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画布(キャンバス)に描くまなざし -ホキ美術館風景画展-

開催中〜2026/05/13

ホキ美術館

千葉県・千葉市

生誕100年記念「Re:辻邦生-いま、ふたたび作家に出会う」

開催中〜2026/05/16

霞会館記念学習院ミュージアム

東京都・豊島区

トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで

開催中〜2026/05/24

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

モネ没後100年 クロード・モネ— 風景への問いかけ

開催中〜2026/05/24

アーティゾン美術館

東京都・中央区

開館10周年記念「ひらけ、絵手本!『北斎漫画』エトセトラ

開催中〜2026/05/24

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

SPRING わきあがる鼓動

開催中〜2026/05/31

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「笑い滴る 春と夏の日本画名品選」

開催中〜2026/05/31

松岡美術館

東京都・港区

SORAYAMA 光・透明・反射 ーTOKYOー

開催中〜2026/05/31

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋)

東京都・中央区

KAGAYA 天空の歌

開催中〜2026/05/31

そごう美術館

神奈川県・横浜市

W.ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代

開催中〜2026/06/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

生誕100年 昭和を生きた画家 牧野邦夫 —その魂の召喚—

開催中〜2026/06/07

茅ヶ崎市美術館

神奈川県・茅ヶ崎市

北斎館50周年記念特別展 「北斎VS 福田美蘭 小布施へのメッセージ」

開催中〜2026/06/07

北斎館

長野県・小布施町

熊本城―守り継がれた名城400年の軌跡―

開催中〜2026/06/07

永青文庫

東京都・文京区

名作展「絢爛と健剛ー川端龍子の作品における装飾性ー」併催:町立湯河原美術館収蔵 平松礼二作品展

開催中〜2026/06/07

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

超危険生物展 科学で挑む生き物の本気

開催中〜2026/06/14

国立科学博物館

東京都・台東区

ルネ・ラリック展 -ガレ、ドームから続く華麗なるフランスの装飾美術-

開催中〜2026/06/14

国立工芸館

石川県・金沢市

チュルリョーニス展 内なる星図

開催中〜2026/06/14

国立西洋美術館

東京都・台東区

北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより

開催中〜2026/06/14

新見美術館コレクション 近現代日本画の精華

開催中〜2026/06/14

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

「王朝のみやびー古筆、琳派、茶の湯の情景」 「守屋多々志の華麗な歴史画ーよみがえる王朝と文明開化の夢」

開催中〜2026/06/14

荏原 畠山美術館

東京都・港区

開館50周年記念「ウジェーヌ・ブーダン展─瞬間の美学 、光の探求」

開催中〜2026/06/21

SOMPO美術館

東京都・新宿区

ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち

開催中〜2026/06/21

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

富山県水墨美術館コレクション 水墨画を楽しむ7つのとびら -富岡鉄斎、竹内栖鳳、横山大観から加山又造へ

開催中〜2026/06/21

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

うたう仲條 おどる仲條-文字と画と、資生堂と

開催中〜2026/06/28

資生堂ギャラリー

東京都・中央区

田中信太郎――意味から遠く離れて

開催中〜2026/06/28

世田谷美術館

東京都・世田谷区

動き出す妖怪展 TOKYO

開催中〜2026/06/28

寺田倉庫 G1ビル

東京都・品川区

没後110年 日本画の革命児 今村紫紅

開催中〜2026/06/28

横浜美術館

神奈川県・横浜市

アーティストとひらく「鎌田友介展:ある想像力、ふたつの土地」

開催中〜2026/06/28

横浜美術館

神奈川県・横浜市

熊谷守一美術館41周年展 守一と故郷。

開催中〜2026/06/28

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

軽井沢安東美術館 生誕140周年 藤田嗣治展

開催中〜2026/07/05

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

クヴェレ美術館 開館記念展Ⅰ Meet 美の交差点 近代日本画と東洋陶磁

開催中〜2026/07/05

クヴェレ美術館

茨城県・水戸市

東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展

開催中〜2026/07/05

東京都美術館

東京都・台東区

生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ

開催中〜2026/07/06

国立新美術館

東京都・港区

松本陽子 宵の明星を見た日

2026/05/23〜2026/07/12

府中市美術館

東京都・府中市

山田紗子 parallel tunes

開催中〜2026/07/12

TOTOギャラリー・間

東京都・港区

川合玉堂 —なつかしい日本の情景—

2026/05/16〜2026/07/26

山種美術館

東京都・渋谷区

スープはいのち スープは包む、いのちを満たす、はじまりの衣食住

開催中〜2026/08/09

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

大ゴッホ展 夜のカフェテラス

2026/05/29〜2026/08/12

上野の森美術館

東京都・台東区

安藤正子:普通の日々

開催中〜2026/09/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

ルネ・ラリックにみる 日本とフランスの“かわいい”文化交流

開催中〜2026/12/06

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

世田谷文学館コレクション展「没後30年 宇野千代展」

開催中〜2027/03/28

世田谷文学館

東京都・世田谷区

Exhibitions

「横尾忠則 寒山百得」展

東洋絵画の伝統的画題「寒山拾得」を百点の連作に!

