詳細はミュージアムのオフィシャルサイトなどでご確認ください。

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生誕150年 池上秀畝―高精細画人―

開催中〜2024/04/21

練馬区立美術館

東京都・練馬区

須藤玲子:NUNOの布づくり

開催中〜2024/05/06

水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場

茨城県・水戸市

春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術

開催中〜2024/05/06

府中市美術館

東京都・府中市

【特別展】花・flower・華 2024 ―奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら―

開催中〜2024/05/06

山種美術館

東京都・渋谷区

古代メキシコ -マヤ、アステカ、テオティワカン

開催中〜2024/05/06

国立国際美術館

大阪府・大阪市

小金沢健人×佐野繁次郎ドローイング/シネマ

開催中〜2024/05/06

神奈川県立近代美術館 鎌倉別館

神奈川県・鎌倉市

第5回「私の代表作」展

開催中〜2024/05/12

ホキ美術館

千葉県・千葉市

ライトアップ木島櫻谷 ― 四季連作大屏風と沁みる『生写し』

開催中〜2024/05/12

泉屋博古館東京

東京都・港区

イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い

開催中〜2024/05/12

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

皇室のみやび―受け継ぐ美― 第3期「近世の御所を飾った品々」

開催中〜2024/05/12

皇居三の丸尚蔵館

東京都・千代田区

開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z

開催中〜2024/05/12

東京都庭園美術館

東京都・港区

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? ——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

開催中〜2024/05/12

国立西洋美術館

東京都・台東区

国宝・燕子花図屏風 デザインの日本美術

開催中〜2024/05/12

根津美術館

東京都・港区

春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ

開催中〜2024/05/12

長野県立美術館

長野県・長野市

モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン

開催中〜2024/05/19

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

版画の青春 小野忠重と版画運動 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

開催中〜2024/05/19

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

HELLO! コレクション ZOZO×千葉県立美術館

開催中〜2024/05/19

千葉県立美術館

千葉県・千葉市

子の日図屏風と宮廷文化

開催中〜2024/05/19

遠山記念館

埼玉県・比企郡川島町

企画展《歌舞音曲鑑 北斎と楽しむ江戸の芸能》

開催中〜2024/05/26

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

百年後芸術祭 -内房総アートフェス-

開催中〜2024/05/26

芸術祭(市原市・木更津市・君津市・袖ケ浦市・富津市の内房総5市)

千葉県・市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の内房総5市

特別展 雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―

開催中〜2024/05/26

京都国立博物館

京都府・京都市

月岡芳年 月百姿

開催中〜2024/05/26

太田記念美術館

東京都・渋谷区

金屏風の祭典 ——黄金の世界へようこそ

開催中〜2024/06/02

岡田美術館

神奈川県・箱根町

日本の山海

開催中〜2024/06/02

松岡美術館

東京都・港区

卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展

開催中〜2024/06/02

国立工芸館

石川県・金沢市

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

開催中〜2024/06/02

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

1950〜60年代の日本画―造形への挑戦

開催中〜2024/06/02

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

遠距離現在 Universal / Remote

開催中〜2024/06/03

国立新美術館

東京都・港区

第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きてる」

開催中〜2024/06/09

芸術祭(横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路)

神奈川県・横浜市

記憶:リメンブランス-現代写真・映像の表現から

開催中〜2024/06/09

東京都写真美術館

東京都・目黒区

BankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」

開催中〜2024/06/09

BankART Station

神奈川県・横浜市

企画展「北斎と感情」

開催中〜2024/06/09

北斎館

長野県・小布施町

名作展「大画面の奔流―川端龍子の『会場芸術』再考」

開催中〜2024/06/09

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

特別展「法然と極楽浄土」

2024/04/16〜2024/06/09

東京国立博物館

東京都・台東区

静嘉堂文庫竣工100年 特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎」

開催中〜2024/06/09

静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)

