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ベル・エポック―美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

開催中〜2024/12/15

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

コスチュームジュエリー ―美の変革者たち― シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより

開催中〜2024/12/15

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

特別展 オタケ・インパクト ―越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム―

開催中〜2024/12/15

泉屋博古館東京

東京都・港区

SENSE ISLAND/LAND|感覚の島と感覚の地 2024

開催中〜2024/12/15

猿島および横須賀市街地(芸術祭)

神奈川県・横須賀市

荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ

開催中〜2024/12/16

国立新美術館

東京都・港区

廣川 玉枝|皮膚のデザイン

開催中〜2024/12/22

藤沢市アートスペース

神奈川県・藤沢市

OPEN SITE 9 Part 1

開催中〜2024/12/22

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

水墨の魔術師 浦上玉堂

開催中〜2024/12/22

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

リキッドスケープ 東南アジアの今を見る

開催中〜2024/12/24

アーツ前橋

群馬県・前橋市

追悼 野見山暁治 野っ原との契約

開催中〜2024/12/25

練馬区立美術館

東京都・練馬区

エモーション・クロッシング展

開催中〜2024/12/25

SusHi Tech Square 1F Space

東京都・千代田区

カナレットとヴェネツィアの輝き

開催中〜2024/12/28

SOMPO美術館

東京都・新宿区

「テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする」展

開催中〜2025/01/05

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

さくらももこ展

開催中〜2025/01/05

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

ミュシャ展 マルチ・アーティストの先駆者

開催中〜2025/01/05

そごう美術館

神奈川県・横浜市

上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」&「懐かしさの系譜─大正から現代まで 東京都コレクションより」

開催中〜2025/01/08

東京都美術館

東京都・台東区

心のまんなかでアートをあじわってみる

開催中〜2025/01/13

原美術館ARC

群馬県・渋川市

没後100年 中村 彝 展―アトリエから世界へ

開催中〜2025/01/13

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

アレック・ソス 部屋についての部屋

開催中〜2025/01/19

東京都写真美術館

東京都・目黒区

「ルイーズ・ブルジョワ展:  地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」

開催中〜2025/01/19

森美術館

東京都・港区

現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21

開催中〜2025/01/19

東京都写真美術館

東京都・目黒区

唐ごのみ —国宝 雪松図と中国の書画—

開催中〜2025/01/19

三井記念美術館

東京都・中央区

怪力の魅力

開催中〜2025/01/19

北斎館

長野県・小布施町

グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ

開催中〜2025/01/19

ヒカリエホール

東京都・渋谷区

特別展「志村ふくみ100歳記念—《秋霞》から《野の果て》までー」

開催中〜2025/01/19

大倉集古館

東京都・港区

再開館記念 「不在」ートゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル

開催中〜2025/01/26

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

小杉放菴展 小杉放菴記念日光美術館の所蔵作品を中心に

開催中〜2025/01/26

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-

開催中〜2025/02/02

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

超絶技巧、未来へ! 明治工芸とそのDNA

開催中〜2025/02/02

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

東急 暮らしと街の文化ーー100年の時を拓く

開催中〜2025/02/02

世田谷美術館

東京都・世田谷区

中国陶磁展 うわぐすりの1500年

開催中〜2025/02/09

松岡美術館

東京都・港区

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて

開催中〜2025/02/09

アーティゾン美術館

東京都・中央区

OPEN SITE 9 Part 2

2025/01/11〜2025/02/09

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

絵画のゆくえ2025

2025/01/18〜2025/02/11

SOMPO美術館

東京都・新宿区

おしゃべり美術館 ひらビあーつま~れ10年記念展

開催中〜2025/02/16

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

企画展「ゴミうんち展」

開催中〜2025/02/16

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

そこに光が降りてくる 青木野枝・三嶋りつ惠

開催中〜2025/02/16

東京都庭園美術館

東京都・港区

開館2周年記念特別企画「藤田嗣治の愛しきものたち」

開催中〜2025/02/18

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

反復と偶然展

2024/12/17〜2025/02/24

国立工芸館

石川県・金沢市

漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―

開催中〜2025/02/24

世田谷文学館

東京都・世田谷区

Hello Kitty展 –わたしが変わるとキティも変わる–

開催中〜2025/02/24

東京国立博物館

東京都・台東区

特別展「鳥 〜ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統〜」

開催中〜2025/02/24

国立科学博物館

東京都・台東区

漫画家・森薫と入江亜季 展 ―ペン先が描く緻密なる世界―

開催中〜2025/02/24

世田谷文学館

東京都・世田谷区

【特別展】HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―

2024/12/14〜2025/02/24

山種美術館

東京都・渋谷区

【特別展】HAPPYな日本美術 ―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ―

2024/12/14〜2025/02/24

山種美術館

東京都・渋谷区

小西真奈 Wherever

2024/12/14〜2025/02/24

府中市美術館

東京都・府中市

瑞祥のかたち

2025/01/04〜2025/03/02

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

アニメ「鬼滅の刃」 柱展 ーそして無限城へー

開催中〜2025/03/02

CREATIVE MUSEUM TOKYO

東京都・中央区

読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー

2024/12/18〜2025/03/02

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

川端龍子+高橋龍太郎コレクション  コラボレーション企画展「ファンタジーの力」

開催中〜2025/03/02

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

evala 現われる場 消滅する像

2024/12/14〜2025/03/09

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」展

2025/01/25〜2025/03/16

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

花器のある風景

2025/01/25〜2025/03/16

泉屋博古館東京

東京都・港区

寺山修司展(コレクション展)

