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企画展《歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能》

開催中〜2024/05/26

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

百年後芸術祭 -内房総アートフェス-

開催中〜2024/05/26

芸術祭(市原市・木更津市・君津市・袖ケ浦市・富津市の内房総5市)

千葉県・市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市

特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―

開催中〜2024/05/26

京都国立博物館

京都府・京都市

月岡芳年 月百姿

開催中〜2024/05/26

太田記念美術館

東京都・渋谷区

金屏風の祭典 ——黄金の世界へようこそ

開催中〜2024/06/02

岡田美術館

神奈川県・箱根町

日本の山海

開催中〜2024/06/02

松岡美術館

東京都・港区

卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展

開催中〜2024/06/02

国立工芸館

石川県・金沢市

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

開催中〜2024/06/02

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

1950〜60年代の日本画―造形への挑戦

開催中〜2024/06/02

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

遠距離現在 Universal / Remote

開催中〜2024/06/03

国立新美術館

東京都・港区

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

開催中〜2024/06/09

芸術祭(横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路)

神奈川県・横浜市

記憶:リメンブランス-現代写真・映像の表現から

開催中〜2024/06/09

東京都写真美術館

東京都・目黒区

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

開催中〜2024/06/09

BankART Station

神奈川県・横浜市

企画展「北斎と感情」

開催中〜2024/06/09

北斎館

長野県・小布施町

名作展「大画面の奔流―川端龍子の『会場芸術』再考」

開催中〜2024/06/09

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

特別展「法然と極楽浄土」

開催中〜2024/06/09

東京国立博物館

東京都・台東区

平野杏子展 – 生きるために描きつづけて

開催中〜2024/06/09

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界

開催中〜2024/06/09

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

青山悟 刺繍少年フォーエバー

開催中〜2024/06/09

目黒区美術館

東京都・目黒区

没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家

開催中〜2024/06/09

渋谷区立松濤美術館

東京都・渋谷区

特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

開催中〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

開催中〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

ベル・エポックー美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

開催中〜2024/06/16

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品

開催中〜2024/06/16

サントリー美術館

東京都・港区

昭和モダン×百段階段 ~東京モダンガールライフ~

開催中〜2024/06/16

ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」

東京都・目黒区

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO

開催中〜2024/06/16

東京オペラシティアートギャラリー

東京都・新宿区

板倉鼎・須美子展

開催中〜2024/06/16

千葉市美術館

千葉県・千葉市

高橋由一から黒田清輝へ ―明治洋画壇の世代交代劇―

開催中〜2024/06/16

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

ここに いても いい リトゥンアフターワーズ 山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口

開催中〜2024/06/16

アーツ前橋

群馬県・前橋市

“オモシロイフク”大図鑑

開催中〜2024/06/22

文化学園服飾博物館

東京都・渋谷区

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

開催中〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

開催中〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴

開催中〜2024/06/23

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

驚異の細密表現展 ―江戸・明治の工芸から現代アートまで―

開催中〜2024/06/23

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

没後70年 戦争を越えて―写真家ロバート・キャパ、愛と共感の眼差し―

開催中〜2024/06/23

東京富士美術館

東京都・八王子市

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

開催中〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

開催中〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

民藝 MINGEI—美は暮らしのなかにある

開催中〜2024/06/30

世田谷美術館

東京都・世田谷区

創刊50周年記念 花とゆめ展

2024/05/24〜2024/06/30

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52 階)

東京都・港区

KAGAYA 星空の世界 天空の贈り物

開催中〜2024/07/01

そごう美術館

神奈川県・横浜市

三島喜美代―未来への記憶

開催中〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

石岡瑛子 I デザイン

開催中〜2024/07/07

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

Beautiful Japan 吉田初三郎の世界

開催中〜2024/07/07

府中市美術館

東京都・府中市

ふたり 矢部太郎展

開催中〜2024/07/07

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/Eye to Eye-見ること

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

ホー・ツーニェン エージェントのA 

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―

開催中〜2024/07/07

山種美術館

東京都・渋谷区

TOPコレクション 時間旅行 ― 千二百箇月の過去とかんずる方角から

開催中〜2024/07/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

企画展 歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界

2024/06/01〜2024/07/21

泉屋博古館東京

東京都・港区

藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928年

開催中〜2024/07/23

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

「石川九楊大全」

2024/06/08〜2024/07/28

上野の森美術館

東京都・台東区

国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘

2024/06/01〜2024/07/28

太田記念美術館

東京都・渋谷区

企画展「未来のかけら 科学とデザインの実験室」

開催中〜2024/08/12

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

東京都・港区

生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界

2024/06/01〜2024/08/25

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展「北斎 グレートウェーブ・インパクト —神奈川沖浪 裏の誕生と軌跡—」

