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秋季特別展「サステイナブル 物のいのちを考える」

開催中〜2025/11/07

国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館(ICU湯浅八郎記念館)

東京都・三鷹市

藤本壮介の建築:原初・未来・森

開催中〜2025/11/09

森美術館

東京都・港区

カルン・タカール・コレクション インド更紗 世界をめぐる物語

開催中〜2025/11/09

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

川端龍子生誕140年特別展「川合玉堂と川端龍子」

開催中〜2025/11/09

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

TVアニメ『SPY×FAMILY』特別企画展

開催中〜2025/11/09

アニメ東京ステーション

東京都・豊島区

「OPEN SITE 10」Part 1

開催中〜2025/11/09

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

自然と魂 利根山光人の旅 異文化にみた畏敬と創造

開催中〜2025/11/09

世田谷美術館

東京都・世田谷区

正倉院 THE SHOW—感じる。いま、ここにある奇跡—

開催中〜2025/11/09

上野の森美術館

東京都・台東区

千代田の大奥—時代へのまなざし―

開催中〜2025/11/09

千代田区立日比谷図書文化館

東京都・千代田区

Sereneの写実 森本草介・島村信之2人展

開催中〜2025/11/10

ホキ美術館

千葉県・千葉市

正倉院展

開催中〜2025/11/10

奈良国立博物館

奈良県・奈良市

津和野町立安野光雅美術館コレクション 安野先生のふしぎな学校

開催中〜2025/11/16

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

谷岡靖則 退任記念展 うしなわれしもの・とき、そして

開催中〜2025/11/16

東京藝術大学大学美術館

東京都・台東区

宋元仏画―蒼海(うみ)を越えたほとけたち

開催中〜2025/11/16

京都国立博物館

京都府・京都市

中国絵画への憧憬―楊文驄「江山孤亭図」と江戸時代の文人たち

開催中〜2025/11/16

遠山記念館

埼玉県・川島町

開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025

開催中〜2025/11/24

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館20周年特別展 円山応挙―革新者から巨匠へ

開催中〜2025/11/24

三井記念美術館

東京都・中央区

移転開館5周年記念 ルーシー・リー展—東西をつなぐ優美のうつわ—

開催中〜2025/11/24

国立工芸館

石川県・金沢市

岡山芸術交流2025―The Parks of Aomame 青豆の公園

開催中〜2025/11/24

芸術祭/岡山市中心部

岡山県・岡山市

北斎をめぐる美人画の系譜〜名手たちとの競演〜

開催中〜2025/11/24

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

生誕100年 山下清展-百年目の大回想

開催中〜2025/11/24

山梨県立美術館

山梨県・甲府市

企画展「ゴッホ・インパクト—生成する情熱」

開催中〜2025/11/30

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー

開催中〜2025/11/30

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

HOKUSAI−ぜんぶ、北斎のしわざでした。展

開催中〜2025/11/30

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋TODA BUILDING 6階)

東京都・中央区

秋季展 重要文化財「黒き猫」修理完成記念「永青文庫 近代日本画の粋―あの猫が帰って来る!―」

開催中〜2025/11/30

永青文庫

東京都・文京区

没後35年 北澤映月展

開催中〜2025/11/30

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

【特別展】 日本画聖地巡礼 2025 −速水御舟、東山魁夷から山口晃まで−

開催中〜2025/11/30

山種美術館

東京都・渋谷区

国際芸術祭「あいち 2025」

開催中〜2025/11/30

芸術祭/愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

愛知県・名古屋市、瀬戸市

取手収蔵棟竣工記念・取手館開館30周年記念 藝大取手コレクション展 2025

2025/11/13〜2025/11/30

東京藝術大学大学美術館 取手館

茨城県・取手市

特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」

開催中〜2025/11/30

東京国立博物館

東京都・台東区

法然と極楽浄土

開催中〜2025/11/30

九州国立博物館

福岡県・太宰府市

中村正義「視線のゆくえ」

開催中〜2025/11/30

中村正義の美術館(開館日:金・土・日・祝日)