東京都・千代田区

平野杏子展 – 生きるために描きつづけて

開催中〜2024/06/09

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界

開催中〜2024/06/09

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

青山悟 刺繍少年フォーエバー

2024/04/20〜2024/06/09

目黒区美術館

東京都・目黒区

没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家

開催中〜2024/06/09

渋谷区立松濤美術館

東京都・渋谷区

特別展「大哺乳類展3−わけてつなげて大行進」

開催中〜2024/06/16

国立科学博物館

東京都・台東区

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

2024/04/18〜2024/06/16

三井記念美術館

東京都・中央区

ベル・エポックー美しき時代 パリに集った芸術家たち ワイズマン&マイケル コレクションを中心に

2024/04/20〜2024/06/16

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品

2024/04/17〜2024/06/16

サントリー美術館

東京都・港区

昭和モダン×百段階段 ~東京モダンガールライフ~

開催中〜2024/06/16

ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」

東京都・目黒区

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO

開催中〜2024/06/16

東京オペラシティアートギャラリー

東京都・新宿区

板倉鼎・須美子展

開催中〜2024/06/16

千葉市美術館

千葉県・千葉市

高橋由一から黒田清輝へ ―明治洋画壇の世代交代劇―

2024/04/20〜2024/06/16

栃木県立美術館

栃木県・宇都宮市

ここに いても いい リトゥンアフターワーズ 山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口

2024/04/27〜2024/06/16

アーツ前橋

群馬県・前橋市

“オモシロイフク”大図鑑

開催中〜2024/06/22

文化学園服飾博物館

東京都・渋谷区

「どうぶつ百景 江戸東京博物館コレクションより」展

2024/04/27〜2024/06/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

令和6年度初夏展「殿さまのスケッチブック」

2024/04/27〜2024/06/23

永青文庫

東京都・文京区

シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴

2024/04/20〜2024/06/23

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

驚異の細密表現展 ―江戸・明治の工芸から現代アートまで―

2024/04/20〜2024/06/23

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

没後70年 戦争を越えて―写真家ロバート・キャパ、愛と共感の眼差し―

開催中〜2024/06/23

東京富士美術館

東京都・八王子市

カール・アンドレ 彫刻と詩、その間

開催中〜2024/06/30

DIC川村記念美術館

千葉県・佐倉市

特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」

2024/04/16〜2024/06/30

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

民藝 MINGEI—美は暮らしのなかにある

2024/04/24〜2024/06/30

世田谷美術館

東京都・世田谷区

創刊50周年記念 花とゆめ展

2024/05/24〜2024/06/30

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52 階)