 今年87歳になられた現代美術家・横尾忠則(1936~)による破格の展覧会が、東京国立博物館の表慶館で開かれている。中国の脱俗の精神をもつ伝説の二人の詩僧、「寒山拾得」(かんざんじっとく)をテーマとした、百点もの大連作(実際は102点)だ。全て新作。というわけで展覧会名は、「拾得」を「百得」とした「横尾忠則 寒山百得」展である。

東京国立博物館 表慶館の入り口
東京国立博物館 表慶館の入り口

 寒山と拾得は、なんとも不思議な存在だ。唐時代末頃、中国東部の浙江省の天台山・国清寺に住み、豊干禅師を師としたと伝わるが、『寒山子詩集(三隠詩集)』(二人と豊干禅師の作という)が残るものの、実在の人物かどうかは不明。しかし禅僧の間で彼らの詩が愛好され、二人の常識にとらわれない飄逸な風狂ぶりは、真理を目覚めさせる人物として尊ばれた。また寒山は文殊菩薩、拾得は普賢菩薩の化身ともいわれるようになる。「寒山拾得」は絵画の画題として、中国の宋時代以降、日本では鎌倉時代以降に近代まで多く描かれた。画中の二人の特徴は、髪がぼさぼさでぼろをまとう破衣・蓬髪、寒山は経巻(経典の巻物)を持ち、拾得は寺の掃除をするための箒を手にし、笑いあう様子などだ。

変容に次ぐ変容/観る者の心も身体も宙に浮くよう

 会場の東京国立博物館の表慶館は、建物自体が重要文化財。片山東熊(1854~1917)設計で1908年(明治41)竣工。ネオ・バロック様式の演劇的で豪壮たる建築だ。
 この空間に、横尾による寒山拾得の世界がめくるめく展開する。変容に次ぐ変容。描法も実に多様。軽やかで明るい。自由自在とはこのことなのか。表慶館の吹き抜けを見上げ、階段を昇り、横尾が創り出した102通りの変化を遂げる寒山拾得たちの世界を体験すると、心も身体もふわっと宙に浮くような開放感に満たされた。
 
 作品タイトルは日付のみ。「2021-09-03」という2021年9月3日に描かれた作品から、制作順に作品が並ぶ。それにしても横尾の描く寒山拾得は奇妙である。寒山は巻物の経典ではなく、なぜかトイレットペーパーを携え、箒を持つはずの拾得は掃除機を抱えている。
 宮本武蔵と佐々木小次郎に扮した寒山拾得もいる。3本ずつの手足で勢いよく動き、戦う。マラソンをする楽しげな群像図が見えたとき、思わず声を出して笑ってしまった。よく見ると、どうも異時場面を重ねて描写しているようだ。

東京国立博物館 表慶館の会場風景(以下同様)。左から、横尾忠則《2021-09-17》《2021-09-09》《2021-09-06》全て2021年 作家蔵
東京国立博物館 表慶館の会場風景(以下同様)。左から、横尾忠則《2021-09-17》《2021-09-09》《2021-09-06》全て2021年 作家蔵
横尾忠則《2022-01-06》2022年 作家蔵
横尾忠則《2022-01-06》2022年 作家蔵

 エドゥアール・マネ(1832~83)の問題作《草上の昼食》(1863年)や、久隅守景が描いた国宝《納涼図屛風》(江戸時代・17世紀)の絵に入り込んだり、ドン・キホーテとサンチョ・パンサに扮したりと、横尾の寒山拾得たちは美術史や物語を縦横無尽に駆けめぐる。

右手前から、横尾忠則《2022-03-24》《2022-03-04》全て2022年 作家蔵
右手前から、横尾忠則《2022-03-24》《2022-03-04》全て2022年 作家蔵
右から、横尾忠則《2022-04-24》《2022-04-27》全て2022年 作家蔵
右から、横尾忠則《2022-04-24》《2022-04-27》全て2022年 作家蔵

 二人が一本の箒に乗って空を飛ぶ様子は気持ちよさそうだ。そうこうするうち寒山と拾得が融合していく。やがて円筒形を携え、三角形、四角形、円などの幾何学形態を組み合わせた驚くべき寒山拾得が出現する。点対称なのか。足元の球体はサッカーボール? しかしみるみる解体して具象形態へ転換する。横尾の空想と創造は果てしなく広がるばかりだ。

