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仏具の世界 信仰と美のかたち

開催中〜2023/03/31

根津美術館

東京都・港区

特別展「動画クリエイター展」

開催中〜2023/04/02

日本科学未来館

東京都・江東区

飯川雄大 デコレータークラブ 同時に起きる、もしくは遅れて気づく

開催中〜2023/04/02

彫刻の森美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

トンコハウス・堤大介の「ONI展」

開催中〜2023/04/02

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界

開催中〜2023/04/09

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

アートのための場所づくり 1970年代から90年代の群馬におけるアートスペース

開催中〜2023/04/09

群馬県立近代美術館

群馬県・高崎市

レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才

開催中〜2023/04/09

東京都美術館

東京都・台東区

わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち

開催中〜2023/04/09

世田谷美術館

東京都・世田谷区

ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END

開催中〜2023/04/10

森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)

東京都・港区

本と絵画の800年 吉野石膏所蔵の貴重書と絵画コレクション

開催中〜2023/04/16

練馬区立美術館

東京都・練馬区

真鍋大度 特別企画展「EXPERIMENT」

2023/04/01〜2023/05/10

清春芸術村・光の美術館

山梨県・北杜市

第59 回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap

開催中〜2023/05/14

アーティゾン美術館

東京都・中央区

東京国立近代美術館70周年記念展「重要文化財の秘密」

開催中〜2023/05/14

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

【特別展】世界遺産登録10周年記念 富士と桜 ―北斎の富士から土牛の桜まで―

開催中〜2023/05/14

山種美術館

東京都・渋谷区

企画展「北斎バードパーク」

開催中〜2023/05/21

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

特別展 大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101

開催中〜2023/05/21

泉屋博古館東京

東京都・港区

クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ

開催中〜2023/05/28

東京都現代美術館

東京都・江東区

櫻田精一展 ~気韻生動 刻の流れをみつめて~

開催中〜2023/05/28

森の美術館

千葉県・流山市

モノクロームの表現

2023/04/08〜2023/05/28

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

さくらももこ展

2023/04/22〜2023/05/28

そごう美術館

神奈川県・横浜市

さくらももこ展

2023/04/22〜2023/05/28

そごう美術館

神奈川県・横浜市

フジヤマミュージアム「春の収蔵作品展」

開催中〜2023/05/28

フジヤマミュージアム

山梨県・富士吉田市

NACT View 02 築地のはら ねずみっけ

開催中〜2023/05/29

国立新美術館

東京都・港区

美しい人びと 松園からローランサンまで

開催中〜2023/06/04

松岡美術館

東京都・港区

へザウィック・スタジオ展:共感する建築

開催中〜2023/06/04

森美術館

東京都・港区

深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ

開催中〜2023/06/04

東京都写真美術館

東京都・目黒区

アルフォンス・ ミュシャ展

2023/04/07〜2023/06/04

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

特別展「明治美術狂想曲」

2023/04/08〜2023/06/04

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

憧憬の地 ブルターニュ  ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

開催中〜2023/06/11

国立西洋美術館

東京都・台東区

ブルターニュの光と風 ー画家たちを魅了したフランス<辺境の地>

開催中〜2023/06/11

SOMPO美術館

東京都・新宿区

細川護熙 美の世界

2023/04/08〜2023/06/11

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

山梨県立美術館コレクションREMIX

2023/04/22〜2023/06/11

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

大阪の日本画

2023/04/15〜2023/06/11

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ルーヴル美術館展 愛を描く

開催中〜2023/06/12

国立新美術館

東京都・港区

さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展

開催中〜2023/06/18

東京都現代美術館

東京都・江東区

麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン

2023/04/22〜2023/06/18

世田谷美術館

東京都・世田谷区

MOTコレクション 被膜虚実/Breathing めぐる呼吸

開催中〜2023/06/18

ジョルジュ・ルオー ー かたち、色、ハーモニー ー(開館20周年記念展)