神奈川県・川崎市

鈴木のりたけ「大ピンチ展!」

開催中〜2025/12/07

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

総合開館30周年記念「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」

開催中〜2025/12/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

なんという目だ! ー北斎にはこう見えるー

開催中〜2025/12/07

北斎館

長野県・小布施町

フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫

開催中〜2025/12/07

府中市美術館

東京都・府中市

在原業平生誕1200年記念 特別展 伊勢物語 —美術が映す王朝の恋とうた

開催中〜2025/12/07

根津美術館

東京都・港区

時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010

開催中〜2025/12/08

国立新美術館

東京都・港区

ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り

開催中〜2025/12/17

パナソニック汐留美術館

東京都・港区

ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢

開催中〜2025/12/21

東京都美術館

東京都・台東区

「OPEN SITE 10」Part 2

2025/11/22〜2025/12/21

トーキョーアーツアンドスペース本郷

東京都・文京区

ゴースト 見えないものが見えるとき

開催中〜2025/12/21

アーツ前橋 ギャラリー

群馬県・前橋市

ライシテからみるフランス美術 信仰の光と理性の光

開催中〜2025/12/21

宇都宮美術館

栃木県・宇都宮市

特集展示「阿弥陀仏 ―おわす・みちびく・あらわれる―」

開催中〜2025/12/28

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金

開催中〜2026/01/04

ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo(豊洲)

東京都・江東区

ランス美術館コレクション 藤田嗣治からレオナール・フジタへ 祈りへの

開催中〜2026/01/04

軽井沢安東美術館

長野県・軽井沢町

総合開館30周年記念 遠い窓へ 日本の新進作家 vol. 22

開催中〜2026/01/07

東京都写真美術館

東京都・目黒区

トロイメライ

開催中〜2026/01/12

原美術館ARC

群馬県・渋川市

野口哲哉 鎧を着て見る夢 –ARMOURED DREAMER–

開催中〜2026/01/12

彫刻の森美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

30周年記念展「ALL OF EVANGELION」

2025/11/14〜2026/01/12

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)

東京都・港区

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着

開催中〜2026/01/12

アーティゾン美術館

東京都・中央区

織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ

2025/12/02〜2026/01/18

ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)

東京都・渋谷区

小林徳三郎

2025/11/22〜2026/01/18

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

しあわせのぬいぐるみパーク展

開催中〜2026/01/18

世界の民俗人形博物館・須坂版画美術館(須坂アートパーク内)

長野県・須坂市

アール・デコとモード 京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に

開催中〜2026/01/25

三菱一号館美術館

東京都・千代田区

つぐ mina perhonen

2025/11/22〜2026/02/01

世田谷美術館

東京都・世田谷区

日本の色 染司よしおか 吉岡更紗の仕事

2025/11/29〜2026/02/01

三鷹市美術ギャラリー

東京都・三鷹市

アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦

2025/12/16〜2026/02/08

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

特集展「国立劇場の名品展 鏑木清方、小倉遊亀、東山魁夷、髙山辰雄、加山又造…」

開催中〜2026/02/15

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

マチュピチュ展

2025/11/22〜2026/03/01

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

移転開館5周年記念 令和6年能登半島地震復興祈念 工芸と天気展 −石川県ゆかりの作家を中心に−

2025/12/09〜2026/03/01

国立工芸館

石川県・金沢市

いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年

2025/12/06〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

横浜美術館コレクション展「子どもも、おとなも! つくるわたしが、つくられる」

2025/12/06〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

森重昭と被爆米兵調査-戦争が終わるということ

開催中〜2026/03/31

中央大学 法と正義の資料館

東京都・八王子市

Exhibitions

そこに光が降りてくる
青木野枝/三嶋りつ惠

 鉄の彫刻家、青木野枝(1958年東京都生まれ)とガラスの作家、三嶋りつ惠(1962年京都府生まれ)が、東京都庭園美術館のアール・デコの装飾空間をそれぞれの作品から生み出される光で照らし出し、建物の歴史を浮かび上がらせるかのような展覧会が開かれている。
 東京都庭園美術館の本館は1933年に皇族の朝香宮家の自邸として建てられた。内装はアール・デコ様式で、2015年に重要文化財に指定されている。展覧会を担当した森千花同館学芸員が、「90年前の時間が凍結されたような空間が、現代アーティストの創造によって、過去と現在が共存しながら手を結ぶ風景となるのを見たい」という思いから旧朝香宮邸の装飾として特徴的に用いられている鉄とガラスという素材に着目し、青木と三嶋に展覧会への参加を依頼した。

青木野枝(左)と三嶋りつ惠(右)
青木野枝(左)と三嶋りつ惠(右)