開催中〜2025/03/30

世田谷文学館

東京都・世田谷区

平山郁夫《想一想》と昭和期の日本画家たち

開催中〜2025/03/30

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

MOTコレクション 竹林之七妍/小さな光/開館30周年記念プレ企画 イケムラレイコ マーク・マンダース  Rising Light/Frozen Moment

2024/12/14〜2025/03/30

東京都現代美術館

東京都・江東区

体感型デジタルアートミュージアム「動き出す浮世絵展 TOKYO」

2024/12/21〜2025/03/31

寺田倉庫G1ビル

東京都・品川区

ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト

2025/01/25〜2025/04/06

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

カラーズ — 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ

2024/12/14〜2025/05/18

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

ポーラ美術館の会場風景(以下同様)。アンリ・マティス《窓辺の婦人》1935年 ポーラ美術館

Exhibitions

部屋のみる夢 
ボナールからティルマンス、現代の作家まで

「部屋」から広がる多彩な世界/好きな順に廻る

 部屋のみる夢。Interior Visions。こんな詩的な名称をもつ魅惑的な展覧会が、緑深い箱根のポーラ美術館で開催中だ。本展企画のきっかけは、パンデミックで誰もが「部屋」という空間(自宅や自室)で多くの時間を過ごしたこと。そこで、部屋にまつわる19世紀以降の近代絵画と現代作品を紹介し、「部屋」について見つめ直し考えてみよう、ということである。
 9組の作家による部屋に関連する50余の作品が、9部屋(2会場)に展示され、二重構造となっている。実に多彩だ。会場では見る順序を設けていないため、自分の好きな順序で部屋を廻れるのも楽しい。なんだか憧れの芸術家の部屋をふらっと訪問したような気分になる。開放感、高揚感、夢見心地が重なるといったらよいだろうか。

マティスの部屋

 色彩と形態の調和を追求した20世紀の巨匠アンリ・マティス(1869~1954)は、長い画業のなかで次々と画風を変化させたが、「部屋」は常に重要な制作現場だった。《窓辺の婦人》(1935年、ポーラ美術館)は、窓辺に助手でモデルのリディア、窓の外にニースの海がパステルで描かれる。青色と橙色、垂直・水平・斜線と曲線が絶妙に配されている。卓上の不思議な水色の斑点は反射光だろうか。マティスは内部と外部の通路である窓に興味をもつ、と語り、多くの作品でモティーフとした。イタリア・ルネサンスのアルベルティが一点透視図法との関連で「絵画=窓」と定義したが、マティスは窓によって異空間の再構成に挑み、逆に奥行きの浅い平坦な画面を創った。

ポーラ美術館の会場風景(以下同様)。アンリ・マティス《窓辺の婦人》1935年 ポーラ美術館
ポーラ美術館の会場風景(以下同様)。アンリ・マティス《窓辺の婦人》1935年 ポーラ美術館

 南仏のニースは、マティスが1917年に第一次大戦の激化でパリから赴き、その後、制作の主要拠点となった。彼は、アトリエの部屋に愛着のある装飾的なテキスタイルや異国の調度品などを持ち込み、好みの室内空間を創り上げる。そしてモデルを配し、絵画に複雑な世界を生み出した。

左から、アンリ・マティス《室内:二人の音楽家》1923年、《襟巻の女》1936年、《リュート》1943年。全てポーラ美術館
左から、アンリ・マティス《室内:二人の音楽家》1923年、《襟巻の女》1936年、《リュート》1943年。全てポーラ美術館

ハマスホイの部屋

 ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864~1916)は、デンマークのコペンハーゲンで活躍し、多数の室内画を残した。それらは後期バロック様式の歴史的建造物が立ち並ぶ旧市街の自宅で描かれた。彼の作品は日本の美術館では2点のみ収蔵。本展でその2点が並ぶ。独特の静寂な絵画は、灰色を主調とする色彩、少ない家具、女性の後ろ姿などが特徴だ。《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》(1899年、ポーラ美術館)は、窓辺で本を読む画家の母親らしき人の後ろ姿と窓からの柔らかい光が、やや不自然な影などと共に描写される。本作は画家が熱心に学んだ17世紀オランダ絵画を参考にしながら、現実の室内の要素をできる限り削ぎ落して描かれた。

