詳細はミュージアムのオフィシャルサイトなどでご確認ください。

  • タイトル
  • 会期
  • ミュージアム
  • 所在地

名著誕生展 ヴァチカン教皇庁 図書館Ⅲ+

開催中〜2026/07/20

印刷博物館

東京都・文京区

川合玉堂 —なつかしい日本の情景—

開催中〜2026/07/26

山種美術館

東京都・渋谷区

エリック・カール展 はじまりは、はらぺこあおむし

開催中〜2026/07/26

東京都現代美術館

東京都・江東区

(UN)KNOWN HIROKO KOSHINO ー新説/真説 コシノヒロコー

開催中〜2026/07/26

東京都現代美術館

東京都・江東区

浮世絵百物語 ゾッとする北斎の絵

開催中〜2026/07/26

北斎館

長野県・小布施町

三島由紀夫ーピエル・パオロ・パゾリーニ  対峙の手がかり 沈黙せず、目をそらさずに

開催中〜2026/07/29

イタリア文化会館

東京都・千代田区

[Part2] Re: 辻 邦生 ーー作家をめぐる人と世界(モノ)

開催中〜2026/08/01

霞会館記念 学習院ミュージアム

東京都・豊島区

TOKASレジデンス2026 成果発表展『はだしであるく』第1期

開催中〜2026/08/02

TOKAS本郷

東京都・文京区

「茶道具と銘をめぐる物語」「抽象・美への招待ー静謐なる山田正亮」(同時開催)

開催中〜2026/08/02

荏原 畠山美術館

東京都・港区

スープはいのち スープは包む、いのちを満たす、はじまりの衣食住

開催中〜2026/08/09

21_21 DESIGN SIGHT

東京都・港区

大ゴッホ展 夜のカフェテラス

開催中〜2026/08/12

上野の森美術館

東京都・台東区

TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇 ‐禍進譚-』特別展示

開催中〜2026/08/16

アニメ東京ステーション

東京都・豊島区

江戸東京博物館リニューアル開館記念特別展「洋館 明治の夢と挑戦」

開催中〜2026/08/23

江戸東京博物館

東京都・墨田区

世紀末パリの煌めき ―OGATAコレクションにみるミュシャ、シェレ、ロートレック

開催中〜2026/08/23

茅ヶ崎市美術館

神奈川県・茅ヶ崎市

名作展「彩る、生きものたち。川端龍子の観察と想像」

開催中〜2026/08/23

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

生誕130年 前田寛治 ポエジイとレアリスム 一九三〇年協会設立100年

開催中〜2026/08/30

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

開館50周年記念「山口華楊展」

開催中〜2026/08/30

SOMPO美術館

東京都・新宿区

プレイバック!ミレニアム1991→2001:版画が/版画で越えた境界

開催中〜2026/08/30

町田市立国際版画美術館

東京都・町田市

大正イマジュリィの世界

開催中〜2026/08/30

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

開館10周年記念「北斎 広重 ふたりの富士、それぞれの富士」

開催中〜2026/08/30

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

安藤正子:普通の日々

開催中〜2026/09/06

原美術館ARC

群馬県・渋川市

可愛いだけじゃない!?ピングー展

開催中〜2026/09/06

YURAKUCHO MUSEUM(有楽町ミュージアム)

東京都・千代田区

弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」

開催中〜2026/09/06

東京国立博物館

東京都・台東区

夏季展「えいえいやっとな!蔵出し!細川家の狂言面・装束」

開催中〜2026/09/06

永青文庫

東京都・文京区

「おたから」探してミュージアム!

2026/07/25〜2026/09/06

府中市美術館

東京都・府中市

出光真子 おんなのさくひん――ある映像作家の自伝

開催中〜2026/09/21

東京都写真美術館

東京都・目黒区

ピカソmeets ポール・スミス 遊び心の冒険へ

開催中〜2026/09/21

国立新美術館

東京都・港区

町田市立国際版画美術館所蔵 長谷川潔展 ―パリに生きた銅版画家の軌跡

開催中〜2026/09/23

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

“カフェ”に集う芸術家―印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで

開催中〜2026/09/23

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

特集展示「ガンダーラの仏像と仏伝―釈尊のすがた―」

開催中〜2026/09/27

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~

開催中〜2026/09/27

TOKYO NODE(東京ノード)