東京都・港区

KAGAYA 星空の世界 天空の贈り物

2024/05/01〜2024/07/01

そごう美術館

神奈川県・横浜市

三島喜美代―未来への記憶

2024/05/19〜2024/07/07

練馬区立美術館

東京都・練馬区

石岡瑛子 I デザイン

2024/04/27〜2024/07/07

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

Beautiful Japan 吉田初三郎の世界

2024/05/18〜2024/07/07

府中市美術館

東京都・府中市

ふたり 矢部太郎展

2024/04/24〜2024/07/07

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

MOTコレクション 歩く、赴く、移動する 1923→2020/Eye to Eye-見ること

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

ホー・ツーニェン エージェントのA 

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

Tokyo Contemporary Art Award 2022-2024 受賞記念展

開催中〜2024/07/07

東京都現代美術館

東京都・江東区

【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―

2024/05/12〜2024/07/07

山種美術館

東京都・渋谷区

TOPコレクション 時間旅行 ― 千二百箇月の過去とかんずる方角から

開催中〜2024/07/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

企画展 歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界

2024/06/01〜2024/07/21

泉屋博古館東京

東京都・港区

藤田嗣治 エコール・ド・パリの時代 1918~1928年

開催中〜2024/07/23

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

「石川九楊大全」

2024/06/08〜2024/07/28

上野の森美術館

東京都・台東区

国芳の団扇絵 ―猫と歌舞伎とチャキチャキ娘

2024/06/01〜2024/07/28

太田記念美術館

東京都・渋谷区

企画展「未来のかけら 科学とデザインの実験室」

開催中〜2024/08/12

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

東京都・港区

生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界

2024/06/01〜2024/08/25

東京都庭園美術館

東京都・港区

特別展「北斎 グレートウェーブ・インパクト —神奈川沖浪 裏の誕生と軌跡—」

2024/06/18〜2024/08/25

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション

2024/05/21〜2024/08/25

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙

2024/06/11〜2024/08/25

国立西洋美術館

東京都・台東区

企画展「旅するピーナッツ。」

開催中〜2024/09/01

スヌーピーミュージアム

東京都・町田市

シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝

2024/04/24〜2024/09/01

森美術館

東京都・港区

AOMORI GOKAN アートフェス 2024 「つらなりのはらっぱ」

開催中〜2024/09/01

アートフェス(芸術祭)( 青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)

青森県

伊藤潤二展 誘惑

2024/04/27〜2024/09/01

世田谷文学館

東京都・世田谷区

音を観る ―変化観音と観音変化身―

2024/04/24〜2024/09/01

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

アートキャンプ白州 2024 Camp and Art in Each Heart!