2023/04/08〜2023/06/25

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

21_21 DESIGN SIGHT 企画展「The Original」

開催中〜2023/06/25

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

東京都・港区

猪熊弦一郎展『いのくまさん』

2023/04/15〜2023/06/25

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

部屋のみる夢 ボナールからティルマンス、現代の作家まで

開催中〜2023/07/02

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

豊島区立 熊谷守一美術館 特別企画展 熊谷守一美術館38周年展

2023/04/11〜2023/07/02

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

特集展示「修験と密教の美術 祖師とみほとけ」

開催中〜2023/07/09

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

霊気を彫り出す彫刻家 大森暁生展

2023/06/03〜2023/07/09

そごう美術館

神奈川県・横浜市

谷川俊太郎 絵本★百貨展

2023/04/12〜2023/07/09

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

【特別展】小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ―画壇を揺るがした二人の天才―

2023/05/20〜2023/07/17

山種美術館

東京都・渋谷区

恐竜図鑑 ― 失われた世界の想像/創造

2023/05/31〜2023/07/22

上野の森美術館

東京都・台東区

青空は、太陽の反対側にある:原美術館/原六郎コレクション 第1期(春夏季)

開催中〜2023/09/03

原美術館ARC

群馬県・渋川市

石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ

2023/04/29〜2023/09/03

世田谷文学館

東京都・世田谷区

企画展「藤田嗣治 猫と少女の部屋」

開催中〜2023/09/12

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会

2023/04/19〜2023/09/24

森美術館

東京都・港区

美しき時代(ベル・エポック)と異彩のジュエリー

2023/04/29〜2023/11/26

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

Exhibitions

「貴婦人と一角獣」展

フランス中世の工芸品の至宝、《貴婦人と一角獣》6枚組連作タピスリーが日本で初めて公開されている。本展は、作品の圧倒的な魅力と工夫された展示による、秀逸で印象深い展覧会である。タピスリーとはフランス語で綴織(つづれおり)の大型織物(英語ではタぺストリー)のこと。西欧の聖堂や城館で保温と装飾のために壁掛として使われ、贅沢な実用品であり、14世紀後半から16世紀に全盛した。また、一角獣(ユニコーン)とは想像上の動物で、貴婦人とともに描かれることが多い。このタピスリーの最高傑作は、パリ中心部のカルチェラタンに位置するフランス国立クリニュー中世美術館の所蔵作品だが、40年前アメリカのメトロポリタン美術館に貸し出されたほかはまったく海外へ出たことがない。

西欧中世の優雅で謎めいた世界
東京の展覧会場の巨大な円形空間に足を踏み入れた瞬間、息を呑んだ。縦横とも数mの大きな作品が6枚、円形の壁に並び、我々をぐるりと取り巻く。自分がいままで経験したことのない、華麗で豊穣でしかも晴れやかな世界。感動がじわじわ増す。
《貴婦人と一角獣》は6枚とも色使いや要素が類似する。地色は強烈な赤色。下方に、赤地との対比が美しい藍色の島のような場所が浮かび、その中心に豪華な衣装の細身の美しい女性がいる。侍女が付き添うものもある。貴婦人の両脇には白い一角獣と獅子。三つの白い三日月の入った紋章の旗を掲げていることが多い。浮島の周囲には緑の木々が丸くこんもり茂る。このような共通要素をもちながら、六つのさまざまな状況が描かれる。
近づいて1枚1枚をめぐって見ていく。背景全体に草花が散りばめられ、あちこちに小さな動物や鳥たち。1500年頃に西洋で流行した千花模様(せんかもよう)(ミルフルールという)だ。そこに中世末期の宮廷貴婦人を取り巻くミステリアスな場面が展開する。うち5枚は人間の五感、つまり「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」を表すとされる。「味覚」のタピスリーでは、貴婦人が革袋をはめた右手にとまらせたオウムに、侍女の持つ皿から砂糖菓子を取って与えている。また「視覚」では、一角獣を膝にのせた貴婦人が一角獣の顔を鏡に映し出し、一角獣に見せている。互いに会話を交わしているかのようだ。不思議な印象。五感は我々に身近なものだが、描かれたものの解読は簡単ではないようだ。6枚目の作品「我が唯一の望み」は描かれた言葉からそう呼ばれるが、その意味は不明とのこと。ここでは他の5枚と異なり、中央に藍色の天幕が設置され、その前に立つ貴婦人が小箱から宝石を取り出そうとしているようにも、しまおうとしているようにも見える。
 タピスリーは1枚ごとに調和を奏で、さらに6枚全体が一つの宇宙となって見事に響き合っている。登場する人物も、一角獣、獅子、猿、兎や鳥等の動物も、みな生き生きしていることにも驚嘆した。表情が優しく穏やかで晴れ晴れとしている。相互の親愛の情までも感じられる。しかもこれらは絵ではなく、織られたものなのだ。生命観溢れる動物たちの様子に日本の《鳥獣人物戯画》(12世紀、高山寺所蔵)を連想した。
《貴婦人と一角獣》は全体を眺めても、また、たとえば貴婦人や侍女の不思議な髪型から草花の様子まで、どんな細部を見ても、見飽きることがない。優雅と洗練。軽みと親しみ深さ。そして、わからないことの魅力。6つの無言劇には盛りだくさんの物語が詰まっているようだ。見れば見るほど知りたいことが膨らむ。観る者の想像力を喚起し、どこまでも大きく飛翔させる何かを孕む。このタピスリー連作には尽きせぬ面白さがある。