2024/06/18〜2024/08/25

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション

開催中〜2024/08/25

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙

2024/06/11〜2024/08/25

国立西洋美術館

東京都・台東区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

開催中〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

開催中〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

伊藤潤二展 誘惑

開催中〜2024/09/01

世田谷文学館

東京都・世田谷区

音を観る ―変化観音と観音変化身―

開催中〜2024/09/01

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

アートキャンプ白州 2024 Camp and Art in Each Heart!

2024/07/06〜2024/09/01

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

エドワード・ゴーリーを巡る旅

2024/07/06〜2024/09/01

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

カルダー:そよぐ、感じる、日本

2024/05/30〜2024/09/06

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

日本のまんなかでアートをさけんでみる

開催中〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」

2024/07/17〜2024/09/08

東京国立博物館

東京都・台東区

開館20周年記念 山梨放送開局70周年 平山郁夫 -仏教伝来と旅の軌跡

開催中〜2024/09/09

平山郁夫シルクロード美術館

山梨県・北杜市

フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線

2024/06/22〜2024/09/23

SOMPO美術館

東京都・新宿区

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

2024/07/13〜2024/09/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

吉田克朗展 ものに、風景に、世界に触れる

2024/07/13〜2024/09/23

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

2024/07/06〜2024/09/29

東京富士美術館

東京都・八王子市

梅津庸一 クリスタルパレス

2024/06/04〜2024/10/06

国立国際美術館

大阪府・大阪市

大地に耳をすます 気配と手ざわり

2024/07/20〜2024/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

レガシー ―美を受け継ぐ モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ

2024/06/18〜2024/10/13

松岡美術館

東京都・港区

企画展「作家の視線― 過去と現在、そして…」

2024/05/23〜2024/11/11

ホキ美術館

千葉県・千葉市

Exhibitions

ウフィツィ美術館展
―黄金のルネサンス 
  ボッティチェリからブロンヅィーノまで

新鮮な印象をもたらすイタリア・ルネサンス美術展
   15世紀のフィレンツェに開花したルネサンス。本展覧会は、日本で初めてイタリア・ルネサンス美術の宝庫であるウフィツィ美術館を中心に紹介する。監修は、アントニオ・ナターリ ウフィツィ美術館館長と小佐野重利 東京大学大学院教授。お二人の長い友情から生まれた本展は、「15~16世紀のフィレンツェで展開した絵画芸術の歩み」を絵画・素描・タピスリーなど75作品でたどる。レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)ら三大巨匠のイメージが強いルネサンス美術だが、この「ウフィツィ美術館展」は新たなイメージを届けてくれる。画面の隅々まで観る者を惹きこむ奥深い魅力の名作群を楽しみながら、フィレンツェの激動の歴史と、歴史と密接に関わる美術動向が把握できる稀有な展覧会だ。
   ルネサンスとは、イタリアにおこったギリシャ・ローマの古典文化復興運動である。そしてルネサンス美術は、古典を規範とし、幾何学的遠近法・短縮法・明暗法や解剖学的知識などを取り入れて大きく発展し、16世紀に頂点に達する。
   15~16世紀のフィレンツェ・ルネサンスを扱う本展は、4つの章構成をとるが、年代的には大きく、①1450頃~94年、②1494~1570年代、の二つに分かれる。見どころの多いなかで特に大きな柱が、サンドロ・ボッティチェリ(1444/45~1510)の作品、および16世紀の「マニエラ・モデルナ(新時代様式)」の作品であろう。以下、概要をご紹介したい。
① 1450頃~1494年
Ⅰ大工房時代のフィレンツェ/Ⅱ激動のフィレンツェ、美術の黄金期の到来