2024/07/06〜2024/09/01

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

エドワード・ゴーリーを巡る旅

2024/07/06〜2024/09/01

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

カルダー:そよぐ、感じる、日本

2024/05/30〜2024/09/06

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

日本のまんなかでアートをさけんでみる

開催中〜2024/09/08

原美術館ARC

群馬県・渋川市

特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」

2024/07/17〜2024/09/08

東京国立博物館

東京都・台東区

開館20周年記念 山梨放送開局70周年 平山郁夫 -仏教伝来と旅の軌跡

開催中〜2024/09/09

平山郁夫シルクロード美術館

山梨県・北杜市

フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線

2024/06/22〜2024/09/23

SOMPO美術館

東京都・新宿区

空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン

2024/07/13〜2024/09/23

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

吉田克朗展 ものに、風景に、世界に触れる

2024/07/13〜2024/09/23

埼玉県立近代美術館

埼玉県・さいたま市

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

2024/07/06〜2024/09/29

東京富士美術館

東京都・八王子市

梅津庸一 クリスタルパレス

2024/06/04〜2024/10/06

国立国際美術館

大阪府・大阪市

大地に耳をすます 気配と手ざわり

2024/07/20〜2024/10/09

東京都美術館

東京都・台東区

レガシー ―美を受け継ぐ モディリアーニ、シャガール、ピカソ、フジタ

2024/06/18〜2024/10/13

松岡美術館

東京都・港区

企画展「作家の視線― 過去と現在、そして…」

2024/05/23〜2024/11/11

ホキ美術館

千葉県・千葉市

Exhibitions

日伊国交樹立150周年記念 
ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝

素描を通してミケランジェロの精神に触れる。建築の全貌を紹介。

  イタリアルネサンスの天才芸術家ミケランジェロ・ブオナローティ(1475~1564年)は彫刻、絵画、建築全てに傑出した腕をもち、深い精神性をたたえた感動的な名作をあまた創り出した。詩才にも優れ、死後に詩集が出版された。彼の芸術は一人の人間が成したものとは思えない、まさにジョルジョ・ヴァザーリ(1511~74年)の言う「神のごとき」人の業である。
  「ミケランジェロ展 ルネサンス建築の至宝」は、ミケランジェロの70年にわたる芸術の全体像をとらえつつ、特に建築作品に的を当てて紹介する。フィレンツェにあるカーサ・ブオナローティが所蔵する日本初公開のミケランジェロ真筆の素描や書簡35点を中核とし、映像や新たに制作した建築模型も含め、約75点の作品を展観。完全主義者だったミケランジェロは死の直前に素描の多くを焼失させたが、子孫たちが代々関連資料の蒐集を行い、それらは現在ミケランジェロ自邸を美術館としたカーサ・ブオナローティが所蔵。本展は、山梨県立美術館、東京のパナソニック 汐留ミュージアム、広島のふくやま美術館を巡回。
  ■展覧会構成  
  展覧会構成は、三つの章から成る。
  1章ミケランジェロ・ブオナローティ/2章ミケランジェロとシスティーナ礼拝堂/
  3章ミケランジェロと建築
  筆者は東京会場のパナソニック汐留ミュージアムでの展覧会を廻った。ミケランジェロの素描や書簡から彼の息遣いを感じ、芸術を生み出す思索の過程や精神に触れることができたという印象をもった。また彫刻、絵画に比べて紹介されることが少ない建築の全貌を、やや専門的ではあるが、巧みな会場構成で紹介していて、ミケランジェロの偉大さや多面性をあらためて実感した。 
  ■ヴァチカン宮殿システィーナ礼拝堂天井画関連:迫力の素描/漫画も描いていた?
  ミケランジェロは端正な美しい字を書く人だ。会場には、詩人でもあった彼の自筆のソネットが出品されている。「この骨折り仕事に…」に始まり、「…そもそも画家ではないのだから。」で終わる意味内容だ。ローマ教皇ユリウス2世の注文により、ミケランジェロは1508年から4年間、ヴァチカン宮殿システィーナ礼拝堂の天井画の制作に従事したが、このソネットはその時の苦労と暗澹たる思いを謳ったものだ。彼は最初、ユリウス2世のための彫刻墓廟を依頼され、張り切って仕事をしていたのだが、そちらは中断され、専門ではない絵画である天井画を描かされていた、というわけだ。さらに面白いのは、ソネットの余白に高く右手を挙げて天井画を描く自身の立姿のスケッチがあり、天井画が漫画のようなこと。このスケッチを見てミケランジェロに親近感を抱く人も多いのではないだろうか。必見である。(本作は、ミケランジェロ・ブオナローティ、≪自筆のソネットに添えられた、システィーナ礼拝堂の天井画を描いている自画像≫、1508~12年、カーサ・ブオナローティ)(※以下、本展出品作品で特に記述のないものは、ミケランジェロ画、カーサ・ブオナローティ所蔵)。なお、ソネットの内容はともあれ、ミケランジェロは天井画に全精力を向け、建築的要素をも取り入れた偉大な作品に仕上げたことは言うまでもない。
  一方、向かって左下を見つめる堂々とした顔貌の木炭素描は、≪システィーナ礼拝堂天井画〈クマエの巫女〉のための頭部習作≫(1508~10年、トリノ王立図書館)だ。老婆であるクマエの巫女の強い存在感や鋭い眼差しに圧倒される。天井画の原寸大下絵のための直接の雛型とされる貴重なもの。眺めていると、吸い込まれるような気分になる。

