詳細はミュージアムのオフィシャルサイトなどでご確認ください。

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アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に

開催中〜2026/01/25

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

総合開館30周年記念「作家の現在 これまでとこれから」

開催中〜2026/01/25

東京都写真美術館

東京都・目黒区

中村至男 オン グラフィック

開催中〜2026/01/31

ギンザ・グラフィック・ギャラリー

東京都・中央区

日本の色 染司よしおか 吉岡更紗の仕事

開催中〜2026/02/01

三鷹市美術ギャラリー

東京都・三鷹市

国宝 熊野御幸記と藤原定家の書 ―茶道具・かるた・歌仙絵とともに ―

開催中〜2026/02/01

三井記念美術館

東京都・中央区

『日本画』の挑戦者たち それぞれの葛藤と探求

開催中〜2026/02/01

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦

開催中〜2026/02/08

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

開館50周年記念「わたしを呼ぶ《アート》 古代エジプトの棺からシャガールまで」

開催中〜2026/02/08

松岡美術館

東京都・港区

特集展「国立劇場の名品展 鏑木清方、小倉遊亀、東山魁夷、髙山辰雄、加山又造…」

開催中〜2026/02/15

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

オルセー美術館所蔵 印象派—室内をめぐる物語

開催中〜2026/02/15

国立西洋美術館

東京都・台東区

マリーナ・タバサム・アーキテクツ展 People Place Poiesis

開催中〜2026/02/15

TOTOギャラリー間

東京都・港区

【特別展】LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-

開催中〜2026/02/15

山種美術館

東京都・渋谷区

モダンアートの街・新宿

開催中〜2026/02/15

SOMPO美術館

東京都・新宿区

大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション

開催中〜2026/02/22

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋)

東京都・中央区

企画展  《北斎でひもとく!浮世絵版画大百科》

開催中〜2026/02/23

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

リサ・ラーソンの作り方 展

開催中〜2026/02/23

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

artisansと輪島塗

2026/01/22〜2026/02/23

そごう美術館

神奈川県・横浜市

マチュピチュ展

開催中〜2026/03/01

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

移転開館5周年記念 令和6年能登半島地震復興祈念 工芸と天気展 −石川県ゆかりの作家を中心に−

開催中〜2026/03/01

国立工芸館

石川県・金沢市

小出楢重 新しき油絵

開催中〜2026/03/01

府中市美術館

東京都・府中市

デザインの先生

開催中〜2026/03/08

21_21 Design Sight

東京都・港区

名作展 源流へのまなざし モティーフで見る川端龍子

開催中〜2026/03/08

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

開館30周年記念「ドナルド・キーン展 Seeds in the Heart」

開催中〜2026/03/08

世田谷文学館

東京都・世田谷区

ねり美・ふる文コラボ企画       もっと 浮世絵で行こ! 幕末明治の暮らし、娯楽、事件…

2026/01/25〜2026/03/08

練馬区立石神井公園ふるさと文化館 2階企画展示室

東京都・練馬区

企画展「知覚の大霊廟をめざして――三上晴子の インタラクティヴ・インスタレーション」

開催中〜2026/03/08

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

ガウディ没後100 年公式事業NAKED meets ガウディ展

開催中〜2026/03/15

寺田倉庫G1

東京都・品川区

いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

横浜美術館コレクション展「子どもも、おとなも! つくるわたしが、つくられる」

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

出光美術館所蔵 茶道具名品展

2026/02/03〜2026/03/22

大倉集古館

東京都・港区

たたかう仏像

開催中〜2026/03/22

静嘉堂文庫美術館(東京・丸の内)

東京都・千代田区

没後40年 荻須高徳リトグラフ展 ―稲沢市荻須記念美術館コレクション―

2026/01/30〜2026/03/22

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

冬、そして春へー「華やぎ」と「侘(わ)び」の調(しらべ)  圏外の眼-伊奈英次の写真世界

開催中〜2026/03/22

荏原 畠山美術館 

東京都・港区

大西茂 写真と絵画

2026/01/31〜2026/03/29

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠

開催中〜2026/03/29

森美術館

東京都・港区

アジアの仏たち―永青文庫の東洋彫刻コレクション―

開催中〜2026/03/29

永青文庫

東京都・文京区

Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展「湿地」

開催中〜2026/03/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

森重昭と被爆米兵調査-戦争が終わるということ

開催中〜2026/03/31

中央大学 法と正義の資料館

東京都・八王子市

ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト/中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道

