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森美術館開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために

開催中〜2024/03/31

森美術館

東京都・港区

tupera tupera + 遠藤幹子 しつもんパーク in 彫刻の森美術館

開催中〜2024/03/31

彫刻の森美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

企画展「いざ、勝負!」

開催中〜2024/03/31

北斎館

長野県・小布施町

岩﨑家のお雛さま

開催中〜2024/03/31

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

岡田健太郎―重なる景体

開催中〜2024/04/07

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

三井家のおひなさま 特別展示 丸平文庫所蔵 京のひなかざり

開催中〜2024/04/07

三井記念美術館

東京都・中央区

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

開催中〜2024/04/07

東京都美術館

東京都・台東区

美術家たちの沿線物語 小田急線篇

開催中〜2024/04/07

世田谷美術館

東京都・世田谷区

魔女まじょ展

開催中〜2024/04/08

魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)2階ギャラリー

東京都・江戸川区

初公開の仏教美術 ―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―

開催中〜2024/04/14

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

櫻井翔 未来への言葉展 PLAYFUL!

開催中〜2024/04/14

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

令和5年度早春展 中国陶磁の色彩 ―2000年のいろどり―

開催中〜2024/04/14

永青文庫

東京都・文京区

英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり

開催中〜2024/04/14

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

建立900年 特別展 中尊寺金色堂

開催中〜2024/04/14

東京国立博物館

東京都・台東区

生誕150年 池上秀畝―高精細画人―

開催中〜2024/04/21

練馬区立美術館

東京都・練馬区

須藤玲子:NUNOの布づくり

開催中〜2024/05/06

水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場

茨城県・水戸市

春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術

開催中〜2024/05/06

府中市美術館

東京都・府中市

第5回「私の代表作」展

開催中〜2024/05/12

ホキ美術館

千葉県・千葉市

ライトアップ木島櫻谷 ― 四季連作大屏風と沁みる『生写し』

開催中〜2024/05/12

泉屋博古館東京

東京都・港区

イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い

開催中〜2024/05/12

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

皇室のみやび―受け継ぐ美― 第3期「近世の御所を飾った品々」

開催中〜2024/05/12

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン

開催中〜2024/05/19

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

開催中〜2024/05/19

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

マティス 自由なフォルム

開催中〜2024/05/27

国立新美術館

東京都・港区

金屏風の祭典 ——黄金の世界へようこそ

開催中〜2024/06/02

岡田美術館

神奈川県・箱根町

日本の山海

開催中〜2024/06/02

松岡美術館

東京都・港区

卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展

開催中〜2024/06/02

国立工芸館

石川県・金沢市

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

2024/04/05〜2024/06/02

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

遠距離現在 Universal / Remote

開催中〜2024/06/03

国立新美術館

東京都・港区

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

開催中〜2024/06/09

芸術祭(横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路)

神奈川県・横浜市

北欧の神秘ーノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画

開催中〜2024/06/09

SOMPO美術館

東京都・新宿区

記憶:リメンブランス-現代写真・映像の表現から

開催中〜2024/06/09

東京都写真美術館

東京都・目黒区

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

開催中〜2024/06/09

BankART Station

神奈川県・横浜市

企画展「北斎と感情」

2024/04/06〜2024/06/09

北斎館

長野県・小布施町

特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

開催中〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

2024/04/18〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

ベル・エポックー美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

2024/04/20〜2024/06/16

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

2024/04/27〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

2024/04/27〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

開催中〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

2024/04/16〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

民藝 MINGEI—美は暮らしのなかにある

2024/04/24〜2024/06/30

世田谷美術館

東京都・世田谷区

三島喜美代―未来への記憶

2024/05/19〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

2024/04/24〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

2024/04/13〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

日本のまんなかでアートをさけんでみる

開催中〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

大地に耳をすます 気配と手ざわり

2024/07/20〜2024/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

Exhibitions

奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム

 アール・デコの建築で名高い東京都庭園美術館で、20世紀前半のパリでおこった芸術運動、シュルレアリスムを起点としたモード展が開催されている。「奇想」をキーワードに選ばれた多彩な作品が、旧宮邸の洗練された展示空間に並ぶ刺激的な展覧会だ。