東京都・港区

80 GRAPHIC TRIALS クリエイター80組とTOPPANによる挑戦の20年

開催中〜2026/09/27

印刷博物館 P&Pギャラリー

東京都・文京区

東京都美術館開館100周年記念 この場所の風景―上野・大牟田・ブエノスアイレス

2026/07/23〜2026/10/07

東京都美術館

東京都・台東区

「風そよぐ情景 ヴィクトリア朝絵画・フランス印象派」展

開催中〜2026/10/12

松岡美術館

東京都・港区

練馬区立美術館コレクション 若林奮ーRun and Restー 寺田真由美-不在の存在-

2026/07/25〜2026/10/18

練馬区立美術館

東京都・練馬区

四季を写す絵画たち

開催中〜2026/11/08

ホキ美術館

千葉県・千葉市

マリー・アントワネット・スタイル

2026/08/01〜2026/11/23

横浜美術館

神奈川県・横浜市

ルネ・ラリックにみる 日本とフランスの“かわいい”文化交流

開催中〜2026/12/06

箱根ラリック美術館

神奈川県・箱根町

生誕140周年記念企画「ニューヨークの藤田嗣治」展

開催中〜2027/01/11

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

世田谷文学館コレクション展「没後30年 宇野千代展」

開催中〜2027/03/28

世田谷文学館

東京都・世田谷区

モネ没後100年・開館25周年記念 あたらしい目 — モネと21世紀のアート

開催中〜2027/04/07

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

ロン・ミュエク《マス》部分 2016~17年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス サイズ可変 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン) 2018年フェルトン遺贈。 展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年

Exhibitions

ロン・ミュエク

ロン・ミュエク作品に対峙するとは?

 先入観を打ち破る不思議な世界。迫真的なリアリズム。不気味でもある。途方にくれる。そして考え込まされる。革新的な具象彫刻で知られる現代美術作家ロン・ミュエク(1958年オーストラリア生まれ。英国在住)の大規模な展覧会が、森美術館で開催中だ。カルティエ現代美術財団と森美術館の共催。パリ、ミラノ、ソウルからの巡回展(会場ごとに形を変えて開催)。精巧な表現のゆえ、ミュエクがこれまでのキャリアの30年間で手掛けた作品は49作とされる。本展では100点から成る最大の作品《マス》を含めた11作品に出あえる。

本展会場の入り口
本展会場の入り口

《イン・ベッド》

 いくつか作品を紹介しよう。中年の黒髪の女性が白いベッドに横たわる。頭を枕に乗せ、右手をあごに当て右上方を眺めている。静謐な世界。この《イン・ベッド》(2005年、カルティエ現代美術財団 所蔵)という作品が見えたとき、あまりの巨大さに息をのんだ。長さ6.5m、幅約4m。そして近寄って、大きな「その人」を象る精緻な造形表現に驚嘆した。生きているようだ。日本の仏像彫刻にある玉眼の効果は有名だが、「その人」の両眼も生命力を全身に宿らせる。何かを見つめている。でもなぜか見る者と視線が合わない。「その人」は不安そうだ。彼女は何を考えているのだろう? 巨大彫刻というと、皇帝や英雄の像、仏像なども思い浮かぶが、ロン・ミュエクの巨大作品はモニュメンタルなものではない。人の日常の姿である。背丈の小さい子供が大人を見たとき、こんな風なのだろうか。

ロン・ミュエク《イン・ベッド》 2005年 ミクストメディア 縦162×横650×奥行395㎝ A/P 所蔵:カルティエ現代美術財団。展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
ロン・ミュエク《イン・ベッド》 2005年 ミクストメディア 縦162×横650×奥行395㎝ A/P 所蔵:カルティエ現代美術財団。展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
ロン・ミュエク《イン・ベッド》部分 2005年 ミクストメディア 縦162×横650×奥行395㎝ A/P 所蔵:カルティエ現代美術財団。展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
ロン・ミュエク《イン・ベッド》部分 2005年 ミクストメディア 縦162×横650×奥行395㎝ A/P 所蔵:カルティエ現代美術財団。展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年

《エンジェル》

 一方、初期の代表作《エンジェル》(1997年、個人蔵)は、小さいサイズだ。ミュエクの人体彫刻の特徴はスケールを変化させること。等身大よりかなり大きいか、またはかなり小さい。大きな白い翼をもつ《エンジェル》は、椅子に腰掛け、頭を低くして物思いにふけっている。しかしこの《エンジェル》は中年男性の姿で、天使のイメージとはかけ離れている。この人は誰なのか? 何を思っているのだろう? 
 
