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春の特別展「食の器と道具」

開催中〜2025/06/20

国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館(ICU湯浅八郎記念館)

東京都・三鷹市

花と暮らす展

開催中〜2025/06/22

国立工芸館

石川県・金沢市

横尾忠則 連画の河

開催中〜2025/06/22

世田谷美術館

東京都・世田谷区

総合開館30周年記念 TOPコレクション 不易流行

開催中〜2025/06/22

東京都写真美術館

東京都・目黒区

初夏展「くまもとの絶景―知られざる日本最長画巻『領内名勝図巻』―」

開催中〜2025/06/22

永青文庫

東京都・文京区

藤田嗣治 ―7つの情熱

開催中〜2025/06/22

SOMPO美術館

東京都・新宿区

名作展「川端龍子の描き出した世界 生誕140年を迎えて」

開催中〜2025/06/22

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

篠原一男 空間に永遠を刻む——生誕百年 100の問い

開催中〜2025/06/22

TOTOギャラリー・間

東京都・港区

黒の奇跡・曜変天目の秘密

開催中〜2025/06/22

静嘉堂文庫美術館@丸の内

東京都・千代田区

箱根-横須賀連携企画第3弾 アートでつなぐ山と海 箱根・芦ノ湖 成川美術館コレクション展 海辺のミュージアムで楽しむ日本画のきらめき

開催中〜2025/06/22

横須賀美術館

神奈川県・横須賀市

石田尚志 絵と窓の間

開催中〜2025/06/22

アーツ前橋 ギャラリー

群馬県・前橋市

特別企画展「めぐる いのち 熊谷守一美術館40周年展」

開催中〜2025/06/29

豊島区立 熊谷守一美術館

東京都・豊島区

ゴジラ生誕70周年記念 ゴジラ・THE・アート展

開催中〜2025/06/29

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

開催中〜2025/06/29

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

まど・みちおのうちゅう―うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる―

開催中〜2025/06/29

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス

開催中〜2025/06/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

MOT Plus ハン・ネフケンス財団との共同プロジェクト シャハナ・ラジャニ

開催中〜2025/06/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

日本画コレクション再発見と 片岡球子「蔦屋重三郎の浮世絵師たち」

開催中〜2025/06/29

神奈川県立近代美術館 葉山

神奈川県・葉山町

民藝 MINGEI–美は暮らしのなかにある

開催中〜2025/06/29

千葉県立美術館

千葉県・千葉市

鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展 —20世紀初頭の風刺画からアール・デコ挿絵本、1930年代グラフィック雑誌まで

開催中〜2025/06/29

群馬県立館林美術館

群馬県・館林市

GLAM―黒柳徹子、時代を超えるスタイル―

開催中〜2025/06/29

そごう美術館

神奈川県・横浜市

リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s

開催中〜2025/06/30

国立新美術館

東京都・港区

「この、原美術館ARCという時間芸術」第2期

開催中〜2025/07/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

どうぶつ展 わたしたちはだれ? どこへむかうの?