「奇想」から俯瞰する

 本館大広間でまず目に飛び込んでくるのは、シュルレアリスムを代表するダリの彫刻2点。女性の優雅な身体に家具の引き出しを合体させた特異な表現が、観る者の想像力を駆り立てる。一方、その奥で緑色に輝くのは、ベルギー出身の現代美術家ファーブルによる玉虫の羽根を用いた美術作品。昆虫の内臓を守る固い鞘羽(さやばね)の集積を甲冑(かっちゅう)に見立てている。

展示風景、手前/サルヴァドール・ダリ《炎の女》(1980年)、奥/同《抽き出しのあるミロのヴィーナス》(1936-64年)、右奥/ヤン・ファーブル《甲冑(カラー)》(1996-2002年)
展示風景、手前/サルヴァドール・ダリ《炎の女》(1980年)、奥/同《抽き出しのあるミロのヴィーナス》(1936-64年)、右奥/ヤン・ファーブル《甲冑(カラー)》(1996-2002年)

 この展示室からも感じられるとおり、本展の特徴は、シュルレアリスムのみならず、現代も含む広範な時代の作品が見られることだ。革新的な意匠を用い、時代に先駆けるような作品を生むクリエーターたちの表現は、シュルレアリスムの理念にも重なり合うものだという視点から、「奇想」というより大きな枠組みがとられている。
 そうして集められた作品は、どこか過剰だったり、オブセッシブだったり、美しさのなかに怖さもはらんでいたりと、インパクトのあるものが多い。

展示風景、ジョン・ガリアーノ/メゾン・マルジェラ《ミュール(2015年秋冬)》(2015年)
展示風景、ジョン・ガリアーノ/メゾン・マルジェラ《ミュール(2015年秋冬)》(2015年)

 とりわけ展覧会冒頭に登場する動物の部位や毛皮を用いた品や、遺髪でつくったジュエリー、毛髪を用いた(あるいは毛髪を思わせる)ドレスといった品々は、繊細なデザインに感嘆させられる一方で、そうした素材への人々の執着に、どこかおののきを感じずにはいられない。

展示風景、左/永澤陽一《ボディ・アクセサリー(2004年秋冬)》(2004年)、右/マルタン・マルジェラ《ドレス(2004年秋冬》(2004年)
展示風景、左/永澤陽一《ボディ・アクセサリー(2004年秋冬)》(2004年)、右/マルタン・マルジェラ《ドレス(2004年秋冬》(2004年)

 ここではまた、中国古来の纏足(てんそく)や、18世紀ヨーロッパのコルセットなど、歴史を遡ったモードの紹介もある。小さな足や細い腰に女性の究極の美を認める価値観のもと、身体を歪めてでも美を求める(あるいは求めさせる)欲望は、展覧会のタイトル通り、現代では「狂気」とも思えるものだろう。

展示風景、《纏足鞋》(19世紀末-20世紀初頭)
展示風景、《纏足鞋》(19世紀末-20世紀初頭)
展示風景、《コルセット》(1880年頃)
展示風景、《コルセット》(1880年頃)

シュルレアリスムとモードの親和性

 シュルレアリスムとモードを結ぶ本展の象徴的な存在は、パリで活躍し、シュルレアリストたちともコラボしたファッション・デザイナーのエルザ・スキャパレッリだ。
 ショッキングピンクの命名者でもあり、本展でもその鮮やかな色のドレスや、羽根飾りを大胆に配した帽子、コスチュームジュエリーや香水瓶などが目を引く。

エルザ・スキャパレッリのドレスやケープが並ぶ展示風景
エルザ・スキャパレッリのドレスやケープが並ぶ展示風景

 代表作のひとつ《香水瓶「Shocking」》は、ハリウッド女優メイ・ウエストから仮縫い用に送られてきたボディサイズのトルソをモチーフとした、シュルレアリストらしい作品だ。

エルザ・スキャパレッリの香水瓶が並ぶ展示風景、中央に《香水瓶「Shocking」》(1937年)
エルザ・スキャパレッリの香水瓶が並ぶ展示風景、中央に《香水瓶「Shocking」》(1937年)