タピスリーを楽しむための工夫
《貴婦人と一角獣》タピスリーは、第一に図案、構成、色の美しさ、第二に織物としての素晴らしさ、第三に主題の魅力によって、傑作とされる。今回の展覧会では、作品の魅力を人々が十分楽しめるよう工夫が凝らされている。描かれた図像等を読み解く手がかりを丁寧に示している。そしてタピスリーを展示した中心の巨大空間と、そこから放射状に配された関連作品や研究成果を紹介する場所とを自由に行き来できる。だから会場を回ると、自然に理解が深まり、楽しみが増してゆくのだ。優れた展示方法にも感銘を受けた。
タピスリーを読み解くための関連作品としては、《恋愛風景》等の同時代のタピスリーや、ステンドグラス、衣装、装身具、紋章等、クリニュー中世美術館所蔵の36作品が出品。「我が唯一の望み」のタピスリーにある物とそっくりな小箱もある。すべて日本初公開で見応えのある作品ばかりだ。絵の主題である一角獣については図像伝統を紹介。キリストを象徴するともされる想像上の動物の一角獣は、獰猛な性格だが無垢な女性にだけなつくといわれ、古くから貴婦人とともに描かれ、また寓意や道徳的解釈とともに宮廷的恋愛の文脈でも描かれてきたことなどが資料や関連作品とともに示される。
《貴婦人と一角獣》タピスリーに関してほぼわかっていることは、背景の千花模様や貴婦人の服装などから1500年頃に制作され、下絵を描いたのは当時パリで活躍した「アンヌ・ド・ブルターニュのいとも小さき時禱書の画家」として知られる画家であり、北フランスかフランドルで織られ、そして注文主はタピスリーに繰り返し登場する紋章からリヨン出身のル・ヴィスト家の者であることなどだが、研究成果もわかりやすく紹介されている。
タピスリーに登場する動物と草花が全部一覧できるコーナーも壮観である。また、タピスリーの高精細デジタルのVR(バーチャルリアリティ)映像も必見だ(凸版印刷が開発し、NHKとNHKプロモーションとともに共同制作)。細部まで鑑賞できる精度に感嘆した。ここで作品鑑賞の要点が楽しみながらつかめるのも嬉しい。

《貴婦人と一角獣》は、19世紀にフランス中央部のクルーズ県にあるブサック城に保管されていたものを、作家のプロスペル・メリメやジョルジュ・サンドが言及したことで評価が高まり、1882年にフランス国家が買い上げてクリニュー美術館所蔵となった。その後、ライナー・マーリア・リルケも『マルテの手記』で言及。多くの大作家を魅了した中世の傑作タピスリー。私は2013年のいま、その魔法のような世界を五感にて、いや六感全部をもって堪能できたという実感をもった。

HOSOKAWA Fonte Idumi

●東京展 2013年4月24日〜 7月15日 国立新美術館
●大阪展 2013年7月27日〜10月20日 国立国際美術館

2013年5月24日