開催中〜2025/07/06

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

橋口五葉のデザイン世界

開催中〜2025/07/13

府中市美術館

東京都・府中市

岡崎乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here

開催中〜2025/07/21

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025

開催中〜2025/07/21

東京都現代美術館

東京都・江東区

江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎と浮世絵のキセキ

開催中〜2025/07/21

千葉市美術館

千葉県・千葉市

開館30周年記念 日本美術とあゆむ―若冲・蕭白から新版画まで

開催中〜2025/07/21

千葉市美術館

千葉県・千葉市

企画展「死と再生の物語(ナラティヴ)―中国古代の神話とデザイン―」

開催中〜2025/07/27

泉屋博古館東京

東京都・港区

【特別展】生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち

開催中〜2025/07/27

山種美術館

東京都・渋谷区

士郎正宗の世界展~『攻殻機動隊』と創造の軌跡~

開催中〜2025/08/17

世田谷文学館

東京都・世田谷区

移転開館5周年記念 重要無形文化財指定50周年記念 喜如嘉の芭蕉布展

2025/07/11〜2025/08/24

国立工芸館

石川県・金沢市

ほとけに随侍するもの

開催中〜2025/08/31

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

藤田嗣治 絵画と写真

2025/07/05〜2025/08/31

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金

開催中〜2025/09/07

ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo

東京都・江東区

オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ—モダンを拓いた2人の巨匠

開催中〜2025/09/07

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

「銀河鉄道999」50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路

2025/06/20〜2025/09/07

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

特集展よみがえる絵画・展示室内開催イベント「びじゅつかんであそぼ@てんじしつ」

2025/06/21〜2025/09/07

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

高畑勲展 ̶日本のアニメーションを作った男。

2025/06/27〜2025/09/15

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

小湊鉄道開業 100 周年記念展「古往今来・発車オーライ!」

開催中〜2025/09/15

市原湖畔美術館

千葉県市原市

原良介 サギ子とフナ子 光のそばで

開催中〜2025/09/15

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

藤田嗣治 猫のいる風景

開催中〜2025/09/28

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

知られざる秀逸コレクション 東京・足立区立郷土博物館所蔵浮世絵名品展

開催中〜2025/10/05

北斎館

長野県・小布施町

開館50周年記念 おいでよ!松岡動物園

2025/06/17〜2025/10/13

松岡美術館

東京都・港区

戦後80年 《明日の神話》 次世代につなぐ 原爆×芸術

2025/07/19〜2025/10/19

川崎市岡本太郎美術館

神奈川県・川崎市

Sereneの写実 森本草介・島村信之2人展

開催中〜2025/11/10

ホキ美術館

千葉県・千葉市

企画展「ゴッホ・インパクト—生成する情熱」

開催中〜2025/11/30

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー

開催中〜2025/11/30

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

新発見の「織田信長書状」細川藤孝宛 (元亀3年〈1572〉)8月15日 ※通期展示

Exhibitions

信長の手紙―珠玉の60通大公開—

  • 永青文庫 (東京都・文京区)

 織田信長(1534~82年)の新発見の手紙が永青文庫で公開されている。戦国大名の細川家ゆかりの品々を所蔵する同文庫にはすでに59通の信長の手紙があり、すべて重要文化財に指定されている。本展では、全国に約800通あるといわれる信長の手紙の中で、右筆(書記官)の書ではなく、唯一自筆であることが確実とされる「織田信長自筆感状」を含む59通に、新発見の「織田信長書状」を加えた全60通を展示。さらに明智光秀が本能寺の変の7日後に書いた自筆書状や光秀死後の戦後処理に関する豊臣秀吉の書状などを含めた97点の歴史資料や美術工芸品を紹介。室町幕府滅亡直前から本能寺の変前後の「リアルな日本史を体感できる展覧会」(本展担当・伊藤千尋学芸員)だ。

新発見の「織田信長書状」細川藤孝宛 (元亀3年〈1572〉)8月15日 ※通期展示
新発見の「織田信長書状」細川藤孝宛 (元亀3年〈1572〉)8月15日 ※通期展示

 新発見の手紙は室町幕府滅亡前年の元亀3年(1572)8月15日に信長が細川藤孝に宛てたもの。藤孝は、将軍・足利義昭の側近として義昭と信長を結び付け、幕府の再建に尽力し、義昭の京都追放後は信長の家臣となった人物で、肥後細川家の初代。
 手紙には「今年は将軍義昭の側近衆は誰一人として手紙も贈り物もよこさなくなったが、その中にあって、あなたからは初春にも太刀と馬をお贈りいただき、例年通りお付き合いくださる。この上なくめでたいことだ。鹿毛の馬を贈ります。今こそ大事な時期なので、山城、摂津、河内方面の領主たちを味方に引き入れて下さい。あなたの働きこそが重要なのです」などと書かれ、幕府政治が混乱を極める中で、藤孝が京都における信長の頼みの綱だったことがわかる。
 本展開幕前日の内覧会で行われた熊本大学永青文庫研究センターの稲葉継陽教授のギャラリートークによると、「信長と義昭の側近衆とが対立する中で、藤孝だけが信長と通じていたことがわかる。当時の信長が置かれていた状況を示す貴重な資料」とのこと。「足利義昭と信長を結び付けて京都に幕府体制を再建させる立役者になったのが藤孝ならば、最終的に義昭の挙兵が失敗し幕府の形が崩れることのキーマンとなったのも藤孝。藤孝という人物の政治史上の位置づけをもう一度検討すべきだということもこの資料が教えてくれる」と話す。
 なお、この手紙は2022年に永青文庫と熊本大学永青文庫研究センターとの共同調査で、永青文庫の収蔵庫から発見された。