 青木は、鉄を溶断することを制作の核とし、切り抜かれた鉄の輪を繋ぎ合わせた軽やかな作風で知られている。40年以上ひたすら鉄を切り続ける経験から「鉄は透明な金属。そしていつも内部に透明な光を持っている」と語る。
 今回、旧朝香宮邸の大食堂には鉄の輪が繋がれたお椀のような形の2つの立体から成る「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅰ」を、その奥にある半円形の出窓のある大広間には輪を球体に組み上げた「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅱ」を制作した。いずれもいくつかの輪に赤いガラスがはめ込まれている。この二つの作品は、青木が「今、自分が感じている世界を朝香宮邸の中に作りたい」との思いで取り組んだ。
 制作のため美術館に滞在すればするほど、ここで暮らしていた人たちの生活がリアルに感じられた。「これまで、父親や祖父の歴史を無視していたが、日本がどのようなことをしてきたのか、昭和の時代を自分がどのように生きてきたのかを考えるようになり、自らを検証しながら作品を作った」という。
 祖父は軍人で、日清戦争や乃木将軍の下で日露戦争にも従軍し、多くの人が亡くなったことを改めて考えた。また、今、最も気になるのは中東のガザ地区の問題で、イスラエルとパレスチナの戦争やウクライナとロシアの戦争にも心を痛め、何かできないかと葛藤している。
 「朝香宮邸が完成した1933年はナチスが政権を取って日本が国際連盟を脱退した年。そうした時期に朝香宮允子妃がフランスとやりとりしながら、美しいものをどうしても建てたかった気持ちと、自分が今、ものを作りたいという気持ちが少し被るような気がした」という。
 青木は2019年の長崎県美術館での個展で初めて赤い色ガラスを作品に取り込んだ。父親が九州の人で、いとこが原爆で亡くなっていたり、キリシタン弾圧の歴史があったりすることから赤を用いたが、赤は長崎だけと明言し、その後は白や青のガラスを使っていた。しかし、「今回は、絶対に赤を使いたいと思った」。「戦争や弾圧のイメージと繋がり、血の色でもある。白いガラスを使う予定だったが、白ではないと思った」と話す。

青木野枝 「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅱ」 2024年
青木野枝 「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅱ」 2024年

 2階の階段の横の、普段はそこにあることすら気付かない部屋にも作品がある。厚い扉が半分ほど開いていて、中をのぞくと台の上に鉄の棒を円形に立てた作品「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅶ」がアンティークなライトに照らし出されている。ここは金庫室で台は金庫。中には引き出しがあり「ティアラとかお金とかが入っていたのだろう」と想像する。「氏神様などを祭るような暗い所というイメージで、鉄に丸く切った紙を吊るして」(青木)制作した。作品のあるすべての部屋の中で90年前の空気が最も立ち込めているような空間に静かに佇んでいる。

青木野枝 「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅶ」 2024 年
青木野枝 「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅶ」 2024 年

 三嶋は、20代後半にイタリアに渡り、1996年からヴェネツィアの工房で職人と協働しながらガラス作品を制作してきた。「光が降りて来て、ガラスが窓のようになる。作品を通して光を感じてほしい」との思いから、無色透明のガラスに強いこだわりを持っている。
 美術館に入って最初に足を踏み入れる大広間には、さまざまな形の透明なガラス作品が白いガラス板の上に展示され、華やかな空気をたたえている。「ここは人を招き入れて喜んでもらう空間だったと思う」と三嶋。「天井のアール・デコと日本の様式が混ざったようなライトに惹かれ、その数に合わせて約40個の作品を並べて、現代に放つ光と対話ができるようにしたかった」という作品で、タイトルは「光の海」。「それぞれのフォルムは光を放ち、光で満たされた海を遊泳する」(三嶋)。作品の周りをゆっくりと歩きながら見て行くと、光が揺らぐような感覚がわき起こる。

三嶋りつ惠 「光の海」 2024年
三嶋りつ惠 「光の海」 2024年

 2階への階段を上ると見えてくるのが2万2千個のガラスビーズの光がまばゆい「光の場」。ここは2階広間で、家族が集まるにぎやかな場所だったという。「昔はこんな感じの華やかさがあったのではないかと思い、そのイメージを現代に再現した」(三嶋)。

三嶋りつ惠 「光の場」 2019年
三嶋りつ惠 「光の場」 2019年

 本館と新館の間の庭の木の枝にも作品がある。イタリア語で雫を意味する「RUGIADA」(ルジャーダ)というタイトルで、雫が連なるようなガラスの粒に風景が映り、光でガラスがきらめき、自然に溶け込む。

三嶋りつ惠 「RUGIADA」 2024年
三嶋りつ惠 「RUGIADA」 2024年

 建物の存在や周囲の風景を、キャリアを積んだ二人の作家の研ぎ澄まされた感性による作品を通して実感することができる。時代をじっくりと見つめ直すきっかけになりそうだ。
 
執筆・写真撮影:西澤美子(文中敬称略)
 
※写真は主催者の許可を得て撮影しています
冒頭の写真は、青木野枝 「ふりそそぐもの/朝香宮邸 Ⅰ」2024年

2024年11月30日(土)~2025年2月16日(日) 東京都庭園美術館(東京都・港区)
美術館HP:https://www.teien-art-museum.ne.jp/