マリアンヌ・マチュー、オーレリー・ガヴォワル、クレール・グーデン、大橋菜都子、後藤結美子、平石昌子、渡抜由季)、日本テレビ放送網 発行、2015年
2)高橋明也 監修、安井裕雄 著『もっと知りたいモネ 生涯と作品』東京美術、2010年
3)六人部昭典『モネ―《睡蓮》への歩み―』六耀社、2001年

執筆:細川いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2015年10月)


※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。

20151015001
写真1 東京都美術館の会場風景。左から、クロード・モネ《睡蓮とアガパンサス》、1914~17年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
クロード・モネ《小舟》、1887年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)
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写真2 東京都美術館の会場風景。左から、クロード・モネ《睡蓮》、1916~19年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》、1916~19年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)
20151015003
写真3 東京都美術館の会場風景。クロード・モネ《印象、日の出》、1872年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
(※展示期間:東京展 2015年9月19日~10月18日。福岡展 2016年2月4日~2月21日。京都展 2016年3月1日~3月21日)
(撮影:I.HOSOKAWA)
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写真4 東京都美術館の会場風景。左から、クロード・モネ《プールヴィルの海岸、日没》、1882年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
クロード・モネ《ヨット、夕暮れの効果》、1885年、マルモッタン・モネ美術館所蔵。
(撮影:I.HOSOKAWA)

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【会期・会場】
2015年9月19日~12月13日  東京都美術館
  <電話> 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  <東京展公式サイト> http://www.ntv.co.jp/monet/
2015年12月22日~2016年2月21日  福岡市美術館
  <福岡展公式サイト> http://monet-fukuoka.jp
2016年3月1日~5月8日  京都市美術館
2016年6月4日~8月21日  新潟県立近代美術館

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2015年10月16日