 シュルレアリスムとモードの親和性は、本展では「裁縫」や「分断された身体」「マネキン」など、いくつかのキーワードとともに紹介されている。
 「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘(こうもりがさ)の偶然の出会いのように美しい」という作家ロートレアモンの一節が、相異なるものを出会わせることで常識を覆す手法を好んだシュルレアリスムを象徴する句となっているが、シュルレアリストたちが実際にミシンを重要なモチーフとしている点も興味深い。

ン・レイのオブジェや写真が並ぶ展示風景、右/ハインリッヒ・マーラー《PKZ社ポスター》(1939年)
マン・レイのオブジェや写真が並ぶ展示風景、右/ハインリッヒ・マーラー《PKZ社ポスター》(1939年)

 シュルレアリストたちはまた、モード誌の表紙でも活躍した。彼らが好んだ眼や唇、手首などの分断された身体のイメージがモードのつくり手にも霊感を与える一方で、洋服を着せるマネキンや、靴や手袋、帽子などが絵画や写真、オブジェのモチーフとなった。本展には、モードという視点を通して、改めてシュルレアリスム作品を見直す楽しみもある。

展示風景、左/ハリー・ゴードン《ポスター・ドレス》(1968年頃)、右/『ハーパース・バザー』1938年10月号
展示風景、左/ハリー・ゴードン《ポスター・ドレス》(1968年頃)、右/『ハーパース・バザー』1938年10月号
展示風景、左/ハンス・ベルメールの写真作品、右/ジョルジョ・デ・キリコ《ヘクトールとアンドロマケー》(1930年頃)
展示風景、左/ハンス・ベルメールの写真作品、右/ジョルジョ・デ・キリコ《ヘクトールとアンドロマケー》(1930年頃)

 シュルレアリストの感性に通じるモード作品は、現代日本にも見ることができる。
 新館の広大な空間に並ぶのは、花魁(おいらん)の高下駄から着想を得たヒールのない厚底靴や、ポニーやシマウマの脚部を思わせるジョッパーズパンツ、毛皮や皮革と昆虫や鳥の羽根をモチーフとした靴の数々、そして発光する絹糸を用いた西陣織のドレスのインスタレーションなど。「装う」という域を超えたかにも見える独創的な作品群は、本館の展示ともまた違う鮮烈な魅力を放っている。

舘鼻則孝《ヒールレスシューズ》と《ベビーヒールレスシューズ》(2021年)の展示風景
舘鼻則孝《ヒールレスシューズ》と《ベビーヒールレスシューズ》(2021年)の展示風景
永澤陽一によるジョッパーズパンツ《恐れと狂気》(2018年)の展示風景
永澤陽一によるジョッパーズパンツ《恐れと狂気》(2018年)の展示風景
展示風景、左から/串野真也《Sphinx of the forest》《Guardian deity Bird》《Guardian deity Crocodile》(2017年)
展示風景、左から/串野真也《Sphinx of the forest》《Guardian deity Bird》《Guardian deity Crocodile》(2017年)
展示風景、ANOTHER FARM《Modified Paradise》(2018年)
展示風景、ANOTHER FARM《Modified Paradise》(2018年)

 多彩な作品でシュルレアリスムに対する視座も広げてくれる本展は、美術好きにも、モード好きにも見応え抜群の展覧会だ。会場内にも丁寧な作品解説があるが、図録もおすすめ。手にしやすい小ぶりな判型で、美しい写真と詳細な解説が収録されている。

執筆・写真撮影:中山ゆかり

*画像は、すべて主催者側の許可を得て撮影したものです。
*参考文献:『奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム』展覧会カタログ

奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム
Mode Surreal: A Crazy Love for Wearing

【会期・会場】
2022年1月15日(土)~2022年4月10日(日) 東京都庭園美術館(東京都・港区)
※本展は日時指定の予約制です。
※来場にあたっての注意事項等については、公式ウェブサイトをご確認ください。
美術館HP:https://www.teien-art-museum.ne.jp