   フィレンツェでは数多くの優れた芸術家によって傑作が生み出された。その背景には、経済発展や富裕層の芸術擁護とともに、制作側では中世末期以来の工房が15世紀後半からは大工房となり、多数の協力者や弟子を抱えて組織的な制作活動を行い、幅広い注文に応じたということがあった。そして、芸術家は従来の職人から有徳の専門的職業人として扱われるようになった。
   ●大工房時代の画家たち
   会場では、大工房を率いて活躍した芸術家たちの作品を紹介する。ドメニコ・ギルランダイオ(1449~94)による鮮やかで華麗な大作《聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ》(1492~94、アカデミア美術館)、フィリッポ・リッピ(1406頃~69)の描いた甘美な受胎告知のマリアなどの板絵(1450~55頃、ウフィツィ美術館)、またラファエッロの師であったペルジーノ(1448頃~1523)による深遠なフレスコ画《哀れみのキリスト(ピエタのキリスト)》(1497頃、フィレンツェ貯蓄銀行)などが出品。そして、フィレンツェの経済発展に貢献し芸術を庇護した銀行家メディチ家のもとで、時代の寵児となったボッティチェリについては、9つの作品(工房作品含む)を展観する。彼は最初にフィリッポ・リッピの工房で修業。その後、助手または協力者としてアンドレア・ヴェロッキオ(1435~88)の工房に所属し、そこで修業中のレオナルドと顔を合わせている。一方、リッピの子フィリッピーノ・リッピ(1457~1504)は、ボッティチェリ工房で学んだ。
   ●ボッティチェリの作品
   本展では、9作品により、生涯で大きく画風を変えたボッティチェリの初期から晩年までの変遷を追うことができる。
   たとえば、初期作品の《聖母子と天使》(1465頃、捨て子養育院美術館)は瑞々しい。かつては師フィリッポ・リッピに帰属するとされていた作品。リッピの生み出した建築物の前に聖母子とイエスを支える天使を配する安定した構図や、繊細な線描などに師の影響が強く見て取れる。
   円熟期の大作である《パラスとケンタウロス》(1480~85年頃、ウフィツィ美術館)は、圧倒的な印象をもたらす。34年振りに日本で公開される話題作だ。知恵の女神ミネルヴァ(パラスはそのギリシア名)の憂いのある顔立ちと、盾を背負い鉾槍を支えて立つ堂々とした姿。女神の右手は豪快に半人半獣のケンタウロスの髪をつかむ。パラスの凛々しさが際立つ。パラスの衣装の白色と、上にまとう布や身体に巻きつくオリーブの緑色の対比も清新。筆者は1980年に国立西洋美術館で開催された「イタリア・ルネサンス美術展」で本作を観ているが、今回は白色と緑色が、より鮮やかに感じた。本作の意味は、理性の情動に対する優位とされる。また、パラスの衣装にある文様はメディチ家で使われていたもの。ボッティチェリは、メディチ家の若い当主で、芸術の黄金時代を牽引したロレンツォ・イル・マニフィコ(1449~92)周囲の人文主義サークルにも参加していた。本作は、ボッティチェリの代表作《春(プリマヴェーラ)》と《ヴィーナスの誕生》と同時期に制作されており、ロレンツォの又従弟のために注文されたといわれる。
   《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》(1505頃、パラティーナ美術館)は晩年の作。独特の表現に精神性が感じられ、こちらも忘れがたい。薔薇の生け垣を背にして目を閉じた聖母子と、聖ヨハネの像。マリアのプロポーションは引き伸ばされ、母子とも極端な姿勢をとる。マリアは上半身を斜め前に大きく倒し、幼いキリストを聖ヨハネに預けようとする。キリストの身体とヨハネの持物の葦の十字架が交差し、のちのキリスト十字架降下も想起させる。ボッティチェリは、サン・マルコ修道院のドメニコ会修道士ジローラモ・サヴォナローラ(1452~98)の思想に強く影響を受け、神秘主義的傾向を強め、とりわけ晩年に画風を変化させた。本作はその一例である。
② 1494~1570年代
Ⅲ「マニエラ・モデルナ(新時代様式)」の誕生/Ⅳフィレンツェ美術とメディチ家