「織田信長書状」の解説をする稲葉継陽教授
「織田信長書状」の解説をする稲葉継陽教授

 信長本人が書いたことが確実な唯一の手紙「織田信長自筆感状」も注目したい。天正5年(1577)10月2日付けの藤孝の嫡男、細川忠興にあてた書状で、まだ15歳の忠興が敵方の城に一番乗りして軍功をあげたことに「たいへんな手柄であった」と記している。
 戦国時代は大名らが手紙を書く時は、右筆が筆をとり、内容を確認して最後に本人がサインをしたり印を押したりするのが原則だった。新発見の手紙を含めた59通はその原則にのっとっているが、稲葉教授によると、「一定の条件が満たされると本人が筆をとることがある。一つは右筆にも知られたくない機密の内容の時、もうひとつは感情が高まって自分でどうしても書きたくなる時。この手紙は後者の例だ」という。
 この「織田信長自筆感状」には同日付けの、信長側近の堀秀政による添え状があり、忠興が手柄を立てたことを信長が喜んで「ご自筆の御書をなされた」と書かれている。「まさに折り紙付きで、信長の筆だと証明される史料だ」(稲葉教授)。今回はこの添え状も展示されている。
 また、「織田信長自筆感状」の筆跡については、古文書学者で永青文庫評議員の愛知東邦大学の増田孝客員教授が「豪放磊落で運筆の速さは筆者の気性の激しさを物語る」「旧来の骨法を身につけた上、見事な筆捌きを持っている」「次代に先駆ける前衛的な書」(『織田信長文書の世界 永青文庫 珠玉の六〇通』より)と述べている。

「織田信長自筆感状」細川忠興宛 (天正5年〈1577〉)10月2日 重要文化財 ※通期展示
「織田信長自筆感状」細川忠興宛 (天正5年〈1577〉)10月2日 重要文化財 ※通期展示

 このほかの信長の書状は事件や政策ごとにまとめて展示替えをしながら紹介している。たとえば、織田信長・徳川家康連合軍と武田勝頼が戦った長篠合戦の戦況をつづる「長篠合戦と宿敵・武田氏」、謀反を起こした松永久秀や荒木村重への対応に関する「度重なる家臣の裏切り」、石高制検地に関する光秀とのズレを示す「光秀の台頭から『本能寺の変』へ」、藤孝や忠興からの贈答品への礼状を集めた「信長とのコミュニケーション」といった構成。信長の考えや緊迫した状況がわかる貴重な資料だ。

長篠合戦の当日に書かれた「織田信長朱印状」 細川藤孝宛 (天正3年〈1575〉5月)21日 重要文化財 ※通期展示
長篠合戦の当日に書かれた「織田信長朱印状」 細川藤孝宛 (天正3年〈1575〉5月)21日 重要文化財 ※通期展示

 信長以外の書状では、明智光秀が本能寺の変の7日後に丹後の細川藤孝・忠興に送った自筆の「明智光秀覚条々」(重要文化財)がある。3ヵ条の誓約書で、自分に味方して出陣して欲しいという催促と、味方してくれれば摂津あるいは若狭の国を差し上げるという条件、信長殺害の理由などが書かれている。稲葉教授によると「本能寺の変の後の光秀の唯一の肉声であり、日本中にこれしかない貴重資料だ」という。
 本能寺の変の7日後に、光秀の親友で藤孝の従兄弟でもある京都の吉田神社の神主の吉田兼見の日記に、近江を平定していた光秀が、秀吉が中国攻めから戻ってくることを知って急いで京都に戻り、吉田兼見の屋敷に寄って京都やその周辺の武将たちに味方してくれるように催促する手紙を何通か書いた。その後、夕飯を急いで食べてから出陣して行ったと書かれていて、「まさにその時に吉田兼見の屋敷で書いた何通かの催促状のうちの一つがこれだということが言える」(稲葉教授)。

「明智光秀覚条々」細川藤孝・忠興宛 (天正10年〈1582〉)6月9日 重要文化財 ※通期展示
「明智光秀覚条々」細川藤孝・忠興宛 (天正10年〈1582〉)6月9日 重要文化財 ※通期展示

 ほかに、昨年、永青文庫で新たに発見された、細川藤孝が家臣に家の作事を急ぐように指示する自筆書状、細川忠興の記した「風姿花伝」の裏から発見され、石田三成と忠興の20代の頃の日常の様子がうかがえる「石田三成自筆書状」(「花伝書抜書」紙背文書)や、秀吉が光秀の領国だった丹波から姫路に帰り、戦後の処理に関する報告や備えを細川藤孝・忠興父子それぞれに宛てた「羽柴秀吉書状」(重要文化財)などもある。
 歴史上の人物のすぐそばにいて、時代が動いていく様子を目の当たりにしているような感覚がわきおこる。

「細川藤孝自筆書状」的場甚左衛門・岡□宛 (天正2年〈1574〉ヵ)8月8日 ※通期展示
「細川藤孝自筆書状」的場甚左衛門・岡□宛 (天正2年〈1574〉ヵ)8月8日 ※通期展示

執筆・写真撮影:西澤美子(文中敬称略)
 
※写真は主催者の許可を得て撮影しています
 
参考文献:『織田信長文書の世界 永青文庫 珠玉の六〇通』公益財団法人永青文庫/熊本大学永青文庫研究センター編(勉誠社 2024年)

熊本大学永青文庫研究センター設立15周年記念
「信長の手紙—珠玉の60通大公開—」
 
【会期・会場】
2024年10月5日(土)~12月1日(日) 永青文庫(東京都・文京区)
美術館HP:https://www.eiseibunko.com/