ヴィルヘルム・ハマスホイ《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》1899年 ポーラ美術館
ヴィルヘルム・ハマスホイ《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》1899年 ポーラ美術館

モリゾの部屋

 印象派の女性画家ベルト・モリゾ(1841~95)は、パリや近郊での近代生活を素早い筆遣いで描写した。《ベランダにて》(1884年、ポーラ美術館)は、光溢れるサンルームでの愛娘ジュリーを愛情いっぱいに描く。本展で、モリゾがベランダやバルコニーなど室内と屋外の境界で多く描いたこと、及びその意味を教えられた。当時、特に上流階級の女性は外出を制限されており、大半を家庭内、すなわち屋内で過ごした。よってこれらの境界地点は、そうした状況のもとで外光を捉える印象派の画家として、モリゾが選ぶことができた場所だったのだ。

ベルト・モリゾ《ベランダにて》1884年 ポーラ美術館
ベルト・モリゾ《ベランダにて》1884年 ポーラ美術館

ティルマンスの部屋

 写真家ヴォルフガング・ティルマンス(1968~)の部屋では、ポーラ美術館の新収蔵品10作品が出展。ティルマンスはドイツに生まれ、1990年代より雑誌「i-D」等での日常を捉えた作品が注目される。その舞台は活動拠点とするロンドン、ベルリン、ニューヨークの住居やアトリエなど。《静物、ボーン・エステート》(2002年、ポーラ美術館)は、窓辺の情景。外光、ガラスの反射、スプーン内の映り込みも印象的。馴染み深い物が自然に置かれているようだが、周到に構図を組み立てている。本作は額装ではなくクリップで留めて展示。また、4連作の《あふれる光》(2011年、ポーラ美術館)では、余白が異なる4作品に窓枠の方形が不思議な展開を見せる。ティルマンスは写真というものを拡張させていく。

左から、ヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》2002年、《草》2014年。共にポーラ美術館
左から、ヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》2002年、《草》2014年。共にポーラ美術館

髙田安規子・政子の部屋

 双子のアーティストユニット髙田安規子・政子(1978~)の部屋に入って、「あっ!」と声を上げそうになった。二人はスケールを操作することで人々の認識を揺るがす作品を生み出してきた。本展では窓と扉をモティーフとした大掛かりな新作《Inside-out/Outside-in》《Open/Closed》(共に2023年、作家蔵)を制作。美術館周辺の環境も取り込んだ。会場構成を手がけた建築家・吉野弘らと共に時間をかけて構想、設営したという。リモートワークで起こった「部屋」でのプライベートとパブリックの混在などを思い起こさせ、示唆に富む。作品に近寄って反転する美しい世界にしばし見惚れた。

髙田安規子・政子《Inside-out/Outside-in》の部分 2023年 作家蔵。本展開幕前日の降雪日の会場写真
髙田安規子・政子《Inside-out/Outside-in》の部分 2023年 作家蔵。本展開幕前日の降雪日の会場写真

 このほか、ナビ派のピエール・ボナール(1867~1947)やエドゥアール・ヴュイヤール(1868~1940)による家族との親密な空間などの絵画、佐藤翠+守山友一朗(共に1984~)の室内と自然の関係を問う絵画や屛風、また草間彌生(1929~)の美しくも悪夢を予想させるベッドの立体作品などが部屋ごとに展開する。

ピエール・ボナール《浴槽、ブルーのハーモニー》1917年頃 ポーラ美術館
ピエール・ボナール《浴槽、ブルーのハーモニー》1917年頃 ポーラ美術館
手前は、草間彌生《ベッド、水玉強迫》2002年 ポーラ美術館。新収蔵品である。奥は、草間彌生《南瓜》1981年 個人蔵
手前は、草間彌生《ベッド、水玉強迫》2002年 ポーラ美術館。新収蔵品である。奥は、草間彌生《南瓜》1981年 個人蔵

 本展での多彩な部屋の表現は、長く部屋に籠っていた筆者の心に柔らかく響いた。
 自分にとって「部屋」とは何か?
 
 
【参考文献】
1)ポーラ美術館 企画、近藤萌絵・工藤弘二 編集:『部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで』(展覧会カタログ)、求龍堂、2023年
2)佐藤直樹:『ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画』、平凡社、2020年
3)萬屋健司:『ヴィルヘルム・ハマスホイ 静寂の詩人』、東京美術、2020年
4)ロラン・バルト(花輪光 訳):『明るい部屋 写真についての覚書』、みすず書房、1985年
 
執筆・写真:細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi)
(2023年5月)
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで
Interior Visions:From Bonnard to Tillmans and Contemporary Artists
 
【会期・会場】
2023年1月28日(土)~7月2日(日) ポーラ美術館(神奈川県・足柄下郡箱根町)
※詳細は公式サイトでご確認ください。
展覧会サイト https://www.polamuseum.or.jp/sp/interiorvisions/

※髙田安規子・政子 過去の記事もおすすめです。

GOING DOWN THE RABBIT HOLE 髙田安規子・政子