   大工房で芸術家たちが切磋琢磨するなかから、16世紀に「マニエラ・モデルナ(新時代様式)」が創出される。これは、画家であり、ウフィツィ美術館(元は庁舎)を設計した建築家であり、浩瀚な『芸術家列伝』(1550年 第1版)を著したジョルジョ・ヴァザーリ(1511~74)が命名した用語で、ルネサンスの三大巨匠を範例とし、それを超える優美で卓越した表現を目指す美術を指す。16世紀初頭のフィレンツェには、1506年にミラノへ向かったレオナルドも、1508年にローマに移るミケランジェロ・ブロナロッティ(1475~1564)とラファエッロ・サンツィ(1483~1520)も滞在。彼らの作品やカルトン(原寸下絵)に芸術家たちは接することができた。
   フィレンツェの政治も複雑に動く。1494年にフランス王シャルル8世がフィレンツェに入城し、安易な妥協をしたメディチ家は追放され、共和政が復帰。ドメニコ会修道士サヴォナローラが神権政治を開始し、教会の堕落やメディチ家の頽廃を激しく非難し、彼が頽廃的とみなした絵画や書物を焼却させた。しかし、その過激さゆえ98年火刑に処される。その後ピエロ・ソデリーニが終身の行政長官(ゴンファロニエーレ)に選出されて統治するが、1512年にメディチ家が帰還。コジモ1世が1537年に公爵の称号を授かり、1569年にトスカーナ大公となる。
   ●「マニエラ・モデルナ」の画家たち
   会場では、共和政のなかで自由な感性を育んだ画家たちによる「マニエラ・モデルナ」の諸相を紹介。アンドレア・デル・サルト(1486~1530)による《ピエタのキリスト》(1525頃、アカデミア美術館)は、簡素な構図と少ない色使いのなかに信じがたい豊かさを包含。瓦にフレスコ技法で描いた《自画像》(1528~29、ウフィツィ美術館)では神妙な表情が印象に残る。なおこの自画像は、ウフィツィ美術館の有名な「ヴァザーリの回廊」に主に展示される、世界に類のない自画像コレクションの一つだ。ロッソ・フィオレンティーノ(1495~1540)の《女性の肖像》(1515頃、ウフィツィ美術館)は初期の作品。青い空に溶け込むように微笑む女性像が柔らかで優美である。彼は、のちに幾何学的な形態の《十字架降下》(1521、ヴォラテッラ美術館)(※出品無し)など描くことになる。
   ブロンヅィーノ(1503~72)やヴァザーリは、宮廷画家としてメディチ家に深く関わった。ブロンヅィーノの《公共の幸福の寓意》(1567~68頃、ウフィツィ美術館)は、青色を背景に複雑に人物を配する。本作は、コジモ1世(1519~74)の後継者フランチェスコ1世(1541~87)が、オーストリアのヨハンナ皇女と結婚し、望まれていたフィレンツェの政治的安定が実現したとの状況を示すとされる。ブロンヅィーノ工房によるメディチ家当主の肖像画群(1555~65、ウフィツィ美術館)は個性がよく表れているようだ。一方、ヴァザーリの《無原罪の御宿りの寓意》(1542、ウフィツィ美術館)は螺旋状の複雑な構成で、動的だ。彼はコジモ1世に仕えて長くヴェッキオ宮の装飾に携わり、ウフィツィ美術館の元となる庁舎の設計を行い(建設1560~80)、また1563年にフィレンツェに美術アカデミーを創立。ヴァザーリは多大な芸術的貢献をした芸術家だった。なお、ウフィツィ美術館は、1581年にフランチェスコ1世が代々のコレクションを陳列したことで始まった。
   フィレンツェのルネサンスを、新しい発見とともに楽しむ本展。是非ご覧ください。

【参考文献】
1) 小佐野重利(日本側責任監修)・マルタ・オナーリ(イタリア側責任監修)『ウフィツィ美術館展―黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで』(展覧会図録)、TBSテレビ 発行、2014年。
2) 若桑みどり『フィレンツェ』文藝春秋、1999年

執筆:HOSOKAWA Fonte Idumi 
(2014年11月)

※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。

2014-1117-001
写真1 会場風景。サンドロ・ボッティチェリ≪パラスとケンタウロス≫。(撮影:I.HOSOKAWA)

2014-1117-002
写真2 会場風景。左から、サンドロ・ボッティチェリ≪聖母子と洗礼者ヨハネ≫、
サンドロ・ボッティチェリの工房≪十字架の道行≫。(撮影:I.HOSOKAWA)

2014-1117-003
写真3 会場風景。ドメニコ・ギルランダイオ≪聖ヤコブス、
聖ステファヌス、聖ペテロ≫。(撮影:I.HOSOKAWA)

2014-1117-004
写真4 会場風景。左から、アンドレア・デル・サルトの原画に基づく≪バッチョ・バンディネッリの肖像≫。
アンドレア・デル・サルト≪自画像≫。撮影:I.HOSOKAWA)


【展覧会欧文名】
Arte a Firenze da Botticelli a Bronzino: verso una ‘maniera moderna’
【会期・会場】

2014年10月11日~12月14日 東京都美術館 
<電話>03-5777-8600(ハローダイヤル)

※本文・図版とも無断引用を禁じます。

2014年11月18日