 本作の発想源は、18世紀のイタリアの画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ(1696~1770)が描いた《ヴィーナスと時間の寓意》(1754~58年頃)」である。ミュエクは、ロンドンのナショナル・ギャラリーでこのティエポロ作品を目にし、自身の《エンジェル》を制作した。ティエポロ作《ヴィーナスと時間の寓意》は、約3mの長さの卵型の天井画だ。雲上のヴィーナスが、「時間の寓意」の手に生まれたばかりの子供を託す場面を描写する。ベネチアの貴族コンタリーニ家のために描かれた作品。パステル調の色彩が美しい。右下方の有翼の老人が、「時間の寓意」である。「時の翁」ともいわれるその人は、ヴィーナスから手渡された赤子を抱えて、ヴィーナスを仰ぐ。傍らにアトリビュートの大鎌がみえる。とすると、ミュエクの《エンジェル》とは、「時間」なのだろうか。

ロン・ミュエク《エンジェル》 1997年 ミクストメディア 110×87×81㎝ 個人蔵。展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
ロン・ミュエク《エンジェル》 1997年 ミクストメディア 110×87×81㎝ 個人蔵。展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年

 なお、ミュエクは2000年から2年間、ロンドンのナショナル・ギャラリーで「アソシエイト・アーティスト」5代目を務めた。この間、同館の所蔵品を詳しく調査できるのである。そのときミュエクが制作した《舟の中の男》(2002年、個人蔵)(※本展に出品)は、過去の巨匠たちの作品から影響を受けたものとされている。

《マス》

 《マス》(2016~17年、ビクトリア国立美術館[メルボルン]、2018年フェルトン遺贈 所蔵)は、白い大きな頭蓋骨の彫刻100点から成る作品。配置は作家が会場に合わせて行う。見る者は巨大な頭蓋骨の森を歩くという尋常でない経験をする。頭蓋骨はそれぞれ微妙に色も形態も違えてあり、個々人であることを示唆する。人間の命と尊厳を奪う戦争などの恐怖が心に押し寄せてきた。頭蓋骨の表現は、西洋美術の歴史のなかで数多見られ、「メメント・モリ」(死を忘れるな)の教訓はよく知られる。しかし本作のような集団作品となると、別物となり、全体から発するものが圧倒的である。
 
 ミュエクは、長らく一人または二人の迫真的な人間を象る彫刻を手掛けてきたが、《マス》によって主題も数という点でも大きく変換を行った。なぜなのか。知りたく思う。

ロン・ミュエク《マス》部分 2016~17年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス サイズ可変 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン) 2018年フェルトン遺贈。 展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
ロン・ミュエク《マス》部分 2016~17年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス サイズ可変 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン) 2018年フェルトン遺贈。 展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年

見る人に解釈をゆだねる/「人間とは何か」

 ミュエクは作品について多くを語らず、見る者に解釈をゆだねるようだ。しかし展覧会会場や展覧会図録(※参考文献1)にロン・ミュエクの言葉が少し紹介されていた。
 
 「表面の制作に多くの時間を費やしているが、私がとらえたいのは内側に宿る生命なのだ」(※参考文献1。68頁。近藤健一の論考「人間であることのスケール:人間模倣時代におけるロン・ミュエク」)
 
 「かれらはかつて人間だった。私たちと同じ人間。かれらは、私たちだ。」(※参考文献1。94頁。《マス》ロン・ミュエクによる覚書)
 
 ロン・ミュエクの作品は多義的である。ミュエクの人体彫刻は老若男女を扱い、苦悩を伝えるようだが、曖昧でもある。《マス》は悲惨で恐ろしい事態を想起させる。一方、「巨人の肩の上にのる矮人」(先人の偉大な積み重ねがあるがゆえ、遠くを見ることができる)の西洋の思想も筆者の頭をよぎった。またミュエクの作品に美術の歴史との繋がりも感じた。
 
 会場では、フランスの写真家で映画監督ゴーティエ・ドゥブロンドによる写真と映画によりミュエクの彫刻制作の様子を知ることもできる。
 生と死。人間とは何か。本展には沢山の深遠な問いかけがある。
 
 
【参考文献】
1)近藤健一(森美術館) 高山小海 佐藤恵美 編集、森美術館 編集:『ロン・ミュエク』
(本展カタログ)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 美術出版社書籍編集部 発行、2026年
 
執筆・撮影:細川いづみ(HOSOKAWA Fonte Idumi) 
(2026年6月)
 
※会場内の風景画像は主催者側の許可を得て撮影したものです。
※本文・図版とも無断引用・無断転載を禁じます。

【展覧会名】
ロン・ミュエク
Ron Mueck
 
【会期・会場】
2026年4月29日(水・祝)~9月23日(水・祝) 森美術館(東京都港区)
※なお、好評につき、6月~9月の土 ・日・祝休日[7月18日(土)は除外]、および8月8日(土)~16日(日)は、開館時間を1時間早めて、朝9時より開館しています。
※詳細は以下でご確認ください。
森美術館サイト:
www.mori.art.museum
 
ロン・ミュエク特設ページ:
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck/index.html