開催中〜2026/04/05

泉屋博古館東京

東京都・港区

藤田嗣治 絵画と写真

2026/02/10〜2026/04/12

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術

2026/01/31〜2026/05/06

東京都現代美術館

東京都・江東区

特集展示「富士山 花と雲と湖と」

開催中〜2026/05/10

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート

2026/02/11〜2026/05/11

国立新美術館

東京都・港区

画布(キャンバス)に描くまなざし -ホキ美術館風景画展-

開催中〜2026/05/13

ホキ美術館

千葉県・千葉市

SPRING わきあがる鼓動

開催中〜2026/05/31

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

劇場アニメ ルックバック展 —押山清高 線の感情

開催中〜2027/03/29

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

2026/01/27〜2028/04/12

東京都美術館

東京都・台東区

Exhibitions

「ヴァロットン―冷たい炎の画家」展

スイス生まれの不思議な画家ヴァロットン。
重層する視線とその現代性。

   ヴァロットンにあてられたのだろうか。会場の三菱一号館美術館を出て丸の内界隈を歩きながら、物語を創作したくなるような不思議な気分になる。彼は作品に複数の視線をしのばせ、観る者の想像力を強く刺激し、みがいてもくれるらしい。サスペンス映画、アイロニーに富んだ小説、そしてパロディの漫画を観たり読んだりしたような感じが残る。同時に印象深いのは、白と黒の木版画の極端なまでにシンプルな造形や、単純化され色面で構成された多色刷木版画のような油彩画にみられる、思い切りの良さのようなものだった。
   ■日本初の回顧展
   スイスに生れ、19世紀末から20世紀初頭の40年ほどの間、パリで活躍した画家フェリックス・ヴァロットン(1865~1925)。その国際巡回展がパリのグラン・パレとアムステルダムのゴッホ美術館を経て、現在、東京の三菱一号館美術館で開催中だ。三菱一号館美術館は、彼の希少でまとまった世界有数の版画コレクション187点を所蔵する。そのうちの版画約60点と、主に海外に所蔵される油彩画約60点の合計約120点余りの作品からなる、日本で初めてのヴァロットンの回顧展である。本展では多様なヴァロットンの作品の特徴を7つ取り上げ、7つの章で彼の知られざる世界を辿る。総監修者であるギ・コジュヴァル オルセー美術館・オランジュリー美術館総裁は記者会見で、「ヴァロットンは重要な画家。20世紀に向かって窓を開いた」と述べられた。以下、展覧会の一部をご紹介したい。
   ■ヴァロットンとは 
   1865年にスイス、ローザンヌの厳格なプロテスタントの家に生れたヴァロットンは16歳でパリに出てアカデミー・ジュリアンで学んだ後、肖像画家としてキャリアをスタート。初期に手がけた革新的な創作木版画は早くに高い評価を得た。ピエール・ボナール(1867~1947)やエドゥアール・ヴュイヤール(1868~1940)らのナビ派の活動に参加し、「外国人のナビ」と呼ばれる。ポスト印象派、フォヴィスム、キュヴィスムの画家たちとも交流しながら多くの油彩画を制作。写真にも親しみ、日本絵画や浮世絵を所蔵し、その表現も取り入れる。一方でアルブレヒト・デュラー(1471~1528)、二コラ・プッサン(1594~1665)、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル(1780~1867)らを尊敬し学ぶ。しかしながらその絵画世界はあくまでもヴァロットン独特のもの。特に新しい空間表現に挑み、20世紀に入るとさらなる探索を行う。単純で正確な線描、大胆なフレーミングや平坦な色面による構成、鮮やかな色彩、作品に葛藤や複雑な意図を込める点なども特徴である。小説、戯曲や美術評論・芸術評論も執筆。なお、結婚した翌年の1900年にフランスに帰化した。
   ■強烈な黒と白の世界:木版画
   ヴァロットンの木版画作品は、表現方法も内容も独創的で面白い。通常は多色刷を考えると思うが、彼は黒色の一色刷を選び、斬新な黒と白の世界を1891年秋から世に送り出す。すぐに高く評価され、10年ほど集中して発表した。ヴァロットンはヨーロッパの創作版画としての木版画を復活させたといわれる。≪街頭デモ≫(1893年)では警官が来て、慌てふためいて逃げる群衆を対角線の片側だけに描く。鋭い動きの表現のなかに、社会批評精神とユーモアが横溢。故郷スイスのモンブランなど描いた山岳風景の連作(1892年)では単純化された形態に白と黒が配され、うねるような線は生命力に溢れる。日本画の「すやり霞」のような雲と三日月が浮かぶ平坦な風景もある。展覧会を廻った後でこの山岳連作は、彼の多様な油彩画の特徴を予告していたように思った。また、室内でフルートやヴァイオリンを奏でる≪楽器≫連作(1896~97年)や、版画の最高傑作とされる≪アンティミテ≫連作(1897~98年)は殆どが黒色。平坦な画面の洗練された表現に驚嘆した。そこには音楽自体が、男女の微妙な物語が見事に描かれている。(以上、三菱一号館美術館所蔵)