右手前は、横尾忠則《2022-05-22》。左手前は、横尾忠則《2022-05-28》。奥は、横尾忠則《2022-06-02-AM》。全て2022年 作家蔵
右手前は、横尾忠則《2022-05-22》。左手前は、横尾忠則《2022-05-28》。奥は、横尾忠則《2022-06-02_AM》。全て2022年 作家蔵
右手前は、横尾忠則《2022-08-12》。左奥は、横尾忠則《2022-08-29》(部分)。全て2022年 作家蔵
右手前は、横尾忠則《2022-08-12》。左奥は、横尾忠則《2022-08-29》(部分)。全て2022年 作家蔵
左から、横尾忠則《2022-12-01》《2022-12-12》《2022-12-22》全て2022年 作家蔵
左から、横尾忠則《2022-12-01》《2022-12-12》《2022-12-22》全て2022年 作家蔵

「考え」を排除して描く

 2023年4月、秋に開催する本展に向けての報道発表会が行われた。横尾は2019年に一度、寒山拾得を主題にした作品を発表。その後、本展企画者の松嶋雅人 東京国立博物館 学芸研究部調査研究課長による連作制作の依頼を受け、新作百点の創作に挑戦することになったという。横尾は「えらいことになった。考えていては描けない。『考え』を排除し、脳味噌を身体に移しかえて肉体脳として、アスリートになったつもりでやろう!と創作に向かった」、そして「自分の中に自由を求める寒山拾得が存在するようになった」と語った。

本館特別1室での特集「東京国立博物館の寒山拾得図―伝説の風狂僧への憧れ―」

 本展に関連する特集として、本館特別1室で、東京国立博物館が誇る寒山拾得図を紹介しており、14~19世紀に描かれた作品を見ることができる(11月5日まで)。
 中国の元時代の画僧・因陀羅による国宝《寒山拾得図(禅機図断簡)》(元時代・14世紀)は、墨線のリズム感が見事だ【展示期間:9月12日~10月9日】。
 また中国の宋末から元初に活動した顔輝の作と伝わる重要文化財《寒山拾得図》は、不気味な笑いが独特の双福。もとは東山御物で、その後、織田信長から石山本願寺に贈られた名品だ。なお、近代洋画家の岸田劉生(1891~1929)が、本作のイメージを重ねた異形の麗子像《野童女》(1922年)を描いている。

★重要文化財 寒山拾得図 伝顔輝筆 中国 元時代・14世紀 東京国立博物館蔵 ※右が「寒山図)。左が「拾得図」。【展示期間:10月11日~11月5日】
★重要文化財 寒山拾得図 伝顔輝筆 中国 元時代・14世紀 東京国立博物館蔵 ※右が「寒山図)。左が「拾得図」。【展示期間:10月11日~11月5日】

 幕末から明治前期に活躍した河鍋暁斎(1831~89)による《豊干禅師》(明治時代・19世紀)は、横3.5m超の大画面に豊干禅師と虎、寒山と拾得の四者が悠々と描かれる。他者と異なる視線の虎もいい。なお、この四者が眠る「四睡図」という伝統的画題も禅の境地としてしばしば描かれた。
 寒山拾得は文学の主題ともなり、近代では森鷗外や井伏鱒二の短編、坪内逍遥の舞踊劇の長唄が知られる。

東京国立博物館 本館特別1室の会場風景。豊干禅師 河鍋暁斎筆 明治時代・19世紀 東京国立博物館蔵【展示期間:9月12日~11月5日】
東京国立博物館 本館特別1室の会場風景。豊干禅師 河鍋暁斎筆 明治時代・19世紀 東京国立博物館蔵【展示期間:9月12日~11月5日】

 本展企画者の松嶋は、「肩の力を抜いて、ご覧いただける展覧会です。日々辛い思いをしている人にも見ていただきたい」と開幕直前に語った。
 古典からつながる寒山拾得の、横尾忠則による独創的な新たな世界が広がる。自分の中の、自由を求める寒山拾得にも出会えそうだ。
 
 
【参考文献】
1)東京国立博物館、読売新聞社 編集:『横尾忠則 寒山百得展』(本展図録)、読売新聞社、2023年/【巻頭論文】松嶋雅人:「横尾忠則という寒山拾得、あるいは不自由という自由」
2)森鷗外:「寒山拾得」「附寒山拾得縁起」(森鷗外:『阿部一族・舞姫』新潮社、新潮文庫、1968年)
 
執筆・撮影(★は除く):細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2023年9月)
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。
※文中敬称略。

「横尾忠則 寒山百得」展
Tadanori Yokoo:100 Takes on Hanshan and Shide
 
【会期・会場】
2023年9月12日(火)~12月3日(日)  東京国立博物館 表慶館(東京都・台東区)
展覧会公式サイト https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kanzanhyakutoku
※本展は写真撮影ができます。
 
●特集「東京国立博物館の寒山拾得図―伝説の風狂僧への憧れ―」
Thematic Exhibition Admiring the Legendary Mad Monks: Paintings of Hanshan and Shide from the Museum Collection
2023年9月12日(火)~11月5日(日)  東京国立博物館 本館特別1室(東京都・台東区)