  ■フィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂

  ●サン・ロレンツォ聖堂ファサード計画 建築を扱う3章では、まず3点の≪サン・ロレンツォ聖堂ファサードに使用する大理石のスケッチ≫に惹きつけられた。画面に様々な形状の大理石が精緻に描かれ、切り出しに当たっての細かいサイズ指示などを記し、ミケランジェロの偉大な仕事の始まりに出合ったような臨場感がある。
  サン・ロレンツォ聖堂はフィレンツェにあるメディチ家代々の墓所だ。ここはかつて、フィリッポ・ブルネレスキ(1377~1446年)が全体計画に関わり、1442年に着工。旧聖具室も完成させた。ブルネレスキはサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のクーポラを画期的な工法で建設したことで知られる、古典的理想美を追求した初期ルネサンスの代表的な芸術家だ。ミケランジェロは1516年、メディチ家に呼ばれて未完だったファサード(正面)のコンペに参加し計画を引き受けた。彼にとってほぼ初めての建築だった。試行を重ねたものの、実現には至らなかったが、ファサード案を示す大きな木造模型が残っていて、彫像が置かれるように設計されていたことがわかる。ミケランジェロは1519年には同聖堂メディチ家礼拝堂の新聖具室と内部の彫刻、およびラウレンツィアーナ図書館とその玄関室の設計を委嘱され、のちに完成させた。つまりサン・ロレンツォ聖堂は100年近くを挟んで、ブルネレスキとミケランジェロという偉大な芸術家が参画した建築なのだ。両者の建築を対比すると面白い。
  ●ラウレンツィアーナ図書館 ミケランジェロの描いた素描≪ラウレンツィアーナ図書館、閲覧室から玄関室への扉口案≫(1526年頃)は、精緻な建築図面だが、陰影描写も入念になされ、訴えるものが強い。教皇クレメンス7世に提出し、計画の承認を得るための図面だという。ミケランジェロの意気込みが伝わってくるようだ。この作品の近くに、日本で制作された閲覧室と玄関室の二つの模型が展示されている(①本間脩平・東北大学五十嵐研究室の制作≪ラウレンツィアーナ図書館全体模型1/100≫、2016年。②野口直人建築設計事務所制作、横浜国立大学都市イノベーション研究院協力≪ラウレンツィアーナ図書館玄関室模型1/20≫、2016年)。見事な模型である。ミケランジェロの素描図面と比べると、実施された建築ではやや変化したことがわかる。また、図書館玄関室の流れ落ちるような階段や装飾的な柱から、ミケランジェロが彫刻的な操作を建築に行ったことも読み取れる。図書館は1524年に建設を開始するが、長い年数がかかり、1559年にミケランジェロが階段模型をローマからフィレンツェに送った記録が残る。なお、ミケランジェロは手掛けた新聖具室でも革新的な新機軸を打ち出した。それは、ブルネレスキ設計の旧聖具室にみられる整合性のある比例と幾何学を一貫させたルネサンス的美の体系から、いかにして逸脱し、凌駕するかという挑戦だった。
 ●ローマのサン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂計画案 ローマ在住のフィレンツェ人のための聖堂の建築素描≪サン・ジョヴァンニ・デイ・フィオンティーニ聖堂計画案≫(1559年頃)は、正方形に、円が入り込み四方に突き出す形状の図面。1559年に教皇ピウス4世に依頼されて考案したものの一つだが、実現はしなかった。内側から見ると円形で、外側から見ると四角という複雑な図面は、近づいて見ると沢山の鉛筆の線があり、ミケランジェロの考察の在り様が浮かんでくる。映像での紹介もある。
  本展監修者の一人で、来日なさったカーサ・ブオナローティ財団学術委員長ピエトロ・ルスキ先生は、「ミケランジェロの建築については1534年を境にフィレンツェ時代とローマ時代に分けられ、両者が異なることを見てほしい。前者はブルネレスキを強く意識している。また、彼の晩年は建築家としての活動の比重が大きかった」と話された。
  ■ミケランジェロの生涯と芸術
  最後に彼の代表作を辿っておこう。会場では建築について素描とともに詳しく紹介する。
  ミケランジェロは88歳の生涯で、70年にわたる創作活動を行った。彼は1464年、アレッツォ近くのカプレーゼに誕生。フィレンツェ近くセッティニャーノの石工夫妻に預けられた後、フィレンツェで育つ。12歳でギルランダイオ兄弟の工房にて修業。そして、おそらくロレンツォ・マニフィーコの知遇を得て、サン・マルコのメディチ家庭園にて彫刻を習得。
  ●1534年まで 1492年頃に17歳で浮彫≪階段の聖母≫を制作。1496年、21歳でローマに出て、彫刻≪バッカス≫≪ピエタ≫を制作し絶賛を浴びる。フィレンツェに戻り、彫刻≪ダヴィデ≫を制作し、1504年にシニョーリア広場に設置。名声をさらに世に轟かせた。翌年、教皇ユリウス2世よりローマに招聘され、墓廟を委嘱されるが中断させられる。1508~12年にヴァチカン宮殿システィーナ礼拝堂天井画を制作。1516年にはほぼ初めての建築の仕事としてメディチ家代々の墓所であるフィレンツェのサン・ロレンツォ聖堂のファサード設計を委嘱される(計画のみ)。1519年には同聖堂メディチ家礼拝堂の新聖具室およびラウレンツィアーナ図書館の設計を委嘱され、新聖具室を建設して≪暁≫≪黄昏≫≪昼≫≪夜≫の彫刻を設置(1520~34年)。図書館は1524年に建設を開始(~1559年)。
  ●1534~64年(ローマ在住) ミケランジェロは1534年に教皇クレメンス7世に招聘され、ローマに向かった。ヴァチカン宮殿システィーナ礼拝堂の壁画≪最後の審判≫を委嘱されたためで、本作は1541年に公開。なお、1534年に59歳のミケランジェロは以後ローマに永住し、フィレンツェに戻ることはなかった。1538年には都市計画としてカンピドーリオの丘の広場の造営計画を行う。ミケランジェロにとって思い入れの強いユリウス2世墓廟計画は大幅に縮小され、1545年に彫刻≪モーセ≫などが完成し、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコーリ聖堂に設置。またサン・ピエトロ大聖堂ドーム(1546~64年)やピア門(ポルタ・ピア)(1561~64年)の設計など晩年も精力的に活動。そして没するまで、未完の彫刻≪ロンダニーニのピエタ≫の制作を続けたと伝えられている。
  ミケランジェロは古典主義の理想を越え、のちのマニエリスムやバロックを予感させる表現を創出した。「天才なる者を信じない人、天才とはどんなものかを知らない人は、ミケランジェロを見るがいい」とロマン・ロランは著述した。生きているミケランジェロその人を感じられる本展。是非ご覧ください。