   ■摑めない意図、単純な線描と鮮やかな色面:油彩画 
   ヴァロットンの油彩画は、肖像画、室内画、風景画、裸婦、静物画、神話画、聖書の物語の画、戦争画など多岐なジャンルが網羅され、実に多様だ。そして多くはその絵画の意図するところをなかなか摑ませてくれない。
≪ボール≫ 例えば、≪ボール≫(1899年、パリ、オルセー美術館)では、画面の対角線の片側を占める広場を少女が赤いボールを走って追いかけ、対向には深い緑が連なり、遠くに二人の人影が見える。可愛らしい情景のはずなのに、少女の影も森の影も異様。よく見ると少女の後ろにも黄色いボールのようなものがある。ボールを追いながら、追われてもいるのか。2枚の写真を組み合わせて描かれた奇妙な視点も、不安感を煽るという。
≪夕食、ランプの光≫ 観る者を戸惑わせるような作品も多い。≪夕食、ランプの光≫(1899年、パリ、オルセー美術館)は夕食をする家族の情景だが、手前に後ろ向きの巨大な人影が被さり、緊張感が漂う。ヴァロットンは1899年に3人の子を持つ未亡人で、裕福なベルネーム=ジュヌ画廊の娘ガブリエルと結婚したのだが、本作からは家庭内の難しい人間関係が浮かび上がる。
≪赤い絨毯に横たわる裸婦≫ また、≪赤い絨毯に横たわる裸婦≫(1909年、ジュネーヴ、プティ・パレ美術館)では、絨毯の鮮やかな赤と壁の緑が対比する間に、後ろ向きに横たわる裸婦が、顔だけこちらを向ける。真っ直ぐな視線の謎めいた強さに圧倒される。本作は滑らかな線描のなかに大きな色面を配した抽象画のようにもみえる。
≪竜を退治するペルセウス≫など 神話画や聖書の物語の画では、観る者を困惑させる度合いが型破りとなる。≪竜を退治するペルセウス≫(1910年、ジュネーヴ美術・歴史博物館)は若く美しい王女アンドロメダを救うために海の怪物と戦う英雄ペルセウスの有名なギリシャ神話の物語。しかし、本作ではペルセウスは大仰な身振りでワニと戦い、独特の髪型の中年女性アンドロメダはそれを軽蔑の眼差しで見つめる。ヴァロットンと妻がモデルというが、笑えないパロディだ。この作品の意図は何か。同画題の≪立ち上がるアンドロメダとペルセウス≫(1918年、スイス、個人蔵)では、画面を赤い崖、緑の湖、紺色の空に分け、それぞれに同系色で登場人物と怪物を軽快に配す。現代の漫画のようだ。
≪ロワール川岸の砂原≫など 一方、≪ロワール川岸の砂原≫(1923年、チューリッヒ美術館)、《白い砂浜、ヴァスイ》(1913年、スイス、個人蔵)などの風景画は、色彩の美しさ、造形の面白さと静謐さに豊かなものを有し、大いに魅かれた。≪残照≫(1911年、カンベール美術館)など、シュルレアリスムを思わせる作品もみられる。
   ■率直な心情を描く:戦争画
   ヴァロットンは1914年に第一次世界大戦が始まると、木版画と油彩で戦争を描くが、私はこれらの作品から、他の作品とは異なるものを感じた。これらには、彼の心情が率直に表現されているように思える。彼は版画集≪これが戦争だ!≫(1915~16年)によって、油彩画に専念するため中断していた木版画を再開した。この6点の漫画的な表現には強い戦争批判が込められている。また、従軍した前線で描いた、独仏が対峙した激戦地の≪ヴェルダン、下絵≫や、≪廃墟と化したユゥルの教会≫≪くっきりと浮かび上がるスーアンの教会≫(3作ともに1917年、パリ、オルセー美術館)などの油彩画では、美しさのなかに戦争の脅威が明確に表現されていて、忘れがたい。≪短刀で刺された男≫(1916年、ヴィンタートゥ―ル美術館)は壮絶である。
   本展覧会は、2014年が日本とスイス国交樹立150周年であることを記念しての開催である。ヴァロットンは長く忘却された画家であり、近年になって再評価が進む。しかし、作品の多くが故郷のスイスに所蔵され、スイスではよく知られ愛されている画家である。一方、日本との関係も深い。彼は日本絵画や浮世絵をよく学び、その表現を自作に取り入れている。また、小説『にんじん』(1894年作)の著者ジュール・ルナール(1864~1910)の友人であったことから、ヴァロットンは1902年に挿絵を寄稿。日本でも彼の挿絵がついた『にんじん』の翻訳書は親しまれてきた。さて、ヴァロットンがパリで活躍し始めた1894年(明治27)、東京・丸の内ではジョサイア・コンドル設計による三菱一号館が竣工した。その同じ場所に復元された三菱一号館美術館でのヴァロットン展である。その多様な世界を是非お楽しみください。

【参考文献】
1)杉山菜穂子・日本経済新聞社 編集『ヴァロットン―冷たい炎の画家』(図録)、三菱一号館美術館・日本経済新聞社 、2014年。
2)ジュウル・ルナアル(岸田国士 訳)『にんじん』(挿絵:ヴァロトン)、岩波書店(岩波文庫)、1950年。


執筆:HOSOKAWA Fonte Idumi 

(2014年8月)


【展覧会の欧文表記】FÈLIX VALLOTTON(1865-1925).
LE FEU SOUS LA GLACE
【会期・会場】2014年6月14日~9月23日 三菱一号館美術館
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
詳細:http://mimt.jp/vallotton/


※本文・図版とも無断引用を禁じます。

2014年8月17日