【参考文献】
1)飛ヶ谷潤一郎・伊藤拓真 責任編集:『日伊国交樹立150周年記念 ミケランジェロ展 ― ルネサンス建築の至宝』(展覧会図録)、アートプランニング レイ 発行、2016年。
2)磯崎新:『磯崎新の建築談議 #7サン・ロレンツォ聖堂[15世紀]』、六耀社、2003年。

執筆:細川 いづみ (HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2016年8月)

※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。
20160819-001
写真1 東京会場風景。
左から、制作:野口直人建築設計事務所、協力:横浜国立大学都市イノベーション研究院≪ラウレンツィアーナ図書館玄関室模型1/20≫、2016年。
ミケランジェロ・ブオナローティ≪ラウレンツィアーナ図書館、閲覧室から玄関室への扉口案≫、1526年頃、カーサ・ブオナローティ。
(撮影:I.HOSOKAWA)
20160819-002
写真2 東京会場風景。
下は、制作:本間脩平・東北大学五十嵐研究室≪ラウレンツィアーナ図書館全体模1/100≫、2016年。
上は、参考写真≪ラウレンツィアーナ図書館 玄関室から閲覧室への階段≫)。
(撮影:I.HOSOKAWA)
20160819-003
写真3 東京会場風景。
ミケランジェロ・ブオナローティ≪サン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂計画案≫、1559年頃、カーサ・ブオナローティ。
(撮影:I.HOSOKAWA)

【展覧会欧文表記】 
The Genius of Michelangelo ― Majestic Renaissance Architecture
【会期・会場】
山梨 2016年4月23日~6月12日 山梨県立美術館
東京 2016年6月25日~8月28日 パナソニック 汐留ミュージアム
[電話]03-5777-8600(ハローダイヤル)
[詳細]http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/16/160625/
広島 2016年9月18日~11月6日 ふくやま美術館
[電話]084-932-2345 
[詳細]http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/fukuyama-museum/74409.html

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2016年8月20日